早大選手たちは健闘するも惜しくも優勝ならず

レスリング

  内閣総理大臣杯初日には安楽龍馬(スポ4=山梨・韮崎工)、島谷侃(スポ3=秋田商)、鈴木歩夢(スポ3=埼玉栄)、深田雄智(スポ2=千葉・日体大柏)が出場した。安楽はフリースタイル65キロ級、島谷はフリースタイル57キロ級、鈴木はフリースタイル70キロ級、深田はフリースタイル74キロ級にエントリー。結果は鈴木が7位、島谷、安楽、深田が3位であった。

 鈴木はフリースタイル70キロ級に出場。初戦では渡辺廉平(桃学大)と対戦した。序盤からテイクダウンやローリングを決めるなどして10―0のテクニカルフォール勝ち。次戦でも勢いそのままに、対戦した有馬鉄太(拓大)を圧倒。相手の攻撃をいなし続け、早いうちに大量得点。終盤に隙をつかれて4失点こそしたものの、9―5というスコア以上の差を見せつける盤石の試合運びで準々決勝進出を決めた。準々決勝では、西田衛人と対戦。攻めてを欠き、パッシブで失点すると、テイクダンも決められて早いうちに4失点。残り45秒ほどのところで意地の反撃から2点を取るも、後一歩及ばず2―4で敗戦。7位という結果に終わった。

反撃虚しく惜敗した鈴木

  安楽はフリースタイル65キロ級にエントリー。初戦では田縁真大(日大)と当たった。序盤は拮抗した試合展開だったが、中盤から終盤にかけて点を取り続けて、終わってみれば10―4の快勝。続く1回戦でも土井璃音(中大)を6―3で破ると、準々決勝では青柳善の輔との接戦を5―4で制し、準決勝に駒を進めた。準決勝では諏訪間新之亮(国士舘大)と対戦し、やはり途中まで互角の勝負を演じるが、残り50秒のところで一気に6失点。1―7の敗北を喫してしまった。「集中力を切らしたのが敗因」(安楽)と語るように、一瞬の隙が明暗を分けた格好だ。敗者復活戦においては、徳力貫太(専大)との戦いを制して3位フィニッシュを決めた。

悔しさをにじませる安楽

  前回のインカレで優勝し、今回の大会も優勝を目指して臨んだ深田は、熊藤友哉(中京大)との予備選を10―0で、深作駿人(神大)との1回戦を15―5で制し、順調な滑り出しを見せると、準々決勝では強敵である佐藤匡記(山学大)と対戦。世界選手権日本代表に選出され、優勝候補の筆頭と目されていた選手相手との一戦は白熱した激闘となった。早いうちに2失点するも、試合終了間際に大チャンスをものにし、土壇場での逆転勝利。「(勝因は)気持ちですね」(深田)と語るように、執念が呼び込んだ勝利となった。続く準決勝では硎屋亮太郎(日大)と当たった。2点を先取して流れを掴んだように見えたが、試合中盤に豪快な投げからローリングを決められ一気に6点を決められたのが響き、4―8で敗退してしまった。「パワーで負けてしまった」(深田)と分析する通り、力負けしてしまった印象だ。その後の敗者復活戦では、長島颯己(拓大)を12―2のテクニカルフォール勝ちで破り、しっかりと3位の座を確保した。

  「前回のインカレの反省点を重点的にやってきた」(島谷)と前回のインカレの雪辱に燃える島谷は、フリースタイル57キロ級での出場となった。初戦では高橋瑠希弥(近大)と対戦し、3分27秒でテクニカルフォール勝ち。続く1回戦ではマットに散布された消毒液が滑って2失点するというアクシデントもあったが、その後にローリングで2点取り、ラストポイントで勝利した。次戦の準々決勝では、菅沼碧久(青学大)を圧倒。開始早々ローリングなどで6点を先取すると、試合を支配して12―4で快勝した。続く準決勝では、弓矢暖人(日体大)と対戦。試合終盤までは1点を追いかける拮抗した展開だったが、最後の最後で逆転を狙ったテイクダウンを防がれて、グラウンドの展開から失点。1―6で準決勝敗退となってしまった。敗者復活戦では、島谷真和(日大)との兄弟対決を制し、3位入賞を果たした。

果敢に攻める島谷

 安楽、深田、島谷が3位となり、鈴木も7位入賞と全員が表彰台に上るなど一定の成果は出た早大勢。しかし、各々優勝を狙える立ち位置にいただけに歯痒い結果となってしまった。特に、4年生で主将の安楽は「4年間の集大成」とこの大会を位置付けていただけに、人一倍悔しさをにじませた。この借りは12月にある天皇杯で返したいところだ。

 初日を終え、団体5位につけた早大。4階級を制した日体大が1位を確実にしたため総合優勝の道は絶たれたが、3位とは2.5ポイント差と、表彰台を狙える位置で大会を折り返した。2日目には86キロ級に山倉孝介(スポ2=千葉・日体大柏)、97キロ級に玉岡颯斗(スポ2=群馬・館林)が出場。重量級で巻き返したいところだったが、山倉は怪我で途中棄権、玉岡も強敵を相手にペースをつかめず2戦目で敗退と振るわなかった。

 山倉は初戦で日体大柏高時代の先輩、白井達也(日体大)と対戦。試合は互いに攻撃させない時間が続き、パッシブを受けた回数が勝敗を分けるかたちに。前回対戦時は0-8と大差で敗れたが、今回は1-2とあと一歩及ばなかった。その後、白井が決勝に進出したため敗者復活戦に出場する権利を得たが、怪我の影響もあり大事をとって棄権。次戦に向けた調整を進めることとした。一方、玉岡は今回本職ではないフリースタイルで出場。ロースコアの対決を制して予備戦を突破すると、1回戦で丸目哲郎(専大)と対戦した。インカレ2位の強敵を相手に序盤から攻めあぐね、自分のペースに持ち込むことができず1-4で敗戦。早大の重量級勢は1回戦で姿を消した。

 大会を終え、総合6位で幕を閉じた。インカレ王者の深田や全日本チャンピオンの鈴木らを擁しチャンスは十分にあったが、目標に掲げた総合優勝には遠く及ばず。佐藤吏監督(平19スポ卒=秋田商)も「非常に悔しい結果になってしまった」と振り返った。この内閣杯で今年の団体戦は全て終了し、次にチームで臨むのは来年5月に実施予定の東日本学生リーグ戦となる。佐藤監督が課題に挙げた、苦しい場面での試合運びやフィジカル面を強化し、悲願のリーグ戦で古豪復活を見せつけたい。

(記事 秋田豪、鬼頭遥南 写真 渡邉里奈)

※掲載が遅くなり申し訳ございません。

結果

団体

総合6位

個人

▽57キロ級
島谷侃 3位
▽65キロ級
安楽龍馬 3位
▽70キロ級
鈴木歩夢 7位
▽74キロ級
深田雄智 3位

コメント

佐藤吏監督(平19スポ卒=秋田商)

――今大会を振り返っていかがですか

今回は優勝するつもりで来たので、非常に悔しい結果になってしまいました。そもそも2階級出ていなかったので、3階級は優勝して、あとは3位とかで点数を稼ぐというかたちでと思っていたのですが、それが思い通りに行かなかったです。

――敗因はどのような点にあったと考えられますか

 それぞれに個別の課題がありますが、総じて言えるのは、うちのペースで試合運びができているときは非常にいい流れになれるのですが、それ以外のときが全然だめだったのと、あとは単純にテクニックで負けていなくて、フィジカルで負けてる部分が見られたので体力を付ければ次は勝てるのではと感じました。

―― 今後に向けたチームの目標をお聞かせください

 次は来年の5月にあるリーグ戦が我々が一番優勝したい大会であるので、まずそこに照準を当てて今から仕込んでいきたいと思っています。

安楽龍馬主将(スポ4=山梨・韮崎工)

――試合を振り返って率直なご感想をお願いします

4年間の集大成で主将の役割、最後の務めとしては悔しい結果になってしまいました。悔しいの一言です。

――準決勝では途中までは拮抗した展開に見えましたが、どのような点が勝負を分けたのでしょうか

完全に集中力です。初戦から失点の多い試合が続いていたので、集中力がないなと感じていました。集中が欠けた部分が負けにつながったと思います。

――早稲田大学レスリング部での4年間を振り返っていかがですか

早稲田の4年間はめちゃめちゃ楽しかったですね、レスリング。3年から2年間、主将をやらせてもらい、誰もが味わえない体験、経験をすることができたので僕の一生の財産になると思います。

島谷侃(スポ3=秋田商)

――試合を終えて率直なご感想をお願いします

前回のインカレの負けから4週間という短い期間だったのですが、その反省点を重点的にやってきてきました。そのインカレの悔しさを払拭しようと決めて臨んだ大会でした。

――その敗戦から、今大会に向けてどのような準備をされましたか

まずは体重調整がうまくいっていなかったのでインカレの減量後からずっと食事を節制し、コンディションよく臨めるように心がけてきました。

――今回の大会の良かった点、悪かった点をお聞かせください

インカレで見えた課題として、組み手にこだわりすぎていたという点がありました。組手にこだわりすぎず、相手を動かせたことが今回の良かった点です。しかし、結局今年も準決勝で負けて、日体大に優勝を取られてしまいました。去年も日体大に負けてしまっていて、何が何でも勝たなければいけなかったところでしたが、負けてしまったというのが反省点です。

――最後に、今後の目標をお願いします

まず東日本選手権に出場するので、そこに向けてまた調整して頑張っていきたいと思います。

深田雄智(スポ2=千葉・日体大柏)

――試合を振り返って率直な感想をお願いします

めちゃくちゃ疲れました。

―― 佐藤選手に勝った要因はなんでしょうか

気持ちですね。絶対勝つという気持ちがありました。

―― 準決勝の敗因はなんでしょうか

力負けしてしまった感じですね。計量も1キロアンダーとかだったので、それはそうなるだろうなと。

―― 今後の展望をお願いします

力負けしてしまったということで、そこを磨くということはやりたいです。ただ、天皇杯に関しては、残された時間はわずかなので、今やってること、できていることを伸ばして、表彰台に乗れるよう頑張っていきたいと思います。