【連載】インカレ直前特集『挑戦』【第1回】大原沙織×栗田有子×フェスターガードヤヤ

女子バスケットボール

 初回は明るく賑やかな対談だ。登場するのは、けがで試合に出場できないものの、ベンチからの声掛けでチームを盛り上げるC大原沙織(スポ3=東京成徳大)、泥臭いプレーと明るさでゲームの流れを変えるF栗田有子(スポ3=東京・明星学園)、鋭いパスと先輩に愛される無邪気な性格が持ち味の1年生、Gフェスタ―ガードヤヤ(スポ1=宮崎・小林)。学年を越えて仲の良い3人に、インカレへの思いを伺った。

※この取材は11月27日に行われたものです。

「〇〇の精神年齢は5歳」(栗田)

大原

――他己紹介をしてください

栗田 大原は一番チームで身長が大きいのですが、本当に精神年齢が5歳です(笑)。今はけがをしていてバスケができていないのですが外から見ていて思ったことをしっかりと選手に伝えてくれます。自分は面倒になってしまって言えない時もあるので、そのような頼もしい面もあるのですが、ひたすらドラマやテレビの話を永遠とし続けてしまうところが、やはり精神年齢5歳かなと思います(笑)。

ヤヤ シンさん(栗田)は本当に面白くて、毎日やばいです。毎分めっちゃ面白くて(笑)。私と身長が5センチほどしか変わらないのですが、たくさんリバウンドを取りますし、多くの人が密集しているところでシュートを決めるので、シンさんがコートに来ると「よっしゃ」ってなります。そんな存在です。

大原 ヤヤは1年生であるのにもかかわらず、頼もしい存在です。ゲームが止まってしまった時にはボール運びからドライブまでしっかりといってくれる選手です。流れを持ってきてくれると思います。日常生活では栗田とヤヤが、最近仲が良いなという印象です。2人でふざけあうこともあって、チームの雰囲気を盛り上げてくれる存在ですね。

ヤヤ ありがとうございます(笑)。

――お互いの第一印象はどのようなものでしたか

栗田 私が大原と会ったのは、高校3年生の時です。高校が2人とも同じ東京だったので、対戦相手として見たことがありました。最初は本当に怖かったんですよ(笑)。本当に話さないし、大きいし、得点取ってくるし、敵からしたらまじ怖いし最悪でした(笑)。私のこと覚えていないでしょう?

大原 あのね、本当にごめん。あんまりよく覚えてない(笑)。存在は知ってたんだよ。最初に話したのは大学が決まった後の後輩の新人戦だよね?それを見に行った時に急に栗田がしゃべりだして…

栗田 ひどい!そんな言い方する(笑)?

大原 そこで大学一緒だねという話になって、すごく明るくて面白い人だと思いました。

――一年生のヤヤさんが今年入って来た時はどのような印象を持たれましたか

ヤヤ 絶対悪いですよね(笑)。

栗田 とりあえず、「やばいやつ入ってきた(笑)。」という感じでした。名前がフェスターガードヤヤだから身長の大きい人を想像してしまって、でも来たら意外と小さくて(笑)。最初からかなりはっきり明るい子だと思いました。

大原 本当にもうそれ(笑)。本当にやばいやつ来たっていう感じでした。

――反対にヤヤさんから見た2人の第一印象はどのようなものでしたか

ヤヤ ユウさん(大原)は、ちょっと…怖かったです(笑)。

大原 だよね(笑)。私いつも言われるの、なんでだろう。

ヤヤ どう話したら良いのだろうと思いました。今年の最初の方はハイタッチが有りだったのですが、どうしたら良いかなみたいな(笑)。けれど、対面の練習が始まってすぐくらいに、ユウさんが「ナイスパス!」などと言ってくれて「全然怖くなかった!」と思いました(笑)。

大原 よく言われるのです(笑)。

ヤヤ シンさんはずっと自分に「本当はもっとテンション高いんでしょ」とシンさんだけが言ってきて、最初から絶対面白い人で明るい人だと思いました。

栗田 それはヤヤが猫かぶってるから(笑)。本当に猫かぶっています。

――普段から3人は仲良しですか

ヤヤ シンさんからいじめられるのをユウさんが助けてくれるみたいな感じです(笑)。

栗田 またそうやって(笑)。この子こういうこと言うんですよ。先輩にそれを「パワハラだ」と言うくらい余裕のある子で、仲良くなりやすくて、沙織もやっと心を開いたという感じですかね。

――バスケはいつ始めたのですか

大原 小4です。

栗田 小学校1年生です。英才教育を受けていたので(笑)。

ヤヤ 小5です。

――バスケがなかったらやっていたスポーツなどはありますか

大原 続けていた気は全くしないですが、バスケをやる前まではテニスをやっていました。でも、続けていたとは到底思えません。おそらくバレーかバスケかという選択肢があったと思いますが、中学校はバレー部がなくバレーに関わることはありませんでした。親がバスケをやっていたこともありましたが、もしバスケがなかったら何もやっていなかったと思います。身長の無駄遣い…(笑)。

栗田 そんなことないよ!私はバレーボールですね。やりたいだけなんですけど、大学の授業でやって好きになりました。スポ科は学年混合で色々なスポーツができて、本当に楽しいです。おすすめ。

ヤヤ 履修します!自分はダンスですね。えっ、ダンスってスポーツですよね?

栗田 ギリスポーツ(笑)。

ヤヤ 踊ることが好きです。

大原 いつも踊ってるもんね(笑)。

ヤヤ 『ハイスクールミュージカル』という映画でバスケとダンスが出てくるじゃないですか?そこでバスケとダンスどっちにしようと思って、バスケを選んで、今です。

大原 まじか(笑)すごい!

栗田 びっくりだね(笑)。

――チームの中で他の人にこれは負けないと言うものはありますか

ヤヤ 英語力とか?それはもうダメですね(笑)。

栗田 ヤヤは冷え性。

ヤヤ それは確かに(笑)。

大原 でもそれ他の人も負けてないよ。

ヤヤ ピザ好き!先輩とピザを食べたのですが、Lサイズのピザを37切食べました(笑)。

大原 ヤヤはあとパスかなあ。

栗田 そうだね、パスは上手いね、負けないね。ノールックパスやトリッキーなパスなど、誰も気が付かないパスをしていておしゃれです。いつとんでくるかわからないので覚悟して待っています(笑)。

栗田 私はプレーの中で面白さが出ちゃうところですかね(笑)。私は面白くしているつもりはないのですが、一つ一つの行動が先輩たちにはハマるみたいで、いつも面白いと言われています。

大原 あとは、コート内での一人言。

栗田 ああ、それは誰よりもでかいわ。声が出ちゃいます(笑)。

大原 シュートを外すと「ああ!」とか、フリースローを外す時に「あっ、ヤッベ」などの言葉を言っていますね。「やったわ」とか。自分はテレビを見ている頻度ですかね(笑)。

栗田 もうずっと見ています。

大原 オフで本当に動かない日は、昼前から夕方の6時くらいまでずっと見ていることもありますね(笑)

栗田 だって引くもん、私たちも。

一同 (笑)。

大原 一番好きなのはコードブルーです。

栗田 本当にやばいですよ、コードブルーは(笑)。

大原 最近は「この恋あたためますか」にハマっています。仲野太賀くんが好きになりまして…

栗田 ミーハーだもんね(笑)。

大原 イケメンが好きなんですよ(笑)。

――皆さんから見た4年生はどのような人たちですか

大原 いい意味で4年生感を感じず、あまり気を遣わなくていい存在です。何か思った時も言いやすいですし、いい雰囲気を作ってくれていると感じます。

ヤヤ 私も一緒です。たくさん話しかけてくれますし、自分が落ちていたら「大丈夫?」と声を掛けてくれるので、とても頼れます。

栗田 みんなあの4年生がいるから頑張ろうと思えますし、人を引きつける力が自然とあります。船生さん(G船生晴香、スポ4=新潟・開志国際)はとても天然です(笑)。大体ものを忘れていたら「ライさん(船生)じゃね」となります。その緩い感じが逆に引きつけられますね。

――4年生に不満などはありますか

一同 不満?

ヤヤ 感じたことないです。でもそれって珍しいことですよね?誰でも「ここがなあ」と思うことはあるはずなのに…

大原 全然ないね。すごい。

栗田 全くないです!

「自分が引っ張っていかなければならなかった」(大原)

栗田

――コロナウイルスで試合や練習が満足にできなかった中で、調整する難しさなどはありましたか

栗田 練習試合ができなかったので、今年のチームの雰囲気がつかみづらかったです。

ヤヤ 最近やっとつかんでいる感じしませんか?

大原 する!練習試合があったのは、8月が初めてだもんね。

栗田 そうだね。高校生と社会人チームと立大の3つのチームとしか練習試合ができなかったので、バリエーションも少なかったです。

――関東大学女子リーグ戦(リーグ戦)を個人として振り返っていかがでしょうか

栗田 私は1年生の時にはけがで全く出られていなくて、昨年の2年生の時は試合に絡めなくて、やっと3年目に試合のメンバーに絡めるようになってプレータイムが増えました。私みたいな選手は短い時間でインパクトを残して帰ってくるというのが仕事だったのですが、それを表現することが難しいと感じました。(大原を指して)この人がいない分、大きい相手とマッチアップするセンターというポジションもやって、やはり193とか188センチの身長の人にディフェンスすることが初めての体験でした。それでも、試合に出られることは楽しいと思いましたね。

ヤヤ 初めて大学のトップレベルで試合をして、みんな上手いなと素直にそう思いました。また、ガードとマッチアップをするので、1対1をすることで上手いと感じる選手がたくさんいて、自分はまだまだだと思ったリーグ戦で、とてもいい経験になりました。

――それを特に感じた選手はいますか

ヤヤ 白鴎大学の7番(今村優花、4年)です。本当にディフェンスが上手でやりにくかったです。初めて自分より小さい人とマッチアップしました。

――大原さんはリーグ戦を振り返っていかがでしたか

大原 今回自分はけがで出場することができなくて、大きい人がいないという状況で、今井(C今井美沙樹、商3=山梨・富士学苑)や栗田にその役割をさせてしまったことが最初は申し訳ない気持ちや罪悪感が強かったです。今までで大学で積んできた経験から思ったことを伝えられる時間でもあると思いました、そのような自分にできることは何かということを考えてリーグ戦は過ごしていました。自分は1年生の時にもけがをしていて、その年のインカレと2年のトーナメントとリーグの途中まで出させてもらっていて、そのような試合経験がある人は、船生さんと神山(G神山夢来、スポ3=埼玉栄)くらいしかいない中で、自分が引っ張っていかなければならなかったという思いもあって、そのようなところでは悔しかったです。そのような面からも先ほども言ったように言葉で伝えられることもあるのではないかと思ってリーグ戦を戦っていました。

――コートの外からチームを見ている中で、新たな発見などはありましたか

大原 1年生は初めてであったのにもかかわらず、試合でもガツガツやってくれていると改めて思いました。先ほど言っていたと思いますが、栗田も今井さんも慣れないポジションの中で体を張っていたと思います。人数が少ない中でコミュニケーションを取って、いい意味で必死にプレーしていることがすごくコートの外にも伝わってきたので、良いなと思いました。

――リーグ戦を戦う中でのチームの雰囲気はいかがでしたか

栗田 自分はすごくいい雰囲気だったと思っています。負けてしまっても、4年生が暗くならずに「しょうがないしょうがない、次頑張ろう」と言ってくれたことで落ち込みすぎることはなかったです。

ヤヤ 勝ち負けというよりも自分たちのバスケットができれば良いと言ってくださったので、誰かがミスをしても「次、次!」と声を掛けてくれて、雰囲気は良かったですよね?楽しかったです。

――『入りの悪さ』が多く課題に挙げられていますが、具体的にどのようなことを改善してくべきでしょうか

ヤヤ 入りのディフェンスが悪いですよね?引いてディフェンスをしてしまって、2クォーター(Q)くらいからディフェンスしないといけないみたいな雰囲気になります。

栗田 様子を見てしまうのだと思います。相手のレベルがどれくらいかということを知らないうちに様子を見てしまいます。逆に六大学リーグだと、相手チームのレベルがわかっているので、いけると思って入りから当たり始めます。お互い様子を見てしまうところですかね、わかんないけど!

ヤヤ 私もそうだと思います。

大原 わからないうちにやってしまっているんだよね。やろうとしてそうしている訳ではないけど。

ヤヤ

――インカレに向けて重点的に練習していることは何ですか

栗田 ディフェンスですね。

大原 最近はヘルプ、3戦からのローテーションと言いますか…

栗田 抜かれてカバーするというディフェンスが自分たちのスタイルなのですが、抜かれた後が遅いということでその練習をたくさんしています。倉石先生(倉石平顧問、昭和54卒)がたくさんアドバイスをくださるのですが、オプションが増える度に選手も混乱してしまっています。でも、いいディフェンスというのはわかっているんです(笑)。できれば完璧だということも分かっているので、もっとたくさん練習して感覚をつかんでいくしかないと思っています。

――インカレで勝ち切っていくポイントはどこにあると思わられますか

ヤヤ スリーポイントが入ったら勝ちますよね?

栗田 身長が低い分、見ていても分かると思うのですが、外からのシュートをたくさん狙っているチームです。当たり前ですが、それが入れば勝ちますし、入らなければきつくなっていきます。

大原 それが入らなかった時にどうするのかということが重要だと思います。入らなかったらリバウンドにいくことや、外だけでなく自分でドライブにいくことなどの対応がうまくできれば良いのではないかと思います。それにシュートが入ればもっとよくなります。

――インカレでキーマンとなる人は誰だと思いますか

栗田 個人名ではないのですが、6人目、つまり交代で入る選手が鍵だと思っています。試合の流れに自然と入って「この選手いつの間にいたの」と思われるくらい馴染める後退ができたら強いと思っていて、交代の選手がどの場面でもキーマンになると感じています。

大原 交代の選手という話にもつながるのですが、桂蘭(F、スポ2=愛知・桜花学園)や河村くるみ(G、教3=神奈川・座間)がかなり外のシュートを狙っていく存在で、六大学(東京六大学対抗戦)やリーグも含めてあの二人が自分のプレーを思いっきりやっている時は、チームとしてもすごくいい状態が多いと思います。リーグの日体大戦も結果は負けてしまったのですが、くるみのシュートが入ったことに加えて、ドライブやリバウンドにも積極的にいって良かったということが大西さん(大西真由コーチ、平20卒)からもありました。六大学では蘭が1試合で65点くらい取った試合がありました。あの二人がいいプレーをすることによって、周りも鼓舞されて底上げになるのではないかと思います。

ヤヤ レンさん(今井)ですかね。センターがディフェンスにつくのですが、その場面でスリーを打たないと相手は思っているけれど、レンさんはそこでスリーを打って、しかも確率も良いので、それによって流れがくることがあります。また。背があまり大きくなくてもリバウンドを取るってそこで流れが来ると思うので、私はレンさんです。

――自分のインカレでの役割は何だと思いますか

ヤヤ 一番走り回りたいです。ディフェンスを頑張ってそこから速攻に持っていくことで、チームのスピードをあげたり、自分のドライブから相手を寄せていいパスを出したりなど、ガードとしてゲームコントロールをしっかりしないといけないと思っています。

栗田 私のプレータイムは基本的に長くないので、その中でボックスアウトをしっかりしたり、ルーズボールを追ったり、オフェンスリバウンド何がなんでも取りに行ったりなど、体を張った泥くさいプレーを頑張りたいと思います。

大原 インカレも相変わらず出場できないのですが、リーグ戦とやることはあまり変わらず、試合を見ていて思ったことを伝えたり、チームが暗くなってきたら話しかけたり、などができるかなと思います。(栗原を見て)数人頼ってきてくれる人もいるので(笑)。

栗原 お世話になってまーす(笑)。

大原 多くの人がいい感じでインカレに入ってくれれば良いです。

――4年生への思いを教えてください

大原 今の4年生と3年目で、かなりお世話になっていて、プレーヤー2人でマネージャーが1人と、全員で3人と少ないのですが、今年は大変なことがたくさんありましたが、一生懸命引っ張ってくれます。自分はプレーを今はすることができなくなってしまったのですが、3年分の恩返しとしてちゃんとプレーができたら良かったと今になって思います。気を遣わず楽しく話すことができる存在なので、まだもう少し時間がある分しっかりとコミュニケーションを取って、言葉で感謝を伝えていければ良いです。

栗田 4年生とは本当に仲良くさせてもらっていて、自分が苦しい時もさりげなく声をかけてくれます。頼りにしすぎていて、プレー中に緊迫することもあるのですが、それは大好きだからこそむしろそのような雰囲気でやらなくてはいけないと思っています。それがもう少しで終わってしまうということを日に日に実感してきて、毎回その話をすると本当に泣きそうになりますね(笑)。そのくらい大きい存在ですし、そうなりたいと思える見本が目の前にいます。4年生のためにも良い形で終われるように頑張っていきたいです。

ヤヤ 4年生とは本当にちょっとしかバスケをしていないのですが、ずっと一緒にやっているかのような濃い時間を過ごしています。自分が今バスケをしていて楽しいのも4年生のおかげだと思っています。今も4年生とできる最後の機会だと思って練習に取り組んで、最後は4年生がやり切ったと思えるような試合ができるように、自分もやるべきことをちゃんとやっていかなければいけないと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 内海日和、樋本岳)

インカレへの意気込みを書いていただきました

◆大原沙織(おおはら・さおり)(※写真後)

2000(平12)年2月5日生まれ。183センチ。東京成徳高出身。スポーツ科学部3年。コートネームはユウ。けがのためインカレには出場できませんが、自分の経験を生かした声掛けでチームを盛り立て、勝利に貢献します!

◆栗田有子(くりた・ゆうこ)(※写真中)

1999(平11)年5月19日生まれ。170センチ。東京・明星学園高出身。スポーツ科学部3年。コートネームはシン。ルーズボールやリバウンドに食らいつく、泥臭いプレーでゲームの流れを引き寄せます!ガッツのあるプレーとシュート後のリアクションに注目です。

◆フェスターガードヤヤ(※写真前)

2002(平14)年1月24日生まれ。166センチ。宮崎・小林高出身。スポーツ科学部1年。コートネームはロワ。スピードのあるドライブとトリッキーなパスで1年生ながら活躍。先輩ともすぐに仲良くなれる明るさでチームにあっという間に溶け込みました。会場を沸かせるプレーに注目です。