屈辱を力に変えて、須﨑が世界選手権連覇を果たす!

レスリング

 苦節を乗り越え、須﨑優衣(スポ1=東京・安部学院)が2年連続で世界女王の座をつかんだ!日本時間26日深夜に行われた世界選手権女子50キロ級決勝でマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)を10−0のテクニカルフォールで下した須﨑。高校3年生にして初出場初優勝を飾った昨年の世界選手権(フランス)から1年。進化を遂げた若き女王は再び世界の頂点に君臨した。

決勝でマリア・スタドニクに対しバックポイントを奪う須﨑

 初戦となった2回戦で昨年の世界選手権の決勝で対戦したエメリア・アリナ・ブク(ルーマニア)をフォール勝ちで下した須﨑。3回戦、準決勝も名だたる強敵相手に対し、無失点でのテクニカルフォールで勝ち進んだ。決勝はの相手はリオ五輪48キロ級銀メダリストのマリア・スタドニク。今年2月のクリッパン女子国際大会で接戦の末勝利を挙げていた相手であったが、須﨑はこの大舞台で圧巻の試合を展開する。試合開始58秒に組手から相手を崩しバックポイントを奪うと、そのままローリングを回し先制に成功。第1ピリオド(P)終了間際には右足タックルで追加点を挙げ、6−0のリードで前半を折り返した。そして第2P中盤、左足へタックルに入ると再びバックポイントからローリングを決め、10−0のテクニカルフォール勝ち。大会を通じて無失点、全試合フォールもしくはテクニカルフォールによる完勝で世界選手権連覇を果たした。試合終了のホイッスルが鳴ると、須﨑は昨年のそれとは少し違った、自信に満ちた笑顔でガッツポーズを決めた。

2連覇を果たしウイニングランをする須﨑

 「去年の世界選手権よりも厳しい試練を乗り越えてつかんだ出場権ですし、このチャンスを絶対に自分のものにして、必ず2連覇して東京五輪につなげたい」。世界女王として凱旋した昨年の天皇杯全日本選手権(天皇杯)で入江ゆき(自衛隊)に惨敗し屈辱を味わった須﨑。それでも「失うものは何もない」と前を向き、己と向き合い鍛錬を重ねた。6月の明治杯全日本選抜選手権でリベンジを果たし、プレーオフでも死闘を制した末につかみ取った世界への切符だった。そして迎えた2度目の世界選手権。悔しさを糧に、進化を遂げた世界女王は無敵の強さで連覇を果たし、その成長を証明してみせた。いよいよ、今年12月の天皇杯から東京五輪の選考が始まる。自身が最大の目標に掲げる『東京五輪で金メダル』へ向けて。世界選手権連覇の偉業を確かな自信に変え、再び須﨑は駆け走る。

(記事 林大貴、写真提供 日本レスリング協会)

※フリースタイルは10点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる

結果

▽女子50キロ級
須崎  優勝

1回戦 BYE
2回戦 ◯ 6−0(フォール)
3回戦 ◯ 10−0(Tフォール) 
準決勝 ◯ 11−0(Tフォール)
決勝  ◯ 10−0 (Tフォール)

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