インカレ開幕!学生王者へ向け多くの選手が好発進

レスリング

 多くの早大戦士が学生王者へ向け好発進を切った。レスリングのシーズンにおいて前期最後の大会となる全日本学生選手権(インカレ)。数多の選手が学生王者の座をかけてしのぎを削る大舞台の初日は男子フリースタイルのベスト16までの試合が行われ、早大からは11選手が出場。うち7選手がベスト16入りを決め、「1人でも多く表彰台に立てるように」と意気込むチームにとっても幸先のいい船出となった。

 この日早大で最初に登場したのは57キロ級の坂井剛光(社2=福岡・小倉商)。1回戦では逆転でのテクニカルフォール勝ちを決めたが、2回戦で完敗。野本州汰(スポ2=群馬・館林)も1回戦では快勝を収めたものの、2回戦で思うような攻めができず、1−6で敗戦した。一方でルーキーの米澤凌(スポ1=秋田商)、安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)は躍動。65キロ級での挑戦となった米澤凌は初戦こそ硬さもあり2−1での辛勝となったが、2回戦で第1ピリオド(P)を待たずしてフォール勝ちを収めると3回戦もテクニカルフォールで快勝し、あす以降の戦いに弾みを付けた。「きょうの一番良い試合だったと思います」と太田拓弥監督が振り返ったのは安楽の3回戦だ。1、2回戦をテクニカルフォールで勝ち上がった安楽は実力のある第4シードの清水洸希(拓大)と対戦。両者一歩も譲らぬ接戦となったこの試合は、安楽が1点をリードして残り1分の攻防に入る。安楽は清水の猛攻を受け、場外への押し出しによる1点こそ失ったもののビッグポイントの差でこの激闘を見事ものにし、ベスト16入りを決めた。

3回戦で激闘を制した安楽

 太田監督が期待したい選手として挙げた岩澤侃(スポ3=秋田商)、吉村拓海(スポ3=埼玉栄)はそのコンディションの良さをうかがわせた。両者とも持ち味とするレスリングをいかんなく発揮し、ベスト16へ進出。あすもこの日のパフォーマンスを発揮できれば、上位進出も十分視野に入るだろう。早大の絶対的エースであり、2年ぶりのインカレ制覇を目指す山﨑弥十朗(スポ3=埼玉栄)も危なげなくベスト16入りを決めた。本職ではないフリーで出場した松本直毅(スポ3=神奈川・横浜清陵総合)は2回戦で完封負け。自身の本来の土俵であるグレコローマンスタイルで巻き返しを図りたい。最後のインカレを迎えた4年生は橋本が逆転負けを喫し悔しい初戦敗退となったものの、昨年の65キロ級王者・米澤圭主将(スポ4=秋田商)、70キロ級で2位に入賞している伊藤駿(スポ4=京都・網野)はその実力を見せつける。ともに70キロ級で出場した両者は2回戦、3回戦を無失点、加えてテクニカルフォールとフォールによる完勝で勝ち進んでみせた。

調子の良さをうかがわせた岩澤(左)

 本来の実力を出し切ることができず悔しいかたちで大会から姿を消した者もあったが、その中でも多くの選手が勝利を挙げた。太田監督は「チーム全体のレベルが上がっている証拠だと思いますし、またそれに押されて、上位に進出している者の試合内容もとても良いですし、あす以降に向けてとてもいいスタートができた初日だったんじゃないかなと思います」と高く評価した。チームとしての成熟度の高さがうかがえたインカレ初日。あすは表彰台、さらには優勝をかけたベスト16以降、そして女子の試合が予定されている。学生王者の座へ向けた早大戦士の本当の戦いはこれからだ。

(記事 林大貴、写真 山口日奈子、山本小春)

※フリースタイルは10点差がつくとテクニカルフォールで試合終了となる

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結果

男子フリースタイル
▽57キロ級
坂井 2回戦敗退
岩澤 ベスト16進出

▽61キロ級
吉村 ベスト16進出

▽65キロ級
橋本 初戦敗退
米澤凌 ベスト16進出
安楽 ベスト16進出

▽70キロ級
野本 2回戦敗退
米澤圭 ベスト16進出
伊藤 ベスト16進出

▽74キロ級
梅林 棄権

▽79キロ級
山﨑 ベスト16進出

▽97キロ級
松本 2回戦敗退

コメント

太田拓弥監督

――インカレはどのような位置づけとして捉えていますか

前期最後の大会ということで、色々あった反省をふまえて後期へ向けた大会ではありました。学生日本一を決める大会なので、1人でも多く優勝というところを目標に臨みましたね。

―チームとしてどのような目標を立ててインカレに臨まれていますか

まず一人でも多く優勝するということ。やはり大学選手権で優勝するためには上位にコンスタントに入っていかないと総合優勝することができないので、1人でも多く表彰台に立てるようにってところですかね。

――吉村選手と岩澤選手のコンディションは非常に良かったように思えます

その2人はこの夏チームの中でもかなり良い練習ができていましたし、体重の調整もうまくできていたので、それが結果として試合に反映したのかなと思いますね。2人とも普段通り動きができていたので楽しみです。

――安楽選手のラスト1分間の攻防はどのようにご覧になられましたか

タックルに入られても粘り強く耐えていましたし、自分から積極的にポイントも取りにいけましたし良かったと思います。相手も本当に強い選手でしたし、紙一重のところだろうなと思っていました。先制された中でそのあとしっかり取りきって、最後足をかけられましたけど、うまく勝ったなと思いますね。きょうの一番良い試合だったなと思います。

――米澤凌選手は70キロ級から65キロ級に変わりました

本人が自分で65キロ級に落としたいということで、本人の意思を確認した上で変わりました。1試合目は少し硬くなっていましたが、それ以降の試合は良い動きができていたんじゃないかなと思います。優勝してもおかしくない力を持っているので、明日の試合、1つ1使っていくことが大事だなと思いますね。

――米澤凌選手が階級を落としてきたことは、安楽選手にとってやはり刺激はあるのでしょうか

それはあると思いますね。高校時代から同じ階級ですし、お互いが切磋琢磨してインカレで1位、2位を目指してほしいですね。

――坂井選手と野本選手は2回戦敗退という結果でした

自分の得意のパターンっていうのがまだ確立されていなくて、セオリーっていうのがまだ分かっていないのかなと感じましたね。もっともっと勝ってほしいのがこの2人だったので、もう少し勝ち進んでほしかったなと思いましたね。

――多くのメンバーが1勝はあげることができました

チーム全体のレベルが上がっている証拠だと思いますし、またそれに押されて、上位に進出している者の試合内容もとても良いですし、あす以降に向けてとてもいいスタートができた初日だったんじゃないかなと思います。

――明日はどういった戦いを期待されていますか

とにかくきょうの龍馬のような粘っこい戦いで挑んでほしいです。上にいけばいくほど接戦になってきますので、接戦に勝って1人でも多く表彰台に上がれればなと思いますね。