吹奏楽団より「愛」を込めて。1年間の感謝を伝えるステージ

応援

 「愛」をテーマに開催された第58回定期演奏会。応援部吹奏楽団にとって、1年間の集大成となるこのステージは、昨年に引き続きコロナ禍という目に見えない不安に振り回されながらも、有観客で開催された。実際に観客を目の前にして、京極明日香演奏会運営責任者(国教4=早稲田佐賀)が意識したという「自分たちが愛を届けたい相手に対して、想いが伝わる様なステージ」を体現できたと、部員一人ひとりが感じることができたのではないだろうか。

 第一部の幕開けは『喜歌劇「こうもり」セレクション』で、華やかで明るい曲調は観客を一気に音の世界へといざなう。この曲は夏に同じ会場で行われた吹奏楽コンクールでも披露した曲であり、4ヶ月の成長を感じた部員は多かっただろう。続く『ヨークシャー・バラード』はゆったりとした旋律で魅了し、力強いシンバルと共に始まる『アルメニアンダンス・Part1』では雄大でありながらも伸びやかな演奏で、この曲の持つわくわく感を会場いっぱい響かせた。

第二部『美女と野獣』

  第二部では耳馴染みのあるポップスを吹奏楽団ならではのアレンジで演奏。ディープ・パープル・メドレーは誰もが知るギターリフをスタンドプレーも交えて3曲披露。『カイト』は曲に込められた「未来に向けて頑張る人を応援する気持ち」を載せて演奏した。第二部の最後に、スクリーンに映し出された大きな花の下演奏された『美女と野獣』は美しく儚い情景が浮かぶ演奏であった。

久々の披露となった華やかなドリルステージ

 幕間のアンサンブルを挟んで、第三部。ドリルステージは『Moulin Rouge』のストーリーをドリルの隊列やカラーガードで美しく表現。一糸乱れぬドリルと華やかなカラーガードが織りなす世界は吹奏楽団の表現の幅広さを改めて感じさせるものだった。そして最後にはリーダー・チアリーダーズと共に応援ドリルステージを披露。最後のコンバットマーチは神宮球場での応援配置のように展開し、吹奏楽団の音をリーダーの拳の先まで届けた。応援にとってなくてはならない吹奏楽団、彼らの力強い一面が応援部にとって不可欠であることを改めて認識すると共に、応援とは違った繊細な一面が光る演奏会であった。応援部吹奏楽団はこれからも様々な想いを載せた演奏で「愛」を伝えてくれるだろう。

(記事、写真 市原健)

コメント

京極明日香演奏会運営責任者(国教4=早稲田佐賀)

――定期演奏会全体を振り返っていかがですか

まさに、1年の集大成と言えるステージが開催出来たのではないかと思います。8月に定期演奏会と同じホールで吹奏楽コンクールがあったのですが、結果は銅賞。目指した賞に届かなかった悔しさを胸に迎えた定期演奏会では、1曲目にコンクールで自由曲として演奏した楽曲を披露しました。4ヶ月前よりもずっと良くなった演奏を肌で感じながら、この1年間の部員新人の努力が実った瞬間に心が震えました。 また、本年度は演奏会部門だけでなく、部員新人全員で定期演奏会を創り上げていくという事を意識してきました。下級生の意見を積極的に取り入れる事で、今年らしい演奏会が開催出来たのではないかと思います。 十分な準備時間が確保出来なかった中でも、各々が工夫して練習や準備に取り組んできたこの4ヶ月間に応援部らしい泥臭さやこの代らしい諦めない姿勢が現れていたと感じます。

――有観客での開催でした、開催までで苦労したことは

有観客では無観客開催よりも、観客の方々も部員新人も少なからず感染症に罹患するリスクが高まります。その為、判断は慎重にならざるを得ませんでした。そのような中でも、初心者で入部してきた新人が苦戦しつつも日々練習に取り組む姿や、そんな新人をサポートし、一緒に練習に付き合う2年生、3年生の姿を目にし、彼等の努力の成果を是非とも日頃お世話になっている方々に直接感じていただきたいという想いが捨てきれず、有観客での開催に踏み切りました。しかし、最終的な判断は私達ではなく、大学やホールに委ねられます。その為、常に様々な開催パターンを検討しつつ、その中で一番良い形でパフォーマンスを披露する事が出来る様な企画・構成を考える事が難しく、大変でした。

――演奏会の構成について、特にこだわった部分を教えてください

1つだけを挙げることはとても難しいのですが…(笑)。 全体を通じて、観客の方々に楽しんでいただくという事を第一に構成を考えました。昨年度、一昨年度のアンケート結果を分析し、演目の時間を見直したり、選曲の意図が伝わる様な演出にこだわりました。本年度の定期演奏会のテーマは「愛」と設定しましたが、自分たちが愛を届けたい相手に対して、想いが伝わる様なステージに出来るよう意識しました。

――補佐の3年生からの働きかけについてはいかがですか

補佐達がいなければ今回の定期演奏会の成功はありませんでした。補佐は私にとって、迷った時に相談出来るパートナーの様な存在でした。1人1人がステージに対するこだわりを持ち、それぞれの長所を生かして活躍してくれました。補佐達と一緒にこの定期演奏会を創り上げる事が出来た事は私にとってかけがえのない経験であり、来年度、彼女たちらしい演奏会を創り上げてくれる事を期待しています。

――新人にとって初の定期演奏会だったと思います。見ていていかがでしたか

今年の新人は本当にエネルギッシュで、私の方がいつもパワーをもらっていました。私が新人の時は自分の事で精一杯だったのに、初心者の新人と経験者の新人が一緒に練習していたり、特に、大学から始める人が多いステージドリルの練習では、新人同士助け合いながらどんどん成長していく姿に刺激を受けていました。また、本年度は新人や2年生にも積極的に定期演奏会の企画に関わってもらい、3、4年生だけでは生み出せなかったアイデアをたくさん実現する事が出来ました。彼らと一緒に演奏会を創り上げる事が出来て本当に楽しかったですし、私たちらしい演奏会になったのではないかと思います。ステージ上で輝く彼らの姿は、今までの苦労が全て忘れられるくらい素敵でした。一緒に定期演奏会を迎えられて良かったです!

――同期の方へ一言お願いします

不甲斐ない私をずっと支えてくれてありがとう!最後のステージ、一緒に乗れて最高でした!

横倉海唯演奏会広報責任者(人4=東京純心女子)

――定期演奏会全体を振り返っていかがですか

まずは無事定期演奏会を終えられることができ、ホッとしています(笑)。準備から本番まで、本当に怒涛の日々でした。11月に行った秋季合宿の際は、本当にあと3週間程で定期演奏会が開催できるのか、個人的に不安で仕方がなかったのですが、無事開催することができて本当に良かったです。 演奏会自体は、今までの努力が実を結んだ演奏会であったなと思います。演奏会部門はもちろんですが、部員新人の皆が本当によく頑張ってくれました。特に4月に楽器初心者で入部した新人にとって、沢山の難曲を演奏し切るだけでも相当大変であっただろうし、中々上手くいかないことも多かったと思いますが、よく諦めず、練習を積み重ねていってくれたなと思います。部員新人全員がこの日のために努力してきて、その成果が出せて良かったと心から思います。

――有観客での開催でした、開催までで苦労したことは

コロナ禍での開催ということで、ぎりぎりまで有観客での開催ができるか分かりませんでしたが、無事開催することができ本当に良かったです。やはり演奏会は生で聴いて、見て、楽しんでもらいたいですし、奏者側も音を届けたい相手が目に見える形で演奏した方が気持ちも込めやすいので、絶対に有観客開催をしたいと考えていました。可能な限りこれまでの演奏会と同じような形で開催したいという思いもある中、どのように感染症対策を行うか、さまざまな方々と検討を進めました。また、学校やホールの最終的な判断を待ちながらも、広報活動を進めていくのが難しかったです。

――演奏会において、特にこだわった部分を教えてください

演奏会広報部門は主にポスターやパンフレットなどの、印刷物の作成を中心に取り組んでおり、本年度は特にこちらに力を入れることができました。パンフレットは、本年度のテーマである「愛」を最大限に活かしたページや、部員新人全員に手書きで書いてもらうページなど、大変想いのこもった素晴らしいものが出来上がったと思います。

――補佐の3年生からの働きかけについてはいかがですか

補佐の3年生には感謝しかないです。補佐が「こうしたい、ああしたい」という意見を沢山出してくれて、例年にないことも挑戦できましたし、素晴らしいポスターやパンフレットが完成したのも補佐のお陰です。補佐も演奏会まで怒涛の日々だったと思いますが、一緒に頑張ってくれてありがとうと伝えたいです。

――新人にとって初の定期演奏会だったと思います。見ていていかがでしたか

新人の成長のスピードは本当に目覚ましく、驚かされてきましたし、新人の頑張る姿に私の方が元気を貰ってしまう毎日でした。今年の新人は特に、元気いっぱいで、吹奏楽団全体の半分弱いるため、新人のパワーが部全体を明るくしていました。また、何事にも積極的で、広報活動や部内企画にも自分から関わりたいと言ってくれて、多くの斬新なアイデアを出してくれたのもとても助かりました。取り入れられなかった案もあるので、ぜひ来年度以降挑戦してみてほしいです。 最初にも話したように、練習に付いていくだけでも大変だった子もいると思いますが、皆が頑張ってくれたお陰で1年の集大成となるような演奏会にすることができました。最後に今の新人18人全員と一緒にステージに乗ることができて本当に良かったです。

――同期の方へ一言お願いします

今まで本当にお疲れ様でした。各々が大量に仕事を抱えていた中でも私を助けてくれて、支えてくれてありがとう。京極とは一緒に演奏会部門やれて良かったです。無事開催できて運営もちゃんと回ったのは京極のお陰です。本当にありがとう。