宇井、山﨑が優勝!早大は昨年から大きく順位を落とし8位に

レスリング

 宇井大和(スポ3=和歌山・新宮)と山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)が久々のタイトルを手にした!きのうに引き続き熱戦が繰り広げられた全日本大学グレコローマン選手権(全グレ)。この日は敗者復活戦と決勝が行われた。敗者復活戦に臨んだ松本直毅(スポ3=神奈川・横浜清陵総合)は2回戦で敗れる結果となったが8位に入賞。決勝に挑んだ宇井と山﨑はそれぞれ接戦を制し見事優勝を果たした。しかし、早大は昨年の4位からから大きく順位を下げ8位。チームとしては不本意な結果に終わった。

 大会の規定により、決勝に進出した選手に敗れていたため敗者復活戦へと回った松本は1回戦をテクニカルフォールで突破。2回戦では第2ピリオド(P)に逆転し、終盤までリードを保っていたものの、試合時間残り10秒時点で胴タックルから場外へ押し出され、相手のラストポイントより敗戦。8位入賞にとどまった。昨年のJOCジュニアオリンピック杯以来タイトルから遠ざかっているだけに、是が非でも優勝を決めたい山﨑。1年生学生王者の奈須川良太(神奈川大)との対戦となった決勝は、第1Pにパッシブにより先制を許したものの、第2Pに有利な体勢からローリングを回し逆転に成功。その後は危なげなく試合を運び優勝を決め、久々となるタイトルを手中に収めた。「まさか久しぶりのタイトルがフリースタイルじゃなくてグレコローマンになるとは思っていなかった」と驚きをあらわにした山﨑だが、「失点を抑えてグラウンドでポイントを取るという自分のイメージとほとんどマッチングして試合運びができた」と手応えは十分。内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)、そして天皇杯全日本選手権(天皇杯)へ向け弾みの付く、価値ある優勝となった。

山﨑は本職ではないグレコローマンでもその実力を示した

 「この大会のために1年間練習しているといっても過言ではない大会で。本当に優勝を目指してきたので、優勝できて良かったです」(宇井)。きのうの試合を全てテクニカルフォール勝ちで突破し、勢いに乗る宇井の決勝の相手は中橋涼(日体大)。今年度の全日本学生選手権(インカレ)で苦杯をなめた相手だ。試合は第1P中盤、パッシブからの投げ技で5点をリードすると、「自分のペースに持っていけた」とその後は試合の展開を支配。第2Pには不利な体勢からのリスタートをローリング1回でしのぎ、終盤には相手の猛攻を受けながらも、冷静に対処し逃げ切った。インカレでの雪辱を果たした宇井は「1年のときに優勝していて思い入れのある大会」という全グレで2年ぶりの優勝。充実感に満ちた表情で大会を終えた。

自身がもっとも重要視する大会で2年ぶりの優勝を果たした宇井

 2013年以来となる複数の優勝者を輩出した一方で、チームとしては昨年の4位から大きく順位を下げる8位という結果に終わった。「すごい満足のいく部分と、全く満足のいかない部分の両極端に分かれている。もっと上に行けたと思う」と太田拓弥監督。ケガ人の続出というチーム状況や、厳しい組み合わせといった逆風があったにせよ、今大会の結果はチームとしては不本意な結果だ。次に控える舞台はチームが後期最大の目標とする団体戦・内閣杯。「1人1人の持ち味をしっかり伸ばすというところと、フィジカルをもう一回鍛えるということを取り組んで行けば間違いなく優勝を狙える」(太田監督)と改善すべき点は明確だ。悲願の内閣杯総合優勝へ向け、チーム一丸となって。屈辱を味わった東日本学生リーグ戦の借りを返しにいく。

(記事、写真 林大貴)

※グレコローマンスタイルは8点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる

入賞した選手たち。左から宇井、松本、山﨑

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結果

敗者復活戦
▽97キロ級
松本 8位

決勝
▽67キロ級
◯宇井 5−3 中橋
優勝

▽87キロ級
◯山﨑 3−1 奈須川
優勝

総合順位
▽早大 8位

コメント

太田拓弥監督

――今大会2日間を総括していかがですか

最後2試合が良かったので、もっと上に行けたんじゃないかなとは改めて思いましたね。きょうの松本の試合なんかもラスト数秒で逆転されたりだとか、斎藤(隼佑、スポ4=群馬・館林)や岩澤(侃、スポ3=秋田商)とか、松本にしても組み合わせで強い選手と当たって、そこで勝っていれば3位とかになれた階級も多かったので。でも2人優勝しただけにちょっともったいなかったかなと思います。

――宇井選手の決勝を振り返っていかがですか

持ち味の投げもしっかりと上がりましたし、勝負どころでしっかりと取りきるっていうのはしっかりできていた内容だったと思います。そのあと、相手も相当追い込んできましたけど、しのぎましたし。インカレで負けていた相手にリベンジできたっていうのはすごく収穫になったと思います。

――山﨑選手は大会を通じて危なげない内容で優勝しました

1回戦が先にポイント取られたりと一番苦労したんじゃないかなと思います。ただ絶対的なローリングっていうものを持っているので、そこは持ち味がしっかり出た内容だったと思います。

――今大会の結果をどう捉えていますか

すごい満足のいく部分と、全く満足のいかない部分の両極端に分かれていて。2人優勝したっていうところはすごいプラスになる部分だと思うので、このところ弥十朗もちょっと優勝から遠ざかっていたので、今回の優勝で内閣杯にも弾みがついたんじゃないですかね。

――今大会課題となった部分はどういった部分でしょうか

フィジカルの部分ですかね。優勝した2人に言えることはやっぱりフィジカルが強いというところなので、朝練から真面目に練習に取り組んでいたところがしっかり成果に出たかなと思います。他の選手もしっかり取り組んでいるんですけど、彼ら以上に練習をしていればこういう(優勝という)結果につながったんじゃないかなというのは改めて思いましたね。負けた選手はフィジカルをしっかり鍛えさせたいと思います。

――内閣杯に向けて取り組んでいくべき点は

1人1人の持ち味をしっかり伸ばすというところと、フィジカルをもう一回鍛えるということを取り組んで行けば間違いなく優勝を狙えると思います。山梨学院大が頭1つリードしているんですけど、他の大学は横一線ですし、優勝できるチャンスは十分にあると思います。残り3週間しっかり4年生中心にまとまっていきたいなと思います。

宇井大和(スポ3=和歌山・新宮)

――優勝おめでとうございます

ありがとうございます!

――今の率直なお気持ちをお聞かせください

素直に嬉しいですね。勝ちたいと思っていたんですけど、確実に勝てるとは思っていなかったので。

――決勝はインカレで敗れた相手でしたが、勝因はどこにあるでしょうか

最初にパッシブで先制して、グラウンドで返すっていう自分のペースに持っていけたっていうのが勝因かなと思います。この前のインカレでは先に取られてしまって、そこから点数を返せなかったので。自分のペースで試合を運ぶことができたかなと思います。

――大会を振り返って、手応えを感じた部分はありましたか

組み合わせを見たときに山場は決勝だなと思ったので、それまでの1試合1試合も集中して落とすことなくできたので、うまく決勝に気持ちを持っていくことができたかなと思います。

――チームとして今大会はどう捉えていますか

隼佑さんだったり、松本だったり上位入賞できる実力を持っている人が早々に負けてしまったりして、組み合わせの問題もあったんですけど。残っているのが自分と弥十朗ぐらいだったので、なんとしても勝たないといけないなと思っていました。

――グレコ専門の選手として、今大会にかける思いはやはり強かったのでしょうか

そうですね。自分はフリーが得意ではないので、(東日本学生)リーグ戦とか、内閣杯には出ないので、出番がインカレか今大会ぐらいなので。この大会は1年生の時に優勝していて、思い入れのある大会なので、この大会のために1年間練習しているといっても過言ではない大会で。本当に優勝を目指してきたので、優勝できて良かったです。

――次戦の天皇杯へ向けて一言お願いします

全日本は大学に入って今までずっとベスト8止まりなので、そこのカベを1つ乗り越えて、入賞できるように頑張りたいです。

山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)

――久々のタイトル獲得となりましたが、率直なお気持ちはいかがですか

まさか久しぶりのタイトルがフリースタイルじゃなくてグレコローマンになるとは思っていなくて、すごいびっくりしています。フリーの方が自信があったので、グレコはフリーに生かせるように練習していただけだったので。今大会のチャンスをものにできたのは良かったのかなと思います。

――今大会の意気込みとしてはいかがでしたか

1回戦の日体大の選手との対戦で思った以上にうまく勝てたので、そこから優勝するぞっていう意気込みが一気に沸きましたね。

――今大会を振り返っていかがですか

しっかりと失点をしないというのが今回の目標で。失点をしない中でしっかりとグラウンドに持ち込んで、点数を取って勝とうっていう自分のイメージとほとんどマッチングして試合運びができたので、自分がイメージしたかたちで勝てたっていうのは良かったと思います。

――今大会での優勝が今後に繋がる部分はありますか

まず自信ですね。久しぶりにタイトルを取ったということで。やっぱり優勝すると心の中の変化とか自信というものにつながってくるので、自分はまだできるんだって。あとは練習の仕方と気持ちの、モチベーションの持っていき方だなと感じました。

――今後の大会へ向けて一言お願いします

内閣杯が本来の階級よりも重い86キロ級なので、重い相手に対するプランであったりイメージをしっかり持って。そのあとにU23の世界選手権があるので、それも含めて天皇杯にピークを持っていけるように、優勝できるように、自分のスタイルを確認していこうかなと思います。