合同演奏会も3年ぶりに復活! 2、3年生部員がステージで躍動

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 『六旗の下に』終了からはや2週間。今度は六大学の応援部、団、指導部が合同演奏会に集結した。ただし、この合同演奏会はリーダーは出演せず、吹奏楽団とチアリーダーズ(チア)の2、3年生が主体となる舞台である。第Ⅰ部では六大学の吹奏楽団、部が合同でクラシックとポップスの計3曲を演奏。続く第Ⅱ部では前半でチアがダンス隊、スタンツ隊、ルーティーン隊に分かれてステージを披露すると、後半では吹奏楽団とチアが一体となってドリルステージを披露した。3年ぶりの復活となった今回のテーマは『燦(きらめき)』。およそ90分にわたるステージで出演者全員が『燦』を体現し、観客を終始楽しませた。

 午後6時30分。老若男女の観客が府中の森芸術劇場につめかけ、大きな拍手と共に3年ぶりの合同演奏会が開幕した。第Ⅰ部は、六大学の演奏隊が座奏するクラシック&ポップスステージ。最初に披露されたのは『序曲「春の猟犬」』だ。「若さあふれる快活さ」と「やさしい愛の甘さ」を表現したこの曲は、元気なリズムでスタートすると、ゆったりとした旋律を挟み、再び元気なリズムへと戻る。スタートにふさわしいパワフルな曲で演奏会の幕を開けると、続いて『マードックからの最後の手紙』を演奏。この曲は、1912年に北大西洋で発生したタイタニック号沈没事故の情景を描いた曲だ。広大な海の旅をほうふつとさせるゆったりとした旋律から、船を揺さぶる荒波を表現した緊迫感ある旋律へと曲調が変化する。最後は平穏の訪れを感じさせるゆったりとした旋律へと戻り、情景を音楽で忠実に再現した。第Ⅰ部の最後の曲は、『ブラボー・ブラス!』。ブロードウェイミュージカルでも披露されるこの楽曲では、さまざまな曲調を交えて終始楽しい雰囲気を表現。主役も各楽器に次から次へと移っていき、それぞれが『燦』を最大限に放った。演奏を終えると、会場全体からは割れんばかりの拍手。およそ30分間の吹奏楽ステージは最高のかたちで幕を閉じた。司会を務めたのは、早大の荒井万由佳(人2=東京・国学院)と山口美友(創理2=愛知・桜台)。一曲一曲の魅力を言葉で届け、順調に司会進行を務めあげた。

『序曲「春の猟犬」』を演奏した演奏隊

 第Ⅰ部と第Ⅱ部の間には幕間企画として、早大の吉田多映子(教4=大阪・早稲田摂陵)ら指揮スタッフによるアンサンブルが行われた。このアンサンブルでは、『となりのトトロ』メドレーを披露。誰もが知るおなじみのメロディーで観客を楽しませ、第Ⅱ部へとバトンをつないだ。

 そして、最後の30分間で行われた第Ⅱ部。前半のチアリーディングステージでは、総勢149名の六大学2、3年生のチア部員が3つのチームに分かれて演技を披露した。最初に登場した31名の2年ダンス隊は、東大の衣装を身にまとい、洋楽メドレーに沿って統一感あるダンスを披露。生き生きとしたダンスを見せ、トップバッターの役割を全うすると、次にステージに上ったのは2年スタンツ隊。「みんなに元気を届けます!」の掛け声でJ-POPメドレーによるパフォーマンスが始まると、スタンツ隊の名に負けずスタンツを続々と成功させる。終盤にはジャンプによる技も飛び出し、客席を沸かせた。そして、最後に登場したのは3年ルーティーン隊。洋楽メドレーが流れ出すと、序盤からレベルの高いスタンツやダンスを次々と繰り出す。中盤にはアクロバティックな技も続々と成功させ、客席からは大きな拍手が沸き起こった。終盤には手拍子も大きくなり、会場全体が一体に。上級生らしいハイレベルなパフォーマンスを全うし、チアリーディングステージは終わりを告げた。

力強いダンスを見せた2年ダンス隊

スタンツを続々と成功させた2年スタンツ隊

終始レベルの高いパフォーマンスを披露した3年ルーティーン隊

 最終盤となるドリルステージでは、吹奏楽団がドリル隊へと姿を変え、第Ⅰ部とは一味違った演奏を見せた。1曲目の『Wicked』は、『オズの魔法使い』の裏話として構成され、2人の魔女が友情を深める様子を描いた曲。ドリル隊は隊列を変えながらドラムメジャーの指揮に従い、演奏でその様子を表現していく。その隣ではカラーガードが旗を器用に振り、情景をさらに描き出した。視覚と聴覚で表現されたその世界観に、観客も自然と引き込まれていく。手拍子をする観客に見守られながら、ストーリーは華やかに終わりを告げた。すると、その手拍子はそのまま続き『六大学メドレー』へ。早大の『紺碧の空』をはじめ、六大学の校歌、応援歌が次々と披露された。一見、従来の六大学メドレーに感じられるが、今回はリーダーがいない中での演奏。普段の応援活動とは異なり、ドリル隊の隊列とカラーガードの身振り手振りのパフォーマンスで演奏に花を添えた。メドレー終了後には、今回の演奏会に携わった六大学の部員、団員が続々とステージに登壇。最後に登場した連盟吹奏楽責任者・森航稀(法大・4年)と連盟チアリーディング責任者・佐藤円花(法大・4年)が「共に高め合い、一歩一歩精進」していくことを誓い、演奏会は大団円を迎えた。

『Wicked』を披露したドリル隊、カラーガード

フィナーレを迎える六大学の出演者一同

 念願の開催となった今回の合同演奏会。マイクを持った部員、団員も「開催への感謝」を口にし、パフォーマンスで観客を楽しませた。そして、この演奏会の魅力は何と言っても六大学の吹奏楽団、チアが一致団結してステージを作り上げるところだ。普段はライバル関係にある六大学の垣根を超え、この日の本番に向けて一緒に練習に励み、見事にステージを成功させた。また、これからの応援部、団、指導部の中核を担っていく2、3年生の成長の場となったことも間違いない。六大学の応援部、団、指導部が次に集うのは、9月から始まる野球の東京六大学秋季リーグ戦。互いに成長した各大学が、今度はライバルとしてどのような戦いを繰り広げてくれるのか非常に楽しみだ。

※掲載が遅くなってしまい、申し訳ございません

(記事 横山勝興、写真 東京六大学応援団連盟提供)

コメント

糸井里彩子連盟常任委員・チアスタッフ(CS、※1)(政経4=東京・早実)

――まずは合同演奏会を終えて率直な感想をお願いします

 2、3年生の成長と団結を見られた非常に良いステージだったと思います。4年生と新人は別の応援活動に参加していたので生で見て欲しかったなと思うほど素敵なステージでした。新型コロナウイルス感染症の影響や練習期間が令和4年度東京六大学野球春季リーグ戦に被ったことで各大学様々な壁がありましたが、それを乗り越えたことでより成長できたと感じたので、2、3年生には合同演奏会で得たものを今後積極的に自校に還元していってほしいです。

――連盟常任委員として、3年ぶりに開催できたことに関してはいかがでしたか

 野球応援の際には相手校同士である東京六大学応援団連盟の者が一致団結する瞬間を下級生に体験してもらえたのが良かったです。私たちの代のみ合同演奏会への出演がかなわなかったため、2、3年生が東京六大学応援団連盟内の同期と楽しそうに交流している姿やステージ上で輝いている姿を拝見し、純粋にうらやましいと思ったと同時に、自分たちの代にも経験させてあげたかったと思いました。なので、今後は4年生にも連盟のつながりを感じてもらえるように努めていきたいと考えています。

――チアスタッフとして、今回のチアステージにはどのようなかたちで関わりましたか

 3年ルーティーン隊に主に関わらせていただきました。東京大学の連盟常任委員と共に演技の作成を行い、週1回行われた3年ルーティーン隊の連盟練習にも監督という立場で参加させていただきました。

――選曲などでこだわりを持った点はありましたか

 2年生はかわいさ、元気さを出してくれると思っていたので、3年生には格好良さで観客の方々を魅了して欲しいと考え、曲選びからこだわりました。また、各大学で癖や技術力も違うため、スタンツ練習をあまり行うことが出来ない大学にはダンス担当についてもらうなど、各大学の良さを生かせるようにしました。さらに、2年生とのちょっとした差をつけ、少ない練習の中でもおのおの得られるものがあるよう、新しい技をコーチに教えていただき、演技の中に取り入れさせていただきました。

――担当したステージのパフォーマンスはいかがでしたか

 舞台袖にて3年ルーティン隊のチーフの者と共に拝見し、感動しました。直前のリハーサルでも全員そろわず、2ヶ月間行ってきた連盟練習でも全員そろったことは一度もありませんでしたが、そこをなんとか乗り越え、本番で最高の状態に持ってくることのできた3年生の姿は頼もしかったです。

――引退まで残り半年となりますが、意気込みをお願いします

 残り半年、連盟行事は前期に比べ減ってしまいとは思いますが、少ない連盟行事全てに全力で挑みたいです。何もかもが3年ぶりで少しずつ新型コロナウイルス感染症前の状態に戻ってきたと思います。そんな中で、やはり東京六大学応援団連盟に所属させていただいていることの貴重さを感じ、多くの方々に支えられていることを感じました。また、積極的に連盟行事に参加する中で、やはり早稲田が一番、ということを身にしみて感じ、早稲田大学の応援部に所属出来て良かったと思わされました。応援部生活を悔いなく終わらせるためにも新人から4年生全員に東京六大学応援団連盟の良さと改めて早稲田大学の良さに気付いてもらえるようにしていきたいです。

野口結衣チーフドラムメジャー(DM、※2)(法4=東京・早実)

――まずは合同演奏会を終えて率直な感想をお願いします

 一番始めに出てくるのは、開催できて良かった、という想いです。私は中止となった過去2年間とも表方で出演する予定だったので、悔しい思いをしていました。3年ぶりに開催できたこと、表方の皆が全力で楽しんでくれていたことを、心からうれしく思っています。

――チーフドラムメジャーとして、今回のステージにはどのようなかたちで関わりましたか

 チーフとしては、ドリル練習の運営などの事務的な面と、本番までの練習計画を着実に進めていくというスタッフとしての面から関わっていました。今回のMCである『Wicked』は、私たちが新人の際の定期演奏会で扱った曲で、個人的に思い入れがあります。私の尊敬する当時のドラムメジャーの方も、合同演奏会でチーフを務められていました。同じ立場に立ってプレッシャーを感じると共に、絶対にステージを成功させたいという思いが強かったです。

――構成や選曲などこだわりを持った点はありましたか

 練習時間が少ないことが分かっていたので、私の担当したMC3は「プレイヤーにも覚えやすく、観客にも分かりやすく」という点を意識してコマを書きました。あまり難しい動きでないながらも緩急のある構成に出来たのではないかと思います。全体としてこだわっていたのは、出演してくれる六大学のみんなが、ただ楽しいだけではなく自らの成長につなげられるような環境を作ることです。ドリルにも必要不可欠な音楽面でも、歩き方の面でも、六大学が集結しているからこそさまざまなことを学んでもらえたら良いなと思って取り組みました。

――担当したステージのパフォーマンスはいかがでしたか

 本年度のテーマが『燦』でした。本番を通して、みんなが合同演奏会に本気で楽しんで取り組んでくれていたことが伝わり、うれしく思いました。

――引退まで残り半年となりますが、意気込みをお願いします

 合同演奏会を通して、前に立ってステージを完成させるという立場において、自分には足りない部分が多すぎると感じました。7月からは12月に行われる定期演奏会の練習が始まります。練習を通して、ドリルの奥深さ、格好良さ、全員でステージを作り上げることの楽しさを伝え切って、本番を迎えます。

新延万里奈ガードチーフ(GC、※3)(人4=広島・広島大付福山)

――まずは合同演奏会を終えて率直な感想をお願いします

 3年ぶりに合同演奏会が開催されたことに、心からうれしく思いました。また、プレイヤーとして一度も合同演奏会への出演がかなわなかった身でもあるので、感慨深い思いもありました。

――ガードチーフとして、今回のステージにはどのようなかたちで関わりましたか

 振り付けと指導に少し携わりました。また、本番の衣装を他大学のガードチーフと一緒に考えたりなどもしました。

――振り付けでこだわりを持った点はありましたか

 振り付けを担当したのがドリルステージの冒頭だったので、短い部分ではあるのですが、ステージの幕開けとして華やかに堂々と見えるような振り付けを意識しました。

――担当したステージのパフォーマンスはいかがでしたか

 ステージを袖から見ていて、カラーガードの皆の堂々とした姿に心打たれました。六大学で演奏会をすることの意義として、他大学から良い影響を受け、共に高め合うことができる点だと思っているので、そのようなパフォーマンスを見ることができ、とてもうれしく思います。

――引退まで残り半年となりますが、意気込みをお願いします

 今回の合同演奏会を通して、プレイヤーのみんなはもちろん、私自身も六大学のガードチーフや下級生から多くのことを学びました。引退前の最後のステージとなる定期演奏会では、観客の方々を魅了するステージを作ることができるよう、力を尽くしたいと改めて思います。

吉田多映子指揮スタッフ(教4=大阪・早稲田摂陵)

――まずは合同演奏会を終えて率直な感想をお願いします

 最高に楽しい演奏会になりました。改めて東京六大学のつながりを感じることができましたし、充実したものになり、本当に良かったです。

――今回のステージにはどのようなかたちで関わりましたか

 指揮者としてではなく、1人の奏者として参加しました。練習を通して各大学のカラーや雰囲気を体感して、良い刺激を受けました。

――選曲でこだわりを持った点はありましたか

 テーマである『燦(きらめき)』を意識して選曲しました。

――担当したステージの演奏はいかがでしたか

 全員が1回きりのステージを心から楽しんでいる、そんな空気感に溢れていて、私自身も思わず笑顔になりながら演奏しました。この演奏会に関わることができて本当に良かったです。

――引退まで残り半年となりますが、意気込みをお願いします

 これから吹奏楽団は夏のコンクールを迎え、秋リーグではさらにレベルアップした演奏を神宮球場で響かせますので、ご期待ください。そして定期演奏会では、吹奏楽で躍動と感動をお届けできるよう、最後まで走り抜けます。

※1 チアカレッジやチアステージの構成や、スタンツ、ダンスの振り付けを考える役。

※2 バンドの指揮者として、ステージ全体での動き(コマ)と構成を考える役。チーフドラムメジャーは、六大学ドラムメジャーの代表。

※3 カラーガードの振り付け(操作)を考える役。