ライバル相手に完敗

男子ラクロス
1Q 2Q 3Q 4Q
早大
慶大 15
▽得点者
伊藤5、畑田2、堤

 夕陽が射し込む中、行われた東京六大学交流戦(六大戦)決勝。今季は『全タイトル制覇』を目指す昨季の学生王者である早大は、一つ目の栄冠を目指し慶大と対戦した。予選を全勝で勝ち抜き、順調と思われた今大会。しかし、決勝では目を疑いたくなるような結果が待っていた。最終スコアは8-15。第2クオーター(Q)以降は試合を支配することができない完敗を喫し、最初の大会でいきなりタイトルを逃してしまった。

  第1Qは持ち味を存分に発揮した。まず口火を切ったのはAT伊藤大貴(教4=東京・早実)。序盤に訪れたピンチをしのいで迎えた9分、短いパス交換を経て右横からゴールへ突き刺した。この1点で勢いづいた早大は止まらない。13分に伊藤が倒れながらもショットをねじ込むと、2分後にはマンダウンのチャンスを逃さずAT畑田峻希(スポ3=福井・若狭)がネットを揺らす。終了間際に1点を返されるものの、最後まで攻め続けた早大はいいペースで第2Qへ突入した。

5得点を挙げたAT伊藤

 しかし、ここから流れは一転してしまう。開始1分足らずであっさりゴールを許すと、「くだらないところからペースを乱してしまった」(DF中林惇主将、スポ4=東京・城北)。早大はミスなどをきっかけに第2Qでさらに3点を献上。伊藤が2得点を挙げ、なんとか同点で折り返したものの、試合の主導権は相手に渡っていた。後半は力量差が点数に表れていく。互いに点数を入れ、6-7で迎えた第3Q中盤。早大は敵陣深くまで進むも、なかなかショットを放つまでに至らない。逆に慶大にカウンターやフェイスオフを起点にゴールを奪われ、最後の5分間で3失点。第4Qも劣勢を覆すことができなかった早大は、後半のスコアだけを見れば3-10の惨敗に終わってしまった。

優勝を逃し、ぼうぜんと立ち尽くす選手たち

 試合終了を告げる笛と同時に、選手たちはただぼうぜんと立ち尽くしかなかった。残酷なまでに突き付けられた現実、そして早くも破れた『全タイトル制覇』の夢。「取り返しのつかないことをしてしまった」と語る中林主将の顔は悔しさで満ちていた。だが、昨季負けをあまり経験しなかったチームにとって重要なのは、この敗戦を成長につなげることだろう。「ここで僕たちの代が終わるわけではない」(G服部俊介、スポ4=東京・早稲田)。そう、ラクロス部の戦いは幕を開けたばかりなのだ。偶然にも3週間後、同じ会場で早慶定期戦が行われる。リベンジマッチをすぐそばに控え、下を向いている時間は一秒たりともない。王者としての、そしてワセダとしての意地と誇りに懸けて――。これ以上負けるわけにはいかない。 

(記事 菅原拓人、写真 上田密華)

コメント

平山直ヘッドコーチ(平19人卒=東京・桐朋)

――試合を総括して

この大会の位置づけとしては、この学年は『全タイトル制覇』を目標としてやってきたので、そこの1個目のタイトルということで、気持ちは入れてきたと思って臨んでいました。 選手たちは良いテンションで試合に入って、第1Qはワセダペースかなという感じだったのですが、後半に我慢しきれなかったというか、流れを取り戻せなかったなという第2Q以降でした。

――流れの悪い状況の中では、どのような指示をしていましたか

修正ポイントとしては、ディフェンスの方は相手が前半にATでの得点が多かったので、なるべくATを抑えようと。ロングはなるべくATの方に張らせて、MFをもう少し中のほうに絞って、小さく守る形に修正しました。オフェンスの方は第1Qで良いペースでやれていたので、修正はなくて、ボールタッチの回数が増えれば点は取れると思っていました。ボールを取れなかったことが修正できなかったところです。

――『全タイトル制覇』という目標は果たせなくなってしまいましたが、これからの目標は

正直、ここから目標をどう立て直すかというのは難しいと思います。でも、やることは次からの大会を全部勝つしかないので、あすなろカップ、関東学生リーグ戦、サマーステージと続くので、そこを全部勝ちきるしかないです。せっかくなので六大戦で負けたのを良いきっかけにして、勝つしかないかなという感じですかね。

――ライバルの慶大に敗戦ということですが、来月の早慶定期戦に向けては

早慶定期戦は負けてはいけない試合なので、この学年の命運を握っていると思います。リベンジもそうですが、大学ラクロス界にことしもワセダは強いぞと思わせなくてはいけない試合なので、そこまでやり切りたいです。

DF中林惇主将(スポ4=東京・城北)

――この試合を振り返って一言お願いします

六大戦に向けて、自分たちは『全タイトル制覇』という目標を掲げていたにも関わらずこの結果に終わったということに対し、悔しいというか、取り返しのつかないことをしたなと感じています。

――この試合にどのようなテーマを持って挑みましたか

この試合に限らず、六大戦を通じて一つ目のタイトルを取ろうということでやってきました。ですが、いま僕が感じているだけですけれども、Aチームが全員このテーマを意識できていたのかなと思うと、ちょっと疑問が残ってしまいますね。

――15失点しましたが、ディフェンスが崩れた原因はどのようなところにあるのでしょうか

最近、学生に対しては4失点前後で抑えることができていたのですが、きょうを振り返ってみて、自分たちのミスなどのくだらないところからペースを乱してしまったからかなと思います。

――後ろから見ていてアタックはどのように映りましたか

ここ2、3試合はあまり点の取れない苦しい試合が続いていたものの、きょうは気持ちが入っていたと思うし、やっぱり自分たちのアタックはうまく機能してうまくショットが入れば点を取れると思っているので、そういった意味ですごく頼もしいと思います。

――この試合で収穫があったら教えてください

もう単純に一つです。この悔しいという気持ちが収穫だと思います。

――3週間後に控えた早慶定期戦に向け、改善点を教えてください

アタック、ディフェンスともに試合前に幹部とコーチ陣でミーティングをしたのですが、もう一回自分たちの進むべき方向というものを示さないといけないということもありますし、もっと練習自体のクオリティーというものが求められていると思うので、それをもっともっと上げていかないといけないなと思います。

――最後に、早慶定期戦への抱負をお願いします

僕たちの代が入学してから一度も早慶定期戦で慶大に勝っていないので、絶対勝ちたいと思いますし、今シーズン『全タイトル制覇』という目標を掲げていて、まだこの道は続くと思うので、執念燃やして、しっかり準備していきたいと思います。

AT畑田峻希副将(スポ3=福井・若狭)

――試合を終えての感想は

ことしの目標が『全タイトル制覇』ということでしたが、それが終わってしまったなという感じです。チームから勝ちたいという気持ちが感じられなかったですね。もう一度チームをつくり直す良い機会かなと思います。

――新チーム始動後、初タイトルを狙う大会としてどんな意気込みで臨まれていましたか

とにかく結果が大事で、『全タイトル制覇』という目標を掲げている中での最初の大会だったので、これでくじいてしまったらその目標は終わってしまうので、結果を求めていました。でも、ケイオーの方が上だったなという印象です。

――全勝で決勝に駒を進めた中でスコアなどの具体的な目標はありましたか

ここ最近、オフェンスが全然点を取れていませんでした。本当にロースコアな展開で勝ったり負けたりをしていた中で、オフェンス全体で意識共有することがあまりできていなくて。きょうは序盤などはそれが結構できていたんですけど、最後まで徹底できなかったということが反省です。

――後半には失点もかさんでしまいましたが、要因としてはどんなことが考えられますか

うちのチームの悪いところとしてちょっとリズムが悪くなるとミスが出てしまって、相手ボールになってしまうというところがあるんですが、きょうもその繰り返しで。それに尽きますかね。結局は自滅なので、それが悔しいですね…。どう修正していこうか、迷いどころです。リズムが悪くなることは試合の中であることなのでしょうがないのですが、そこをいかに立て直すかが今後の課題ですね。

――自身のプレーへの自己評価は

もっとガツガツ点を取りにいきたかったです。結局勝負どころで決められなくて、自分が得点を決めなくても、自分が起点となってパスを供給できれば点は取れると思うので、そういうプレーもきょうは少なかったですし、あとは自分でしっかり取りに行くプレーも少なかったので、自分自身の技術の向上も必要ですね。これから一段階、二段階上げていかないという課題は見えました。

――次は春のヤマ場となる五月祭招待試合と早慶定期戦です。今後1カ月弱にわたる調整について

とりあえずもう負けられないです。最近やった3、4試合で課題になったところがきょうも出てしまったのでそこの修正ですかね。あとは昨年Aチームを経験していない下級生が僕の代を含めて多いので、そういう選手もいかに試合に慣れさせていくかというところと、オフェンスが全然点を取れる感じがないのでそこを練習でどのように詰めていくかがオフェンスリーダーの岸本さん(僚介、政経4=東京・早実)を含め自分たちが考えていかなければならない課題かなと思います。

――今季は副将を務められていますが、上級生になっていく中で意識面での変化はありますか

多分僕が4年生に対等に言っていかないとチームとしてはだめだと思うので、思っていることとかどうしたらいいとかということはどんどん言っていこうと思っています。4年生に合わせるだけでなくて、4年生が考えていることと僕が考えていることで違うところがあれば僕は言っていきたいと思うし、そういうところからチームを変えていけると2、3、4年生がもっと一体となったチームができると思います。そういう役割も求められていると思うので、仕事を全うしたいです。

――現在日本代表としてさらに高いレベルの舞台での練習や試合を経験されていますが、チームに還元したいと思う点はありますか

それはすごく思いますね。まず日本代表の選手は個人技術が何段階も上なので、そういった選手を自分が見れることで、自分の足りないところが見えてくるし、そういうことを(チームメイトにも)伝えていかなければならないし、それで自分がお手本になるということでもいいと思います。あと(日本代表選手の)ラクロスに対する姿勢というのは見習うべきものがあります。すごくストイックに取り組むし、平日仕事をしている中で土日はしっかりとラクロスに打ち込んで日々トレーニングも積まれているそうなので、自分たちも意識の面での改革が必要かなと感じました。代表の練習に参加させてもらえることは良い経験なので、生かしたいですね。

――5月の2試合に向けての意気込みをお願いします

僕がいまチームに求めるのは『勝ちたい』という気持ちです。きょうはそれを全然感じなかったですし、チームも僕自身も気持ちをもっと全面に出した日々の練習をしっかりと重ねていかないとまたきょうみたいな試合になってしまうと思うので、中学生みたいな話になってしまうんですが、僕は気持ちをガンガン入れていきたいと思います!それがチームに浸透するようにすることが、チームの勝ちにもつながるはずです。全ては勝つためなので、そのために必要だと思うことはどんどん言っていきたいし、やっていきたいと思います。

AT伊藤大貴(教4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

序盤は先制して良い形だったのですが、最後の方に気力で負けたというか、実力不足だったかなと思います。

――自身の調子はいかがでしたか

得点を決めることはできたのですが、アタックなのでチームの雰囲気を変えられるようなことは出来なかったかなと思うので、悔しいですね。

――得点シーンを振り返っていかがでしたか

きのう、一橋と試合をしてたくさん外してしまい得点を決めることが出来なかったので、きょうは決めてやろうという気持ちで5点取れたので、そういう意味では収穫があったのかなと思います。

――慶大のどのような部分に苦戦されましたか

グラウンドボールが拾えなかったということと、パスやシュートの精度が全体的にレベルが高いのかなと思いました。

――今後強化したい面などあれば教えてください

全部なのですが、やっぱりもったいない失点などは詰めていかなければならないなと思いました。

――次の早慶戦定期戦に向けて

全タイトル制覇という目標はダメになってしまったのですが、ここから全部取れるようにということでまず早慶定期戦は圧勝したいと思います。

G服部俊介(スポ4=東京・早稲田)

――きょうの試合をふり返っていかがでしたか

序盤はどちらとも言えないペースでやれたのですが、後半の途中から相手に押されてしまったので、流れ通りの結果になっちゃったのかなというのが印象です。

――第1Qは流れが良かった反面、第2〜4Qは失点が多かったと思いますが、原因は何だったと思いますか

2Qは同じようなやられ方はしてなかったので、あの失点を反省として生かして3、4Qに入れたら、もっと失点は少なかったのではないかなと思います。あと4Qは、みんな浮き足立ってしまったので、普段通りならもっと落ち着いて守れたと思うので、精神的な面が大きかったのではないかなと思います。

――部として『全タイトル制覇』というのが目標でしたが、今回は優勝を逃してしまいましたね

シーズンインする前に大きな目標を抱えていましたが、ここで目標を達成できなかったということは、ちゃんと現実として受け止めないといけないというふうに思っています。かと言って、ここで僕たちの代が終わるわけではないので、この後の試合を一つ一つ全部勝っていけるように頑張りたいと思います。

――次は五月祭の招待試合、早慶戦と山場が続いていきますが、それに向けて何か対策はありますか

チーム全体で練習の質を上げたりだとか、雰囲気を良くしたりだとか、そういうことも大事だとは思います。ですが、個人的にもきょうとか正直万全ではなかったので、自分自身の100パーセントの力を出して、まずは五月祭の東大に勝って、次の日にも慶大に勝って、しっかり乗りきっていきたいなと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

きょねんまでは、いくら3年生として出ていたとはいえ、なんだかんだで先輩を頼りにしていた部分もあるので、自分が引っ張って、このチームを勝ちに導いていけるように頑張るので、よろしくお願いします。