応援の力でサヨナラ勝利を手繰り寄せる!/早慶1回戦応援

応援

「今日のドラマ(試合)に原稿は無い。」――。5回の攻撃回で、永井武尊リーダー会計責任者兼広報責任者(文4=熊本・済々黌)が学注(学生注目)で叫んだ言葉である。永井の言う通り、試合展開は筋書きのないドラマのように予想がつかない展開に。そんな中、『一丸』となった応援の力で、劇的な逆転勝利を手繰り寄せることに成功した。一塁側応援席の応援を先導し、歓喜の渦を巻き起こした応援部の早慶戦第1回戦を振り返っていく。

 『早慶讃歌』斉唱に伴う陣中見舞い、そしてエール交換。「華の早慶戦」が始まりを迎えようとしている。エール交換を終えると永田新代表委員主将(教4=静岡・掛川西)が「華の早慶戦であります!優勝決定戦であります!制するのは我々早稲田でなければなりません!」と魂の限り叫ぶ。一丸となって慶應を倒すべく応援席に思いを届ける永田の声が神宮に響き渡った。

校旗を掲揚する間垣皓介旗手兼新人監督(スポ4=宮城・仙台一)

 試合が始まると、慶應の強力打線がいきなり走者を得点圏に置く。それでもリーダー3年生が全力で「GWコール」や「Blue Skyコール」を先導し、応援席から投手・加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)にエールを送る。初回のピンチをしのぐと応援席からは歓喜の声が上がる。その後は両先発が危なげもなく抑え、試合は中盤へ。

 そして5回、試合が動き始める。応援企画責任者としても攻撃回のサイン出しで重要な役割を担う永井が学注で決死の思いを叫ぶ。そしてこの回先頭打者が内野安打で出塁すると、2死ながらチャンスを作り出す早大ナイン。『コンバットマーチ』が神宮に鳴り響き、打席の尾瀬雄大(スポ2=東京・帝京)の放った打球は左中間に、応援部の全員が笑顔になった。『紺碧の空』を全員で歌い上げ、応援席は歓喜の声であふれた。

学注を見せる永井

先制し、喜ぶ応援部

 その後も1点を争う息をのむ展開が続く。8回。早稲田は一死から走者を一二塁に置いて、さらに慶應の上位打線を迎える絶体絶命のピンチを迎える。グラウンドでは投手の交代が告げられ、三塁側慶應の応援席は押せ押せムードに。そんな中、すかさず永田が学注を飛ばす。「この1点差を守り切らなければならない。我々が支えるぞ。」と『ダイナマイトマーチ』を披露。観客も一丸となって声を上げる。内外野の応援席で響き渡る『ダイナマイトマーチ』が慶應のチャンスムードをかき消す。回が終わるまで『ダイナマイトマーチ』を響かせ、得点を許さない。まさに応援で流れを作った場面だ。9回表、内野ゴロが野選となり、バント処理で失策が生まれるなど、かなり重苦しい展開が早大に立ちはだかる。そんな中、永田が指揮台から呼びかける声はまさに「不動心」であり、早稲田の勝利を確信しているものだった。『ダイナマイトマーチ』がピンチで響き渡るが、同点に追いつかれ、更には逆転を許してしまう。湧き上がる三塁側応援席と沈む一塁側の観客であったが、すかさず永田が「ようやく楽しくなってきた!」と笑顔で叫ぶ。「ここを抑えて次の回逆転しようぜ」という永田の力強い声に一塁側応援席は『一丸』を見せる。

逆境でも応援席を盛り上げる永田

 あとアウト3つで早稲田の敗北が決定してしまう展開であったが、観客総立ちで『紺碧の空』を歌い攻撃を後押し。9回に登板した相手投手・谷村然(4年)を応援の力で吞み込んでしまうかのような迫力を見せる。走者を一人出すごとに『紺碧の空』は大きくなり、無死満塁に更に応援が加速し、神宮全体に『紺碧の空』が響き渡る。誰も早稲田の勢いを止めることができず、さらに連打が生まれ、逆転サヨナラ勝ち。試合が終わり興奮冷めやらぬまま、早稲田大学校歌が響き渡る。心を一つにした応援がまさにグラウンドに届いた瞬間であった。

 試合後には早慶戦で勝利したときのみに演奏される『早稲田の栄光』が流れ、早稲田の勝利を祝福。更には小野泰助副将兼リーダー練習責任者(文4=群馬・沼田)により、『伝統の勝利の拍手』が披露された。『伝統の勝利の拍手』は早慶戦にて、早稲田が勝利したときのみ行われる伝統技であり、海のうねりを思わせる小刻みな乱打から、3拍子、4拍子、1拍子、2拍子を挟んで、最後に勝鬨(かちどき)の声を上げる。早稲田の勝利を祝福し、早稲田の優勝を信じて、セレモニーが盛大に執り行われた。

『伝統の勝利の拍手』を披露する小野

 逆境で響き渡り、逆転を生み出した『ダイナマイトマーチ』が印象的だった早慶戦1回戦。たとえ逆転をされても迷いなく勝利を信じた結果が筋書きのないドラマのような勝利を生み出した。令和5年度応援部の集大成は次戦以降も発揮されるであろう。

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(記事 橋本聖、写真 飯田諒、雲田拓夢、横山勝興)


※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

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