主将・山﨑優勝!安楽はインカレ連覇を達成!

レスリング

 全日本学生選手権(インカレ)2日目は初日に行われた男子フリースタイルの続きに加え、女子フリースタイルが行われた。早稲田からは2人が優勝、5人が入賞した。学生王者の座を手にしたのは主将の山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)と安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)。山﨑は1年時以来二度目のインカレのタイトル獲得、安楽は見事連覇を成し遂げた。初日から好調であった吉村拓海(スポ4=埼玉栄)は2位、岩澤侃(スポ4=秋田商)と鈴木歩夢(スポ1=埼玉栄)は3位入賞となり、女子フリースタイルでは小玉彩天奈(社2=高知東)は2位、臼池優月(社3=茨城・鹿島学園)は3位入賞となった。

 山﨑は予選を全てテクニカルフォールで制すと準々決勝では40秒でフォール勝ち。準決勝では苦戦を強いられたものの全体を通して実力差を見せつける形となった。安楽も準決勝を8−0と大きく得点差をつけて勝利し、両者2年連続で決勝進出を決めた。そして迎えた決勝。山﨑は昨年のインカレ王者との一戦となったが、開始早々相手をテイクダウンし4点を獲得すると、その後バックポイントを獲得し6点のリードを抱えて折り返す。第2ピリオドではローリングやバックポイントをかけられる場面があったが、カウンターもしっかりと決め8−4で優勝を決めた。山﨑は勝利した瞬間「安心です」と話した。昨年から階級を1つあげたこともありそれで成果をあげられるかどうか不安だったという。しかし、内容を見れば力強いタックルから確実にテクニカルポイントを獲得しており攻め切ることのできた大会であった。対し安楽の決勝は接戦の大激闘だった。相手は3連敗を喫していた宿敵の谷山拓磨(拓大)。パッシブで先制点を取ると安楽もパッシブで2度献上。1点差をつけられ追い込まれた終了間際相手を場外に押し出し追いつく。そこからは相手の激しい組み手争いに素早く耐え続ける。終始集中力を切らさなかった安楽は逃げ切りビックポイント差で連覇を成し遂げた。「4連敗したらどうなるんだろうとかそういうマイナスな部分を考えてしまって」と試合後語ったが、しっかり周りの期待に応え勝利後は嬉しさのあまり雄たけびをあげチームメイトとハイタッチをして喜んだ。

力強い攻めと堅い守りで1年時以来のインカレ優勝を成し遂げた山﨑

 初日好調であった吉村は2日目もテクニカルフォールで予選を突破した。しかし準々決勝で相手のタックルから右腕を痛めるアクシデントが起こり準決勝以降は戦い方を変える選択を迫られることとなった。準決勝は突破を果たせたものの決勝では怪我の影響から思うように攻めることができずパッシブを2度献上。場外に投げ出され3点差をつけられてしまう。最後低いタックルから相手のバックを奪い1点差に追いつくもそこで万事休す。昨年同様2位入賞となった。57キロ級の岩澤も準々決勝までは大きく点差をつけて勝ち上がってきたが、準決勝では接戦となる。バックポイントを2度獲るも終了1分前相手に1点上回られ無念にも準決勝敗退となった。「先制点を取られてしまったのが敗因のひとつ」と最初にパッシブポイントを与えてしまったのが流れを悪くしたと岩澤は振り返った。また、女子63キロ級で出場した小玉は決勝で昨年のインカレ優勝者に苦しめられ第1ピリオドで4点差をつけられる。バックポイントと場外であと1点を追いかける展開にまでなったが相手の堅い守りから中に入っていくことができず1点差で惜しくも敗れた。

インカレ連覇を果たし喜びを爆発させる安楽

 主将として優勝を成し遂げた山﨑、連覇を果たした安楽はレスリングシーズンの上半期の締めくくりとして学生王者というタイトルを獲得し有終の美を飾った。また、合わせて7人が表彰台に上がった早稲田チーム。上級生だけでなく全学年から入賞者を出したことから層の厚さが感じられる。学生のトップが集まるこの大会でこれだけ多くの選手が3位以内に入ったのは快挙といえるだろう。これから天皇杯全日本選手権までの下半期の早稲田の戦いに期待がかかる。

今大会入賞を果たした選手たち

(記事 北﨑麗、写真 瀧上恵利、北﨑麗)


コメント

山﨑弥十朗(スポ4=埼玉栄)

――優勝おめでとうございます!

ありがとうございます。

――ご自身のインカレの位置付けは

今回は階級上げて1個目の試合だったので、12月の全日本へ向けて調整というのもあり、学生のタイトルもあるので調整試合といいつつしっかりと優勝していきたいと思っていました。

――階級を上げたことによる影響や組んでみて感じたことなどは

階級を上げて気持ちはすごく楽になって。減量していた頃ってすごく切迫詰まっててすごく試合に対してネティブな気持ちになっていたんですけど、86キロ級に上げてすごくリラックスした状態でできて自分の思った通りの動きができたので良かったです。でもその分やっぱり相手が大きいので、タックル入っても獲りきれなかったり汗の量とかも変わっていって、そこら辺が74キロ級時代と86キロ級時代とちょっと変わってきますね。

――戦い方の変化というのはありますか

74キロ級のときは本来の動きじゃない動きになっちゃってたのでそれが戻りつつあるというのが正直なところで。やっぱり減量してないと体は動くしあんま不安はないんですけど、減量してるとどうしてもバテないようにしようとか相手より早く動こうとかというので力強さがあまりなかったです。86にしたらそういう力強さが戻ってきたのでそういう変化はありますね。

――予選でフォール勝ちなど相手を圧倒的に倒せたというのはそこが影響していますか

74はスピードが早いのでそれに負けないように入られないようにとか思って予選のときとか気持ち張り詰めてたんですけど、今回階級上げて予選とかは、体力はこっちの方が上だし力強さも負けてないだろうとすごくリラックスしてできました。

――決勝を振り返って

良かった点は最初に4点を獲れたこと。あれは狙ってなくて、自分の反射でかけられたのでそういうなは引き出しが増えたのかなと。それはすごく良かったです。あとは、しっかり相手に点数を獲られても自分で獲り返すという展開になれたのでそれはすごい良かったと思います。悪かった点はちょっと途中逃げすぎちゃったり、相手に合わせて自分の動きじゃない動きをしてしまっていたのでそういう部分ではまだ86のレベルにもうちょっと近づけたらと思います。

――今大会での収穫は

自分のベストコンディションで挑んだ方が結果もついてくるし、減量して勝つ人も当然いるんですけど僕はそういうタイプではないということがここで再認識できたと。結構減量してあきらめちゃったりしたのでそういう部分に比べたら気持ちの部分は大きいのかなというのは今回感じました。

――優勝したことに対する率直なお気持ちは

安心ですね。しっかりここで優勝できたというのが今後につなげられると思うので。

――「嬉しい」よりは「安心」と

「安心」ですねやっぱり。

――年末の天皇杯へ向けて今回成果をあげられたという点で「安心」ですか

そうですね、気持ち的にも実際インカレによって上がっていくようなものなのでここで一気に加速できたらいいなと。

――次戦に向けて意気込みを一言お願いします

国体でもまた石黒選手など今回出た選手のほとんどが出場するのでそれでまた負けないように練習していかなきゃいけないなと思います。

岩澤侃(スポ4=秋田商)

――インカレへ向けての意気込みはどのようなものでしたか

4年生で最後のインカレということで、今までタイトルも獲ったことなかったので獲りたいなと思って臨みました。

――今大会での戦い方は

チームとして共通の目標として「先制点から最大得点」というのを掲げていたのでそのテーマを徹底しておこなっていきたいなというふうに思っていました。

――予選でその目標の戦い方が発揮されていたと感じられたのですがご自身で振り返って

勝てた試合、主に予選は、目指してたスタイルが徹底できていたので勝ちにつながったんだと思います。

――準決勝を振り返って

確か先制点を獲れなくてアクティビティタイムで1点を獲られたというところがやはり一つ敗因でもあるのかなと思っていて、先にタックルでテイクダウンを獲れていればそこから得意のアンクルにつなげられたと思うので、やっぱり先制点を獲りきれなかったことが良くなかったと思います。でもその中でも点数を獲り返したり場外際での戦い方っていうのも今までの試合と比べると、負けはしたんですけど、部分的に見れば戦い方が上達していったのかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

今回チャンピオンになった選手も出ると思いますし、負けた相手も出場すると思うので、大学の名前を背負う大会ではないですけど、早稲田で培った技術というのを発揮して今大会より良い成績を残せるように頑張りたいと思います。

吉村拓海(スポ4=埼玉栄)

――インカレへの意気込みはどのようなものでしたか

昨年も優勝のチャンスがあって2位で、今年のリーグ戦と明治杯でなかなか思うように動けなかったので、相手どうこうではなく自分を出すというのを意識してやりました。

――インカレでどのような戦い方をしようと考えていましたか

自分のスタイルは難しいこと考えずに自分がガンガン攻めていくスタイルで、今大会通してそれが出せたのでそれは良かったです。

――準々決勝までの戦いについて

ほぼいいかたちで戦えてました。ただ準々決勝でけがしてしまって、そこから歯車が狂ったというか、一番得意な右差しができなくなってしまったので、そこからはスタイルチェンジせざるを得なくなりました。

――準決勝からはそのけがの影響はやはりありましたか

そうですね、けがした後からはちょっと厳しい戦いになりました。

――決勝を振り返って

良かった点は気持ちで最後負けずにほぼ反則技でもポイント獲りにいけたっていうのと、劣勢の中で自分のレスリングをしようというのはできたので。今大会を通して自分はまあ結果は仕方ないことなので内容は満足してます。

――今大会での収穫、成長したものを挙げるとすれば

自分らしさが全体を通して出せたことですね。

――自分で得点をしっかり獲れたということですか

はい、そうですね。

――次戦への意気込みをお願いします

国体に地元の代表として出るのでしっかりポイントを稼いでいきたいと思います。

――国体では今大会を活かしてどのように修正していきますか

とりあえず修正する点はこのけがを治すくらいで、今大会でやったことを出せば結果はまたついてくるんじゃないかなと思います。

安楽龍馬(スポ2=山梨・韮崎工)

――優勝おめでとうございます!

ありがとうございます。

――インカレへの意気込みはどのようなものでしたか

トーナメントを見たとき一試合一試合集中していければ優勝できると思ったので、頑張ろうと思って臨みました。

――大会前どのような戦いをしていきたいと考えていましたか

今回決勝で戦った人がもう4回目なんですけど今まで3連敗してて、人生で何回も負けてる人で、次負けたら自分もうちょっとやんなきゃいけないのかなと思ったり。4連敗はしたくなくて、明治杯の反省を踏まえて自分のスタイルをしっかりコーチとかと話して確立していこうと思いました。明治杯から約2ヶ月自分のスタイルを追及して何がダメなのかというのが明確に分かったのでそれが今回活かせたかなと思います。

――準決勝まで危なげなく勝ち進んだ印象ですが、その確立したスタイルを発揮できたと

そうですね、でも準々決勝で戦った相手は最後のワンチャンスを狙ってくる人だったので、皆からは安心してやっているように見られていたかもしれないんですけど、自分結構必死で。いつくるんだろうとか、自分が攻めてるのにこられたらどうしようとか不安に思っちゃってました。ただ、その戦いを危なげなく勝てたので良かったなという感じです。

――決勝を振り返って

やっぱり3連敗してた相手だったのでもう4連敗とかしたくないとか、4連敗したらどうなるんだろうとか、そういうマイナスな部分を考えてしまっててもう自分でもやっていけないなって思いました。でも勝つイメージをしっかりして、あと自分だけでこの競技やってるわけじゃなかったので。毎回親が来てくれたり応援してくださるOBの人たちがいるので、その人たちのことを考えてしっかり期待に応えようと思いました。皆の声援も聞こえましたし、だから勝ったときはすごい声出しちゃいましたね、恥ずかしいっす。

――今大会で成長できた部分とは

最初からパッシブをとっていくという、自分から前に出ていくスタイルをしっかりとれたので、そこは収穫じゃないかなと思います。

――最後に次戦へ向けて

直近の大会が国民体育大会です。去年3位だったので、社会人がいるんですけど、一試合一試合集中して頑張っていきたいですね。

小玉彩天奈(社2=高知東)

――インカレへ向けての思いは

やっぱりインカレは大学生活の中でしかない大会なので優勝することを目標に臨みました。

――インカレでどのような戦い方をしていこうと考えていましたか

早稲田でやってきたことを。春からずっとアングルとか相手を追い込む組手とかをやってきてたんですけど、それがちゃんと出して戦えたらいいなと思っていました。

――今大会ではそれが出せましたか

いや、それは感じなくて。片足をタックルでとれたのは良かったんですけど、アンクルにつなげられなかったり最後自分の気持ちが弱くて何回も場外に出されちゃったりしちゃって、あんまり自分の納得のいく動きはできなかったです。

――決勝を振り返って

相手もすごく強い選手で、勝ちたかったです。動きとしてはタックルでとれたのは良かったんですけど、前半で自分が入られちゃって得点を許しちゃったのが反省です。

――その中で今大会得たものは

タックルがちゃんと入れるようになったことは本当に成長です。自分は昔から逃げ腰で守っちゃって投げに頼っちゃうみたいなのがずっとあって、大学1年生のときはそんな試合展開だったんですけど、2年生になって早稲田で練習の内容が変わって、自分が攻めて点数をとれるようになったのは試合してすごく感じました。でもタックルきれなかったりとか気持ちの面とかは昔よりはちょっと自信がなくなっちゃったのかなっていうのを感じました。試合前も不安だったし、それが準決勝も決勝もそういうのが結果につながってきたのかなと。

――2位入賞という結果に対して

自分天皇杯の出場資格を持っていなくて、インカレで決勝まで行くとそれがもらえるのでそれがとれたのはホッとしています。けど決勝は4ー3でスコア的にも惜しかったし、点とれた部分もたくさんあったので満足はしてなくて、でも強い相手に惜しいところまで戦えるんだっていう自分の位置みたいなものが分かって良かったです。

――最後に次戦に向けて

次は女子オープンなんですけど出るか迷ってて、確実に出るのは天皇杯です。もう東京五輪は難しいと思うんですけど、それでも気持ちを切らさずに。自分の大学生活の中で全日本優勝することは目標なので、達成できるようにまた切り替えて頑張っていきたいと思います。