ことしも戦いの夏がやってきた。全国から集った約200の強豪校がこれまで養ってきた実力を出し合い、日本一を競う全日本学生選手権(インカレ)。学生弓道の中では最大規模の大会である。初日を迎えたこの日に行われたのは男子団体予選。198の出場校のうち、決勝トーナメントに進むことができるのはわずか24校という厳しい戦いだ。ワセダは狭き門をくぐり抜けなければならないという緊張からか本来の実力を発揮することはできず、予選敗退という悔しい結果に。インカレという大舞台で結果を残すことはできなかった。
5人順立、1人4射の計20射で競う団体戦。18中、17中と次々と好的中が叩き出される中、ワセダの立順が回ってくる。1射目、そして2射目で5射4中と順調な滑り出しを見せ、予選突破へ向け着々と歩みを進めていた。より確実に決勝トーナメント進出を決めるため、ここからさらに的中を伸ばしていきたい3射目。大きなプレッシャーの中で引いた矢は思うように的に中らず、3中という結果に。4射目も調子を上げることができなかったワセダは、14中と振るわない成績で試合を終えた。永山豪朋主将(文構4=東京・早実)は「本番の緊張感が働いてしまった」と肩を落とし、厳しい表情を浮かべた。
残心を取る永山主将
しかし、戦いはまだ終わっていなかった。14中が予選通過のラインとなり、決勝トーナメントに進出できるあと1枠をかけて同中競射が行われたのだ。「この5人の力が出しきれれば絶対に皆中で通れる」(島村達哉、スポ3=獨協埼玉)という強い気持ちで臨んだこの一戦。1射目は全員が的中し、皆中へ向け着実に行射を進めていく。予選突破への期待が高まる中、迎えた2射目。2人が皆中を出すも、やはり大きなプレッシャーがかかっていたために3人が留矢を抜き7中という結果に。残りの1枠に入ることはできず、ワセダの予選敗退が決定した。
インカレ団体戦初出場となった島村
決勝トーナメント進出ならずという悔しい結果でインカレを終えた男子団体。目標としていた日本一の座を射止めることはできなかった。しかし、この悔しさは次戦へとつなげていかなければならない。秋からは東京都学生連盟リーグ戦も始まる。もう1つの大きな目標である1部昇格へ向け、さらなる成長を見せてくれることだろう。戦いはまだ終わらない。
(記事、写真 松崎はるか)
結果
▽男子団体予選 橋本和久(先理4=東京・早実)、大久保侑(スポ3=岩手・福岡)、髙間光司(スポ4=奈良・橿原)、島村達哉、河本悠輔(商4=広島・修道)、永山豪朋
橋本 3中
大久保 1中
島村 3中
河本 皆中
永山 3中
20射14中
同中競射
橋本 ○○
髙間 ○×
島村 ○○
河本 ○×
永山 ○×
コメント
島村達哉(スポ3=獨協埼玉)
――初めてのインカレ(全日本学生選手権)の団体戦の舞台でまずはどういったことを考えてきょうを迎えましたか
とりあえず練習通りの射をしようということだけを考えていました。
――神戸ということで遠征となりましたが、コンディションの調整など難しい部分はありましたか
難しい面もあったのですが、毎週毎週練習があって、試合があって。同じようにやって来たので、全く同じことをしようと思っていました。
――島村選手は大学から弓道を始められたということで、レベルの高い早大でレギュラーを勝ち取って迎えたインカレということで高揚感などもありましたか
そうですね。やはりレベルが高い中でレギュラーを取れたということはうれしく思うのですが、そこで結果が出せなかったというのは悔しいです。
――予選14中という数字について率直にどう捉えていらっしゃいますか
やはりワセダらしくないというか。練習通りの的中が出せなかったというところでも予選落ちという結果につながってしまったのだと思います。
――14中が通過のボーダーラインになり、あと1枠を争うかたちとなりました。それを知ったときの気持ちを聞かせてください
5人揃って、この5人の力が出しきれれば絶対皆中で通れると思っていたので。いつも通りに引こうと思っていました。
――昨年のインカレ最終日に佐々木さん(佐々木貴広、平26基理卒=東京・早稲田)にいまのワセダに足りないものを伺ったところ、気持ちの持っていき方というふうに答えてくださいました。島村選手から見て、いまのワセダに足りないものは何でしょうか
佐々木さんが仰っているように技術的には5人が5人とも常に皆中できる力を持っていると思うので。それを試合に出せないという精神的な弱さを自分も含め、感じました。
――2日後の個人戦に向けて意気込みを聞かせてください
団体戦と同じなのですが東伏見の道場でやってきたことを同じように出せればと思います。
――気持ちを切り替えることは難しいと思いますが、9月からはリーグ戦(東京都学生連盟リーグ戦)も始まります。1部昇格に向けての意気込みも聞かせてください
僕たちはここまで2つ目標を掲げてやってきて。『日本一』と『一部昇格』を掲げているので。1つはついえてしましましたが、もう1つを絶対に勝ち取りにいきます。
永山豪朋(文構4=東京・早実)
――インカレという大舞台ということで、試合に臨む前に緊張などはありましたか
そうですね。自分自身最後の大会でもあったので緊張はあったと思います。
――予選は14中という結果でした
普段ならあまり出ない的中でした。やはり本番の緊張感が働いてしまった結果だと思っています。
――ご自身の予選での成績はどのように捉えていらっしゃいますか
調子は決して悪くなかったので皆中を狙ってはいたのですが、やはり1本油断した矢が出て3中という結果になりました。
――残り1枠をめぐっての競射となりましたが、試合前のお気持ちまたご自身の戦いぶりはいかがでしたか
やることをやれば絶対に勝つことができると思っていたのですが、最後の最後で中てなければという気持ちが出て頭の中が真っ白になって、すっきりしない結果で終わってしまいました。
――結果は残念ながら予選敗退ということとなりましたが、きょう見つけた課題などがありましたら教えてください
実力はあるのですが、試合でまだ波があるのは2部に所属しているというところなのかなと思います。なので、秋のリーグ戦までにはそこをしっかり改善して1部復帰ができるようにここからまた組み立てていかなければいけないと感じています。
――2日後には個人戦も控えていらっしゃいますが、そこに向けての意気込みを聞かせてください
いかに早く切り替えることができるかということだと思いますので、しっかりと切り替えて少しでもワセダの名前を残せるように励んでいきたいです。