安楽と小玉が悔しさ残る2位入賞。米澤は勝利届かず

レスリング

 2020年を締めくくる天皇杯全日本選手権が17日に開幕した。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年より規模を縮小。これまでの戦績に基づき選考された各階級8選手によるトーナメント方式で試合が行われた。早大からは大会1日目に米澤凌(スポ3=秋田商)が出場したが初戦で敗退。その後敗者復活戦に回ったものの、未勝利に終わった。一方、2日目に登場した安楽龍馬(スポ3=山梨・韮崎工)と小玉彩天奈(社3=高知東)はそれぞれ接戦を勝ち抜き決勝の舞台へ。優勝こそ逃したが、国内最高峰の舞台で健闘した。

★米澤、勝ち星を挙げることができず

 男子フリースタイル70キロ級で出場した米澤は初戦に社会人オープン選手権優勝の阿部宏隆(サコス)と対戦。試合は序盤から追いつ追われつの接戦に。米澤は第2ピリオド(P)にテークダウンを決めて1点リードしていたものの、終盤にテクニカルポイントを奪われ4-6で逆転負け。その後、大会規定により谷山拓磨(拓大)との敗者復活戦へと回った。谷山とは全日本大学選手権で対戦、完敗を喫している。雪辱を果たすチャンスであったが、序盤から攻めあぐね、自らが受けたパッシブ(消極的な選手に与えられる注意)からポイントを許してしまう。第2Pで場外押し出し1点を返すも、終盤にテークダウンを決められ1-7で敗北。勝ち星を挙げられずに大会を終えた。

★安楽と小玉は「悔しい」2位

相手の攻撃を受ける小玉(提供=日本レスリング協会)

 昨年準優勝に終わった小玉は、女子フリースタイル62キロ級の第2シードに入った。初戦の相手は東日本学生秋季選手権で大接戦を繰り広げた宮道りん(日体大)。「消極的なレスリングをしてしまった」と、開始直後にパッシブを2回受け相手に1点を献上。その後第2Pにも3回目のパッシブを受け、小玉が2点を追いかける展開に。しかし「取りにいける自信はありました」と、終盤に追い上げを見せる。テクニカルポイントを立て続けに奪い、最終的に7-4で逆転勝ちを収めた。決勝では、国体優勝の実績を持つ尾﨑野乃香(JOCエリートアカデミー/帝京高)と対戦。相手の強気な攻めに押され、小玉は「自分の組手」を作ることができず。左足へのタックルを2度決められ、0-5と完敗を喫した。

 安楽は昨年の1~3位が不在の男子フリースタイル65キロ級に出場。初戦は第1P序盤からテークダウンを奪うなど、順調な滑り出しを見せた。終盤は「スタミナが落ちていってしまった」と、相手に場外押し出しによるポイントを許したものの、5-2で勝利を収めた。続く準決勝は、米澤圭(平31スポ卒=現住友金属鉱山)との同門対決となった。試合は手の内知り尽くした者同士、どちらもテクニカルポイントを許さない展開に。安楽は第2P中盤に2回目のパッシブを受けて劣勢となるが、終盤にかけた激しい攻防の末、ラスト3秒で場外押し出しによる1点を奪取。OB米澤との接戦を制した。決勝は、山口海輝(日体大)と全日本大学選手権ぶりの再戦に。互いにタックルがとれず、試合は「審判に左右されてしまうような内容」であった。パッシブを受けた回数が勝敗を分け、安楽は1-2で惜しくも優勝を逃した。

 小玉と安楽はそれぞれ2位入賞を果たした。しかしその内容については「まだまだ」「やることはもっとある」と厳しく分析している。米澤も含め、来年最高学年を迎える3人。「次試合するときは、完璧に勝ちたい」。この大会での敗戦を糧に、ラストイヤーで雪辱なるか。

2位に終わり悔しい表情を浮かべた安楽(提供=日本レスリング協会)

(記事 鬼頭遥南、写真 提供=日本レスリング協会)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

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結果

男子フリースタイル

▽65キロ級

安楽 2位入賞
準々決勝  ○5-2萩原大和(拓大)
準決勝   ○2-2米澤圭(住友金属鉱山)
決勝    ●1-2山口海輝(日体大)
 

▽70キロ級

米澤 敗者復活1回戦敗退
準々決勝  ●4-6阿部宏隆(サコス)
敗者復活戦 ●1-7谷山拓磨(拓大)

 

女子

▽62キロ級

小玉 2位入賞
準決勝   ○7-4宮道りん(日体大)
決勝    ●0-5尾﨑野乃香

コメント

安楽龍馬(スポ3=山梨・韮崎工)

――試合を終えた心境をお聞かせください

自分が今出せるパフォーマンスを一番出すことができてこの結果なので、とても悔しい気持ちもありますし、まだまだだなっていう。また次に向けて頑張っていこうと思っています。

――直前対談では、今回特に減量が大変だとおっしゃっていましたが、当日のコンディションはいかがでしたか

当日はすごい動けて。でも1試合目は体が戻っていなかったのか後半スタミナが落ちていってしまって。減量は今回きつかったですね。

――試合内容をふり返っていかがでしたか

2試合目は大学の先輩の米澤圭くんとの同門対決で。お互い手の内がわかっている中で試合をして、展開が拮抗(きっこう)していたのですが、そこでラスト3秒で自分のことを信じて結果が出たのでそこは収穫でした。決勝戦は相手の勝ちに対する気持ちが上手だったのかなと。

――決勝で当たった山口海輝選手(日体大)は内閣総理大臣杯全日本大学選手権でも対戦されていますが

そうですね。自分もタックル、ポイントをとれず、審判に左右されてしまうような試合内容でした。次試合するときは、(テクニカルポイントをとって)完璧に勝ちたいと思います。

――来シーズンに向けて目標、意気込みをお聞かせください

来年の目標はリーグ戦優勝に貢献することです。個人としては、山口選手(山口海輝)とは同じ学年で何回も試合をすると思うので、研究して勝っていきたいと思います。

小玉彩天奈(社3=高知東)

――試合を終えた心境をお聞かせください

努力不足というか、やることはたくさんあるなと感じています。

――試合内容をふり返っていかがでしたか

先にアクティビティを取られていまう、消極的なレスリングをしてしまったのが結果として(出てしまいました)。そこがずっと課題なんですけど、直ってなかったなというのと、自分の組手を作ることができなかったなと思います。

――準決勝で当たった宮道りん選手(日体大)は東日本学生秋季選手権でも対戦されていますが

最初は緊張とかもあったんですけど、1回やっていたことでどういう相手かわかっていて、最後追いかける形にはなりましたが、そのなかでも取りにいける自信はありました。そんなに焦ることなく戦えたんじゃないかと思います。

――決勝で当たった尾﨑野乃香選手(JOCエリートアカデミー/帝京高)については

上がってくるだろうなとは思っていて。1回試合したこともある選手なんですけど、左構えで自分の苦手なタイプで。常に攻めてくる選手なので入られないようにっていうのは意識して試合前もアップしていたんですけど、なかなか出せずっていう感じですね。

――今大会で見つかった課題や収穫は

やってみて感じたのは練習と試合のギャップがあるなということです。練習でやってきたことが試合で出せなかったので、そのギャップは埋めないといけないと感じました。

――来シーズンに向けて目標、意気込みをお聞かせください

最終学年になって、チームを引っ張る立場でもあるので、引っ張って行けるように練習でも試合でも結果を残していきたいと思います。