新チーム、すでに女王の気迫を身にまとう

軟式庭球

 女王の貫録を見せつけた。先週行われた六大学リーグ戦で全勝優勝を果たし、勢いそのままに秋の大一番・関東学生秋季リーグ戦に臨んだ新チーム。1日目に明大、東経大、日体大を0で撃破し、2日目は立大、東女体大との一戦。強豪の相手にも奮戦し、全15試合中一組も落とすことなく優勝を決めた。

 2日目の第一戦は早大と同じく3勝を挙げてきた立大との対戦。六大学リーグでは勝利を挙げているものの、今大会、勢いのある試合を展開しているだけに油断ができない相手だ。永井里佳女子主将(スポ3=東京・文化学園大杉並)・草野絵美菜(教2=群馬・高崎健康福祉大高崎)が1番に登場。ロブと永井の持ち味であるシュートボールを効果的に使い相手後衛を翻弄(ほんろう)。要所で草野がセンターへ深くスマッシュをたたき込み、ゲームカウント5-2で切り込み隊長の任を果たした。続く平久保安純(社2=和歌山信愛)も相手の勢いのある打球に対して、スライス、ツイストなど多様なボールを返球し圧倒する。自身のテニスをしっかりと展開し、ストレートで完勝。早々に早大の勝利を決めた。立大の最終戦を締めくくるのは杉脇麻侑子(スポ2=東京・文化学園大杉並)・佐々木聖花(スポ2=東京・文化学園大杉並)組。「長年組んでいたので自分らしくプレーできた」という佐々木の言葉通り高校時代から組んできたゆえの経験豊かなコンビネーションを遺憾なく発揮。相手を2で振り切り、早大の勝利に花を添えた。

ガッツポーズをする杉脇・佐々木組

 

 今大会最後の相手は全日本大学選手権(インカレ)で熱戦を繰り広げた東女体大。永井・草野組はダブル後衛の大野・福岡組と激突した。ダブル後衛の相手に対し永井が前後左右に動かされる。一進一退の攻防を見せ、ゲームカウント2-2。ここで永井が大野(東女体大)のバックを徹底的に攻めると相手も徐々にミスを連発。その後は相手にゲームを許さず5-2で振り切った。平久保の相手はインカレでも早大を苦しめた花野千晶(東女体大)。シングルスは序盤からラリーの応酬となった。取られては取り返しの白熱したシーソーゲームで迎えた第5ゲーム目、花野の大きく踏み込んで打ち込まれるシュートボールに何とかラリーを続けるもチャンスをつくり出すことができない。ついにゲームカウント2-3で花野の先行を許した。第6ゲーム2ポイント目、ここまで単純なミスの無かった平久保がダブルフォルト。万事休すかと思われたが、次のサーブで力強いファーストを打ち込み、相手のレシーブを崩す。「思い切ってファーストを入れられたことが勝ちにつながった」(平久保)。このプレーで悪い空気を一蹴するとファイナルゲームは終始主導権を明け渡すことなく圧倒。追い詰められてもなお、勝利を手繰り寄せる平久保の強心臓ぶりには今後早大の要を担うという確かな覚悟が感じられた。この平久保が作り出したリズムを崩すことなく、杉脇・佐々木組も相手に1ゲームも許さず白星を飾る。全勝優勝で早大が歓喜の輪を作り上げた。

シングルスで力戦した平久保

 並みいる強豪を抑え、一試合も落とすことなく得た頂点の座。「チームの雰囲気もすごく良かった」と佐々木は顔をほころばせた。レギュラー陣だけではなく、サポートするメンバーも含めて日本一を目指す軟式庭球部。チームの全体の力を合わせ手に入れたこの最高の結果から、女王・早大の系譜が確実に受け継がれたことが垣間見えた。

(記事、写真 三佐川唯)

全勝賞を手にする女子レギュラー陣

結果

▽女子部
優勝
○早稲田大学 3-0 明治大学
永井・草野 ○5-3 齋藤・小谷
平久保 安純○ 4-0 西永 りな
杉脇・佐々木 ○5-2 望月・田島

○早稲田大学 3-0 東京経済大学
永井・草野○ 5-1 石倉・中西(麻)
平久保 安純 ○4-0 黒澤 綾乃
杉脇・佐々木○ 5-3 針谷(真)・内潟

○早稲田大学 3-0 日本体育大学
永井・草野○ 5-2 中野・濱口
平久保 安純 ○4-1 尾上 胡桃
杉脇・佐々木○ 5-4 坂井・北野

○早稲田大学 3-0 立教大学
永井・草野○ 5-2 小林・中田
平久保 安純○ 4-0 中山 真衣
杉脇・佐々木○ 5-2 加藤(楓)・泉田

○早稲田大学 3-0 東京女子体育大学
永井・草野○ 5-2 大野(美)・福岡
平久保 安純 ○4-3 花野 千晶
杉脇・佐々木○ 5-0 飯田・古川

コメント

永井里佳女子主将(スポ3=東京・文化学園大杉並)

――全勝優勝おめでとうございます。

新チームになってリーグ戦優勝を目標にみんなで一つにやってきました。最初は結果を気にせずにやって、チームが一丸になるというのが目標だったのでそれをできたからこそこういった結果が出たのではないかなと思っています。

――一つも落とさないという最高の結果ですね

選手が3-0で勝つというか、一人一人が自分のプレーをして楽しくやるというのがみんなの課題だったので、それが結果として全勝として表れたと思います。

――立大戦が優勝がかかった試合でした。振り返っていかがですか

相手後衛が私の高校の後輩で弱点とかもわかってますし、シュートボールをメインにした組み立てで来るのでやりやすかったです。そんなに気負うことなく、勝ち切ることができました。3番も自分の後輩だったんですけど、先週六大学リーグ戦でも勝った相手ですし、みんな自分がやるべきことが分かっていたので焦ることなくのびのびとプレーしていましたね。

――東女体大戦では永井選手はダブル後衛の相手との対戦でした

そうですね、そんなに競る相手ではないはずなのですが、最後の試合はうまく自分がやりたいことができませんでした。自分では納得がいかない試合内容だったのですが、それは次に生かしてまた、頑張っていきたいです。

――反省点としては何が挙げられますか

そうですね、相手を崩すという意図で長短をもう少ししっかり付けられたら競らずに勝てたのではないかなと思います。

――逆クロスの相手にボールを集めている印象を受けました

はい、逆クロス側の相手は全部バックがつなげるだけだったので草野と話し合ってそこを徹底的に攻めようとい作戦でいきました。

――チームの雰囲気はいかがでしたか

チームはそんなに硬くならずに、前は結構がちがちになっていた印象だったんですけど、今回はみんな試合の前も笑顔で、程よい緊張感でリラックスできているなと。キャプテンとしてもしっかりしなきゃではなくてチームのことを客観的に見るくらいの心の余裕が持てました。

――収穫が多いようですが、逆に課題などは

1ゲーム目からの入りで足をしっかり動かして自分の打点に入って準備をしっかりするということと、相手に先に打たれるのではなくてゲームの始めからラケットを振って、たとえそれがミスに繋がったとしてもゲームの前半はラケットを振り切るということが課題ですかね。

――それでは次の大会への意気込みをお願いします

個人戦では皇后杯が控えていて、ペアも変わってくるのですが上位を目指して、実業団相手にもしっかり勝つことができるんだということを証明するためにしっかり練習して自信をつけて臨みたいです。団体戦は次は大学対抗なんですけど、私はでないのですが、出場するメンバーで今回のリーグ戦のようにしっかり向かっていってほしいです。

佐々木聖花(スポ2=東京・文化学園大杉並)

――全勝優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは

素直にうれしいし、全員で戦って結果的に全勝優勝を果たせたので良かったです。

――特にワセダは一つも落としていませんね

やっぱり層の厚さを感じましたし、きょう出ていない選手の中にも実力のある選手はたくさんいていつ外されるか分からないので、これからももっと練習を頑張らなくてはとみんなの試合を見ていて思いました。

――立教戦が優勝がかかった試合でした。振り返っていかがですか

わたしは3番なので2ー0で回ってきたので気持ち的にはすごく楽だったんですけど、やっぱりそこで気が抜けてはいけないというふうに二人で話し合ったので、気持ちを強く持ったまま良い試合ができたのではないかなと思います。

――久しぶりの杉脇さんとのペアでしたね

長年組んでいたのでやっぱり、違和感などは全くないですし、自分らしくプレーできたかなって思います。

――試合中笑顔も見られました

はい、結構楽しかったです(笑)。

――最終戦の東女体大の試合についてはいかがでしたか

相手前衛がインカレでも当たっていましたし、高校の先輩でもあったので、ちょっと自分のこと見られているかなとも思ったんですけど、それでもしっかり後衛が打ってくれてそこで自分も受け身にならず仕掛けに行くことができたので良かったです。

――新チームになって初めての大きな大会ですが雰囲気はいかがでしたか

すごく盛り上がりもあるし、一方でまとまることもしっかりできていたので、きょうのチームの雰囲気はすごく良かったです。このまま突き進んでいけたらなと思います。

――それでは次の大会への意気込みをお願いします

次は奈央さんと出る皇后杯なんですけど、優勝を目指して頑張ります。

平久保安純(社2=和歌山信愛)

――全勝優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは

とりあえず一試合一試合やり切っただけなので、結果として全勝ということがとてもうれしいです。特別には全勝でなければいけないという目標は立てていないんですけど、一人一人が頑張って、応援もすごく盛り上がってやってくれたのでチームとしてすごくやりやすい環境でテニスができたことも勝利につながったかなと思っています。

――新体制に代わってからもとまどいというのが感じられない試合でした

やっぱり、六大リーグでも全勝で終えて良い流れでつなげてできたのが良かったと思います。

――試合前にチームで何か話されましたか

特に変わったことは言っていないのですが、ただ試合に出る選手だけでなくチームみんなで盛り上がってしっかりやろうという話は出ていました。それがちゃんと達成できたように思います。

――立大戦は優勝がかかった試合でしたね

そうですね、優勝がかかってはいたんですけど、あんまり勝ちを意識せず自分のテニスをしっかりしようと思ってプレーしていたのが良かったかなと思います。

――東女体大戦では花野選手に一時リードされる場面もありました

一番強い相手だと思っていたので向かっていこうと思ってやっていました。相手が結構ミスもしてくれたのでラッキーだったなって思います。

――挽回して勝ち切れた要因は

自分が風上の時のことなんですけど、一回ダブルフォルトした後、またするかもしれないと不安もあったんですけどそこで思い切ってファーストを入れられたことが勝ちにつながったんじゃないかなと思います。

――今後の重きを置いている大会は世界選手権ということですが、調子はいかがですか

サーフェイスも違いますし毎回のテニスは少し代わってくると思んですけどやっぱり自分のテニスはどこでも同じだと思うのでサーブレシーブからしっかりやって頑張っていきたいです。

――今後に控える大会の意気込みをお願いします

皇后杯はダブルスなので、きょねんの結果をあまり意識せず楽しんでやろうと思っています。世界選手権はシングルスで出てしかも初めての舞台なんですけど、初めてだから負けてもいいとかそういった中途半端な気持ちではなくてしっかり責任感を持って日本のためにしっかり戦いたいです。