伝統からの発展誓う

応援

 普段はライバルである六大学応援団の吹奏楽とチアリーディングパートのメンバーが、一致団結してつくり上げる舞台。その合同演奏会も本年度で40回目という節目の年を迎える。演奏会は3部構成で、それぞれに味の違うパフォーマンスを披露した。第1部、『キャンディード序曲』の難易度の高い演奏から、アンコールまで約2時間半の公演。最後に出演者をはじめとする全員が舞台に集まると、割れんばかりの温かい拍手が会場に沸き起こった。

 第1部のシンフォニックステージに続いた、花形である第2部のドリルステージ。荘厳な雰囲気の曲から知名度の高いJポップの曲まで演奏曲のバリエーションは多岐にわたり、観客を大いに楽しませた。この舞台の特徴はチアリーダーズのダイナミックな演技、ドリル隊のきびきびとした動き、そしてカラーガード(※1)の美しさの融合。その舞台でワセダのDM(ドラムメジャー※2)谷岡実奈(文4=愛媛・松山東)がステージ構成と指揮を担当したのは3曲目であった。ドラマでおなじみの『ガリレオ』のサウンドトラックを選曲し、メンバーはキレのある演奏と華麗な旗さばきを披露する。「ガードを目立たせながらもメンツ(※3)の活躍する格好いい曲にしようと思って」と谷岡。二つのパートがそれぞれの長所を生かしながら活躍する舞台に観客は引き込まれた。また、プログラム上の第2部最後の演奏曲、嵐の『果てない空』のGC(ガードチーフ※4)は栗原弓枝(人4=東京・日大一)。「人数が多いからこそ圧倒感のあるようなステージができたのでは」と栗原が語るようにことしのカラーガードは21人と大人数であったが、見事一糸乱れぬ旗さばきを披露し観客を圧倒した。

会場を沸かせたドリルステージ

 第3部のポップスステージでは、第1部と同じく3曲が演奏された。1曲目は福井みな美(文構4=東京・立川)が指揮を務める『美しき二つの翼』。幕が上がるとともに観客の目に飛び込んできたのは、奏者の足元に広がるドライアイスによる演出であった。そこから壮大な、澄んだ美しいメロディーの演奏を展開し、普段の応援時とはまた味の違う演奏を披露。その世界観に観客は魅せられた。そして演奏会の最後には出演者とスタッフの全員が舞台上に集結。会場にしばらく鳴り止まぬ拍手が響き渡った。

ラストには全員が舞台上へ

 伝統をさらに発展させる、ということから『Challenge!!』がテーマであった今回の合同演奏会。第2部と第3部の間に六大学それぞれのチャンスパターンメドレーを披露し、演出も例年より凝ったものが見られたなど、例年にはなかった新しいパフォーマンスや試みが見られた演奏会であった。伝統を受け継ぎながらも挑戦し続け、進化していく応援部。これからも日々挑戦を重ね、さらなる発展を誓う。

    

※1 マーチングにおいて旗などを使用して舞い、視覚的表現を行うパートのこと。

※2 ドリルステージやパレードで指揮をする者。全員の動き(コマ)を作成し、構成を考える。

※3 ドリルにおいて、演奏しながら歩き、様々に隊列を変える奏者。金管・木管・打楽器で構成される。

※4 カラーガードの振り付けや旗の動きなどの表現方法を考える者。

(記事 伊能由佳、写真 三井田雄一)

コメント

谷岡実奈(DM)(文4=愛媛・松山東)

――合同演奏会を終えてみていかがでしたか

(練習が)3カ月という短い期間だったのですが、最初はドリルが苦手だった2年生などや、3年生も本当に毎日どんどん成長していってくれて。私たちはスタッフという形で練習を仕切らせてもらったのですが、こちらが教えるというよりも、途中からどんどんこちらが教えられたというか。たくさん学ぶことがあった3カ月でした。

――他大学との合同での演奏会ということで大変だったことはありますか

やはり他大学ということで、活動の時期が違ったりしまして。練習に集まれなかったりして、結局詰め込む練習というのは本当に限られていて。そういうことが大変でした。

――やりがいは

普段はリーグ戦などでライバルである六大学の他の大学と一緒に、一つのものをつくり上げるというのは本当に貴重な機会ですごくいい思い出になりました。

――動きの作成やステージの構成はどのように考えましたか

気を付けていたこととしては、私が(構成を)つくった曲はガードが主役になる曲だったのですが、ガードを目立たせながらもメンツの活躍する格好いい曲にしようと思って、そこは気を付けながらコマを書きました。

――今回「ガリレオ」のサウンドトラックの選曲をしたのは

もともと本当に小さな理由なのですが、Youtubeなどで原曲を聴いたときにすごく格好良くて。これで歩いたら絶対格好いいなと思って。後はこれで旗をバサバサ振る操法を付けてほしいなと思ったので。本当に小さいことなのですが、それがきっかけです。

――今回の演奏会は「Challenge!!」がテーマですが、それについてどう思いながら取り組まれましたか

2年生、3年生が新しいことにどんどんチャレンジという意味もあったのですが、私もやはり自校では触れ合えない仲間と、大人数の環境が違う人たちと一緒に一つのものをつくり上げるという過程で新しいことに挑戦できたというか。自校ではまたできない、違ったいい作品をつくり上げることができたと思っております。

栗原弓枝(GC)(人4=東京・日大一)

――きょうの感想をお願いします

私はクローザーを担当させていただいたのですが、きょうはいままでで1番旗がそろっていて誰も旗を落とさずにやってくれていたので、本当にいままで指導者としてやってきてよかったなと思いました。

――構成をより美しく見せるために工夫したところは

私は操作を比較的簡単にして、ぴったり全員で合うというのを心がけていて。そういうところが工夫したところです。

――舞台をつくり上げる上で苦労したことや、やりがいは

21人という人数がすごく多い中での旗合わせだったり、ステージ構成だったのですが、逆にそれを生かせた、人数が多いからこそ圧倒感のあるようなステージができたのではないかと思っています。

――旗の動きはどのようなイメージを持って考えられたのでしょうか

ざっくり言ってしまうと滑らかに、美しくというのを心がけました。

――今回の「Challenge!!」というテーマについてどのような思いで取り組まれましたか

21人という人数をまとめること自体が私の中でチャレンジですし、また最初はみんなロボットみたいな表情でやっていたのですが、それをいかに笑顔にさせるかという、自分の中でもみんなのモチベーションを上げるために働きたいというのもチャレンジだったなと思います。