『紫』外線カットできず、『紫紺の歌』が響いた神宮

応援

 苦戦したものの東大戦では2連勝。春季リーグ戦を制して臨む秋は厳しいものだと早くも実感した。優勝するにはヤマ場である明大戦で確実に勝ち点をもぎ取らなくてはならない。「メイジに勝つことを目標に」と菊池航大リーダー総務(基理4=岩手・盛岡一)。しかし、試合は延長戦までもつれこむ接戦となる。いっぱいの早大応援席、多くの声援に選手たちも奮闘した。

 試合は序盤ヒットが出ずなかなかチャンスをつくれない展開に、応援席も盛り上がりきれない。そして先制を許した瞬間、客席は沈黙してしまう。しかしここからが応援の底力である。「守備でピンチのときが選手にとって一番辛い」と林怜矢代表委員主務(社4=東京・早実)。その言葉通り、守備中に選手を支える応援がきょうは印象的だったと言える。『ダイナマイトマーチ』、『エンドレス紺碧』など迫力のある守備応援は確実に選手の力となっただろう。

ONE☆DRAFT『情熱』を踊るチアリーダーズ

 8回、ついにそのときが訪れる。チャンスに盛り上がる応援席から響く『コンバットマーチ』。場内を歩き回り観客に応援を促す応援部員にも熱が入る。そして茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)の3点本塁打で同点に追い付いた時を、歓喜に満ちあふれたスタンドで踊っていた栗田莉七チアリーダーズ責任者(教4=東京・豊島岡女)は「ワセダナインを信じていた、応援できて幸せ」と振り返った。延長戦ではチャンスをつくるものの追加点は奪えず、逆に突き放される展開に。応援実らず悔しい結果に終わった。試合後ナインが応援席にあいさつに来た際スタンドからは、あす以降のゲームに期待するとの声も上がった。

延長戦でチャンス時の指揮台

 白熱した試合に一体となった応援が作れた一方で「もう一点取れる応援をしなければならなかった」(林)と満足はしていない。優勝には明大を倒さなければならない中で、選手を後押しする応援が欠かせない存在となる。2回戦も接戦が予想され苦しい展開となるだろう。「どう切り替えられるかが応援部の腕の見せどころ」と菊池。あしたは勝利の歓声を神宮に響かせて欲しい。

(記事 難波亮誠、写真 吉澤奈生、中川歩美)

コメント

林怜矢代表委員主務(社4=東京・早実)

――優勝に向け明大戦はヤマ場だと思いますが、今の率直な気持ちを教えてください

春も明大戦で負けていて、応援部としても合宿などで明大戦を想定して練習してきたので、きょう試合で負けてしまったのは応援席としても責任があるのではないかと思います。あした、あさってと、しっかりと背中を押せるような応援をしたいと改めて思いました。

――きょうの応援席の雰囲気はいかがでしたか

やはり負けているときは沈みがちでした。点を取ったり追いついたり、いいプレーが出たときは盛り上がるのですが、ピンチなど選手がつらいときにうまく盛り上げられなかったというのが応援席としての反省だと思います。

――今週木曜日には明大戦デモンストレーションが行われましたが、感想をお聞かせください

他の大学でデモンストレーションをすることもあるのですが、やはりあれだけ学生が盛り上がるのはワセダだけだと思います。学生の皆さんを巻き込むという意味でもデモンストレーションをこれからも続けていきたいですし、来てくださった学生の皆さんには非常にありがたく思っています。

――8回に同点に追いつきました。どのようなお気持ちでしたか

上位打線だったので必ずやってくれると思っていたのですが、あそこでもう一点とれるように応援できればもっと良かったのにと強く思います。

――攻撃中のみならず守備中の応援にも力が入っていましたが

攻撃中もですが、守備中のピンチのときが一番選手にとってつらいときだと思います。応援部員として選手がつらいときにこそ強い思いを持って応援するべきではないかと思うので、力を入れて応援できればと思っています。

――延長までもつれこむ接戦でした。改めて本日の応援全体を振り返っていかがでしたか

延長では何度もランナーが出て、サヨナラのチャンスもあったと思います。本来そういったところで選手の背中をもうひと押しできるような応援をすべきだと思うのですが、きょうは選手の背中を押しきれなかった部分があるのではないかと思います。

――あすに向けての意気込みをお願いします

きょうの試合は応援部としても反省点があったので、しっかりと反省して、あしたまた選手の背中を押せるような応援ができればと思います。

菊池航大リーダー総務(基理4=岩手・盛岡第一)

――優勝に向け明大戦はヤマ場だったと思いますが今の率直な気持ちをお聞かせください

悔しいの一言です。メイジに勝つことを目標にしてそのための用意をしてきたので、8回に追いついたからこそなおさら悔しい結果となりました。

――きょうの客席の雰囲気はいかがでしたか

序盤はヒットなどがあまり出ず盛り上がりづらい状況だったのですが、途中からヒットが出始めるにつれてだんだん盛り上がってきていたと思います。8回は茂木(栄五郎、スポ4=神奈川・桐蔭学園)の1本も出たので、こちらとしてもありがたいという感じでした。

――8回に同点に追いつきました、どのような気持ちでしたか

自分は少し怖いなと感じました。その時の自分たちと観客の方の「これは勝ったな」と思った気持ちが、最後に出てしまったかなと思います。しっかりここで締めて、9回で終わらせようとみんなに声をかけたりはしていたのですが突き放される結果となってしまい、後悔が残っています。

――守備中の応援にも力が入ったと思いますが、いかがでしたか

ワセダの応援の弱点が、守備中なんですね。ヒットを打たれ、ピンチになればなるほど静かになってしまう。スポーツ観戦においてそれは仕方ない面があるとは思うのですが、我々としては気合いを見せるところなのかと思いました。

――延長戦で接戦でした、改めて本日の応援全体を振り返って

一言で言うと、根負けしてしまったという感じです。我々としても全体としても。最後にエラーが出て2点取られた時に「もう無理だ」といったような空気になってしまったところを、我々としても盛り立てきれず結果として三者凡退で終わってしまって。本当に、とても悔しいです。延長戦になって10回で決められなかった悔しさが本当に残っています。

――あすに向けての意気込みをお願いします

春も一度負けてはいるのですが、ここからどう切り替えていくかが応援部員としては重要だと思っています。我々としては、負けない応援というのを意識しています。たとえばリーグ戦なら優勝するためには10回勝てばいい、と思っている雰囲気が下級生の中にはかなりあるのですが、やはり全部勝って優勝するというのを目標にしています。結果としては今日負けてしまいましたが、しっかり残りを絶対に取りこぼさないという気持ちでこれからやっていきたいです。春もそのようにして優勝に繋がったと思いますし、ここで切り替えられるかどうかが応援部としての腕の見せどころだと思います。

栗田莉七チアリーダーズ責任者(教4=東京・豊島岡女)

――きょうの明大戦はワセダが優勝する上でカギとなる試合でしたが、応援を終えて今のお気持ちはいかがですか

春の明大戦では負けてしまったということがあって、明大戦第1回戦は絶対に勝とうという気持ちを春の優勝後から考えてやってきたので、すごく悔しい気持ちが大きいです。

――客席の雰囲気などはいかがでしたか

お客様も途中は4点入ってしまって落ち込むシーンもあったと思いますが、それでも最後の最後まで声を出して後半も熱い応援をしてくださったので、4点巻き返すことができたのかなと思います。

――8回裏に同点まで追いつきましたがその時のお気持ちは

ワセダナインがやってくれるという風にずっと信じて応援していたので、やはりやってくれたなという気持ちでした。底力をすごく感じて感動して、応援できて幸せだなという風に感じました。

――きょうは守備中の応援にも熱が入ったと思いますが

攻撃だけでなくて守備中もやっていこうと考えてつくってきたのですが、実際にやってみると少しマンネリ化してしまったりなど、守備中の応援の課題も今回見つかったのでもっと改善していきたいです。

――延長戦までもつれこむ接戦となりましたが応援全体を振り返っていかがですか

やはり応援部としても明大戦第1回戦に懸ける思いは熱いものを持っていたのですが、負けてしまったので何かが足りなかったと思っています。特に後半は疲れが見えてしまう部分もあったので、まだまだ改善していかなければいけないと感じました。

――あした以降の意気込みをお願いします

あとあしたあさっては後がないですし負けられないので、熱い思いで勝てる応援をしたいと思います。