神宮をえんじ色に

応援

 ――4月20日。応援部員たちにとってこの日は、特別な週末であった。早大野球部が春季リーグ戦初戦を迎えた日である。野球部は、東大相手に幸先よく白星を挙げ、「春季リーグ戦優勝」という目標に向かって好調なスタートダッシュを切った。リーグ戦優勝へ向け、着実にその歩みを進めた野球部。その野球部とともにまた応援部も、明治神宮球場での応援が解禁され、それぞれの部員たちが心の内に掲げる目標、「理想の応援」へ向けてその一歩を踏み出した。

 初戦の東大戦は、小雨が降りしきり天候には恵まれなかったものの神宮球場の応援席は多くのワセダファンで埋め尽くされた。おのおのがえんじのメガホンを持ち、選手たちに声援を送る。ワセダの攻撃中は、必勝チャンスパターンメドレーを中心とした迫力のある応援で選手を鼓舞した。今季から新しい掛け声や応援歌が作られ一層応援の厚みが増した。ワセダに好機が訪れると、部員たちは応援席を一気に盛り上げ、大勢の観客を一手にまとめあげる。幹部は一同にステージ上でコンバットマーチのキレのあるテクを披露し、稲穂打線をじっと見つめた。ワセダの得点場面では「紺碧の空」が歌われ、応援席のボルテージは最高潮に。守備中においても、応援部員たちは「有原頑張れ!」「いいぞ、ワセダ!」などの声援を決して絶やさない。えんじ色に染まった応援席の一体となった応援が、選手たちの一打につながったり好守備につながったりするのだと感じることが出来る応援であった。

観客をまとめる応援部

 応援は、リーダー、チアリーダーズ、吹奏楽団の3パートの息の合った連係なくして作り出すことは出来ない。攻撃中においても、守備中においても互いに様々なサインを出したり気が付いたことがあれば声を掛け合ったりしながら応援席を一つにし、盛り上げる。打席に入る選手が代わるたび、アウトになるたび、試合のその時々の状況によって応援歌や掛け声が目まぐるしく変化する。そこには一切の気の緩みも妥協も許されない世界がある。リーダー部員のかれんばかりの掛け声、迫力のある太鼓の音、チアリーダーズのダンスと吹奏楽団が奏でる応援歌、そして何より観客の声援。これらの一つ一つがうまく組み合わさって応援という大きな歯車が回っている。

ワセダの得点時に指揮を執る高橋

 「神宮をえんじ色に」。一面えんじ色に染まったワセダの応援席は、時に選手を勇気づけ、選手の力となるに違いない。ただ、一体となったえんじ色の応援を作ることは決して容易ではない。「理想の応援」へ向けて、部員たちの挑戦はまだ始まったばかりだ。

(記事 柳澤実佳、写真 三尾和寛)

コメント

関口晃由代表委員主将(教4=東京・東洋)
――きょうはワセダの初戦でしたが、どのような気持ちで応援しましたか
スタートダッシュを切れるように応援しました。東大相手なので勝つとは思っていたのですが、(安打が)11本で6得点なのでよかったと思います。
――明日も試合があり、これから毎週試合も続きます
次(の相手)がメイジなのでそれまでに気合を入れて、明日まず東大に勝ってそれで調子を上げて明治戦に臨みたいと思います。

野村隆文(教4=兵庫・六甲)
――きょうの感想は
春のリーグ戦では優勝しか考えていないので、それに向けて良いスタートが切れたと思います。
――観客の盛り上がりはいかかでしたか
まだまだなので、これからどんどん良い雰囲気をつくっていきたいです。
――新しいコールを使いましたが、どうでしたか
初めて新コールを使って、まだ観客の方にもなじみがないと思うので、どんどんできる限り使っていきたいです。ワセダと言えばこのコールというコールにしていきたいです。
――明日以降へ向けて
優勝しか考えていないのでそれに向けて着実に、応援から盛り上げて勝利していきたいと思ってます。

高橋一弥(人4=神奈川・茅ヶ崎北陵)
――きょうの応援はいかがでしたか
初戦ということもあっていろいろと練習は積み重ねて来たのですが、どうしてもまだ不備が出てきてしまって、自分たちが想像する「理想の応援」とはまだ少し程遠いかなと感じました。
――春季リーグ戦の応援はどのようにしたいと思いますか
まだあまりよろしくない応援もあったので、おこがましい言い方ですが勝ちへの雰囲気を作っていくというのがあくまで僕らの目的というか志や願いなので、一歩一歩進んでいては間に合わないのかもしれませんが、リーグ戦を少しずつ経験するにつれて高みへとどんどんと近づけるようにしていきたいと思っております。
――早大生へ向けてメッセージをお願いします
応援部だけでの応援というのは限度がありますし、早大生に来てもらってこその応援です。野球部、応援部以外の一般の学生に来てもらうことを望んでいるので、彼らを鼓舞するためにも是非みなさま時間がある時に、また時間がなくても時間を作って足を運んでくださればと思います。