ルーキー梅林が躍動!早大は総合6位に

レスリング

 表彰台へ向け、得意の中量級で巻き返しを図った内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)最終日。ルーキーの梅林太朗(スポ1=東京・帝京)が決勝まで勝ち残り2位入賞を果たしたものの、チームとしては思うような結果を残すことができず、前日より1つ順位を上げた6位で大会を終えることとなった。

 2年連続の学生二冠王が懸かった大会となった米澤圭(スポ3=秋田商)。大会前から優勝候補筆頭として挙げられていたが、「構えをいつもよりも高くしたら自分のレスリングとはマッチしなかった」とさらなる飛躍に向け試行錯誤を繰り返している段階にあり、まさかの苦戦を強いられることとなった。初戦では第1ピリオド(P)をリードして進めるものの、第2Pでは猛攻を受け一時は逆転を許す。終盤に相手をフォールに近い態勢に持ち込み何とか逆転。その後の2回戦、準々決勝も辛勝を重ねていった。準決勝では相手に先制点を許してしまうと、第2Pで1度テークダウンを奪ったが反撃することはできず。ビッグポイントを献上してしまい、テクニカルフォール負けを喫した。しかし、その後の3位決定戦では勝利を収めた。74キロ級に出場した伊藤駿(スポ3=京都・網野)は初戦、2回戦をテクニカルフォールで突破し、準々決勝で奥井眞生(国士館大)と対戦。本来の一つ上の階級だったこともあり、力の差からローリングに抗うことはできず、敗戦となった。

準決勝で敗れ、肩を落とす米澤

 70キロ級に出場した梅林は初戦を危なげなく突破する。2回戦では、「警戒していた選手ではあった」と語った拓大の選手を相手に、2分27秒で試合を終わらせガッツポーズを見せた。好調を維持し、準決勝もテクニカルフォールで勝ち進んだ。そして迎えた決勝では全日本の大会でも好成績を収める木下貴輪(山梨学院大)と対戦。第1Pでは何度かバックポイントを取られてしまう。それでも第2Pに入ると梅林も徐々に相手の攻めに対応できるように。4分50秒頃に片足を取りバックポイントを奪取。しかしその後に背後を取られてしまい2-8で2位が確定した。「これから越えなきゃいけないカベがちゃんと目に見えてきた」とトップ選手との距離を確認できたようだ。

準決勝でバックを取る梅林。練習の成果を発揮し、ただ一人決勝に勝ち残った

 「総合優勝できるメンバーをそろえながらこの成績はちょっとふがいなかったな」と太田拓弥監督は振り返る。各階級で波乱が起きた今大会。早大勢もなかなか実力通りの試合をさせてもらえなかった。米澤、山﨑弥十朗(スポ2=埼玉栄)は全日本レベルで勝ち切るために自分のスタイルを模索していく中、思うような成績を残せず踏ん張りどころだ。「基本的なところをしっかりと修正したい」(太田監督)。12月に控える天皇杯全日本選手権に向けて各々が自分のレスリングスタイルを見つめ直し、課題をクリアしていきたい。

(記事 杉野利恵、写真 皆川真仁)

※10点差がつくと、テクニカルフォールで試合終了となる

結果

フリースタイル

▽65キロ級 
米澤 3位

▽70キロ級
梅林 2位

▽74キロ級
伊藤駿 準々決勝敗退

関連記事

苦戦続きで出遅れ。得意の中量級で巻き返しを期す/内閣総理大臣杯全日本大学選手権(11/12)

コメント

太田拓弥監督

――2日間通してチーム全体の成績はいかがですか

総合優勝できるメンバーをそろえながらこの成績はちょっとふがいなかったなというのが印象として残りましたね。

――米澤圭選手(スポ3=秋田商)は初戦から苦戦が続きましたが、きょうはどういったところが良くなかったのでしょうか

やっぱり相手の技を受けてしまったのと、一個一個のプレッシャーが薄かったというか、軽かったというか、相手もいろんなかたちで研究してきてるんで、それでもこじ開ける力がなかったのかなっていうのが敗因の一つでもあるかなと思いますね。

――研究されているというのは具体的にどういったところでしょうか

手の取ってからの振りとか、あれみんな反応してくれて片足入れたのが、なかなか入るタイミング取れなかったとか、足をちょっと簡単に触らせすぎたところとか敗因はいろいろとありますね。

――梅林太朗選手(スポ1=東京・帝京)はきょうは初戦から調子が良さそうでしたが

そうですね。今大会の一番の、というか収穫がもうそこだけだったんですけど、インカレ(全日本学生選手権)も計量失格したり、ちょっとなかなか成績が振るわなかった中で、大学選手権(内閣総理大臣杯全日本大学選手権)で決勝までいって、決勝も内容もいい内容だったんで。唯一収穫だったかなと思いますね。

――調整段階から調子が良かった感じでしょうか

そうですね。フィジカル的なところも含めて良く真面目にコツコツ練習しているのがこの結果に現れたんじゃないかなと思いますね。

――決勝戦でもいい試合はしましたが、木下選手(貴輪、山梨学院大)とどういったところが差として出たと思いますか

やっぱり出てる足が取り切れなかったところと、右差しからの展開をもっともっとやっていけば、勝てるチャンスはあったかなと思いますね。

――伊藤駿選手は奥井眞生選手(国士舘大)に敗れましたが

一階級上なので、ちょっと力の差があったかなと思いますね。

――天皇杯(天皇杯全日本選手権)に向けて、チームのどういったところを強化していきたいですか

基本的なところの部分をしっかり修正して、あと組み手からのプレッシャーからのタックルであったり、フィジカル面をもう一回しっかり一から鍛え直して、全日本に向けてしっかりやらせたいなと思いますね。

――この大会全体を通して、成長してきているなという大学は

やっぱり総合優勝した拓大ですね。拓大が一番全日本チャンピオンの山本泰輝が負けて、全日本2位の園田平が負けて、そういった中で優勝してるので、新しいスターが、若い選手がどんどん出てきている証拠だと思うんで、チーム力で一枚も二枚も上だったかなと思いますね。

伊藤駿(スポ3=京都・網野)

――今大会3試合を振り返っていかがですか

やっぱり74(キロ級)では、力不足というか、ケガとかで全然練習もしてなかったんで、もう一回鍛え直さないとダメなんだなと思いました。

――準々決勝の奥井眞生選手(国士舘大)への対策はどういったものでしたか

いやもう実際ケガしないようにしようかと(笑)。

――強かったですか

力がやばいです。

――今後その差を埋める上でどういったことをしていきたいですか

自分本当は70(キロ級)なので、まだ体力と力が全然ないんで今。一回ことしは休んで、来年からラスト一年鍛え直そうかなと思います。

――天皇杯(天皇杯全日本選手権)に向けて、強化していきたいポイントなどはありますか

出れるか分かんないんですけど、とりあえずケガ治して、やっぱり体鍛え直すことですね。

――出たら目標はどこを目指しますか

今回当日計量になって、ちょっと変わるんでどうなるかまったく分かんないんですけど、とりあえずしっかり動いて優勝したいですね。

米澤圭(スポ3=秋田商)

――きょうの調子はどうでしたか

足が思ったよりも全然動いてなくて、全部足を取られて。パッシブとかいつも攻めていて自分が先に取るんですよ。今回全部相手から責められていました。まず、シンプルに上手と圧が前より足りてないのか研究されているのかわからないんですけど、あと構えも今試行錯誤中でいつもは低めに構えているんですけど今回は高めの構えでやってみて、全然自分のレスリングとマッチしなかったのでそこもやはり敗因の1つで全試合苦戦するという結果になったのかなと思います。

――いつもの試合ではアンクルホールドやローリングで追加点を重ねるイメージがあります。

今回グラウンドも全然返せないし、自分的には練習ではうまくいっていて調子もいい感じかなと思っていたんですけど試合になるとなかなかうまくいかなくて、自分でも負けた原因がはっきりしているわけでもないんですよね。今は自分のレスリングが迷走しているという感じですね。最近それでなかなか勝てずといったかたちです。

――国際大会を終えてから変えてみようかなと思った部分もあるのですか

それもあるかもしれませんね。

――メンタル面ではいかがでしたか

メンタル面は別に、普通ですね。どうしようどうしようという感じでもなくて気楽にやろうという感じだったんですよ。自分は自分のレスリングをやろうと思っていても空回りしてしまう感じでしたね。練習がうまくいっていたので自分で調子いいものだと思っていて、でもいざ試合となると全然うまく行かなくて。国体に続き、それがずっと続いているという感じですね。ちょっと全日本(天皇杯全日本選手権)があるのでいち早くピーキングを合わせて、自分のレスリングを立て直していきたいなと思います。

――次はU23世界選手権ですが、そこで何かやりたいことなどありますか

まずは自分のレスリングを取り戻すことが第一ですね。自分のレスリングをやれたら自然と勝てると思うので、まずはそこからですね。

梅林太朗(スポ1=東京・帝京)

――拓大の選手との試合のあとガッツポーズも見せられていましたが、内容が良かった試合でしたか

自分の持っているものを出せたら2位という結果が妥当だと思っていたので、誰もぼくが決勝に行ったことを驚いていないと思います。でも警戒する相手ではあったので、テクニカルフォールで勝てたのはよかったなと思います。

――初戦で踏み込みなどについて声をかけられていましたが、試合を重ねるごとに修正していかれた感じでしょうか

そうですね。やっぱり試合前になると体重調整だったり自分の100パーセントの練習ができていない中でそこを戻していく修正ができました。今回1年生でこの大会に出られたことにまず感謝したいです。

――決勝戦では後半に2点取れましたが、手応えなどはありましたか

自分が越えなきゃいけないカベっていうのはちゃんと目に見えてきたので、やっぱりこれから先どれだけ点数を詰めていけるのかっていうのが課題だと思うので、2点取れたのは大きな収穫だと思うんですけど、この点数をどんどん増やしていくのと失点を減らしていくのがこれからの課題だと思います。

――次に出られる天皇杯(天皇杯全日本選手権)に向けての目標をお願いします

階級が変わったり同じ階級の人が変わったりどういうものかわからないですし、計量の方式も当日計量になって変わってくるので、まずは、この大会での反省を生かして自分がどの位置にいるかをしっかりと把握して何をしなきゃいけないかを明確にしたいと思います。