接戦制し、第3戦に望みをつなぐ

準硬式野球
慶大2回戦
慶大
早大 ×
(早)○山口-齋藤成

◇(本塁打)倉本1号ソロ(二塁打)鈴木、菅谷

 雨により試合開始が1時間20分遅れたこの試合。その影響も懸念されたが、それとは裏腹に両校譲らぬ好ゲームが繰り広げられた。5回までゼロ行進だった。6回に先制点を入れられるものの、直後の攻撃で反撃し、すぐさま同点に。7回には打撃不振により前の試合では先発から外れていた倉本芳郎(法3=広島・修道)が値千金の勝ち越し本塁打を放ち、この日初めてリードを奪う。8回にも追加点を加え、1−4で宿敵から星を取った。

 先発としてマウンドに立った山口将宏(スポ3=愛知・横須賀)は立ち上がりから再三、得点圏にまで走者を進められる。それでも、持ち味である粘り強い投球で失点を防いでいった。好投を続ける山口に対し、打線は淡泊な攻撃で2回から5回を三者凡退で援護することができない。すると、山口は6回の先頭打者にストレートの四球を出す。盗塁で二進されると9番・木下(慶大)に中前適時打を浴び、均衡が破れる。それでも引き下がらず、早大はその裏の攻撃で笹井健佑(社3=東京・早実)の中前適時打で同点に。相手に簡単には流れを渡さなかった。

度重なるピンチを切り抜けた先発・山口

 7回裏、1−1の同点で7番・倉本。春季東京六大学リーグ戦(リーグ戦)にここまで4試合に出場し、12打数無安打と打撃不振に陥っていた男が打席に立った。2球目の甘い球を強振すると、打球はレフトフェンスを越え、本塁打。「なかなか結果はついてこなくて、悔しい思いでいっぱいだった」。今までの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような倉本のこの一発がチームに勢いを生む。8回には笹井のスクイズで矢野匠(社3=東京・早実)が生還。相手捕手のタッチをうまく避ける好走塁であった。さらに鈴木夏亥(社3=東京・早実)、菅谷尚弘(社3=東京・成蹊)の連続二塁打でこの回、計2点を入れ、慶大を突き放した。投げては、山口が9回まで150球を超える熱投でチームに勝利を呼び込んだ。

ベンチ前でチームメイトの祝福を受ける倉本

 早慶2回戦は接戦をものにし、見事勝利をおさめた。しかし、試合が続いており、特に投手陣に疲労が蓄積している現状である。そのため山口の完投で他の投手を休ませることができたのは、なによりの貢献だろう。1勝1敗のため第3戦が行われる。総力戦が予想される第3戦。勝ち点をケイオーから「ダッシュ」し、たまった疲れを吹き飛ばす。

(記事 加藤耀、写真 三田侑実、森原美紘)

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コメント

金子祐介主将(スポ4=熊本)

――きょうの試合はどのような意気込みでしたか

初戦はけっこう点差が開いてちょっと悪い感じで終わってしまったので、本当に切り替えて守り中心でいくという感じでしたかね。

――雨で試合開始が遅れましたが、その影響などは

正直、みんな一回気持ちが切れていたので大丈夫かな、と思ったんですけど、最初の集合での監督の一声でスイッチを切り替えられたと思いますし、アップから元気を出してやれていました。勝ったから言えるんですけど、大丈夫でした(笑)

――監督からの一言というのは

単純に(気持ちを)切らすなということと、早稲田も慶應も条件は同じだから(試合を)やると決まったらしっかりやれ、という言葉をいただきました。

――序盤は守りではピンチ、攻めでは淡泊な攻撃が続いたり、いい流れではなかったと思いますが

猪砂(慶大)の低めの変化球に打たされている感じはあって、ちょっとズルズルいきそうだったんですけど、その中でも先発の山口(将宏、スポ3=神奈川・横須賀)が本当に粘ってくれたし、周りもピンチでもなんとかしのぐことができたというのが後半の結果につながったと思います。これが僕らの勝ち方でもあると思いますし、とりあえず接戦で終盤にもっていくということを考えていました。

――打順や出場メンバーが日替わりになっていますがそれについてどうお考えですか

実際のところ1番や4番だったり、固定するところは固定してワンシーズンやっていきたいんですけど、なかなかピッチャーによって日によって調子も違いますし。まあ実力的にもそんなに飛び抜けた選手もいないというチーム状況なのでそれは仕方のないことだと、思いますし、それぞれが自分の役割を果たしてくれたおかげで勝てたと思います。

――第3戦に向けて意気込みは

きょう、終盤に勝ち越した後も監督(池田訓久、昭60教卒=静岡・浜松商)さんから「攻めの気持ちを忘れるな。守りに入るな」ということはずっと言われてきました。あしたは監督さんいないんですけどどんな状況でも攻めの気持ちを忘れずに。2試合やってきてわかったこともあるので、それを徹底的にやっていきたいと思いますね。

山口将宏(スポ3=愛知・横須賀)

――きょうはどのような意気込みで試合に臨まれましたか

関東(関東地区大学選手権)ときのうの試合も負けてしまって切羽詰まっていたので、とりあえず先発でしっかり決めていこうと心掛けました。

――ご自身の投球を振り返っていかがですか

初回の立ち上がりに自分自身、少し不安がありました。あとは、全体的に特に終盤で少し不安定なところがありました。だけど、その中でも粘り強くやれたので、きょうは良かったと思います。

――中盤まで我慢の投球が続きましたが

そうですね。まあきのうも試合の時、中盤で離されてしまって不安はあったんですけど、中盤までしっかり粘り強く戦おうという風に決めて、みんなで最後まで頑張って出し切ろうと思っていました。

――投球数は150球を超えていましたが、疲れなどは

そうですね、実際9回入ったと同時に選手みんな、全身とても疲れてしまいました。また他のピッチャーもとても疲れたと思います。僕の良いところでもないのですが、自分は元気にプレーできたので良かったです。

――次戦への意気込みをお願いします

あしたも慶應戦があるので、自分が任されたことはしっかりやって次の試合に繋げられたらいいなと思います。

笹井健佑(社3=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きのう落としていて、きょうは絶対勝たなくてはいけないと思っていました。先に先制されて、難しい試合展開だったのですが、ワセダらしい試合をして勝つことができたので良かったです。

――ワセダらしい試合とは

そこまで能力が秀でている選手がいるわけではないのですが、点を取られても更に追加点を与えない、粘り強さがあります。

――きょうの試合に入る前に意識していたことはありましたか

きのうの試合でチャンスが2回くらいあったのですが、打てなくてチームに迷惑をかけていたので、そういう場面で1本打てるようにと意識していました。きょうはグラウンド状態も悪く、整備してくれているメンバーのためにも勝ちたいなと思っていました。

――初回から安打を打っていましたが、今の調子自体はいかがですか

調子が良いか悪いかは分からないのですが、自分のスイングはできているという感じです。結果が出ているので、この調子で頑張りたいと思います。

――6回には同点適時打を打ちましたが、その打席に入る際の意気込みはありましたか

きょうの相手投手が変化球でゴロを打たせてくる投手だったので、しっかり引きつけてどんな形でもいいのでランナーを帰そうと思って打席に入りました。

――個人としての課題はありますか

明大戦では自分のエラーで勝ち越しの点を与えてしまったので、まずは守備です。ファインプレーではなく、当たり前のことを当たり前にできるようにしたいです。

――きょうは打点に絡んだ場面が多かったですが、率直な感想をお願いします

嬉しいです

――あしたの試合にむけて

明大戦のときは、1敗してまた勝っても(3回戦に)勝ち切れなかったので、あしたの試合は初回から全員集中して、しっかり勝ちきれるように頑張っていきたいです。

倉本芳郎(法3=広島・修道)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

明大戦から負けが続いていてきのうも慶大戦に負けてしまって。どうしても勝たないといけないという状況だったので、勝ててよかったです。

――守備に関してはいかがでしたか

冬の練習から意識していたことの成果が出てきて、自分のやりたいことができていると思います。守備に関しては自信を持ってやっています。

――重要な場面での本塁打でしたがいかがでしたか

このリーグ戦始まって全然打ててなくて。自分的には自信を持って打席に入っていたんですけど、なかなか結果はついてこなくて。悔しい思いでいっぱいだったんですけど、監督もよくおっしゃるように、気持ちで頑張りました。

――本塁打を打ったときの打席に入る時はどのような気持ちでしたか

とりあえず塁に出ようと思いました。関東地区大学選手権のときからピッチャーの猪砂(慶大)にはずっと抑えられていて、揺さぶることもチャンスをつくることもできていませんでした。とりあえず塁に出ようと食らいついた結果がホームランにつながったと思います。

――本塁打を打ってから試合の流れが変わったと思います。チームの雰囲気はいかがでしたか

最後も淡泊に終わることなくてしっかり点をとれていたので、あしたにつながる形で試合を終えることができて良かったです。

――あしたの試合に向けて意気込みをお願いします

とりあえず一言で言うなら絶対勝つということですね。これまでメンバー外の方にも支えてもらっていたのに何も返せていなくて。何としても勝って、首の皮をつなげたいと思います。