控えの上級生が猛アピール 全日に向け準備着々/日大三崎町戦 第1試合

準硬式野球
第1試合
早大 11
日大三崎町
(早)○福川、前田、杉山―吉田龍
♢(二塁打)池澤(1表)、鈴木(7表)

 全日本大学選手権(全日)の開幕が迫る中、同じく全日に出場する日大三崎町とのオープン戦が行われた。この日は1、2年生の主力選手が東京六大学選抜チームとして東北地方に遠征しているため、上級生の控え選手にとっては絶好のアピールチャンスに。先発を任された福川千明(スポ3=兵庫・白陵)は走者を出しながらも要所を締め、7回無失点の好投。野手では竹下直輝(スポ4=東京・小山台)が相手の好投手から貴重な2点適時打を放つなど、各選手が持ち味を発揮した。

9回1死二、三塁、竹下が右前に2点適時打を放つ

 打線は初回、1番・池澤一真(スポ3=栃木・大田原)の左中間二塁打を皮切りに好機をつくり、吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)、吉松武竜(スポ1=早稲田佐賀)の中前適時打などで一挙7点を奪う。2回にも再び吉田龍が左前適時打を放ち、序盤に8点をリードした。しかし3回以降、2番手で登板した相手エースの関口宥允に対し、なかなか好機であと1本を出すことができない。新関東大学春季リーグ戦で最優秀防御率を獲得した好投手に苦戦を強いられた。それでも8回に相手のミスに乗じて追加点を奪うと、9回には1死二、三塁の好機で竹下が右前2点適時打を放ってダメ押しに成功。「一打席一打席これが最後になるかもしれないという思いでやっている」(竹下)。背水の陣で臨むこの夏、竹下は結果を残し続けている。

7回を投げ、無四球無失点とアピールした福川

 「1試合目の強い打者を相手にどれだけ通用するか」(吉田龍)。普段は2試合目のサブメンバーを相手にしている福川にとって、この試合は重要なアピールの場となった。初回、2死から連打を浴び、一、三塁に。ここで迎えるは5番の関口。実は関口は好投手であるだけでなく、この春首位打者も獲得している好打者だ。福川はこの『新関東の二刀流』を中飛に打ち取り、この試合最初にして最大のピンチを脱した。その後は吉松ら味方の好守にも助けられ、7回を無四球無失点。全日は決勝まで進んだ場合5連戦となるため、先発の枚数が多ければ多いほど有利となる。久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)、清水佑樹(スポ2=早稲田佐賀)に次ぐ『第3の先発』として、福川の活躍に期待したい。

守備で存在感を示した吉松

 結局11-0で早大が勝利。ただ3回から7回までは両チーム無得点と、点差以上に締まったゲーム展開となった。その中で福川をはじめとした投手陣が相手に反撃を許さず、打線が相手の好投手から追加点を奪えたというのは大きな収穫だっただろう。このように、『投手を中心に守備からリズムをつくり、打線がワンチャンスをものにする』というのが早大の野球。残りのオープン戦でそれを確固たるものとし、万全の状態で全日に乗り込みたい。

(記事、写真 池田有輝)

コメント

吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)

――現在のチーム状況はいかがですか

全日(全日本大学選手権)に向かっていい状態で野球ができていると思いますし、オープン戦で負けていないというのが一番いいところかなと思っています。この先あと数試合オープン戦があるので、そこでもしっかりと勝って、いい流れで全日に乗り込めたらと思います。

――きょうの試合についてです。1試合目は3回に相手がエースを投入して以降、なかなか点が入らず締まった展開になりました。振り返っていかがですか

やはりいいピッチャーが出てくれば、そう簡単に点数を取ることができないのは仕方のないことだと思います。その中でワンチャンスで1点ずつ取るというのが僕らのチームのやり方だと思うので、バントをするのもいいですし、2アウトからのチャンスであればしっかり1本出すという勝負強さみたいなものもこれから付けていかなければいけないのかなと思います。

――8回、9回は犠打などで好機を広げて得点につなげました。この作戦は今仰られたようなことが念頭にあったのでしょうか

そうですね。相手がいいピッチャーでなかなか連打というのが難しかったので、なんとか走者をホームに近づけるためにバントは有効な作戦だと思い、使いました。

――2試合目はBチームの選手が結果を残しました。振り返っていかがですか

Bで結果を出している選手にきょうは試合に出てもらって、実際にAの試合でも通用するようなバッティングを見せてくれていたので、Bチームのほかのメンバーもそういった選手の活躍を見てモチベーションを保ってほしいですし、Bのレベルが上がってくればAのレベルも上がってくると思うので、きょうはそういった意味でも彼らが活躍してくれて良かったなと思います。

――きょう先発された2人の投手についてはいかがですか

福川はずっと調子が良くて、今までは2試合目(サブメンバー相手)の先発が多かったので、1試合目の強い打者を相手にどれだけ通用するかを見るという意味できょうは1試合目に先発させたのですが、しっかりと自分のピッチングをしてくれましたし、大きな収穫だったと思います。安在も1年生ながら伸び伸び投げてくれているので、きょうは点は取られましたが彼の良さは出ていたのかなと思います。

――今後に向けて一言お願いします

自分たちの得点のパターンを確認して、そしてなにより『勝ち癖』というものを付けて全日に乗り込みたいと思っているので、あと数試合しっかりと勝って、自分たちの野球を確立させて全日に乗り込みたいと思います。

竹下直輝(スポ4=東京・小山台)

――オープン戦ではここまで結果が出ていますが、状態はいかがですか

7月の終わりの筑波大戦から1試合に1本くらいはヒットが出ています。夏休みに入ってからはAとBに分かれていて、そこからオープン戦も増えているのですが、2試合目のスタメンとして出させてもらっています。5打数5安打みたいな日はないのですが、1試合に1本長打が出るような状態が続いています。自分としてはすごく調子がいいというわけではないのですが、今はAチームが30人に絞られていて、自分は補助の5人というところから25人のメンバーを狙うという立場(※1)なので、一打席一打席これが最後になるかもしれないという思いでやっています。本当に、秋のリーグ戦ももしかしたら出られないかもしれないですし、大げさに言えばオープン戦のこの1打席で引退するかもしれなくて。そう考えるようになってからヒットが出ているという感じですね。調子もいいのかもしれないですけど、この気持ちになってから無駄なプレッシャーとかもなくなってきています。

――きょうは芯で捉えた打球が多かったと思います。振り返っていかがですか

この夏休み、毎週練習を重ねていっていて、一昨日にオフがあったのですがその前は2日連続でオープン戦をしていて、昨日も練習で疲れも溜まっている中での試合でした。そのため思うようにバットが触れているなという感じではないのですが、芯に当てようというシンプルな考えで打っているのがいい当たりが多くなっている要因なのかなと思います。

――今後に向けての意気込みをお願いします

4年生になって、1年生の頃から先輩たちと一緒に目指してきた全日に出られるという中で、もしかしたらスタンドで応援する立場になる可能性もまだまだありますし、逆にコンスタントに試合に出してもらえるかもわからないので、どっちになってもいいように、今は「この打席で引退する」という気持ちを持ってやっています。それで結果も出ているので、例えメンバーを外れたとしても後悔がないようにやっていきたいと思います。あと、全国大会という舞台に高校の同級生だった吉田(龍)とまた戻ってこられたので、もちろん同じ場所で優勝を喜びたいという気持ちがあります。一緒に頑張ってきた4年生と全国優勝を目指せるのも最後なので、それに向けて悔いなく、明日も「明日で引退するんだ」という気持ちで一試合一試合やっていきたいと思います。

※全日のベンチに入れる選手は25人。現在は25人の暫定メンバーに5人の補助役を足した30人がAチームとして活動しており、その中でメンバーの入れ替えなどが行われて大会前に本登録の25人が確定する。竹下は現在補助役という立場。オープン戦で結果を残し続け、全国の舞台に立つことはできるか。

福川千明(スポ3=兵庫・白陵)

――オープン戦では好投が続いていますが、現在の状態はいかがですか

全日に向けてずっと調整してきたので、いい状態で投げられています。

――きょうは四球がありませんでした。投球を振り返っていかがですか

先発がテンポよく投げることが勝つことにつながると思って、それを一番意識していたので、それができてよかったです。

――東京六大学春季リーグ戦では東大戦以降登板がありませんでした。どのようなモチベーションで練習に取り組んでいましたか

自分の状態はそんなに悪くなかったので、リーグ戦は無理でも日本一になるための大会ではチームに貢献できたらいいなと思って、モチベーションを落とさずにやってきました。

――全日のメンバーに入ることが決まって、気持ち的にも乗っていけている部分はありますか

1番の目標が日本一になることなので、日本一になれる大会に出られるということが決まって「これはやるしかない」と思い、最近は常に野球のことを考えています。

――今後に向けて一言お願いします

いい投手がチームの中にたくさんいるので、みんなと協力しながら日本一に向かっていけたらいいなと思います。