早大応援部が、第86回早慶バレーボール定期戦(バレー早慶戦)の応援活動に臨んだ。3年ぶりの男女合同、有観客開催となった今回のバレー早慶戦には、学生をはじめ多くの観客が来場。試合は女子戦でストレート勝ち、男子戦では苦戦を強いられるも、フルセットの末に逆転勝利。最終的には両戦優勝を飾り、応援部の応援が実るかたちとなった。
応援活動は試合前から始まっていた。試合開始約90分前には激励会を実施。応援部員と選手が一つの輪となって『紺碧の空』を斉唱し、西田健太朗新人監督(教4=愛媛・愛光)が中心でテクを振った。バレー経験者の西田は今回のバレー早慶戦にかける思いも強く、テクにより一層力がこもる。全力で応援していくことを選手に誓い、激励会は幕を閉じた。観客の入場時刻となると部員が客席で観客を出迎え、試合前には応援指導を行う。開会式ではエール交換に加えて、伝統の早慶戦にふさわしく、君が代旗礼(※1)も行われた。
開会式が終了すると、第一試合は女子戦。選手入場では、チアリーダーズが花道を作って選手を送り出した。試合は序盤から順調に得点を重ねる。この日のコールリーダー・井原遥斗(教3=埼玉・熊谷)を中心に、応援部はプレーが終了するたびに応援曲のサビやコールを演奏した。得点時には『コンバットマーチ』『大進撃』『Viva Waseda』などで選手をたたえ、失点時には『ダイナマイトマーチ』や『健児コール』で選手を励ます。さらに、連続でセットを奪った第2セット終了後には、コート内で応援曲メドレーを届け、女子戦優勝に向けて選手を後押しした。その応援に応えるように選手は終始健闘。見事ストレート勝ちを収め、会場は歓喜に沸いた。
この日コールリーダーを務めた井原
女子戦と男子戦の間にはチアリーダーズによるハーフタイム演技を実施。早稲田大学応援部チアリーダーズ・BIG BEARSは大人数ならではのダイナミックなパフォーマンスを披露した。終始連帯感のあるダンスに加え、折々で見せるスタンツやジャンプ、タンブリングに客席も拍手で盛り上がる。さらに、高い基を中心に全体が回転するメリーゴーランドも披露し、会場はさらなる盛り上がりを見せた。BIG BEARSの後に登場したチアリーディングサークル・SHOCKERSは音声トラブルに見舞われながらも動じることなく演技をやり遂げ、ハーフタイム演技を締めくくった。
メリーゴーランドを披露するチアリーダーズ
第二試合、男子戦は下馬評を覆す接戦に。第1セットから両校がセットを取り合い、一進一退の攻防が続く。それでもプレーが終わるたびに応援を絶やさず、選手にエールを送り続けた。そして、勝負は最終セットに。大一番を迎え、掛け声や太鼓の音もより一層大きくなり、「頑張れ!」という激励の声が会場に響きわたった。選手はその応援に応えるようにリードを奪い、優勝へ向け得点を重ねた。14-12で王手をかけると、慶大のサーブはラインの外へ。この瞬間、早大の優勝が決定し、一同が歓喜の渦に包まれた。優勝を祝うべく、応援部はすぐさま『紺碧の空』を演奏する。すると、選手はコートで円陣を組んで健闘をたたえ合い、観客も手拍子で優勝を祝福。早大一同の勝利への執念が喜びへと変わった瞬間だった。
観客と共に応援活動をつくり上げた応援部
優勝した男子選手を祝福する応援部
試合終了後、閉会式では両校が再びエールを交わし互いをねぎらうと、戦いの場で再会することを約束した。閉会式終了後には、応援部員、選手で『早稲田の栄光』を斉唱。勝利をたたえる大切な儀式である。激励会以来、全員が肩を組んで1つの輪になると、指揮の玉城大基学生誘導対策責任者(基理4=沖縄・昭和薬科大付)を中心に優勝の喜びをかみしめながら斉唱を行う。斉唱を終えると、共に戦いを終えた応援部員と選手が談笑する様子も見られた。
女子戦、男子戦ダブル優勝という最高のかたちでバレー早慶戦を終えた応援部。バレー部とおよそ半年間検討を重ねてきた応援活動を見事に成功させた。応援部員が客席の通路を場内し観客と交流を深め、共に応援する姿はまさに応援活動の真髄であった。一方で、常に俊敏であった慶大の応援の勢いに圧倒される場面も見られた。応援部はこれから鍛錬の夏を迎える。吹奏楽団、チアリーダーズの大会や夏季合宿など、部員一同が大きく成長できる季節であることは間違いない。東京六大学野球秋季リーグ戦開幕に向け、応援部員が成長を遂げていくさまに注目が集まる。
※1 国歌である『君が代』が流れている間に旗礼する(竿頭を下げる)こと。
※掲載が遅くなってしまい、申し訳ございません
(記事 横山勝興、写真 有川隼翔、星野有哉、横山勝興、権藤彩乃)
コメント
西田健太朗新人監督(教4=愛媛・愛光)
――女子戦、男子戦連勝という結果を振り返っていかがですか
女子戦、男子戦共に強いのはもちろんですが、気持ちが入っているのを感じていました。特に男子戦は、最初に慶應にセットを取られて、その後に早稲田がセットを取る展開で、技術に関しては慶應、早稲田共に同じくらいだったと思っています。早稲田は主力選手が抜けていたこともあって、慶應と早稲田が技術、力共に同じくらいだったと思っていますが、その中で勝てたのはやはり気持ちが勝ったからなのではないかと思っています。
――多くの観客との応援活動いかがでしたか
応援部らしい姿を見せられたことが一番だと思います。応援というのは観客の方々がいないと成り立たないので、観客の方々と一緒になって選手を応援することが3年ぶりにできて良かったと思います。
――ご自身もバレーボール経験者ですが、バレー早慶戦への思いは強かったですか
自分は1年生のときからバレー応援に携わらせてもらっていて、去年は観客を少しだけしか入れることができませんでしたが、今年はたくさん観客を入れることができて、勝つこともできたので、本当に良かったと思います。
――応援活動中はどのようなことを意識されましたか
(試合の)流れが悪くなったときに応援部で一つ後押しができればいいなと思っていました。良かった点、悪かった点があったので、そこは次の機会に改善したいと思っています。
――男子戦終了後には『紺碧の空』が演奏され、男子選手が円陣を組み、応援部員や観客も一緒になって喜ぶ光景が見られましたが、その光景を見ていかがでしたか
早稲田らしい景色だったと思います。あれが本来の応援の姿だと思います。去年、一昨年とコロナでいろいろできていない中で応援部だけが応援する状況が続いていて、違和感がありました。あとは、観客と応援部が分かれていて、観客の方がどう応援したら良いか分からないこともありました。ですが、今回のように一体感を持つことができたのは本当に早稲田らしい瞬間だったと思います。選手の方々も本当にみんな喜んでくださっていて、全てが応援の力ではないとしても、応援の力が届いたのではないかと思った瞬間でした。