応援部の華形とも言えるリーダー。特に4年生である幹部は応援中センターに立ち応援部全体を指揮する応援部の象徴的存在だ。そんな櫻井康裕代表委員主将(社4=群馬・中央中教校)、舟橋寛元副将(文構4=福島・日大東北)、田路進太郎新人監督(商4=兵庫・淳心学院)、井上雄太連盟常任委員(教4=愛知・海陽学園)ら4人の幹部に最後の野球早慶戦への意気込みをお聞きした。
※この取材は10月19日に行われたものです。
「神宮で応援部を見て、大学に入ったら絶対にこれをやるしかないと思いました」(井上)
『六旗の下に』で『紺碧の空』を振る井上
――応援部に入部したきっかけは
櫻井 最初入るつもりはまったくなかったんです。たまたま配られたビラの中から応援部のものを見つけて、神宮観戦ツアーがあったんです。要は応援席に行こう、みたいなものなんですけど、それに参加して、応援部を見て、いいなと思ったので入りました。応援部に入りたいから参加したわけではなくて、無料で野球を見られるしそのあと無料でご飯も食べられるから、行ってみようかなって思って行ったら入る感じになりました。
――その流れで入った、ということですか
田路 バトミントンサークルも行ってたよな?
櫻井 バトミントンもやってたのでバドミントンサークルに入るつもりだったんですけど、応援部の方がいいなと思ったので応援部に入りました。
――みなさんはいかがですか
舟橋 僕はもともと仮面浪人をしてワセダに入ったんです。仮面浪人中に勉強のモチベーションを上げるためにYouTubeとかのワセダの動画を見ていたら、校歌『都の西北』や『紺碧の空』ではやっぱり応援部が前に出てきてやっていて、それを見て応援部の存在を知りました。そのときは応援部に入ろうとは思っていなかったんですけど、自分は厳しいというか、かっちりとした団体に入りたかったのと、大学4年間くらいは部活に入ってもいいかなと思っていたので、競スポ(競技スポーツセンター)の体育各部一覧を見て、初心者からでもできそうな応援部に決めました。
井上 僕は高校のときから入りたいと思っていました。初めて見たのは高2の春、神宮球場に来たときなんですけど、小さいころからいろんなスポーツを見ていてワセダに行こうと決めていて、それで神宮で応援部を見て、「大学に入ったら絶対にこれをやるしかない」と思いました。そこからはワセダの応援部に入るためだけに勉強して、合格して、入部しました。
田路 僕は指定校推薦で大学に入ったのでちゃんと勉強しなきゃ駄目だなって思ってて、入学してから何週間かは学読に通って新聞読んで、サークルとかまったく入らずに真面目なことやってたんです。でもサークルに入らなかったんで周りのみんな友達ができてて、自分だけ孤立してて、やばいなって思いながら道を歩いていたらたまたま応援部吹奏楽団のポスターを見つけたんです。楽器経験者じゃないんですけど、とりあえず友達が欲しかったんでその日にあった説明会に行こうと思ったんです。でも場所がどこか分かんなくて、応援部の部室を調べて行ったらそこがリーダーの部室で、「吹奏楽団に入りたいです」って言ったら「リーダーの方がいいよ」って2個上の先輩に言われて、応援部が何かも知らずにそのまま友達欲しさに入部しました。
――友達はできましたか
田路 こいつら友達なんですかね(笑)。
一同 (笑)。
田路 友達とも呼べないような…(笑)。
井上 友達以上のな。
――学読に通っていた頃と比べていかがですか
田路 そりゃもちろんこっちの方が(笑)。当時は日本経済新聞読んでました。
――新人時代の思い出やつらかったことはありますか
田路 自分は楽しかったらそれでいいや、みたいな、よく言えば天真爛漫な感じの性格だと自分では思ってるんですけど、そういうのが応援部ではよしとされる部分もあると思って、はっちゃけなきゃいけないし、自分の殻を破らなきゃいけないし、応援中は楽しそうにしなきゃいけないし、そういう面では自分の性格は応援部に合っていたと思います。でもやっぱりリーダーって上下関係が厳しいので、その部分に自分の性格がうまく合わなくて、上下関係で問題があって他の同期に迷惑をかけたりすることが多々あったので、自分の性格と応援部の性質があまりマッチングしないことが下級生時代は多くてつらかったですね。
井上 僕は大学入ってすぐに足の病気が見つかって夏ぐらいに手術をしたんで、そこから新人の間はずっと松葉杖だったんです。応援もできないし練習も出られないしで、応援がしたくて入ったのに練習も全然できてなくて、同期は練習しているのに自分はしていないのがつらかったです。たまにどっか行っては「動けないやつは使えない」って上級生が言うんで、嫌だなと思っていたことが多かったですね。
櫻井 自分たちが新人とか2年の頃は雰囲気も殺伐としていたので。重い荷物を持つことが多かったのでそれはつらかったですね。新人時代は雑用が多かったな、と。荷物運びとか雑用みたいなものが常にしんどかったです。例えば校旗や太鼓も絶対新人が運ぶので、大変でした。
田路 今こいつ(櫻井)、80キロくらいあるんですけど下級生のときは60キロくらいですごい細くて華奢な方だったんで荷物を持つのがつらかったんじゃないかと思います。うーん、でもあんま覚えてないです。
舟橋 自分は結構時間の拘束が長くて、夜になってるのに明日の予定も分からずに、寝る直前までメールや部内で管理しているカレンダーを見て、明日何もなければちょっと多く寝られるな、って感じでした。1時間先の行動も分からないから予定も立てられず、友達とも遊べず、オフもいつあるか分からないし。
田路 いきなり朝呼ばれたりな。
櫻井 確かに。いきなり深夜にメールがきて、「明日朝7時に集合」とか言われるんですよね。でも寝てたっていうのは言い訳にならないので、同期で起こさなきゃいけないんですよね。
井上 深夜2時に「明日7時に集合」と連絡がきたこともあって。起きてたからよかったけど…。
田路 自分たちはそういうのが嫌だったんで、自分たちが幹部になったらそういうのは直そうって言ってました。今は1週間後の予定とかも出てるんですけど、昔は次の日もなんも分からんかったな。
舟橋 時間の拘束のつらさはありました。
「リーダーは他の部員を引っ張るリーダー的存在であってほしい」(舟橋)
『六旗の下に』で『伝統の勝利の拍手』を披露する舟橋
――ことしの応援部はどんなカラーですか
櫻井 ことしは自分たちが4年間いた中では1番風通しがいいんじゃないかと思いますね。
田路 風通しの良さを目標にしてますね。
櫻井 それを1つの目標にしてやっていますね。すごい陰険だったり殺伐としすぎていると、続けるのも困難になっちゃうかな、って思って。
舟橋 雰囲気の良さをリーダーの目標の1つにしているんですけど、ただ難しいのが自分たちは4年生だから下級生の本当の気持ちは分からないんですよね。下級生の気持ちはどんなことをしても下級生自身にしか分からないので難しいですね。
田路 自分たちからしたら、自分たちが新人のときより健全な団体になってるんですけど、やっぱり応援部独特の上下関係や厳しさが薄らいでる部分があるんで、そういう下級生に対しては甘えてるなと思うこともあります。でも時代に合った流れなんで仕方ないかなと思います。
櫻井 よく言えば健全で風通しがいい団体だよね。自分たちは何かあったらすぐ呼ばれて、例えば罰練習っていうのがあって、何かミスしたり態度が悪かったりしたら呼び出されて、腕立てを地面でやったりみんなで輪になってスクワットを延々とやったり、人によっては学ランのまま走ってそのままついていかなきゃいけなくて、そのままおんぶをしたりとかしました。その頃は本当に緊張感というか、何かやったら大変なことになるという危機感がありました。風通しがよく健全になった分下級生の緊張感が緩んだりして悪い面もあるので、いいことばかりとは言えないです。でも昔に比べたら恐ろしい部分はなくなったかなと思います。
――応援部全体年間目標の『前へ』に向けて取り組んでいることはありますか
櫻井 先ほど言った健全化、時代に合った部の雰囲気づくりも『前へ』という目標の一環ではあります。
――ことしの夏合宿でテーマや意識したことはありますか
舟橋 全員で10日間、1つのリーダーという組織の中でまとまっていくことです。ワセダにいたら授業や個人の生活があると思いますが、合宿は10日間ずっと同じ仲間と過ごすので、とにかく応援部だけに打ち込むことができるので、リーダーの団結力を高めようという目標でした。全員がまとまることを意識した10日間でした。
田路 人によって違うんじゃない?櫻井やったら代表委員主将っていう部全体を見る立場なんでバンドとかチアも含めて全体のことを考えて、舟橋は副将でリーダー練習責任者なんでリーダーのことを考えて、自分だったら新人監督なんで、新人にとって初めての合宿をどうへこたらずに終えられるかなという、新人のことを考えて、井上は…。
井上 1番考えることなかったな(笑)。
田路 いやいや、応援企画責任者なんで、きたる秋のリーグ戦に向けて、どんな応援作ろうかなって考えて。応援部としてまとまるって目標ですけど、それぞれの役職ごとに夏合宿に向けての考え方とかは違うと思います。
櫻井 そうですね。でも4人ともリーダーなんで、1番の目標はさっき舟橋が言った「リーダーとしての一体感を求める」ですね。
――「合宿所が快適すぎた」という話をうかがったのですが
舟橋 過去最高レベルの快適さでした。普通だったら30人くらいで男子は全員雑魚寝、みたいな感じだったんですけど、ことしは4人1部屋でトイレも洗面所も各部屋にあってすごく快適でした。
櫻井 リゾートホテルみたいなところなんですよね。プールもあって、パターゴルフもできて、いろんな施設がついていて。
井上 ハングリー精神が養われんよな、あれは。
櫻井 ご飯とかもすごい豪華すぎて…。
舟橋 普通の体育各部だったらいい施設で練習効率を高められると思うんですけど、応援部ってハングリー精神とかを養われないといけないんですよね。
櫻井 極度に自分を追い込む、というか、睡眠時間も6時間とかで朝早くに起きて、ずっと練習をして、タイムスケジュールがかつかつに管理されているのでそういう中で体力的にも精神的にもめちゃめちゃ追い込んでやるっていうのが今までの夏合宿だったんですけど、今回はそういう意味ではかなりの快適さでした。
井上 帰りたくないレベルの快適さだったもんね。
櫻井 新人には「これが合宿なんだ」って思われたらちょっと…。
舟橋 あとは気候がすごく涼しくて、めちゃめちゃ練習しやすかったんですけど、応援部の、特にリーダーは(涼しさを)全然求めてなくて、もっと暑いところで、灼熱の中10日間乗り越えることによって、自分自身がブレイクスルーできる、みたいなことがことしはできてなかったかなっていう点もあります。
――ことしの新人の印象はいかがですか
田路 自分たちを含めて4学年の中で1番しっかりしたやつらが集まってるんじゃないかと思います。
井上 ちゃんとしてるよな、みんな。
田路 今の新人が創部80周年の記念の年の代で、六大学の連盟当番校の代とか、オリンピックの代とか、節目の年なんで、「お前らはそういう代だ」ということを常日頃から言っているので本人たちも自覚していて、しっかり真面目にやっていますね。結構期待できる学年だと思います。
舟橋 なんか泥臭い感じしない?ちょっと昭和感を感じますね。
櫻井 なんかリーダーっぽいよね。好き。好きです。
一同 (笑)。
舟橋 まあ1(年生と)4(年生)っていうのもあるけどね。
櫻井 確かに。
井上 みんな普通にやっていけそうだよね。
田路 みんないいやつっす。
――この4年間で後輩に伝えてきたことは
櫻井 自分の場合は、早大応援部は六大学の中、全国の応援部の中でも1番人数が多くて規模が大きい組織だと思うんですよね。でもその人数の多さに埋もれて、没個性の集団になってほしくないなと思います。数の多さに隠れて個人個人がさぼったりとか、陰に隠れて個性を発揮できないとかちゃんと真面目にやってないとか、そういう状況でも4年間続けることはできるんですけど、そうなってほしくないなと。数が多いからこそ個々の力を発揮してほしいな、ということはことしずっと言い続けてきましたね。
舟橋 私は指導するときに、例えば上級生が下級生を怒るときに、下級生から「上級生お前できてねえじゃん、それで注意すんのかよ」って思われるような上級生になりたくなくて。だから怒るからには自分ができてないと駄目だということは4年間意識してやってきました。あと4年になって、リーダーは他の部員を引っ張るリーダー的存在であってほしいと思うので、かっこよさとかリーダーシップは必要だと思って伝えてきました。
井上 僕は応援企画責任者で、ことしの部門の目標は「一体感」です。応援部は自己満足になってはいけないと思っていて、僕も3年のときからそれを考えてやっていたんですけど、選手がいて、お客さんがいて、応援部がお客さんをリードして選手に届ける、っていう三位一体感が大事だなって思っています。応援部だけになっちゃいけないし、観客に寄りすぎても選手に寄りすぎてもいけないので、そこをうまいこと調整して、三位一体になった応援を作るっていうのを大事にして、お客さんと選手両方に対してベストなものができるように、ということを伝えてきました。
田路 自分は新人監督という役職とは別に誘導対策責任者っていうのをやっているんですけど、3年生のときからそのサブについていて、自分が幹部になるまで、さっき舟橋が言っていたようにリーダーは部内でリーダーシップを取らなきゃ駄目だって思っていたんですね。でも学生誘導っていう、神宮の中でお客さんを誘導したりする業務にリーダーは、人数が少ないというのもあるんですけど全然当たってこなかったんですね。その補佐とか責任者とかについてみて、自分が知らないことをバンドやチアが知っていることが多くて、今まで自分は「リーダーが偉いんだ」じゃないですけど、「リーダーだから我こそが応援部」的なことを考えていたんですね。でもそうやってバンドとチアがいるから応援部が成り立っていることを感じました。ワセダの応援部はリーダーもバンドもチアも、どこが偉いとかそういうことはなくて、どのパートも同じ立ち位置で、みんなでやるっていうスタンスで、でもリーダーが引っ張っていかなきゃ駄目だよね、と思います。だから他パートも大事だよと感じましたし下級生に伝えています。応援部で1番大事なんじゃないかと思います。
櫻井は人付き合いが上手、舟橋はストイック、井上は頭が切れる、田路は面倒見がいい
お互いについて語り合う4人
――お互いを他己紹介してください
櫻井 田路は最初から変人だと思っていました。変わっている。最初の印象としてはやばいという意味で変人だったんですけど、最近はいい意味でも変わっているところもありますね。一言で言うなら変人ですね。井上はしゃべりだしたら止まらない。自分の好きなことに関してこだわりがあるのですごいしゃべるような。舟橋は人に厳しく、自分に厳しくという印象ですね。
舟橋 そんなに厳しくないよ(笑)。
櫻井 いいじゃん(笑)。そういうことで。
舟橋 そうですね。田路は面倒見がよくて。自分にはできない面倒見の良さで下級生とのコミュニケーションが上手いなと思いますね。応援部内での立場もありますが自分が一番、下級生とコミュニケーションを取ってないんです。その点はうらやましいです。田路は下級生のいろんな情報を持っていて、誰と誰が仲がいいとか、誰かがこんなことを言っていたとか自分は一切そういう情報が入ってこないので、全部田路から入ってきますね。だから新人監督という役職なのかなと。井上は頭が切れるというか、地頭がすごくて。応援中にしろ、司会にしろ。自分は舌が回らないんですけど、井上はしっかりしゃべっています。自分がものすごい時間をかけて準備したことを少ない時間でできるのでいいなと思います。櫻井は他のパートの批判を恐れず物事を言えることがすごいと思います。自分がそう思ったことはどんな批判を受けようとも自分のことを貫き通すことはすごいと思います。
井上 田路はしゃべりが上手くて、普段から喋っていて面白いんですよ。1回食事会ででまかせだけ話して終わったことがあって面白くて。口が上手いのので、証券マンとかやった方がいいんじゃないかと思うくらい口が上手いです。舟橋はストイックなので、人に厳しく自分に厳しいので、これって決めたらやるのでそういうところは尊敬しています。櫻井はカラオケとかに行くとおじさん世代の歌をすごい歌うんですよ。接待がすごく上手なんですよ。
一同 (笑)。
舟橋 OB方への対応は天下一品です(笑)
井上 人付き合いが上手ですね。
田路 応援部って少し変わっている人が多くて、普通のサークルとかの団体では少し浮くような人が多いんですけど、櫻井は普通ですね。他の団体でもうまくやっていけると思いますし、いい意味で普通ですね。
櫻井 凡人だからね(笑)。
田路 いや、いい意味で普通なところがあるので、俯瞰していろんなことが見れるので、これまでは応援部が一回変な方向に行くと止まらないこともありましたけど、常識人の感覚を持っているのでいいんじゃないかと思います。舟橋は自分が厳しいところもありますけど、一番天然キャラで一番とぼけているキャラクターが実は舟橋ですね。
井上 サイコパスだからね(笑)。
田路 自分は楽しくしているようなキャラで厳しくしなきゃいけないところでもそれを演じられないんですけど、舟橋は副将であったりリーダー練習責任者であったりと、厳しい役職についているので厳しい自分を演じれるという芯の強さがいいんじゃないかと思います。井上は好きなことへの集中力がすごくて。応援部ってスポーツに興味がないとだめじゃないですか。自分たちはある程度知っていても井上はそういうのに詳しいのですごいと思います。
――マイブームはありますか
舟橋 銭湯巡りですね。交代浴というのがあって、それに最近ハマっていて、それでとにかく疲労を回復して翌日の応援につなげるというか。最近それが気持ち良すぎて、毎日1時間ぐらいやっています。いろんな銭湯に行ってその銭湯の風情を楽しみつつですね。もうひとつはいろんなサプリメントを飲んでいて、アミノ酸とかグルタミンとか摂取して、疲労回復を図っています。というのも、自分は大学4年生で体力も衰えつつあるので。
櫻井 粉を直接飲むんですよ(笑)。口の周りを白くして(笑)。
舟橋 お金で解決できるならお金を準備してでも自分はとにかく解決したくて。体が資本なので。
田路 美味しいごはん屋さんを見つけて、休みの日は行ってます。一人暮らしなんですけど、実家じゃないので食べるものがやっぱり良くないのですし、特に下級生時代はつらいことばかりだったんでそれを楽しみにしてました。ネットで調べて予約して、美味しいごはん屋さん行くのが楽しみです。
井上 卒論と就活ですね(笑)。
櫻井 グミですね。お菓子が好きで、特にグミが。新しいグミが出たら必ず買って、 気に入ったらずっとカバンとかに入れておいて、新しいのが出たらまた見つけて食べるという(笑)。
――今のイチオシは
櫻井 今はフェットチーネグミのミニサイズですね(笑)。
――応援するときのルーティーンはありますか
舟橋 自分は神宮球場に向かうときに信濃町駅から行くんですけど、絶対このルートでしか行かないというのはあります。
井上 信濃町駅から大体同じ道でしょ(笑)。
舟橋 いやいや(笑)。例えば、この石畳を何歩踏んでここで下がって、また石畳を歩いてみたいな。歩数まではないですけど。絶対みんなは通らない、それがルーティーンです。
櫻井 自分も野球応援なんですけど、家の前にタクシー呼んで田路の家の前に止めて田路が出てきて一緒に行くことです。着いたら割り勘ですね(笑)。
田路 応援でテクを振るときは決まったストレッチをします。家でやってから神宮球場に向かいます。
井上 大事な試合の前とかは源兵衛に行って心を落ち着かせます。
――他のパートに対して思っていること、印象はありますか
田路 常日頃から思っているんですけど、応援部で一番大事なのは吹奏楽団だと思っています。リーダーがテクを振るにしても、チアが踊るにしても音がないと何もできないじゃないですか。ですけど、吹奏楽団の子って一番大人しいというかあまり自己主張をしないので、音という応援部の要のところを担っているといことを吹奏楽団の子たちにも自信を持って欲しいです。自分たちがいるから応援があるんだという気持ちを持って意見を言ったりとか積極的に、というのは思いますね。チアリーダーズは競技チアもやっていてすごいと思います。もう少し応援も、と寂しいですけど(笑)。
井上 チアリーダーズはもう少しこっちを見てほしいね(笑)。吹奏楽団は自信ない子が多いですけどワセダの体育会としての自信を持ってほしいですね。ワセダの部活は何部でも日本一を目指してやらなければいけないと思うので、もう少しストイックさが欲しいです。
舟橋 自分が楽器が一切できないので、吹奏楽団は純粋にできてすごいなと思います。自分が好きな応援の場面で『Shining』という曲を吹奏楽団は揺れて吹いているんですけどそれが一体感があって好きです。チアリーダーズは女性だけの集団で女性の世界という感じですね。普通の女性よりも少し強い印象です。
――個人的に好きな応援歌は
舟橋 テク振ってて気合い入るのは『紺碧の空』です。普通に曲として好きなのは『大地を踏みて』という昔にできた曲で、戦意が高揚します。あと新人の頃やっていた得点したときの校歌が好きで、今はやっていないんですけど『紺碧の空』のあとに少し速いテンポで校歌を歌うものです。理由はお祭り騒ぎというか一体感をすごい感じるからです。聞いてて感動するのは『早稲田の栄光』です。
櫻井 元々『早稲田の栄光』は副将の持ち歌だったようです。
田路 自分は『新人哀歌』が好きです。球場ではやらないですけど、合宿終わった後とかに歌います。60歳や70歳のOBの方も知っている曲で、内容がリーダーとしての苦悩とか4年間頑張って幹部になるという思いが描いてあっていい曲だと思います。
井上 『紺碧の空』ですかね。自分としてもすごい気合い入れてやります。あと『Viva Waseda』です。すごい盛り上がります、リズミカルで。あと、4年生にしか振れないテクがあって、自分が2年生のときの4年生が振っていたのを復活させて。自分は元々その存在を知っていたんですけど、始めたときに嬉しかったので、今やってて嬉しかったです。
櫻井 やっぱり校歌です!応援の最中にかける曲ではないんですけど、他の曲と比べて重みを強く感じます。だからこそ細かいところまでしっかりやろうと意識して試合後やっています。自然と好きになりましたね。
「応援部員一人一人が応援席で活躍することに期待したい」(田路)
デモンストレーションでセンターリーダーを務める田路
――今季の早慶戦で期待することは
櫻井 もちろん勝ち点です!早慶戦は別格というかリーグ戦の一環ですけど違った価値があると思うので、野球部も最後は意地を見せてほしいです。目の前で慶應の胴上げだけは見たくないので、また春と同じように慶應の優勝ブレイカーとしての役割も果たして、あわよくば勝ち点を取って最下位を免れてほしいです。
田路 応援部の集大成としての早慶戦なわけで、この1年間自分たちがリーダーとしてやってきた応援の完成度であったりとか気合いも拍手もすべてのリーダーとしての行動をしっかりとかっこよく見せることです。また部員全員がこの1年間での成長をいかなく発揮して応援部員一人ひとりが応援席で活躍することに期待したいです。
舟橋 自分たち4年生にとっては最後の野球応援で集大成なので、自分たちが積み上げてきたものを出して悔いのないようにやることです。
井上 応援部としても野球部としても最後なのでしっかり来年につながるように、来年も大丈夫だなと思えるように後輩が頑張ってくれることに期待したいです。
――今季野球部は苦しい戦いが続いています応援席からどう見ていましたか
櫻井 競ってた試合が多くてそれに負けてしまっていたなという印象です。選手たちがもがいて苦しんでいる中で、応援部は応援部なりに全力で応援したんですけど、何か応援として選手の力になれることがあったら良かったなと思います。ただ応援に関して後悔はないので、こちらとしても歯がゆい気持ちです。
井上 来年以降しっかりとチームを立て直してくれるような選手がいっぱい出できたので、その選手たちを期待して見てました。
田路 特にめちゃくちゃ野球部と仲が良かったわけではないですけど、明大戦で打たれてそこからベンチに入ってないですけど同じ商学部で一番仲がいい二山(陽平、商4=東京・早実)とか、熊田(睦、教4=東京・早実)とか4年生が重要な場面で出てきたり、スタメンをはっていない選手が代打や中継ぎで出てきたら純粋に応援したくなりましたし、勝ち負け関係なくうれしかったです。強い野球部の中で試合に出てキャンパスとは違う姿を見せてくれたのもうれしかったです。
井上 投手コーチの脇(健太朗、社4=大分・早稲田佐賀)と1年生の時から仲が良くて、投手コーチになる時も悩んでいましたけど今すごい大事な役割を果たしているなと思います。今季は試合中バタバタしていて何回も指揮台の前を通るんですけどいつも見てて大変なんだろうけど頑張っているなと思っています。実際「お互い大変だよな」と話してます。
櫻井 社学なので織原(葵、社4=東京・早実)と岡(大起、社4、東京・早実)と一緒で、そいつらが試合に出ると打てた打てなかったは関係なくうれしかったです。あと晋甫(佐藤、教4=広島・瀬戸内)とけっこうラインしたりするんですけど、秋は夏にけがをして出られない状況が続いていて、チームが苦しい中で彼もうまくいっていないと思うんですけど、キャプテンである彼の話を聞くと彼らは彼らなりに頑張っているので自分らはただ応援するだけだなと思いました。
舟橋 野球部の選手とあまり交流がないんですよね(笑)。でも純粋に思うのは、勝負の世界は大変だなということで、超名門の早大野球部に有名校からきて。甲子園も何度も出て有名校か集まってきている選手が苦しい状況が続いていて、勝負の世界というのは大変だと思います。
櫻井 みんな奈須怜斗(社4=宮崎・延岡学園)が大好きなんですよ。自分も一番好きで、応援をとても盛り上げてくれて仲良くしてくれるので、ベンチ入りは少なかったですけど応援席のMVPです!
――早慶戦は普段の試合と比べて何か変わることはありますか
田路 誘導が違います。学生誘導対策責任者ということで誘導のことですが、内外野を開けていっぱいお客さんが入るので早慶戦支援会の方と協力しながらトランシーバーを使ったりして球場外の列をさばきます。通常のリーグ戦よりスケールが大きいのでやりがいはありますし責任感をもってやらないとなと思っています。
井上 マイクがあることですかね。普段も登壇はしますけど、企画で朝9時からずっと続けてしゃべります。自分も3年生の時にやらせてもらった時は成長したなと思いました。3日間やったので声が出なくなりましたけど、早慶戦だけのことで楽しい思い出ですね。
田路 旗も4本あるよね。
井上 一番大きい旗を出して、上から降りてきて。趣がありますよね。
田路 通常リーグ戦だと、櫻井が1回と9回の校歌は櫻井がやって、7回は舟橋がやるじゃないですか。自分と井上は通常リーグ戦だと校歌を振る機会はないんですけど、早慶戦では7回の校歌を振れるのでそこは嬉しいです。
舟橋 みんなそうだと思うんですけど早慶戦が一番気合いが入ります。前日の金曜日に神宮にいって指揮台とかをつくるんですけど、日が落ちて外にでると、誰もいない球場で入口の通路にだけ灯りがついている光景が見れて、幻想的だなと思います。下級生時代は準備日はただつらかったんですけど、休憩中にベンチからスタンドを眺めて明日明後日はここが超満員になるのかと思っていました。
井上 そんなことを考えてたの(笑)
舟橋 俺はこういうのが好きなんだよ(笑)この早慶戦という舞台を経験できるのは早大と慶大の2校だけで、準備日の部員全員の何とも言えない高揚感とか神宮独特の匂いとかを味わえるので、これは特権だと思いますし普段とは違うなと思います。早慶戦では早大の応援部でよかったとより強く感じます。
櫻井 校旗が普段は2本ですけど計8本並ぶということで独特なんだなと思います。
井上 見えるからいいよね。俺は持ってる側だから。
櫻井 自分からはそれが指揮台から全部見えるのでいいです(笑)
田路 あと、NHKが放送してくださるのがいいよね。
櫻井 あと『早慶讃歌』があって早慶の内外野全員で肩を組んで歌うんですけど、試合のセレモニーとして相手をあおってみたりとか好敵手としての意識づけが早慶の価値や特別感を感じます。『光る青雲』と『我ぞ覇者』という歌があって、ケイオーの『我ぞ覇者』だったら、「よくぞ来たれり 好敵早稲田」という歌詞があったり「打てよ砕け 早稲田を倒せ」とか。『光る青雲』だったら「慶應倒し 意気あげて」とか。お互いに学校の名前が入っているので、それだけライバル意識を持っているというのがいいですね。
――10月25日には『稲穂祭』が控えていますがそれについては
櫻井 2、30年前は満員だったのに最近は空席も目立って集客が良くないのでそれをどうにかしたいと思っています。集客はとても意識していてどうしたらお客さんが来てくれるか考えています。第一部ではゲストが来ます!あと野球部の高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)が去年の稲穂祭を見て感動したということで、普段は4年生とスタメンの2、30人しか来ないんですけど今年は部員全員150人くらいが来てくれるそうです。野球部のためにやっているイベントで早慶戦前夜祭とも言われているので、野球部が興味を示してくれるのはうれしいです。
「4年間やってきた集大成としての早慶戦」(櫻井)
東大戦で校歌を振る櫻井
――慶大という存在とは
田路 すかしてる奴らですよね(笑)すかした奴らを叩きのめすのは早慶戦くらいしかないので鼻をへし折ってやりたいと思います(笑)
井上 同じ応援部でもやっていることは全然違くて、見ていて勉強になります。下級生がすごい伸び伸びと自由にやっているのでいいなと思います。早慶戦は野球に限らずたくさんあって早慶戦という一つのものを盛り上げるためには慶大の応援部、体育会の力が必要なので、すごく大切な存在だなと思います。
櫻井 早大と慶大それぞれに価値はあると思うんですけど、2つ合わせると『早慶』というブランドになってお互いの価値が上がるというか1+1が2ではなくて3になるというか、お互いにとってプラスの存在だと思います。 応援部同士仲も良いので、これからも付き合っていくんだろうなと思っています。
舟橋 六大学の中でもやっぱり慶大の奴らと馬が合うと自分は感じてます。すごい似てるとは思わないですけど、お互いに早慶が日本の応援を引っ張ってきたという自負があるからだと思います。
――最後の早慶戦になりますどんな気持ち意気込みで応援したいですか
舟橋 4年間練習してきた集大成で、この最後の野球応援のために拍手やテクの練習をずっとやってきました。それを神宮球場でやる最後の機会なので本当に悔いの残らないようにしたいです!
田路 慶大以外の野球応援をやってきましたけど、やっぱりまだ燃えきれてないというか応援部員としてリーダーとして燃えきれてないと思っています。これは野球部の勝ち負けに関係なく、自分としてもっとやれるという気持ちもありますし、こんなもんで4年間を終わっていいのかと思います。邪念が働いて常に『コンバットマーチ』を100%の力で振れていないので、この早慶戦では邪念を捨ててリーダーとして灰になれるように頑張りたいと思います!
井上 1年間応援の責任者としていろいろやってきて、一体感というか選手にとっても観客にとっても一番いい応援ができるようにしたいと思います。自分が応援を仕切る中で変に特別という意識を持たずに今までやってきたことが出せるようにやりたいですし、下級生にも同じ気持ちでやってもらいたいです!
櫻井 リーダー幹部4人は野球応援が終わったら実質的には引退なので、野球の勝ち負けとは関係なく自分たちの応援ができればいいと思います。でもやっぱり最後なので野球部にも勝ってもらいたいですし応援で野球部に力を与えてきて応援で野球部を勝たせてあげられると思うので、リーダー幹部4人で4年間やってきた集大成としての早慶戦を悔いの残らないかたちで乗り切って有終の美を飾れればいいなと思います!
――ありがとうございました!
(取材・編集 榎本透子、平松史帆、永池隼人)
終始和やかな雰囲気で答えてくださいました!
◆櫻井康裕(さくらい・やすひろ)(※写真左から2人目)
1995(平7)年8月10日生まれ。群馬・中央中教校出身。社学部4年。好きな女優は常盤貴子。対談中、応援部の歴史についてたくさん話していただいた櫻井さん。応援部への愛が伝わりました。早慶戦では大観衆の前で振る最後の校歌に力が入ります!
◆舟橋寛元(ふなはし・ひろもと)(※写真左から3人目)
1994(平6)年9月18日生まれ。福島・日大東北出身。文化構想学部4年。好きな女優は本田翼。記者の質問に真剣な表情で答えてくださった舟橋さん。自分にも他人にも厳しいストイックな印象がある一方で、天然な一面もあるとか。幹部として迎える最後の早慶戦、悔いを残さない全力の応援に注目です!
◆田路進太郎(とうじ・しんたろう)(※写真左端)
1995(平7)年12月2日生まれ。兵庫・淳心学院出身。商学部4年。好きな女優は武井咲。応援中も対談中も笑顔が絶えず明るい印象の田路さん。話が面白く2時間の食事会中、ずっと喋っていたこともあるとのこと。最後の早慶戦も笑顔で有終の美を飾ります!
◆井上雄太(いのうえ・ゆうた)
1995(平7)年12月2日生まれ。愛知・海陽学園出身。教育学部4年。好きな女優は榮倉奈々。ワセダのスポーツが大好きという井上さん。普段から早スポを読んでくださっているそうです。大好きなワセダの部活へ最後までエールを送ります!