全日本学生選手権(インカレ)もいよいよ大詰め。3日目のこの日は、個人戦決勝に早大から男女計15人が出場した。入賞者は現れなかったが、中村浩太郎主将(創理4=東京・芝浦工大高)が大健闘。射詰6本目まで勝ち残り、入賞まであと一歩のところまで迫る。早大を背負う大黒柱が、全国の舞台で意地を見せつけた。
女子部では、光明英夏女子主将(法4=東京・桜修館)が唯一の4年生として最後のインカレに臨んだ。悲願の入賞を狙ったが、初矢を抜き早々に敗退。それでも、「後輩のためにも自分が頑張らなければいけない」と語るその目は、すでに王座(全日本学生女子王座決定戦)を見据えていた。その『後輩』の中で存在感を示したのは、野見山千尋(教3=千葉・渋谷教育幕張)。早大でただ一人、射詰4本目まで駒を進めた。王座出場へ向け、東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)では人材豊富な3年生がカギを握ることとなりそうだ。
射詰め4本目に挑む野見山
続く男子部では、中村と中谷透(基理2=東京・早実)が好成績を残した。無難に一手(2射)を通過すると、その後も順調に的中を重ね、共に尺二射詰5本目を突破。6本目からは通常よりも小さな八寸的となり、中谷はここで姿を消した。一方、中村は八寸的でも平常心を保ち勝ち進むと、詰めれば入賞が大きく近づく射詰7本目に挑む。初日の団体戦ではまさかの0中。中てたい気持ちは人一倍だった。しかし、渾身の思いで放たれた矢は、わずかに軌道を外れ的の下へ。頂への道は、ここでついえた。「もう少しいきたかったなというのが正直な気持ち」と振り返った中村だが、早大が戦った『痕跡』を、自らの手で確かに残した。
主将の意地を見せた中村
9月からはいよいよリーグ戦が開幕。女子部は優勝、男子部は1部昇格を目指す戦いが待ち受けている。団体戦で高的中を出した女子部、1年生の奮闘も見られた男子部、悔しさの中でも共に収穫を手にした。下級生から上級生までが一丸となり、それぞれの目標達成を誓う。
(記事 川浪康太郎、写真 田々楽智理)
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結果
▽男子個人
中村浩太郎 ○○○○○○×
清水雄基(人4=東京・早稲田) ×○
村上悠(社3=東京・早大学院) ○×
幸明千尋(スポ2=東京・城北) ×○
中谷透 ○○○○○×
渡邊顕士(社2=東京・日体荏原) ×○
牧山千莉(スポ1=千葉) ○×
仁木進太郎(社1=早稲田佐賀) ○×
小澤竜介(教1=静岡・韮山) ○○○×
栗原健太(文構1=東京・国学院久我山) ○○○×
▽女子個人
光明英夏 ×○
森川未和子(スポ3=岐阜総合学園) ○○×
野見山千尋 ○○○×
小田代采夏(人3=福岡・西南学院) ×○
正木さくら(法1=東京・吉祥女) ××
コメント
中村浩太郎主将(創理4=東京・芝浦工大高)
――団体戦からどう切り替えて個人戦には臨みましたか
団体戦で本当に悔しい思いをしたので、ワセダがこの大会に出たって痕跡を、個人戦で何かしら残したいなと考えていました。出るからには最後の最後まで詰めきって勝ちたかったです。
――ワセダから男子個人戦に10人出場しましたが、心強さはありましたか
一緒に練習してきた仲間がいるので、いつもの個人戦に比べてホームのような雰囲気があり、引きやすかったです。
――八寸的になってからは緊張も大きくなりましたか
あそこまで小さくなると、あとはやることをやるしかないなと思っていました。的が小さくなったからといって緊張はしていないなと、引いてみたときに感じました。
――自分の引きができましたか
自分の思い通りにできたかなと思います。
――途中、監督と話している場面もありましたが、どんな言葉をかけられましたか
「いつも通りやれば大丈夫」という言葉を頂きました。固くなっているということに気付けたので、楽になりました。
――今回の結果には
もう少しいきたかったなというのが正直な気持ちです。
――インカレを振り返って課題は見つかりましたか
ワセダの道場で引くとみんな中るのですが、他の道場に行くと弱いので、今後そこを強化していければもっともっと良い結果に繋がると思います。
――最後に、リーグ戦に向けて意気込みを聞かせてください
リーグ戦では全勝をして、入れ替え戦で1部と戦うというのも目標ですし、130台の勝負ではなく140台をワセダがしっかり出して、相手を圧倒して勝てればいいかなと思います。
光明英夏女子主将(法4=東京・桜修館)
――きのうの団体戦から気持ちを切り替えることはできましたか
きのうは1本が重いなと感じたので、自分のやるべきことを1本1本やっていくということだけを考えていました。団体戦負けてすごく悔しかったのですが、そこで詰められなかった1本をきょう詰めようと思っていました。
――個人戦を振り返って
初矢で抜いてしまったので悔しい思いはすごくあったのですが、2本目で自分の射ができたのでよかったです。
――最後のインカレでしたが、全体的な感想はいかがですか
あっという間でした。今までは先輩についていくばかりのインカレだったので、そういう意味では自分が引っ張っていかなければいけないということでプレッシャーではないのですが責任感というか、いつもと違うなということを感じていました。ですが、みんなと一緒に引いて11中を出せたりと結果を出せたのはよかったです。
――後輩も多く出場していましたが、どのように映りましたか
すごくいいところまで来ていると思うので、もっともっと育ってほしいですし、そのためには自分が教えるだけでなく、中てる姿を見せることも大事だと思うので、後輩のためにも自分が頑張らなければいけないと思っています。
――個人として、チームとして、これから改善すべき点はどのような部分でしょうか
個人としては、まだまだ留矢が中たらなかったり精神面としても射としても弱いところがあるので、これからの合宿で詰めていきたいです。チームとしては4、5、6人目が確立されていないので、それが成長できるようにサポートして、みんなで固めていけたらいいなと思います。
――最後に、リーグ戦に向けた意気込みを聞かせてください
伊勢に行く道はリーグ戦しか残っていないので、何が何でも全部勝って伊勢に行きたいです。