【連載】 インカレ直前特集 『覇者の誓い』 第3回  杉脇麻侑子×佐々木聖花 (7/31)

軟式庭球

 稀に見る激戦を制し、女王の座を取り戻した昨年の全日本大学対抗選手権(インカレ)から一年。再び大学日本一を決する大会が幕を開けようとしている。今季、女子部の中核を担うのは昨年優勝を決めた佐々木聖花(スポ3=東京・文化学園大杉並)と、個人戦ダブルスで頂点に立った杉脇麻侑子(スポ3=東京・文化学園大杉並)だ。インカレで勝つ喜びと厳しさを知る二人は今年度から再びペアを組み、シーズンを通して成長を続けている。高校時代から培われた絶妙なペアリングを武器に挑む、3年目のインカレに懸ける思いとは――。

※この取材は7月24日に行われたものです。

「攻めていく気持ち」(佐々木)

今季は攻めの姿勢を貫いた佐々木

――2016年度のこれまでの期間を振り返っていかがですか

杉脇 成績で見たら10点中7点か8点くらいですかね。

佐々木 初めの頃は全くうまくいかなかったよね。

杉脇 本当にうまくいかなくてゼロからのスタートでしたね。

――ペアが杉脇・佐々木組に戻ってから練習を再開したのはいつ頃ですか

杉脇 2月頃です。

佐々木 インドアの大会とかがあって、それが終わってからです。

――以前のペアに戻って練習してみて感じたことはありましたか

杉脇 良い意味ですごくありました。

佐々木 違和感なく出来ています。組んで焦ることはなくむしろ落ち着いてできました。

――先ほどゼロからとおっしゃっていましたがそれはいつ頃ですか

佐々木 5月の春季関東学生リーグ戦(関東リーグ)の辺りです。

杉脇 関東一般とか関東オープンとかがあったのですが、全てベスト8とか16止まりで力の差があるチームには勝てるけど強いところとやったら勝てないという状況でした。

――関東リーグを改めて振り返っていかがですか

杉脇 ペアリングとかコンビネーション的な部分は悪くなかったと思います。個人戦は自分たちの責任なので切り替えられていたのですが、団体戦は最後負けてしまって申し訳ないなという気持ちでした。けれども、1位というのは決まっていたので引きずるとかはなかったです。

佐々木 私もペアリングとかは問題ないと思っていました。ですが、向こうが攻めてきたことに対して自分たちから攻めていけなかった部分が良くなかったです。試合中も常に苦しい苦しいというかたちだったので、自分たちの攻め方に問題があったのかなと思いました。

――それは準備の段階で不足があったと言うことですか

佐々木 打ってくる相手というのは分かっていたのですが、そうしても安全に安全に丁寧に丁寧に打ってしまいました。負けてはいけないという気持ちもあったと思います。

――3番は自分たちの勝敗がチームの勝敗になると思いますがプレッシャーはいかがですか

杉脇 関東リーグの時は1番が負けてしまっていたので準備はしていました。あの時は弱気だったかもしれないです。その前の四試合くらいがずっと調子が良くなかったのでそういう部分も出てしまったのかもしれません。

――では全日本大学王座決定戦(王座)を振り返るといかがでしたか

杉脇 はっきり言えば予選から2-0続きだったので何も貢献できていません。チームに対しては申し訳ないなという気持ちでいっぱいでした。ですが、1番と2番が絶対に負けないという自信があって信じられたので三人に感謝しています。

佐々木 杉脇と一緒で1、2番が負けないという自信がありました。予選は3番まで試合をしますが2-0になった瞬間で勝負は決まっているので、相手は無我夢中で打ってきます。一方で早大は3番も勝ってチームに勢いを付けたいという場面で神戸松蔭女子大に負けてしまったことはチームにすごく申し訳なかったです。

――勢いに押されてしまいましたか

杉脇 相手のプレーは想定内でしたが、3番勝負とかだったらまた気持ちは違ったと思います。とはいえ自分たちのテニスをさせてくれませんでした。返ってくるボールも少なくて、最初から決めに来るボールやカットボールを打たれてしまいました。それを当たり前のようにやってきてそれを受けてしまってたことが敗因だったと思います。

佐々木 そういう相手とインドアで試合をしたことがなくて、練習でもじっくりできていなかったのでイメージはし辛かったです。

――東日本学生大学対抗競技(東日本インカレ)では調子が良かったと思いますがいかがですか

杉脇 関東リーグの立大に負けたのと、個人戦のベスト4決めで負けてしまって、二人で「先に攻められているね、そこだね」と話しあいました。なので、東日本インカレでは「先にどんどん攻めていこう仕掛けていこう」と話していました。これが団体と個人の優勝に繋がったと思います。

佐々木 東日本インカレは自分も攻めようという気持ちがありました。準決勝の途中からと決勝は霧雨が降っていて、前衛次第という感じで後衛はちょっと打ったら全部アウトという状況でした。なので、積極的にポーチに出たりスマッシュを打ったりしようという気持ちがありました。スマッシュも回転を掛けすぎるとアウトしてしまうので怖いのですが、決勝でも杉脇には「ミスしてもいいからどんどんいくね」と伝えて攻めの気持ちを忘れずにいけたなと思います。

――自分で「どんどん行くね」と宣言されたのですね

佐々木 はい。

杉脇 すごいびっくりしました。霧雨がすごくて自分はほとんど返すだけという状況だったのですが、「スマッシュ行くね」って言ってくれて。

佐々木 「え、行くの」ってなってたよね(笑)。それでも行こうと決めていました。

――チームメートからも佐々木さんがすごかったという声がありましたね。今までの鬱憤(うっぷん)も晴らされたのではないですか

佐々木 そうですね。モヤモヤすることなく思い切って出来ました。

――個人戦ダブルスの決勝は永井里佳女子主将(スポ4=東京・文化学園大杉並)・上原由佳(社2=群馬・高崎健康福祉大高崎)組との同士討ちでしたがいかがでしたか

杉脇 晴れていたらまた結果とかゲーム内容は違っていたとは思いますが、相手よりも我慢できたなとは思います。相手は早くポイントを取りたかったのか打ってきてくれてそれが全部吹いてしまっていたので、天候に助けられた部分もありました。

佐々木 1ゲーム目から相手がオーバーして取ったりしていたので、相手より我慢強くテニスできたと思います。とはいえ上げるだけでは勝てないのでレシーブに逆回転を掛けて揺さぶったりとかはしていました。その試合はやることを徹底してできたと思います。

――翌週の東日本ソフトテニス選手権(東日本一般)も優勝されましたね

杉脇 はい。でも初日は本当に危なくて、二試合目に相手にマッチを握られていて、でも勝って次の日に行けました。東日本インカレから返ってきて次の日がオフで次の日が雨で練習できなくて試合というかたちだったので二日間打っていなくて感覚が悪かったです。朝の練習もやばくて不安がある中臨みました。ですが二日目は気持ちで行きました。うまく切り替えられました。

――いつ切り替えられたのですか

佐々木 その競った試合からじゃないですかね。

杉脇 三試合目はスコーンと勝てました。

佐々木 でも二試合目は相当負けそうだったよね。

杉脇 やばいってくらいやばかったです。逆にその試合勝ったからこそこれ以上悪くはならないなと思って思い切ってできました。

――マッチを握られる瞬間はどのような気持ちになるのですか

杉脇 焦ったりとかは特になくて、あまり考えずにやった方ができたりします。無心ですね。

――佐々木さんは去年のインカレでもマッチ握られてからポーチに出ていましたよね

佐々木 はい。無我夢中でした。どうしようとか不安に思っていると絶対にそのポイントを取られて負けてしまうと思います。そうではなくて、二人で「次はこうしよう」とか無心だと気持ち的にも余裕が出てきます。

――杉脇・佐々木組は話し合う時間も長いですよね

杉脇 なんか話さないと嫌だよね。

佐々木 なんか違うよね(笑)。

杉脇 すごく調子が良かったら良いのですが、絶対に話したいですね。「相手は今こうだよね」とかの確認もできますし、その方が信じて打てます。フォローとかも入れますね。

――二人にとってのルーティンみたいなものなのでしょうか

杉脇 はい。

佐々木 そうかもしれません。

――春は大会が多いと思いますが、大会を通して成長した部分はありますか

佐々木 攻めていく気持ち。合わせずに、先に攻めていくということです。合わせている訳ではないのですが無難なテニスを今まではしてしまっていたなと感じました。

杉脇 怖くなかったんだろうね。相手からしたら。

佐々木 うん。

杉脇 先に攻めていくという出だしのテニスが体に染みついたと思います。先に1セット目が取りやすくなりました。

佐々木 前は0-2スタートとか普通にあったよね。

杉脇 はい。スロースターターというか、挽回していくスタイルというか、それでも良いよねとは思っていたのですが。ファイナルになっても落ち着いてできるよねとも話していました。ですが、やはり1セット目は取りたいですね。

――逆にこれは通用するなと言う部分はありましたか

佐々木 あまり意識したことなかったですね。

杉脇 私はフォローの予測とかですね。スマッシュされて二人とも後ろに行かされてしまった時とかに前にフォローに入ったりとかは佐々木とではないと生まれないところだと思います。そこは他のペアに負けないと思います。

――ペアは組まれたから何年ですか

杉脇・佐々木 高2、高3、大1、大3の4年ですね。

――今のもぴったりでしたね(笑)

一同 (笑)

佐々木 でも長さで言えば中村裕梨(教3=埼玉・早大本庄)の方が長いです。小学校から組んでいて5年間組んでいました。

「勝ちたい」(杉脇)

常にテニスにストイックに取り組む杉脇

――では、ここからは杉脇・佐々木組について伺いたいと思います。高校に入る前はお互いのことは知っていたのですか

杉脇・佐々木 知っていました。

杉脇 高校の顧問の先生がスカウトで何人か集めていて、それに何度か行ったりしていて知っていました。

佐々木 中3の時にみんな入学前でしたけど練習に行ったりしていたのでそこで知りました。

――高校で組まれた経緯は何だったのですか

杉脇 それは高校の監督が決めました。

――その当時のお互いの印象はいかがでしたか

杉脇・佐々木 え、全然覚えてない。

佐々木 ペアがころころ変わるというか、一大会ごとにころころ変わっていました。あまり意識していませんでしたね。でも組み立ての頃はボロボロだったよね。

杉脇 関東優勝したよね?その時からかな。

佐々木 でもその前から組んでいたよね。ということは1年の冬からですね。その時は冬のインドアの大会がぼろぼろでした。

杉脇 それで冬が開けて、春の関東大会で優勝して良くなってきたよね。そこからペアは変わっていませんね。

――ではなぜ早大を進学先として選ばれたのですか

佐々木 私は最初は立大に行きたいと言っていました。ですが立大の方から前衛二人と言われていて、チームメートがすでに二人行きたいと言っていたので早大に行こうと決心しました。立大に関しては、群馬から文化学園大杉並に行った先輩がいて、高校もそれが決め手で追って入りました。その先輩が立大に進学して「良いよ」と言っていたので「良いのかな」と思ったのが経緯です。早大は、平久保安純(社3=和歌山信愛)が行きたいというのは知っていたのですが前衛をスポーツ推薦で取りたいと言ってくれていたので、「お願いします」ということで決めました。

杉脇 私は日体大かなと思っていました。家から近いとこともあったので。ですが、「勝ちたい」とも思いましたし佐々木とか平久保とか木村理沙(スポ3=徳島・脇町)とか何人か高校の時に上で戦っていた選手が早大に入ると聞いていたので一緒にやりたいと思って決めました。

――文大杉並は強豪校ですから、同じように大学でもトップチームに入りたいという気持ちはありますよね

杉脇・佐々木 ありましたね。

――いま、高校3年時の早大に進学するという決断についてはどう感じていますか

杉脇・佐々木 本当に楽しくて良かったと思っています。

杉脇 入りたての頃は練習時間とか指導とかの面で物足りないなと思っていました。うまくなれるのか心配だったのですが、いまはこれが丁度良いと思います。

佐々木 高校の時にあんなに毎日走りに走っていたのが懐かしいです。

――技術向上のために日々意識することはありますか

杉脇 深く悩みすぎるとダメになってしまうので、できない事をやるのは当たり前ですができなさすぎるのは練習したりしなくて、得意な事を伸ばしつつというかたちです。悩んで悩んで改善したいというスタイルの選手もいますが、私は根詰めて考えすぎずにやっています。

佐々木 私もそこまで悩みすぎずにやっています。得意な事もやるし苦手な事もやります。その中では苦手な事に時間を割きたいです。悩みすぎないけどとりあえずやってみます。マイナスには考えすぎずにやっています。

――ご自身に合ったやり方で練習しているのですね

杉脇 これでうまくなるかなあとかはたまに思います。

佐々木 高校の時は練習すれば自信が付くから勝てるという感じでした。とにかくラケットを振ってボールを打っていましたね。忍耐というかあれをやればどんなに苦しいボールでも追いつくという練習だったので、今考えれば理にかなっていたのかなと思います。

――早大の練習が丁度良いと感じるようになったのはいつ頃ですか

杉脇 ほんとにこの春くらいからですね。それまでは二時間半の自主練では物足りなくてという感じだったのですが。いまはうまく考えながらできていると思います。

佐々木 1年の時は仕事もあるので、仕事も頭がいっぱいだし、遅くまで練習できるしというかたちで、物足りないというかやらなきゃという気持ちが1年の頃は多かったです。

――日々のコメントから杉脇さんはストイックな印象がありますがいかがですか

杉脇 周りからはそう見られる事が多いですね。多分変なところでこだわりがあるのかなと思います。

――原点はやはり日々打ち込んでいた高校時代にあるのでしょうか

杉脇 はい、絶対にそうだと思います。

――佐々木さんはストイックな方ですか

佐々木 杉脇ほどにはできないです。後衛の人は練習から球を打ちまくる感じですが、前衛は面が合ってきたら形式をやりたいです。ですが自主練でできないとなると急激に練習の幅が狭くなってしまって平日にも「試合したいね」と言っていることもあります。基礎の基礎を自主練でずっとやって、合同練の時にタイミングを合わせたり相手との間合いを合わせたり出るタイミングを合わせたりがやっとできますが、自主練は合わせて終わりになってしまいます。なので普段はその後に試合で大事になってくるサーブを打ち込んだりしています。そういう部分もあって前衛はストイックと思われない事が多いですね。後衛はフォームとかやる事が多々あるとは思いますし。前衛はみんなと一緒にいた方が練習できるので土日の練習は貴重ですね。

――去年杉脇さんが組んだ上原さんが今季は永井さんと組んで活躍されていますがいかがですか

杉脇 自分は「こうしてああして」と言ってしまうことが多くて、上原の本来のテニスを発揮させてあげられていないなと思っていたので申し訳ないなという気持ちもありました。なので、ペアが変わって上原がこうして活躍してくれていてその成長が嬉しいし、ありがとうという感じです。

佐々木 ボールの取り方は最初から上手でしたね。杉脇と組んでからは思い切りの良さが格段に変わったな自信を持ってプレーしているなと思うようになりました。

杉脇 私は逆だなあ。組んでいる時は私が言いすぎてしまってという感じなのかなと思っていました。

佐々木 でもインカレの時は二人のペアリングがドハマリしていたよね。

杉脇 インカレの時は私もあまり言わないようにしようと決めていて、とてもうまく行きましたね。準決勝が永井先輩とで負けたらしょうがないと思っていたのですが、上原が今まで以上に声を出していて、勝ちたいという気持ちがすごく伝わってきたんです。それを見て私も頑張らなきゃと思ってプレーしたら勝てました。上原の存在は刺激になりましたね。

――佐々木さんは小林奈央さん(平27スポ卒=香川・尽誠学園)と組んだことでことしに生きている点はありますか

佐々木 奈央さんは天才肌だったので申し訳ないなという気持ちが強くて、自分がペアで良いのかなという気もしていました。結果論ですけど同期だから組みやすいというのもありますが、萎縮してやっていた期間がすごくもったいないなと感じました。なので、思い切ってやる事の大切さはすごく実感しました。杉脇との組み始めもそれを引きずっていたなという部分も少なからずあったと思います。

――以前杉脇さんは練習でできていることが試合でできないという事を話している日もありましたがそれは何が原因なのでしょうか

佐々木 そんな事ないと思うけどな。

杉脇 外の試合だと早大のテニスと他大のテニスが全然違うのかもしれません。それで試合中に話しすぎて考えすぎて裏目に出てしまうこともあります。考えすぎとかはあるかもしれません。

――それでは、チーム状況についても伺いたいと思います。現在のーム状況はいかがですか

杉脇 チーム状況は良いと思います。良いとは思いますが、インカレに向けてという点だともう一つレベルアップしたものがないと本番で苦しむこともあるかと思います。みんながピリッとするようなものがあればさらに良くなると思います。

佐々木 チーム状況は悪くないし良いと思います。練習メニューも4年生だけで決めるのではなくて聞いてきてくれるので自分たちも言いやすいししっかりと言葉のぶつけ合いができるから良いと思います。緊張感がないわけではないと思いますが、去年の決勝のあの場面を考えるともっとできるところがあっても良いのかなと思います。かといって具体的にと言われると難しいのですが。

――それは練習中の一球への厳しさや気迫になってくるのでしょうか

佐々木 多分形式だったら、一本目からミスとかではなくて自分の思ったところに打つとかもうちょっと一人一人に目標とか課題とかが見えてきたら良いのかなと思います。

――去年の10月頃は上下の結束が課題と聞きましたが、いまは言い合えるという事でどのように変えていきましたか

佐々木 自分たちはナショナルチームの合宿の為不在で聞いただけなので詳細は分からないのですが、高地合宿ですごくお互いに言いたいことの意見交換ができて、それがきっかけになったんだと思います。

杉脇 イメージが付かないので分からないのですが、いない間にチームが互いの意見をぶつけ合って、それで話し合ってという事をしていたみたいで。

佐々木 「そうだったの~」という感じでした。

杉脇 合流した時はまだ距離があるなという印象だったのですが、プライベートで4年生と3年生でご飯に行ったりが何回かありましてそういう部分から深まっていったと思います。

佐々木 前より全然良いですね。

――永井女子主将の印象はいかがですか

杉脇 団体戦の時は仲間と言える存在です。一緒に勝ちたいと強く思います。ことしのインカレは永井さんのためにという気持ちもあります。

佐々木 私と杉脇は高校から同じチームなので、他の人よりも永井先輩の事を知っているしこのチームに懸ける思いもすごく伝わってきます。その中で、団体戦のメンバーが3年の方が多いのでその分支えてキャプテンを勝たせたいという思いがあります。

――3年生として下級生を引っ張っていく立場でもあると思いますがいかがですか

佐々木 まだまだといったところです。言えたり言えなかったりです。

杉脇 私は去年一個下の子に怖いと言われていたみたいで。でも上原と組んでからその学年とは交流が深まりました。そういうこともあり、私自身も最近は下級生を見る目が変わりました。今までは練習中も指摘しなければいけない立場だったので悪いところを探してしまったりしていました。でもことしは良いところも伝えるようにしています。

――きっかけがあったのですか

杉脇 心のどこかで団体も出ているし個人も勝ち残ることで応援してもらったりしているので応援されるような選手にならないとなという気持ちはあります。

佐々木 自分は指摘とかできるタイプの人間ではないので言うときは気を遣いながらになってしまいますが、悪いところはダメと言わないとというのは意識しています。また、様子がおかしいなと思ったら「どうしたの」と声を掛けられる支えられる存在になりたいです。

――3年生でチームを率いる存在とかはいますか

杉脇 言わなければいけない立場の人がいて、それが草野絵美菜(教3=群馬・高崎健大高崎)と木村です。今の教育係は上原と長内夏海(社2=北海道・札幌龍谷学園)です。一個上は、私たちが数が多く、手に負えないという事で永井先輩をはじめ三人いました。(笑)

――3年生は仲が良いですよね。3年生で話し合うこととかチームのために考えていることはありますか

杉脇 声とかかなと思います。自分たちの代が人数も一番多いので雰囲気作りとか声出しとかしっかりやろうよねとは言っています。日頃の会話の仲から「これこれこうだよね~」とかは結構話しますね。

佐々木 そうですね。

――話が少し戻りますが、去年はもっとインカレに向けた緊張感があったという事ですか

杉脇 去年はペアが変わって間もない頃だったので自分のことで精一杯でした。ペアとしてのコンビネーション作りに必死でした。

佐々木 去年は勝手にピリピリしていたかもしれません。ペアがペアだったので勝手に「やらなきゃやらなきゃ」と思っていました。

――これまでインカレで厳しい戦いをしてきたからこそ感じる部分もありますよね

杉脇・佐々木 そうかもしれません。

――1年生の時の熊本のインカレも決勝も熱戦でしたよね

杉脇・佐々木 懐かしいですね。

「このまま突っ走っていきたい」(佐々木)

全勝を目標に掲げた大将ペアの杉脇・佐々木

――ここからはインカレに向けて聞いていきたいと思います。現段階での意気込みはいかがですか

杉脇 団体戦は全勝で優勝したいです。

佐々木 私も負けずに行きたいです。周囲からは連覇と言われますがこのチームで戦えるのはことししかないので優勝を狙っていきたいです。

――ことしのチームの一番好きなところはどこですか

佐々木 楽しくない?

杉脇 楽しい!

佐々木 言い合えるところが良いなと思います。きょねんは何も言えなくて上の人にも距離を感じていました。練習メニューに関しても聞かれることはなかったですね。4年生が考えてくれているなというのは感じます。

杉脇 自分の事になりますが、落ち込んだりしたときに話しかけてくれたり気付いてくれる子が学年に何人かいて、それがあるからすごく支えになっています。

――だからこそ団体戦でもみんなを日本一にしたいという思いも二倍三倍になってきますよね

杉脇 もう十倍くらいです。

――インカレまで残された期間でどのような準備をしていきたいですか

杉脇 東日本一般で良い感じできたので、このままインカレまでいけば良いのですが、逆にどこかで調子悪くなっておきたいです。その方が上に上がっていけるので。わざと悪くするという事ではないですが、了解済みという感じです。後はもっと得意なことを伸ばしていきたいです。

――調子が悪くなっておきたいというのはどういう事ですか

杉脇 一回事前合宿とかでボロボロに負けてみたいという事です。そしたら警戒心とかが良い意味で出ると思いますしインカレ本番の時に同じ事をしてはいけないと分かっているので割り切ってできるという事です。攻めの気持ちを思い出したいというのもあります。

――インカレという大会に関して特別な思いはありますか

佐々木 やはり夏の大会は一番注目されるし一番大きな大会です。そこで結果を残すか否かで他の大会に出られるか否かも懸かってくるし、自信が付いたり課題が見つかったりしてくるので、1年の中の集大成として頑張りたいです。

杉脇 一昨年の借りを返したいですし、優勝を決める瞬間にコートにいれればなと思います。

佐々木 去年優勝を決めた時は嬉しいのもそうですけどホッとした気持ちが強かったです。1年の時に負けも経験してその次の年で、二次戦で負けそうになった時は「ここで負けちゃうのか」と一瞬よぎったりもしましたがやはりそこで持ち直せたのは前年度の負けがあったからこそだと思います。

――佐々木さんはインカレまでにしておきたい事はありますか

佐々木 調子が悪くならなければこのまま突っ走っていきたいですね。どこかで落ちるときは来ると思うので、それが来たらそこから上がっていきたいなと思います。

――インカレを経験するとやはり成長しますか

佐々木 コートに立った人にしか分からない気持ちや感情はあると思うので難しいですけど、その人にしか分からない気持ちとかはあると思います。

――3年目になると気持ちの重さは変わってきますか

佐々木 私は去年から重かったです。1年の時は元気良くやれば良いと思っていたのですが、去年は絶対に勝たなければいけないポジションでした。重くて重くて、「勝てて本当に良かったあ」という気持ちが強かったですね。ことしは、お互いも分かり合えているので不安もないですしペアリングもうまくやれると思います。ことしの方がチャレンジして勝ちに行けると思います。

――杉脇さんは佐々木さんの話も踏まえてどのように戦っていきたいですか

杉脇 私は団体戦をかなり楽しみにしていて、こうやって言えるという事は自信があるという事だと思います。応援してくれる人がすごく頭に浮かぶので、やらなきゃという思いもすごくあるから頑張れるのだと思っています。

――では、最後にインカレへの意気込みと読者へのメッセージをお願いします!

杉脇 意気込みは、団体戦でチームとしても自分たちとしても全勝して優勝する事です。個人戦はプレッシャーになりますが優勝を狙っていきたいです。会場で一番声を出して応援の方にもガッツポーズして頑張ってくるので応援よろしくお願いします!

佐々木 団体戦も個人戦も日本一を取って帰ってきたいと思います。3年目のインカレでこれまでたくさんの事を経験してきてそれを自分なりにうまく発揮して応援されるようなプレーをします。応援よろしくお願いします!

――ありがとうございました!

(取材・編集 和泉智也氏、三佐川唯)

応援してもらえるようなプレーをすると誓った二人

◆杉脇麻侑子(すぎわき・まゆこ)(※写真右)

1996年(平8)3月16日生まれ。身長155センチ。東京・文化学園大杉並出身。スポーツ科学部3年。1年時からチームの中核を担ってきた杉脇選手。昨年は上原選手とのダブルス優勝の冠を拝し、今年再びインカレ団体戦の舞台に戻ってきます。どんなボールも諦めず追い、ストイックな杉脇選手の姿に福岡の地が熱くなることは間違いありません!

◆佐々木聖花(ささき・せいか)(※写真左)

1995年(平7)7月23日生まれ。身長163センチ。東京・文化学園大杉並出身。スポーツ科学部3年。アジア選手権・日本代表にも選考され、日本ソフトテニス界屈指の前衛として早大を支える佐々木選手。ペアの杉脇選手とは高校からことしで組んで5年目になるそうです。今回の取材でも、コメントが全く同じタイミングになることが多く、コンビネーションの良さが表れていました!まさに『二人で一点』を体現するプレーに注目です!