早大からは3人が表彰台に!伊藤は1年生にしてインカレ制覇

レスリング

  キリンビバレッジ周南総合スポーツセンターで行われた全日本学生レスリング選手権大会(インカレ)の2日目には、初日の試合を勝ち抜いた玉岡颯斗(スポ2=群馬・館林)、小玉彩天奈(社4=高知東)、片岡梨乃(社2=千葉・日体大柏)、伊藤海(社1=京都・網野)が出場した。玉岡はグレコローマンスタイル82キロ級、小玉は女子フリースタイル63キロ級、片岡は女子フリースタイル53キロ級、伊藤は女子フリースタイル50キロ級での出場となった。片岡は3回戦敗退、玉岡と小玉は3位入賞、伊藤は優勝という結果であった。

 初日の試合を全てテクニカルフォール勝ちで突破し、準決勝に駒を進めた玉岡は山口蓮汰と対戦。開始1分30秒までにテイクダウンを決めるなどして3点を先取し、手堅く試合を進めたが、残り2分のところでローリングを決められて試合の主導権を渡してしまうと、終盤にラストポイントをとられ3―3で敗北。試合を決め切るチャンスが何度かあっただけに、悔しい敗戦となった。

後一歩のところで決勝進出を逃してしまった玉岡

  「久々の試合だからこそ今までの練習を全てだそう」(小玉)という意気込みで臨んだ小玉は、女子フリースタイル62キロ級に出場し、初戦で八木千尋(日本文理大)と対戦。序盤から積極的に攻め続け、開始1分で6点を先取して試合の主導権を完全に掌握すると、その後も立て続けテイクダウンを決め、開始2分3秒でテクニカルフォール勝ち。続く準決勝では、稲垣柚香(至学館大)と当たった。パッシブで開始早々失点すると、4分ごろにもパッシブで1失点、その後にもグラウンドの攻防から2失点。残り約30秒のところで意地の反撃を見せ2点を返すも、後一歩及ばず2―4の惜敗となった。

意地の反撃を見せる小玉

 女子フリースタイル53キロ級に出場した片岡は、初戦で竹下葵(至学館大)と当たった。開始2分ごろにタックルを決め、その後もローリングなどで加点。早いうちに取った点をしっかり守り切って、7―0で完勝。続く3回戦では、下野佑実(育英大)と対戦した。明治杯で対戦して敗れた相手との再戦となったが、試合を完全に支配され0―7の完敗となってしまった。

攻めあぐねる片岡

 女子フリースタイル50キロ級に出場した伊藤は、「試合前からこのメンバーなら勝たなければならないと思っていた」(伊藤)という強い気持ちで臨んだ。初戦では永尾さくら(青学大)と対戦し、開始わずか32秒で4―0のフォール勝ち。3回戦でも宮原初花(育英大)に10―0のテクニカルフォール勝ち。しかし、準決勝では「苦手意識があった」という櫻井はなの(育英大)に苦戦し、一時はリードも許すが、残り35秒のところでタックルを決め、4―3で逆転勝利を収めた。決勝では米原実穂(至学館大)を圧倒。開始30秒ごろにテイクダウンからローリングを決めるなどして一気に8点を先取すると、またもやテイクダウンを決めて10―0のテクニカルフォール勝ち。準決勝以外は相手を寄せ付けない文字通りの圧勝で、1年生ながら見事インカレ女王に輝いた。

1年生ながらインカレを制覇した伊藤

 今回の大会では、小玉と玉岡は3位に輝き、伊藤は1年生にしてインカレ制覇を達成するなど上々の結果を出した早大勢であったが、実力的にはさらなる好成績を残し得ていただけに、選手たちはこの結果に満足している様子はない。優勝した伊藤も「この優勝では全く満足していないですし、逆にこのままじゃいけないなと思う」と語る。明治杯で敗れた吉元玲美那(至学館大)が別階級で優勝しており、「リベンジしたい」(伊藤)気持ちも強まったようだ。これから、内閣総理大臣杯や天皇杯と大きな大会が続くが、結果を出してもなお貪欲な姿勢を崩さない早大勢には、更なる上位進出を期待できそうだ。

伊藤海(社1=京都・網野)

――決勝戦を振り返っていただけますか

<決勝戦は、準決勝でああいう試合をしてしまって、反省点が多々あったので、それを改善しようと思って試合に挑んだのと、今まで練習してきたことを全部出そうと思って戦いました。

―― お話にもあったのですが、準決勝は苦戦したように見えました。相手にやりづらさはあったのですか

やっぱり、中学、高校と何回もやったことのある相手で、自分の中でも苦手意識があって、試合前から慎重になりすぎていた部分がありました。それが多分試合にそのまま出てしまっていて、前半攻めきれないという試合展開になってしまったのが、ああいう情け無い試合になった要因だと思います。

―― 1年生でインカレを制覇されたわけですけど、そこについて、手応えはありますか

このメンバーでは、絶対に勝たなければいけないと試合前から思っていて、でも自分が倒すべき相手が一個上の階級に出場していて。なので、この優勝で全然満足していないですし、逆にこのままじゃいけないなというふうに思います。相手は上の階級でも優勝し、世界選手権でも優勝しているので、もっと頑張らないとなと思っています。

――今後の大会での目標を教えてください

まずは12月の天皇杯でリベンジして、優勝して、一歩でもパリ五輪に近づけたらなと思います。

片岡梨乃(社2=千葉・日体大柏)

――今日の試合を振り返って、率直なご感想をお願いします

2回戦目でいつも負けている相手と当たり、やはり自分の実力が足りなかったと感じました。

――明治杯でも当たった下野選手には、やりづらさは感じましたか

基礎がしっかりしているので、攻める隙を与えてくれませんでした。自分のレスリングができず、相手のペースに持って行かれてしまいました。

――今大会の収穫はありますか

初戦では、今まで出せなかった技をいくつか出せたことです。

――最後に今後の展望をお願いします

1ヶ月後に天皇杯があるので、少しでも自分の実力を上げられるように頑張ります。

玉岡颯斗(スポ2=群馬・館林)

――今大会の結果を振り返っていかがですか

前回の同じような大会の優勝者が棄権していたので、今回はチャンスだと思っていました。優勝は目指していたのですが、あくまで一つ一つ勝ちに行こうと考えていました。結局、最後の準決勝で、僅差でとは言っても、負けてしまいました。今回の反省を生かして、次回は優勝できるように頑張ります。

――準決勝で勝敗を分けたのはどのような点だったと思われますか

必要以上に相手を恐れてしまったことです。自分を信じて、もっとガツガツ行けばよかったと思います。

――最後に、今後の展望をお願いします

天皇杯全日本選手権は社会人や自衛隊も含まれるので、胸を借りるつもりで自分の今の実力を出し切りたいと思います。その後につづく学生の大会は、全て優勝できるように一つ一つしっかりと頑張ります。

小玉彩天奈(社4=高知東)

――今日の大会を振り返って、率直な感想をお願いします。

情けないというか、不甲斐ない試合で、悔しさというよりも、情けなさでいっぱいです。

――試合に出るのが久しぶりということで、試合勘とかが衰えていたということはありますか

久々の試合ということもあったのですが、でも絶対に優勝できるというか、しなければいけないという所で、勝ちきれなかったのもあるのですが、久々の試合だったからこそ、今まで練習してきたことを出そうと思っていたのですが、うまくいかなかったなという印象です。

――小玉さんは4年生ということで、そろそろ引退が近づいてきてのですが、そこについてはどうお考えでしょうか。

最後の学生の大会だったんですけど、悔しいというか、あまり納得がいかないというか、反省の残る試合で、そこに関しては悔しい気持ちがあります。でも自分は卒業しても続けるので、また12月の天皇杯もそうですけど、今回の反省を活かして、試合に臨みたいです。

(記事 秋田豪、写真 鬼頭遥南・渡邉里奈)