豪華ステージで忘れられない『記念日』に

応援

 幕が上がり、満員の大隈講堂が歓声に包まれた。総勢86人のチアリーダーズの笑顔が華開く。ことしもチアリーディングステージ2017(チアステ)が開催された。テーマは『Anniversary』。40周年という節目を迎えるBIG BEARSを祝福するテーマであると同時に、「私たちにとってもお客様にとっても特別な日にしたい」と4年生は口をそろえた。

 圧巻のトス(※1)から始まったオープニング。『Welcome tо Cheerleading Land』の文字が目に飛び込んでくる。演技の1つ1つを遊園地に見立てたムービーで観客をチアリーディングの世界へと誘った。インカレAチームの演技では時に観客と一体となり、圧巻の技を次々と繰り出す。続く平場メドレーでは4つのダンスナンバーが競演。可愛らしく、妖艶なダンスで魅了した。第1部の最後はスタンツ(※2)メドレー。様々なアトラクションになぞらえて、各制作者がユーモアあふれる紹介を見せた。魅力たっぷりの演技が続き、男子チアリーディングチーム「SHOCKERS」との迫力満点のコラボ演技で締めくくった。

新衣装で全員そろっての『OPNING』

 第2部はBIG BEARSが1年を通して行っている応援が中心となった。早慶戦メドレー、春曲、秋曲と続き、始まったのが毎年恒例の六大学幹部ステージ。普段はライバル同士の六校が一堂に会し、それぞれの応援歌に合わせて息の合ったスタンツを披露した。応援ステージでは共に応援活動を行っているリーダーや吹奏楽団もステージに登場。「3パートで応援を作っていることを伝えたかった」(佐藤みのり応援企画責任者、政経4=米国・ノーザンハイランズ)という言葉通り、各パートが調和しまるで神宮球場にいるような熱気を呼び起こした。フィナーレでは86名全員がステージに上がり最後の演技を見せる。幕が下りると同時に鳴り響いたのはアンコールを求める観客からの惜しみない拍手。それに応えるように、再び全員が登場しアンコールの演技が始まる。「ありがとう」。感謝の言葉とともに『記念日』は幕を閉じた。

アンコールでは『CANDY SMILE』を披露した

 華やかな笑顔と圧巻の演技で感謝の気持ちを存分に伝えたBIG BEARS。一方でノーミスで全演技を終えられなかったことに対する後悔の念も口にした。しかし、観客に86名の思いは十分に届いたであろう。「感謝の気持ちを忘れずに」「日本一の応援を届けてほしい」。様々な思いを胸に、40周年のその先へ、BIG BEARSは新たな1歩を踏み出す。

※1 スタンツにおいて、下の人がトップの人を高く飛ばすこと

※2 チアリーディング演技における組体操のようなものを示す

(記事 榎本透子、写真 今山和々子、中村朋子)

コメント

鷲塚舞衣チアリーダーズ責任者(商4=東京・実践女学園)

――まず、きょうのステージを振り返っていかがでしたか

 自分の中では後悔が残っています。お客さんにはよかったと言っていただいているんですけど、演技でノーミスを出せなかったことがとても悔しくて。自分も運営の力量不足だと思っています。

――以前、ケガをしないように、ミスを少なく、とおっしゃていましたが、1年間こだわっていた部分だったんでしょうか

 直前に混乱したこともあったんですが、大きなケガ人が出なかったことはよかったです。ノーミスという目標が達成できなかったことは悔しいですが、今年度この先大きいステージが無いので来年度以降はノーミスというものを突き詰めて欲しいと思います。

――今回の『Anniversary』というテーマでしたが、そちらに関してはいかがですか

 個人的に忘れられないものになってよかったです。もともと、部員にも来ていただいた関係者の方にとっても忘れられない記念日のような日になるようにという祈りを込めて掲げたんですけど、個人の中ではいい意味でも悪い意味でも印象深いステージになりました。部員はノーミスが達成できなくて、演技では悔しい部分もあったと思うんですけど、それ以外の部分でたくさん得られたことがあったらいいなと思っています。

――オープニングでは以前言っていた、新しい衣装によって全員同じ衣装でのステージとなりましたがそちらはいかがですか

 一体感は以前と違うかなと思っています。衣装を着ると気分も変わりますし、衣装によって気分も変わるので一発目の曲ということで決めなければいけないという場面で、全員がバラバラではなく同じ衣装を着たことで一体感は生まれたかなと思います。

――『FINALE』に関して気を付けたこと、こだわりなどありました

 きのうまで技術コーチに指導されていた部分で、冒頭の難易度の高い技があったりと全体として難易度の高い演目だったので、成功が出にくい曲でした。昨日、技術コーチに指導された部分を自分自身も気を付けるようにしましたし、部員にも直前に思い出してやるようにとは伝えていました。とにかく落ち着いて気を付けるべきところを気を付けて演技をするようにとは伝えていました。

――チアリーダーズ責任者として1年間活躍されましたが、1年間振り返っていかがですか

 最初は、自分が早大応援部チアリーダーズ86人いる団体の責任者が務まるのかというように不安を感じていました。人が多いと自分の目が届く範囲も限られてしまいますし、大きなケガが起きたらどうしようとか、このステージに関してもケガ人が出たら緞帳を下げてステージを中止するというのは最初から決めていたというほど不安でした。また、BIG BEARSの顔になるということで、私の行いでチアリーダーズ全体の印象が変わってしまうということを念頭に置いて行動してました。全体に呼びかけることも多くて。例えば、練習の前の集合でどういう言葉をかければ部員のモチベーションを高めることができるかとか、練習後でしたらどういう練習の振り返りをすれば次に向けて事前準備などを重ねて練習に臨んでくれるかというのは考えて発言するようにしていました。発言をすることが多い役職だからこそ、自分にできることは何だろうと常に考えていました。特にこのチアリーディングステージまでは私が懸ける言葉が部員のモチベーションを上げることを満たしているかというのは考えていました。

――4年間共に過ごしてきた同期への思いはありますか

 とても頼れる同期でした。心の底から信頼していて、仕事面だと意見がぶつかることもあったんですけど、ふざけるときはふざけて一緒にいて楽しいですし、みんなすごく自分の考えを持っていて勉強させられることが多かったです。応援部に入ってよかったことはと聞かれれば今の同期と同期でいられたことと真っ先に言うと思います。

――下級生へのメッセージがあればお願いします

 一言では表せないんですが、こんな私についてきてくれてありがとうということですね。私自身、大勢の前で力強く引っ張っていけるタイプではなかったんですが、私なりの性格をどういう風に活かしたら下級生に伝えられるかなと考えていました。

飯尾紗映連盟常任委員(スポ4=埼玉・浦和一女)

――今回のステージを振り返って、いかがでしたか

とにかく、楽しかった、の一言です。

――テーマが『Annversary』ということで、テーマに関する思いなどはありますか

今年度で、チアリーダーズの創立が40周年ということで、そのお祝いも兼ねてこのステージを通して、みなさんに日頃の感謝とかを伝えられたらいいなと思い、最初にテーマを4年生で決めるときに決まりました。

――連盟常任委員ということで、連盟ステージにおいて工夫した点や気をつけたことなどはありますか

全員でやる最初で最後のステージなので、思い出に残るようなステージにしたいということと、4年生の意地ということで、大技とかにも挑戦して、4年生の集大成を六大学で見せられたらなと思い、構成を作りました。

――六大学の他大のチアリーダーズへの思いなどはありますか

4年間、神宮球場で戦ってきたという面もあるのですが、一緒に運営してきたということもありますし、特に連盟常任委員ということでやらせていただいているので、連盟行事を四年間一緒に協力して作ったという思いとかもあって。大学は違うのですが、大学を超えて絆を感じられる仲間だと思います。

――六大学野球での話が出ましたが、今年一年間を振り返って、応援の面ではいかがでしたか

春のシーズンよりは、秋のシーズンの方が仕上がっているというか、応援で観客席が一つになるいう機会が多かったと思いますし、特に4年生だけに限定すれば4年生の中で、意思疎通だとか一体感というのも生まれて、下級生も引っ張れたのかなと思います。

――1年間連盟常任委員として、改めていかがでしたか

東京六大学応援団連盟というつながりがすごく伝統があるものなので、そこを大事にしたくて、それを引き継ぎたいという思いが入部した頃からあったので、自分が4年生の時にまた次の代に引き継ぐことができたのかなと思うと、すごくそこは良かったかなと思います。また、連盟を好きと言ってくれる下級生も増えたので、それはすごく嬉しいことだと思います。

――下級生の話が出ましたが、下級生に向けて、どのようなメッセージを送りたいですか

そうですね。早稲田大学だけにとどまっているとできないつながりとか、絆とかもあるので、せっかく東京六大学応援連盟に所属しているからこそ他大学のつながりを大事にしてほしいと思います。

――4年間一緒に活動してきた同期に向けてのメッセージをお願いします。

一言、「この同期で良かった、ありがとう。」というきもちです。

大津由梨奈ステージ広報責任者(国教4=茨城・土浦一)

――今回のステージを振り返って

今回のステージは例年と違うことを多くしました。例えばメドレー形式をたくさん作りました。人数が多い分、1つの演技に多くの人を出すことができなかったので、分けた曲を4曲つなげるなど工夫しました。最初はどうなるか不安だったんですけど、結果みんながそれぞれ個性を出してこだわることができたステージだったと思います。

――『Anniversary』というテーマについてはどうお考えですか

40周年を迎えるBIG BEARSというチームへ贈るものでもありますが、チアリーディングステージは私たちにとっても大きなイベントなので、私たちにとってもお客様にとっても特別な日に、記念日になるようにという思いを込めました。

――40周年だからこそ例年とは違ったステージにしようと考えたのですか

40周年にこだわってはないんですけど、やはり節目となる年なので、できることは新しくしてみようと考えていました。

――今回の『FINALE』はご自身でどう評価されてますか

けっこう練習の時点で苦戦したことが多くて、本番前の練習でもミスしてしまう技もありました。コーチから「(その技は)やめておけ」と言われてしまう場面も多かったです。ですが、本番みんなの気持ちが1つになって上げることができたので本当によかったと思っています。

――具体的にはどの技に苦戦されましたか

何機も上がるスタンツの場面で誰かが落ちてしまったりして、全部がぱっと決まることがあまりなかったです。ですが本番は、いくつかのミスはありましたが、迫力のあるステージにできたんじゃないかなと思っています。

――ステージ広報責任者としての1年間を振り返って

11月18日のためだけに広報として就いているんですけど、宣伝するだけじゃなくて協賛団体であったりとかいろいろな方々と関わりながら過ごす1年だったので、けっこう早い段階からチアリーディングステージを意識することができました。かつ自分が直接このステージに関わるので、たくさんの人に支えてもらっているんだなと直に感じてモチベーションが高まりながらきょうを迎えることができました。

――きょうのステージに点数をつけるとしたら何点でしょうか

楽しめたんですけど、まだ完璧ではなかったですし、もっとできたなという部分もあったので。自分に甘くしたくないので85です。

――4年間を共にした同期への思いは

13人という人数で、今の4学年で一番少ないんですけど、1人1人の個性が強いんです。いい意味で気が強くて、絶対決めるというものはみんな絶対決めるし、意見があったらなあなあにしないで言いたいことを言ってくれます。あとみんな体力がすごいです(笑)体調を崩さないまま本番に挑むことができました。本当に信頼できる自慢の同期です。

――人数が少ないからこそ団結力が強まったのでしょうか

もちろん人数も関わると思うんですけど、みんな最初から応援部に対する愛を持って部に入ってきたので、より団結力が強まったと思います。本当に特別な同期です。

――これから活躍が期待される下級生への思いは

人数が多いということがあって、埋もれようと思えば埋もれてしまう団体だと思いますけど、逆にそこで自分は絶対これをやると決めれば必ず輝けるし、見てくれる人が絶対いると思います。それが応援部という団体なので、常に感謝の気持ちを忘れずに成長していってほしいと思います。

佐藤みのり応援企画責任者(政経4=米国・ノーザンハイランズ)

――今回のチアステを振り返って

4年目の、1番最後のチアステということで、4年目なんですけど1番緊張しました。でもとりあえず悔いの残らないステージにしようって考えて、結果自分的にはすごく満足のいく結果にできたので本当に今まで頑張ってきて、4年間の集大成を見せられてよかったです。

――テーマの『Anniversary』についてはどうお考えですか

『Anniversary』っていうのは今回、BIG BEARSが40周年という節目の年ということでテーマにさせていただきました。でもそれだけではなくて、きょうという日がお客様にとっても私たち部員にとっても一生の記憶に残るような記念日にしたいという思いで『Anniversary』とつけたので、このテーマを付けた以上、きょう来てくださったお客様には記念日のように、一生思い返していただけたらな、と思います。

――応援ステージを作る際に気を付けたことは

1番気をつけていたのは、チアリーディングステージはチアリーダーズがメインなんですけど、応援ステージは唯一応援部のリーダー、吹奏楽団の3パートで一緒にステージに立たせていただけるということで、リーダーも吹奏楽団もチアリーダーズもそれぞれの見せ場を作って、3パートで応援を作っていることをお客様に伝えられるようにしたことです。

――1年間、応援企画責任者として活動する際に気を付けたことは

最後まで絶対に諦めないことです。応援している以上、常にうまくいくわけではなくて、どうしても苦しい展開になってしまったりするんですけど、そこで応援部が諦めてしまったら応援部の存在価値がなくなってしまうので、絶対に応援部だけは最後の最後まで諦めないって気持ちを持って1年間取り組んでまいりました。

――ステージでは同期から「ケンカもした」などの言葉もありましたが

本当に実を言うと、すごくケンカは多かったです(笑)。応援を作る上でどういう応援にしたいかっていうのは3人それぞれ考えを持っていて、その考えが必ずしも一致するとは限らないので言い合いはすごく多かったんですけど、でも3人がそれぞれの意見を持っているからこそ、3人にしか作れない1つの応援の形っていうのができたと思うので、言い合いをしたからこそことしの応援ができたと私は思っております。

――下級生へメッセージをお願いします

応援部は歴史が長くて伝統がある部活なので、下級生にはこれからもワセダが誇る応援というのを受け継いで、日本一応援を、日本一を目指す体育各部にこれからもずっと届けていってもらいたいと思います。

前原よしのトレーニングチーフ(教育4=神奈川・横浜女学院)

――きょうのステージを振り返っていかがでしたか

今までで1番人数の多いステージで、正直直前までどうなるかわからなかったです。本当に、ケガ人が出るんじゃないかという不安も大きかったんですけど、本番迎えて、たくさんの声を聞いてみんながキラキラの笑顔で楽しめたのが1番良かったかなと思います。

――トレーニングチーフの視点から見て、きょうのステージは普段の練習の成果が出せたのではないでしょうか

トレーニングチーフだからこそ正直ちょっと悔しくて…。本当は全部あげたかった、落とすことがなく演技をやり切りたかったなと思ったのですが、それが出し切れなかったのはいまのチームの実力かなと(思います)。4年生が引退するまであと1ヶ月あるので、その間に下級生の底上げをして、これからもっと引っ張っていかないといけないなと思いました。正直悔しかったです。

――きょうのステージまでの練習で、1番つらかったことは何ですか

演技の数がすごく多いので、カウントとかコールとか、元々覚えた状態で練習に臨むのが理想的なんですけど、いざ練習を始めてみたら誰もほとんど覚えてなくて、練習にならなかったときが1番つらかったです。

――この役職で1年間やってきていかがでしたか

チームの問題点と直面することが多くて、人数は多いのに技術が全然追いついてこなくて…。もどかしい部分があったんですけど、逆に下級生がこういうの練習させてくださいって言いに来たりとか、そういう意識の面が変わってきたのが見れたのが嬉しかったなぁと思います。自分のこの役職だからこそ、成長を身近に感じられたのは1番嬉しいし、残りの1ヶ月も頑張りたいと思えるような雰囲気を作っていきたいと思います。

――下級生に向けてメッセージをお願いします

大好きなんですけ、もっと出来るなって思います。甘えずにということです。いまは4年生がいて、その下に下級生というようになっているんですけど、もっと下級生からガツガツ来ていいなと思うし、このチームを引っ張っていくのはみんなだからこそ、みんなだけでも、もうBIG BEARS名乗れるくらいになるチームになって欲しいです。

――最後に、一緒に頑張ってきた同期に向けてメッセージをお願いします

同期のことは本当に尊敬してて、どうしてこんなに仕事出来るんだろうって人たちばっかりで、自分がいつもまだまだ足りないなぁと思うところも嫌な顔をせずにカバーしてくれる同期がいたからここまで頑張れたと思います。だからこそ自分がトレーニングチーフとしてもっとこのチアステに向けて出来たことがあったんじゃないかっていうのがすごく悔しかったんですけど、同期には本当に感謝の気持ちしかありません。大好きです。