涙の2回戦敗退

女子バスケットボール

 勝負は最後まで何が起こるかわからない。ありきたりな言葉だが、その意味を痛感する試合になってしまった。全日本大学選手権(インカレ)二回戦、春の関東大学女子選手権で連覇を阻まれた難敵、筑波大が相手ということもあり、試合は開始から拮抗(きっこう)した展開となった。しかし、硬いディフェンスを中心にした早大が随時リードを保ち続ける。3点差でむかえた最終クオーター(Q)残り0秒、高辻真子(筑波大)の放ったスリーポイントシュートが決まり試合は延長戦に。延長戦もどちらが勝つか読めない点の取り合いになるも、あと一歩及ばず。早大の日本一への挑戦はここで幕を閉じた。

 F澁谷咲月(スポ3=大阪薫英女学院)のスティールからの得点で先制するも、そのあとはなかなか点が取れず厳しい立ち上がりとなる。しかしディフェンスは堅く、相手にも思うように点数を取らせない。C中田珠未(スポ3=東京・明星学園)の巧みなシュートなどで点数を徐々に離し、第1Qを18-12と6点差で終えた。第2Q前半も早大はディフェンスからしっかりリズムを作っていく。C中村美羽(社3=千葉・昭和学院)、渋谷の得点で一気に差をつけたいところだったが、相手の4連続得点で差は2点まで縮まってしまう。それでもG高田静主将(スポ4=山形市立商)、C田中真美子(スポ4=東京成徳大)が得たフリースローをしっかりと沈め、逆転を許さない。36-28と多少差を広げ、前半を終えた。

ガードとして、主将としてチームを引っ張ってきた高田

 第3Qはディフェンスの良さもあって落ち着いた展開に。両チームなかなか得点を奪えない状況が続く。そんな中、筑波大が連続スリーポイントで点差を詰めていく。しかし、早大も高田・田中のホットラインで得点を奪うと中村・F細貝野乃花(スポ3=愛媛・聖カタリナ女)も続き、12点差まで広げて第4Qに挑んだ。もう一歩点差を広げ勝利を確かなものにしたかったが、ここで筑波大の猛攻を受ける。堅守を保っていた早大ディフェンスだったが、相手の強気なオフェンスに押され一気に3点差まで詰められてしまう。嫌な流れの中、田中がゴール下で体を張り3連続得点と4年生の意地を見せる。筑波大も負けじとスリーポイントを中心に点差を縮めてくる。一進一退の攻防の中、最後はフリースローの打ち合いとなる。残り2分を切ってから3点差以上をつけることができないが、リードを保ち続けている早大。そのままでの試合終了を誰もが願う中、筑波大の高辻真子がブザーと同時にスリーポイントシュートを決め、試合は延長戦へ。懸命に声を掛け合い、勢いに飲まれないよう戦う選手たちだったが、勝負所でのシュートを決めてくる筑波大に敵わず。最終スコア71-75で早大のインカレはここで終了となってしまった。

最後まで戦い抜いた選手たち

 試合終了と同時に泣き崩れた選手たち。関東リーグ王者として臨んだインカレは優勝だけを目指し戦ってきた。「信じられないの一言(田中)」、「もう終わりっていう実感がない(長谷川)」、試合中もリードを保ち続けていたこともあり余計に受け入れがたい事実だろう。今年の早大の挑戦は終わってしまい、4年生はこれで引退となる。「いいチームはもちろん、本当に強いチームになってほしい(高田)」そんな期待を叶えるべく、来年は日本一のチームになってくれるだろう。

(記事 森田和磨、写真 石井尚紀)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

第70回全日本大学選手権 12月12日(vs筑波大)
   1Q 2Q 3Q 4Q OT 合計

早大

18 18 12 14 71
筑波大 12 16 26 13 75
◇早大スターティングメンバー◇
G#21 高田静(スポ4=山形市立商)
C#14 田中真美子(スポ4=東京成徳大)
F#23 澁谷咲月(スポ3=大阪薫英女学院)
C#25 中村美羽(社3=千葉・昭和学院)
F#37 内山未悠(社3=愛知・桜花学園)
コメント

G高田静主将(スポ4=山形市立商)

――今のお気持ちを教えてください

まだここで終わりたくなかったなというのが1番の今の気持ちです。

――きょうの相手である筑波大への対策は何かありましたか

対策というよりは、筑波に対してはいつもワセダの走ってスピード感のあるバスケットが出来ていない感じだったので、自分たちのバスケをやりたいという感じでインカレは挑みました。

――きょうの試合内容を振り返っていかがですか

離せるところで離しきれなかったのが実力かなと思うし、リバウンドとかチームディフェンスの部分で徹底できなくて相手にあんなに点数を取られてしまったのが、負けた原因かなと思います。

――特に前半、集中力も高いディフェンスを見せていたと思いますが

たしかに前半は結構守れていて、相手の点数を抑えられたのはよかったと思うんですけど、やっぱり後半に相手が自分たちのディフェンスに対応してきた時に逆に相手に対応しきれなかったことが、あんなに点数を取られてしまった原因かなと思います。

――延長戦に入った時のお気持ちを教えてください

とにかくああいう形で延長になってしまったので、暗くなったら相手のペースだと思ってとりあえず声を出してみんなでバラバラになることなく、あと5分間戦えればと思いました。

――どのような言葉をかけられましたか

私は、ラスト5分だからとりあえず声を出して元気に頑張ろうとだけ言いました。

――4年間を振り返っていかがでしたか

個人的にはすごく成長出来た4年間だったなと思っていて、下級生の時は目標となる先輩方がいてその先輩たちを追いかける形で頑張ることができて、指導者が変わることが多かったんですけどその指導者ごとにそれぞれの考え方とか人間性とかがあって、たくさんのことを学べた4年間でその中で自分のプレーの幅を増やせた充実した4年間だったと思っています。チームとしてはリーグは4回中3回優勝することができたんですけど、インカレではいつも順位を落としてしまうということが続いていて、今年はそうならないようにと思っていたのにこういう形で負けてしまって、すごく悔しいというか情けないというか、今までの中でも最低の結果になってしまったので悔しいです。

――4年間を共にした同期に関しては

最初はそんなにめちゃくちゃ仲がいいというわけでもなく、すごい頼れるわけでもなくパッとしない同期かなと思っていたんですけど、4年生になった時は本当に同期が一つになったことでチームをまとめることができたし、私がキャプテンだったんですけど同期がいなかったらチームはバラバラになっていたというか、最後の4年目は本当にこの同期でよかったというか頼もしくて仲がいいし、自慢できる同期でした。

――後輩へのメッセージをお願いします

いつも負ける時ってリバウンドの甘さだったり徹底力のなさが負ける原因だなと思っていて、特に3年生とかはすごく能力がたかい子とか力のある選手が揃っていると思うんですけど、そういう能力とかに頼らずもっと地味な部分でもっと頑張らないと日本一にはなれないと思っていて、リバウンドとかルーズボールとかイージーショットを決め切るだったりもっと徹底力をつけて、いいチームはもちろんですけど本当に強いチームになって欲しいなと思います。

C田中真美子(スポ4=東京成徳大)

――今の率直なお気持ちをお願いします

信じられないの一言です。でもやっぱり結果が全てだと思うので、時間は戻せないんですけど、同期や後輩やスタッフさん、たくさんの人に支えられて、四年間やってきたので、受け止めなければいけないなという感じです。

――春に敗戦をしていた筑波大に対してチームとしてどのような意気込みで臨まれましたか

春に負けている因縁の相手というイメージがあったので、今年は筑波を倒して日本一になろうという特別な思いがありました。

――きょうの試合ではディフェンスも良く、ロースコアの試合となりました

離せる時に離せず、10点差をつけても3点差に詰められるという展開になってしまいました。私がフリースローを決めていれば、3点入っても1点差で勝てたので、振り返ってもそのシーンしか思い浮かばないです。

――試合は延長戦に突入しましたが、チーム内で声掛けなどはありましたか

キャプテンの静(G高田静主将、スポ4=山形市立商)や副キャプテンの大西(G大西胡桃副将、スポ4=茨城・水戸第二)が『ここだよ、ここだよ』と声を掛けてくれて、追い付かれた展開だったんですけど、『みんなでやるぞ』となっていました。

――このインカレで引退となりますが、早大での四年間はいかがでしたか

インカレでいうと、私が入ってからは悔しい思いしかなかったので、最後のインカレでは日本一になりたいと思って臨みました。でも結局結果は残せなくて、それ以上にたくさん学ぶこととかはあったのかなと思いたいんですけど、今はそういう風に思えないです。

――四年間共に戦ってきた同期の方々への思いはいかがですか

感謝の気持ちでいっぱいで、特に4年性になってからは支えられてばかりで、コートの中でも外でも頼もしかったですし、この同期で本当に良かったと心の底から思います。

――最後にこれからの女子バスケットボール部を担う後輩の皆さんにメッセージをお願いします

自分たちを信じて付いてきてくれたのに、こんなかたちで終わらせてしまって本当に申し訳ないなというのと、ありきたりになってしまうんですけど、次こそは絶対に日本一になってほしいと思います。

長谷川玲子(社4=福井・足羽)

――今の気持ちを聞かせてください

負けると思っていなかったので、もう終わりっていう実感が全くないです。

――筑波大は春にも負けた相手でしたが

いつも筑波大と試合をするときは点数が取れずにロースコアになってしまうことが課題でした。トーナメントで負けてリーグでもいい試合ができなくて、インカレでは走ることを徹底したりリバウンドを取ってワセダの流れで絶対に勝とうという話をしていたのですが…。何かが甘かったのだと思います。

――試合全体を振り返っていかがでしたか

ベンチもコートの中も一つになって絶対に勝ちたいという気持ちが1番出ていた試合でした。だからこそ勝ちたかったし、次につなげたかったです。

――守備で良いシーンが多く見られましたが

ボール中心に守ることを徹底していて、きょうはそれができていました。最後の勝負所でそれができずにドライブをかなり入れられてしまいました。最後まで徹底してできなかったところが負けにつながってしまったと思います。

――延長が決まったときに話したことを教えてください

3ポイントを決められて同点で延長が決まったときに、チームが沈んだ雰囲気になってしまったのですが、「負けたわけではないから次の5分の出だしで勝負が決まるから絶対に気持ちで負けないで強い気持ちでいこう、絶対に勝てるから頑張ろう」と話していました。

――4年間を振り返っていかがでしたか

日本一になるのって難しいんだな、って感じました。毎年目標を日本一にしていて、強いチームをつくってやることを徹底してやってきましたが、結局なれませんでした。ことしこそ日本一になる、と思っていたのですが。絶対に勝ち進んで日本一になる、っていう自信しかなかったです。何かが足りなかったのかな、ってやっぱり思います。

――下級生へメッセージをお願いします

4年生に付いてきてくれて、絶対に日本一の4年生にしたいと言ってくれたり、コートの上でも下級生が多い中でも楽しくて頼もしかったし、本当にこのチームで勝ちたかったです。それができなくて申し訳ないです。