圧巻のメダルラッシュ!チームとしての課題も明確に

レスリング

 東日本学生春季新人選手権2日目。この日はフリースタイルの試合が行われ、早大からは5選手がエントリー。並行して開催された東日本学生女子選手権には須﨑優衣(スポ1=東京・安部学院)、臼池優月(社2=茨城・鹿島学園)が出場した。結果として梅林太郎(スポ2=東京・帝京)、米澤凌(スポ1=秋田商)、須﨑の3選手が優勝、安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)が3位入賞と合計4つのメダルを獲得した一方で、それ以外の選手は早々に大会から姿を消し、部内における実力差という課題は依然として浮き彫りであった。

★梅林、米澤凌が優勝!安楽は悔しさにじむ3位

優勝を決めた梅林。大学での初タイトルとなった

 この日早大勢で最初に登場した65キロ級の安楽。初戦を危なげなく6−0で突破すると、3回戦では第2P開始早々にテクニカルフォール勝ち、準々決勝でもタックルが冴えわたり8−2で快勝を収めた。しかし、準決勝では谷山拓磨(拓大)相手に主導権を握られる展開となる。「焦りがあった」(安楽)と守りに入った相手に対し思うようにタックルを決めることができず、0−5で敗戦。3位入賞を果たしたものの、「完敗だった。今年に入って一番悔しい」と振り返った安楽。この屈辱を糧に、全日本大学選手権(インカレ)でのリベンジに期待したい。
 70キロ級で出場した米澤凌は2回戦、準々決勝ともに第1P終了を待たず10−0でのテクニカルフォール勝ちで突破する。迎えた準決勝の相手はJOCジュニアオリンピックカップで苦杯をなめた志賀晃次郎(拓大)。「今回は絶対に勝ちたい」と臨んだ米澤凌は試合開始直後にバックポイントで先制に成功する。その後は拮抗(きっこう)した試合展開となったが、試合終盤に片足をホールドし追加点。「守りに入りすぎた」(米澤凌)パッシブによる1点こそ許したものの、4−1の判定勝ちで見事2ヶ月前の雪辱を果たしてみせた。決勝でも、第1P中盤にタックルから相手を倒す4点のビッグポイントで先制すると、そのリードを守りきり5−1で優勝を決めた。
 「無失点で終えることを課題としていた」という梅林も2回戦、準々決勝を10−0のテクニカルフォールで勝ち上がると、準決勝では守備重視の相手に対し苦しみながらも得点を重ね、7−0で快勝。決勝では互角のせめぎ合いとなり、試合終了間際の攻防で互いにポイントを分け合うかたちとなり失点を喫したが、4−2と接戦をものにし優勝を果たした。大学入学後、初となるタイトルを獲得した梅林。次なる舞台であるアジアジュニア選手権での国際タイトル獲得を目指す。

★坂井、野本は結果を残せず・・・部内での実力差が明確に

 グレコローマンスタイルに続き出場した坂井剛光(社2=福岡・小倉商)と野本州汰(スポ2=群馬・館林)。1日目の雪辱を果たしたい両者であったが、満足のいく結果を得るには至らなかった。57キロ級でエントリーした坂井は試合が始まるや否や、差しからの片足タックルで相手を崩すなど上々の立ち上がりを見せる。しかしその直後、攻撃を畳み掛けにいったところでカウンターを受け、そのまま押さえつけられ1分20秒時点でフォール負け。初戦で姿を消すこととなった。
 専門外のフリーでの出場となった野本だが、2回戦では接戦をものにし6−3で勝利を収める。しかし準々決勝では思うように攻撃を出すことができず、第2ピリオド(P)開始早々に10点差を付けられテクニカルフォールで敗戦した。「1、2回戦で負ける者と、優勝する者。その差があまりにも開きすぎている」と太田拓弥監督。自身のスタイルの確立とフィジカル面の強化が目下の急務だ。

★女子部門では須﨑が圧巻の優勝!

表彰台で笑顔を見せる須﨑

 「試合でしか得られない緊張感や課題もあるので、出場すればプレーオフに向けても絶対プラスになる」と出場を決めた須﨑は1階級上の53キロ級でエントリー。準決勝からの出場となったが、決勝を含む2試合をいずれも第1Pを待たずしてのテクニカルフォールで勝利。明治杯女王の貫禄を見せつけ、プレーオフへ向けて確かな弾みを付けた。
 一方で、55キロ級で出場した臼池は1回戦、果敢に攻めるも相手のフィジカルに屈するかたちで逆にポイントを重ねられ、10−0でテクニカルフォール負け。ここでもチーム内における実力差が浮き彫りとなるかたちになったが、夏の鍛錬期間でその差を縮め、チーム力の底上げを図りたい。

(記事、写真 林大貴)

結果

東日本学生春季新人選手権
フリースタイル
▽57キロ級
坂井 初戦敗退
▽65キロ級
安楽 3位
▽70キロ級
野本 準々決勝敗退
米澤凌 優勝
▽74キロ級
梅林 優勝


東日本学生女子選手権
▽53キロ級
須﨑 優勝
▽55キロ級
臼池 初戦敗退

コメント

太田拓弥監督

――優勝者が3名出ましたが、きょうを総括していかがですか

そうですね、ここ1、2年ずっと言っていることなんですけど、ちょっとチーム内に差がありすぎるので。きょうの試合なんか見てもそうなんですけど、1、2回戦で負ける者と、優勝する者。龍馬は3位だったんですけど、ちょっとその差があまりにも開きすぎているので、その部分の課題が浮き彫りというか、そこの差を縮めないといけないなと思いましたね、改めて。

――その部分は全体としてどう底上げしていくべきだと思いますか

まずきょう負けた州汰、優月、剛光は基本的に自分が取るレスリングっていうのがないので、こういう崩しをして、こういうフェイントをして、こういうタックルをして、こう返すっていうセオリーが全くないので。それにフィジカルの部分でも完全に負けていますので、そのフィジカルの面をしっかり鍛え直さないと、こういう結果になってしまうというのがはっきりわかった試合かなと思います。優勝した者なんかはやっぱり自分の得意なパターンで取るかたちっていうのがちゃんとあるので、そこの差がはっきり出たので、そこらへんのチーム内の差っていうのが、課題として出たと思いますね。優勝した者に関しては秋の大会では1階級上とかに挑戦して、さらにチームのレベルアップというのを図りたいですね。

――この大会に向け、選手たちにはどういった指導をしてきましたか

リーグ戦同様にプレッシャーをかけるっていうところと、3−1とか4−2とかの接戦でどう守るのか、どう攻めるのかというところですね。

――坂井選手、野本選手をフリー、グレコ両方に出場させたのは試合経験を積ませる意図があったのでしょうか

まあ、そうですね、いつも1、2回戦で負けてしまうので。今回全日本とかに出た者とかはスタイルを一つに絞らせたんですけど、他はやっぱり経験値がないので、試合で負けたところに出るので、そういうところも含めて両スタイルに出させたっていうところですね。

――坂井選手は試合開始早々にフォール負けを喫するかたちとなりましたが、振り返っていかがですか

ちょっともったいなかったですね。差しからのアタックっていうのが有効的に効いていたので、最初のタックルに入ったところでしっかりと点を取っていれば相手の流れになっていなかったと思うんですけど。まあでも仮に投げられたとしてもしっかり返して、逃げて、次の展開に持って行ければ良かったですけど、ちょっともったいなかったですね。

――野本は専門外のフリーでの出場でしたが

いや、グレコでもちょっと結果残せないので、フリーとどっちもやらせています。やっぱり自分のかたちっていうのが何もなく、自分のかたちをしっかりつくらせないと勝てないのかなって思います。

――安楽選手は準決勝、思うようにタックルが決まらない印象を受けました

相手のしっかりした構えと、懐に入らせないっていうところが徹底されていましたね。懐が龍馬に比べて深かったので、タックルが2回ぐらいいいかたちで入れたんですけど、しっかりブロックされてしまってポイントにつながらなくて。逆に相手のタックルは完璧に取られたので、その差がちょっと出たかなと思いますね。

――安楽選手は大学トップクラスの実力を持っているとおっしゃっていましたが、全日本でも上位に食い込むためには何が必要だと思いますか

龍馬はグレコローマンスタイルもできる選手なので。きょう準決勝で負けた相手なんかにもやっぱりリーチの差で負けているので、その差をどう生かすかっていうことを考えたときに、もう少し懐に入っていくレスリング。腕を取ったり差したり、あとは足を掛けたりするようなレスリングを覚えていかないとあの距離を縮めることはできないですね。なのでそういったことを共有しながら勝てるレスリングっていうものをつくっていきたいですね。

――梅林選手、米澤凌選手は大学初タイトルとなりました

太朗はなかなかずっと勝てなかった時期があったんですけど、どういったかたちであれ一つ勝てたっていうことはステップになるんじゃないかな思います。凌は危なげなくしっかり勝ってくれましたし、ちょっと決勝は無難に行きすぎたかなと、もっと差のある展開になってもおかしくなかったんですけど、ポイントを取られることもなくいいかたちで終えたので、大学でも十分、全日本でもトップの力を持っていると思います。全日本(明治杯全日本選抜選手権)で優勝した選手が同級生ですし、去年の高校生選抜では勝っている相手なので、その選手に勝たせるように、全日本でしっかりと勝てるレベルに持っていかせるようにしっかりと強化していきたいと思いますね。

――あすは上級生の選手権がりますがそこへ向けては

この大会は優勝すれば全日本につながる試合なので、一人でも多く優勝者を出して。ことしの12月からは東京五輪の予選が始まるので。その大会に一人でも多く出すために、きょうと同じように

梅林太朗(スポ2=東京・帝京)

――優勝おめでとうございます

ありがとうございます。

――決勝を振り返っていかがですか

今回無失点で終えるという課題を自分の中でつくっていたんですけど、追われるシチュエーションで、守りに入ったら(点を)取られると僕は思っているので、最後タックル入ったんですけど、その結果、相手にも点を取られてしまったっていうのは反省点ですし、今までも足取ってから取りきれないとか、取っても相手に点取られるとか、やっぱりそこの部分の課題が山積みで、今回も同じようなかたちになってしまって。僕ちょっと首が悪くて、タックルにあまり入りたくないじゃないですけど、なので現時点ではあまりタックルに入らずにいかに勝つかっていうのを練習してきたんですけど、試合になって勝たなきゃいけないってなったときには(タックルに)入らなきゃいけないじゃないですか。だから結局練習していないところがああいうかたちで出てしまったので、うまく工夫してもっと練習をしないといけないなっていうのが今回の決勝の反省点です。足を取られなかったっていうのは良かった部分ですね。

――現在の課題はタックル以外の攻撃のバリエーションであると

そうですね。あとタックルを取ってからもしっかり自分の点を取る、相手をコントロールするっていうのが今後の課題ですね。今までもずっとその課題をやってきたんですけど、いまいち相手に守られてしまうと攻めるのが難しくて、準決勝、決勝みたいな試合になってしまうので。そういう試合をしてると天皇杯であったり明治杯では勝てないので。一皮むけるため、そのカベを越えるために新しいものを身に付けるしかないのかなと思います。

――準決勝までは目標である無失点で勝ち進みましたが

1、2回戦はちょっとラッキーなところもあって、自分が2点かなと思ったところが4点になったりとか、僕が詰めていて相手が足を踏み外して潰れてくれて4点入ったりとか。ラッキーじゃないですけど、僕としては楽に試合を運べたので、落ち着いて考えながら練習通りできたので。やっぱり準決勝で相手に守られた時でも攻められる攻撃力をもっともっと身に付けたいなと思います。

――自身大学初のタイトルとなりましたが、自信にはなりますか

いやー、でも取って当たり前のタイトルを今まで何個も落としてきたので、今回も決勝4−2じゃ優勝した気分にならないというか、最低限だなという感じです。やっぱり表彰台の一番高いところに立つっていうのは気分がいいんですけど、まだまだだなっていうところが正直なところです。

――今大会で課題や収穫も見つかったと思いますが、次戦へ向けてはどういった取り組みをしていきますか

僕インカレの前にアジアのジュニア選手権の方に行くんですけど。国内だと僕のスタイルは知れ渡っているので、ああやって守りに入られるんですけど、海外では全然知られてないので、入れるので。外国人は構えが高いので、僕にはもってこいなので、ジュニアの最後の大会なので、ちゃんと自分の持っているものを出し切って優勝できるように準備をして。その先にインカレの優勝であったり、インカレが結びついたらいいかなと思うので、一個ずつ段階を踏んで、とりあえずは次の試合に向けて今ある課題に取り組むっていうのと、新しいことに取り組むっていうことをやっていきたいと思います。

安楽龍馬(スポ1=山梨・韮崎工)

――3位という結果についてはどう感じていますか

優勝が目標だったので、申し訳ないというか、不甲斐ないですね。

――準決勝までは順調に勝ち進みました

準決勝までは点数を取られても取り返せる自信があったので、そんなに焦ることもなく戦えたかなと思います。

――準決勝を振り返っていかがですか

準決勝は本当に、何もできなかったです。準決勝までは順調に行けたんですけど。失点して、3−0になったときに、やばいなとちょっと焦っちゃって。落ち着きがあればもう少しいい勝負ができたかもしれないんですけど、たらればなので。完敗ですね。言い訳なしです。

――準決勝での敗因はどこにありますか

もうちょっと攻め手を増やさないといけないというのが反省点ですね。バリエーションを増やしていかないと前に進めないと思うので。今一番悔しいので、今年で。リーグ戦と同じかそれ以上に悔しいので、必死で練習しないといけないと思いました。

――タックルが思うように決まらない印象を受けました

相手にもうバレバレで。それにもかかわらず焦っていたので、それを試合中は気づけなくて。終わって考えると完全に読まれていた、対策を練られていたので、完敗でした。最初に点を取られて、取り返そうっていう気持ちはあったんですけど、守ってやるっていう気持ちが強かったと思います。

――今よりレベルアップするためにはどういった取り組みが必要だと思いますか

本当に一からやり直していかないと。試合を見てもらって、先輩たちにアドバイスもらって、攻めのバリエーションを増やして次は絶対勝てるぐらいに練習したいと思います。

――次の試合はインカレになると思います。リベンジの機会になると思いますが、そこへ向けては

インカレまでしっかり練習して。今日当たった人とやることになっても絶対に勝てるように練習していきます。

米澤凌(スポ1=秋田商)

――優勝おめでとうございます

ありがとうございます!

――決勝での戦い振り返っていかがですか

今回は本当に勝ちにこだわっていたので、内容も良くしたかったんですけど。勝ちにこだわりすぎて守ってしまうことも多くあって。でも、とりあえず優勝できてよかったです。

――明治杯から2週間ですが、今大会はどういった意気込みで臨みましたか

前の大会(JOCジュニアオリンピックカップ)で負けた相手も出場していて、準決勝で当たる組合せだったので、今回は絶対に勝ちたいと思って臨みました。

――JOCジュニアオリンピックカップで敗戦した相手にはどういった対策で臨みましたか

崩しが上手い選手なので、返し技をしのげば、そこを気をつけて守り抜けば勝ちにつながると思っていたので、今回はそこを意識して返し技につなげられなかったので、勝つことができたと思います。

――大会を通じて失点が少なかった印象ですがいかがですか

守りに入った面もありますし、本来だったら練習でやっているカウンターで取りにいきたかったんですけど。失点が少なかった点はいいことなんですけど、守りに入りすぎた部分もあって。カウンターとかを出せていればもっとよかったですね。

――大学での初タイトルとなりましたがいかがですか

とりあえず新人戦っていう1、2年生の大会で優勝できたので、次はインカレに向けて。守りに入りすぎず、積極的にカウンターを仕掛けて、試合でも自分のかたちに持っていければインカレもいい結果につながるんじゃないかと思います。

須﨑優衣(スポ1=東京・安部学院)

――優勝おめでとうございます

はい、ありがとうございます!

――今大会に出場を決めた理由というのは

プレーオフもあって、出場するかしないかっていうところで、結構いろんな人から出場しなくてもいいんじゃないかって言われたんですけど、自分は出たいとずっと思っていたので。応援に行くんだったら自分も試合に出たいということで、それが出場を決めた一番の理由ですね。あと試合でしか得られない緊張感であったり、課題であったりもあるので、出場すればプレーオフに向けても絶対プラスになると思ったので、出場しました。

――1階級上の53キロ級のでの出場でしたが、そこの意図は

減量なしで挑もうと思ったので、1階級上げて出場しました。

――準決勝、決勝とテクニカルフォール勝ちでしたが、ご自身の出来はいかがでしたか

試合でしか得られない緊張感っていうのがあったりして、上手くいかない反省点も得られたので、プレーオフを前にそういった経験ができてよかったと思いますし、よかったなで終わりにするのではなくて、この大会で得られたことをしっかりプレーオフに生かせるようにがんばりたいと思います。

――得られた反省点とは具体的にどういったところでしょうか

組手で、組み際だったり組み際の脇の甘さだったりとか、そういったところに片足タックルを入られてしまったので、もう一度しっかり自分の組手、自分のレスリングをどんなときでも、どんな相手でもしっかりやり切れるようにしていきたいと思います。

――1週間後に控えているプレーオフへの意気込みを改めてお願いします

必死の思いで明治杯で優勝して、プレーオフの権利を勝ち取ることができたので、絶対に、何が何でも勝って、世界選手権に行けるように頑張りたいと思います。