海風吹く白子の地でことしも関東学生春季リーグ戦が開幕した。最終戦の相手は宿敵・日体大。お互い全勝同士で迎えた優勝決定戦、5番勝負にまでもつれ込むも、安藤優作(社2=岐阜・中京)・安藤圭祐主将(スポ4=岐阜・中京)組が激戦を制し、雪辱を晴らして優勝した。
一日目、國學院大、中大には4-1で勝利し、続く明大戦。4月に行われた関東春季六大学リーグ戦では敗退した相手だ。チームのリベンジへの気持ちは強かった。1番の内本隆文(スポ1=大阪・上宮)・星野慎平(スポ2=奈良・高田商)組は安定感のあるプレーで勝利をおさめ、2番の因京将(スポ1=石川・能登)・岩本修太(社1=大阪・上宮)組へとつなぐ。相手は中平・米澤ペア。米澤は因が高校時代にペアを組んでいた相手だ。カットサーブや積極的なポーチに苦しみ、惜しくも敗退した。続く船水颯人(スポ2=宮城・東北)は相手を圧倒して勝利。2日目は明大戦の残りの試合から開始した。長尾景暁(社1=岡山理大附)・井山裕太郎(基理3=埼玉・松山)組は、1日目は固さが見られたがその緊張も取れたのか、のびのびとプレー。ファイナルまでもつれ込むも、要所でポイントし勝利した。大将の安藤(優)・安藤(圭)組は実力ペアの丸岡・丸山組と対戦。序盤から終始丸山がネット際を支配し、リズムを崩されてしまう。安藤(優)・安藤(圭)組はゲームカウント2-5で敗れはしたものの、明大戦には3-2で勝利した。しかし、控える日体大戦に向けてやや不安の残る試合内容となった。
積極的にポーチに飛び出る井山
法大戦には5-0で勝利して、そのまま全勝同士で迎えた日体大との優勝決定戦。リーグ戦では連敗を喫している宿敵だ。選手たちはみな「リベンジしたい」と口を揃えた。両校の応援の声が飛び交い観客の視線が集中するコートで、試合は開始した。1番の因・岩本組は敗れるも、続く内本・星野組は相手の大将、塩田・工藤組と対戦。内本が冷静に展開をつくり、星野の柔剛使い分けたボレーで得点。5-2で勝利した。シングルスは勝利し、好調の長尾・井山組へ。勢いそのままにゲームカウント4-1とし、優勝へ王手をかけたが、相手も簡単には引き下がらない。そこから驚異の追い上げを見せられ、勝負の行方はファイナルへ。ファイナルではデュースにもつれ込み大接戦となるも、あと1本が取り切れずに惜しくも敗退した。そして頂点の座は大将の安藤(優)・安藤(圭)組へと託された。きょねんの秋季リーグ戦は同じ状況で敗れているだけに、二人の思い入れは強かった。序盤から積極的に攻めの姿勢を貫く。序盤はやや苦しい立ち上がりとなるも、そんな時に背中を押したのは後ろからのチームの応援だった。それに応えるように、時にはダブル前衛の陣形になり、気迫のこもったプレーで得点を重ねた。二人は1点取るごとに自らを鼓舞するようにガッツポーズを見せる。最後は安藤(優)が前に出てポイントし、勝負を決めた。二人はチームのもとに駆け寄って、歓喜した。
勝負を決めた安藤(優)・安藤(圭)組
「チームがまとまって1つの目標に向かえたことが、前と比べて大きく成長できた」と安藤(圭)は今大会を振り返った。前回の六大学リーグ戦との違いは明確だった。試合に出場していなくとも、応援で優勝に一人一人が貢献した。ことしは全日本大学選手権(インカレ)団体戦で5連覇という偉業が懸かる年だ。『日本一』という同じ方向を向いて、努力を続ける男子部から目が離せない。
(記事 吉澤奈生、写真 吉田安祐香)
優勝して笑顔の男子部
結果
優勝
▽第1戦
早大○ 4-1 國學院大
因・岩本〇 5-2 齋藤・宮城
内本・星野○ 5-1 濱野・初田
船水颯人○ 4-0 藤田真司
長尾・井山○5-2 井上・横田
安藤(優)・安藤(圭)〇5-2 中村・渡邊
第2戦
早大○ 4-1 中大
因・岩本● 4-5 玉置・小田桐
内本・星野○ 5-1 掛川・阿部
船水颯人○ 4-0 初田翔
長尾・井山○5-2 中畑・南郷
安藤(優)・安藤(圭)〇5-0 森本・藤井
第3戦
早大○ 3-2 明大
内本・星野〇 5-1 立木・平井
因・岩本● 3-5 中平・米澤
船水颯人○ 4-0 川平祐也
長尾・井山○5-4 坪井・藤田
安藤(優)・安藤(圭)●2-5 丸岡・丸山
第4戦
早大○ 5-0 法大
因・岩本〇 5-1 白石・桐谷
内本・星野○ 5-2 國松・田中
船水颯人○ 4-1 高崎直人
長尾・井山○5-2 稲葉・佐藤
安藤(優)・安藤(圭)〇5-4 福嶋・川嶋
第5戦
早大○ 3-2 日体大
因・岩本● 3-5 村田・三木
内本・星野○ 5-2 塩田・工藤
船水颯人○ 4-2 今田瑞基
長尾・井山● 4-5 吉沢・榊原
安藤(優)・安藤(圭)〇5-2 岡本・山口
コメント
▽1日目
因京将(スポ1=石川・能登)
――初のリーグ戦ということでしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
試合に出るからには勝ってチームに貢献したいという思いで臨みました。
――中央大との試合では、ファイナルまでもつれ込んだ末の敗北となりましたが、振り返っていかがですか
2ゲームをリードしていて追いつかれたので、相手が3年生だったんですが、やはり大学の雰囲気というか…相手の気持ちの入り方を感じて、自分たちが勝っていたのに守りに入ってしまいました。悔しいです。
――続いて明大戦では、高校の時にペアを組まれていた選手と戦いましたが、意識したことや特別な思いなどはありましたか
そうですね。3年間組んできてお互いに色々と知っているのでやり辛かったです。ポーチとか取られることが多かったので…やっぱりあまり攻められなかったです。
――試合内容としてはいかがでしたか
内容としてはそんなに悪いものではなかったんですが、ただ、相手の方が完璧に強かったです。自分たちがあまり悪い内容じゃなかった分、相手の力の方が上でした。
――あす、また試合が続きますが意気込みをお願いします。
きょう3敗しているので、あした出させてもらえるか分からないですけど、もし出させてもらえたら勝ちをもって帰って来られるように頑張りたいと思います。
▽2日目
安藤圭祐主将(スポ4=岐阜・中京)
――優勝という結果ですがどのように捉えられていますか
六大学リーグの時と比べて、チーム全体の雰囲気がすごく良くてみんなで勝ち取った優勝だなと思います。みんなが必死にしてくれた応援が結果につながったのだと思います。すごく良い大会だったなと振り返って思いますね。みんな六大学リーグからは気持ちを切り替えて、特に試合に出るか出ないか際どい4年生が試合に出ていなくても本当に必死に応援をしてくれたので、そういう姿勢を見て下の代も着いてきたと思います。4年生が頑張って後輩に示したのも、それに下の代が着いてきてくれたのも良かったです。
――明大に敗れてから日体大戦どのように気持ちを立て直しましたか
まあ正直少し引きずっていた部分もあったのですが、キャプテンとしてそういう面を見せないことがチームの雰囲気に繋がると思ったし、僕が出来るだけ前向きに挑んでいくことが大事だと思ったので、自分よりチームに意識を向けられたことが良かったのかなと思います。
――日体大戦は五番勝負で序盤リードされながらも挽回して勝利しました
最初は自分たちに落ち着きもなくて相手のやりたい放題やらせてしまっていたのですが、試合の中で相手が何をされたら嫌かという駆け引きのことを考えていたら上手くいきましたね。弟(安藤優作、社2=岐阜・中京)もよく踏ん張ってくれましたしそれに応えなきゃという気持ちでやりました。
――その時お気持ちはいかがでしたか
きょねんの秋リーグ、同じコートで日体大と五番勝負という全く同じ状況で負けていて、その分リベンジしたいという気持ちは大きかったです。勝ちたい勝ちたいと思うと固くなってしまうので、落ち着いて自分たちのプレーをしようと試合前に弟と話して出来たことが良かったです。
――インカレに向けまた1つ団体戦を終え、収穫や課題はありましたか
後衛の層が厚いチームなので、もう少し前衛が競った場面でも自分のプレーをしてミスなくやることが課題ですかね。良かった点としては、技術面どうこうよりもチームがまとまって1つの目標に向かえたことが、前と比べて大きく成長できたしすごく良かったです。
――全日本大学王座決定戦(王座)出場権を手にしましたが、意気込みを教えてください
王座ではきょねん決勝で台湾の大学に負けているので、王座を奪還するためにチャレンジャーとして全員で挑戦していきたいです。
井山裕太郎(基理3=埼玉・松山)
――2日間を振り返っていかがですか
もう大変でした(笑)。ワセダは、高校の時から全国で上位にいる選手が多い中で、僕はそんなに高校の時に勝ってなかったので、結構プレッシャーだったんですが、最初の方は何とか勝てたのでよかったです。でもやっぱり最後負けてしまったので、悔しい方が大きいですね。
――今回は1年生の長尾選手と組まれていました
1年生なんですけど、僕が引っ張られるくらい頼もしかったです。
――対明大戦を振り返っていかがですか
4対0でリードしていたところから結局追い上げられてファイナルまでいって、何とか勝てたんですが、次の5番勝負の相手がすごく強いことが分かっていて、僕たちが勝たなきゃ負けてしまうと思ったので、勝つことができてよかったです。
――やはり1日目よりも2日目の方が調子はよかったのですか
試合をするに連れて固さが取れてきたんだと思います。きのうは本当にガチガチだったので。きょうの方がよかったと思います。
――対日体大戦では、井山選手から決めに行く場面が多かったですが、いかがですか
相手も同期だったので、あとは前の試合で受け身になってしまい変な試合をしてしまったので、もう勝っても負けても自分から攻めていこうと思っていました。
――ファイナルでは少し失速したような印象を受けました。やはり疲れなどはあったのですか
いや、疲れというか…、あれが僕のスタイルというか、ああいう感じになるんだと思います。あんまり覚えていないんですけど(笑)。p>
――最後に今後への意気込みをお願いします。
まだまだ東インカレ、王座、インカレと続いて、最終目標はインカレ優勝なので、そこで貢献できるように努力したいと思います。
安藤優作(社2=岐阜・中京)
――2日間を振り返っていかがでしたか
チームがいい雰囲気で戦えていたと思います。4番のダブルスが、今まではペアが変わったりとかして、リーグ戦で負けたりすることが多かったんですけど、今回は1年生の長尾君(景陽、社1=岡山理大附)とかが頑張ってくれて。大体3対1で回ってくることが多くて、そこで温存できたっていうのがありますね。すごく信頼感のある仲間で、心強かったです。
――5番という役目についてはどうお考えですか
消化試合か、勝負がかかる大事な一回か、難しいと思うんですけど、やっぱりそこで勝たないことにはチームの勝ちに繋がらないので。最後はしっかり準備をして結果を残すことができたので嬉しかったです。
――2日目の明大戦では惜しくも敗戦と成りましたが、振り返っていかがですか
相手も強いと分かっていたので…もう勝負は決まっていたんですが、勝ちたかったんですけど…。そこの試合でペアの反省点なんかも色々と見えたので、次の試合では頑張ろうと気合を入れ直せたかな、と。逆にあそこで負けておいてよかったかなとも思いますね。
――その反省点とは
最初は僕たちがリードしていたんですけど、途中で追いつかれたら少し焦ってしまって。それでミスが増えたりしたので、試合が終わった後に、焦らずにやっていこうと2人で話しました。それでその後上手くいったのかなと思います。
――対日体大戦では5番勝負となりました
去年の春リーグでは、優勝は決まっていたんですが同じように日体大と5番で戦って、リードしていたのに負けたので、リベンジの気持ちがすごく強かったです。「絶対全勝優勝してやるぞ」と。最初こそリードされていたんですけど、やっぱりそこで気合を入れ直して、チーム一丸で戦えたかなと思います。
――5番勝負を勝って全勝優勝が決まった時のお気持ちは
最後は前に出て僕が決めたんですけど、「もうここしかない」と思ってやって、いい形で決まったので、本当に嬉しかったです。
――応援の時もよく声を出したり、後輩に声をかけていらっしゃる姿が印象的でした
応援するのもすごい好きなんです。チームの皆で戦うというのが団体戦の良さだと思うので。いつもの自分じゃ出せないような力が出るというか。選手を支えるのは後ろだと思っているので。苦しい試合になっても、一生懸命応援することが大事だと思ってます。
――今後への意気込みをお願いします
この後は王座と東日本インカレがあって、それがまたインカレに繋がるので、それまでに相手もまたリベンジの気持ちで対策して強くなっていると思うので、僕らももっと練習して、また優勝できるように頑張りたいです。