男子グレコローマンスタイル（グレコローマン）と女子フリースタイルが行われた２日目。初陣を飾った香山芳美（スポ３＝東京・安部学院）の１回戦敗退を筆頭に、女子選手は誰１人１勝を挙げることができなかった。一方で堀江一馬（社４＝富山・富岡商）は準々決勝で逆転勝ち。準決勝には敗れたものの、３位となった。
１日目を勝ち進んだ堀江は男子８０キロ級で決勝を目指して戦いに挑んだ。こう着状態が長く続いた準々決勝。注意による得点で同点のまま試合時間は残り１分に。徐々に相手のペースに持ち込まれていた堀江は、相手に押し切られてしまい２点を与えてしまう。ここで試合が決まったかに思われたがすぐに相手の一瞬の隙を突き、返し技。同点に持ち込んだ。そのまま試合終了となり、奇跡的な逆転劇で勝利をもぎ取った。その後の準決勝では終始相手のペースで試合が進み、最後まで流れをつかむことができず１－２で敗退した。６６キロ級の宇井大和（スポ１＝和歌山・新宮）は準々決勝で学生屈指の実力者・下山田培（日体大）と対戦。積極的に攻撃を仕掛けようと試みるものの、技を決めることはできなかった。「実力不足です」（宇井）。秋の全日本大学グレコローマン選手権に向けて、鍛錬を積む。
準決勝終了後には悔しいそうな表情を浮かべた堀江
女子フリースタイルでは早大勢にとって苦戦続きであった。５８キロ級に出場し、優勝候補であった香山芳美（スポ３＝東京・安部学院）は試合中に肘を痛める場面が見られたものの、まさかの１回戦負け。悪い流れを断ち切ることはできず、４８キロ級の須崎麻衣（スポ３＝ルバ・鎌ヶ谷）は試合終盤に投げ技を決められ逆転負け。また５５キロ級の小林奏音（スポ２＝長野・佐久長聖）はタックルから得点につながらない場面も見受けられ、力負けをしてしまった。「女子の収穫は正直ない」（太田拓弥コーチ）。厳しい現実を見ることとなった。
須崎は試合終盤に逆転を許した
全日本学生選手権の前半戦が終了。「弾みのつく１、２日目ではなかった」（太田コーチ）と振り返る結果となった。しかし堀江の準々決勝など収穫となった試合もある。この反省を秋からの試合に生かしてほしい。あすから始まる男子フリースタイルでは学生王者の座奪還を目指す多胡島伸佳（スポ４＝秋田・明桜）が登場。また世界ジュニア選手権代表の山﨑弥十朗（スポ１＝埼玉栄）、吉村拓海（スポ１＝埼玉栄）らも出場する。活躍が期待されているだけに、１日目を順当に勝ち進みたいところだ。
（記事 杉野利恵、平松史帆 写真 寺脇知佳、服平周）
３位入賞を果たした堀江
結果
男子グレコローマンスタイル
▽６６キロ級 宇井 ベスト８ ▽８０キロ級 堀江 ３位
女子フリースタイル
▽女子４８キロ級 須崎 １回戦敗退 ▽女子５５キロ級 小林 １回戦敗退 ▽女子５８キロ級 香山 １回戦敗退
コメント
太田拓弥コーチ
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
堀江一馬（社４＝富山・富岡商）の準々決勝は１対１の内容でも負けていました。ちょっと崩れたような形でポイントを取られて、ラスト数秒しかない状況で、技がかかったところで切り返してやったら、うまく体を入れ替えてポイントを取ることができたので、その試合は良かったかなと思います。全般的にグレコローマンスタイル（グレコローマン）は当たり負けしているかなという印象を受けました。きのうの吉川航平主将（スア４＝秋田商）と準決勝の堀江は最後の最後に押し切れませんでした。改善しないといけないところかなと思いますね。あと一押し押しが欲しいですね。宇井大和（スポ１＝和歌山・新宮）も準々決勝で負けましたが場外際のポイントが、もしもの話ですが認められていたなら、試合の流れも変わってきたと思います。１年生で日体大のグレコローマンの選手の層の厚い階級のなかで、テクニカルフォールで負けはしたのですが、次につながるような試合を唯一してくれました。この宇井の試合と堀江の準々決勝は収穫になりましたね。女子の収穫は正直無いですね。全員１回戦負けですし、やはり芳美（香山、スポ３＝東京・安部学院）が、脇を差したときに逆関節に曲げられてしまってじん帯を痛めているような状態というような肘のケガもありましたが、あれぐらいでも勝たないといけないところだったと思います。麻衣（須崎、スポ３＝千葉・鎌ヶ谷）にしても投げられたのは、差した状態で相手の手首をコントロールしなかったんですよね。それで手で投げられたと思うんですよね。相手は４点技を狙ってくるので。奏音（小林、スポ２＝長野・佐久長聖）に関しては返し技を決められて、タックルに入ってもポイントを取れなかったという明らかに力負けしたかなという感じがありますね。フリースタイルに向けて弾みをつける初日２日目にしようと話していたのですが、ちょっと弾みはつかなかったですね。
――あしたから行われるフリースタイルでは、初日、２日目から気持ちを入れ替えて臨む、という形になるのでしょうか
気持ちを入れ替えて、という感じになりますね。結果は結果なので。ここ数年見ていると女子では必ず優勝したり、グレコローマンでも上位進出する選手が多かったのですが。女子もそうですし簡単には勝てなくなりましたね。今回の試合の反省をしっかりとして、秋の試合に向けてやっていきたいと思います。フリースタイルでは多胡島伸佳（スポ４＝秋田・明桜）を筆頭に米澤圭（スポ２＝秋田商）ですとか、弥十朗（スポ１＝埼玉栄）に頑張ってもらいたいです。残り２日間のフリースタイルではできるだけ多く勝たせて、一人でも多く表彰台にのって前期の試合を締めくくりたいと思います。
堀江一馬（社４=富山・高岡商）
――今回の結果についてはどのように思われますか
組み合わせ的に決勝に残れるチャンスはあったので、それができなかったのはちょっと残念かなという感じでした。
――昨日の試合を振り返っていかがですか
特に悪い部分もあまり無く、自分のやりたいプランはできました。あと、きょう足が動けばいいなあという感じで試合に臨んでいました。
――今日１試合目は逆転での勝利でしたがどのような心境でしたか
最後に２点取られたときに終わったなと正直思いました。相手は油断していたのでふっと乗ってきたので（最後の得点は）それに合わせただけです。なんとかギリギリ取ったかなという感じです。
――そこから準決勝への気持ちの切り替えなどいかがですか
正直きょうの１試合目が負け試合だったのに勝てたので流れが来ているかな、と思ったんですけど結局流れだけになってしまったので、乗っていけなかったという感じですね。
――明日のフリースタイル（フリー）には出場しますか
はい、一応エントリーしています。フリーのほうは自分らしく楽しんで試合をしたいと思います。
宇井大和（スポ１＝和歌山・新宮）
――準々決勝まで進まれましたが、率直な感想をお願いします
準々決勝まではそんなに強い選手とは当たらなかったので、そこまでは絶対に勝ち進まなければいけないと思っていました。それで準々決勝の第１シードの相手とはどのくらい戦えるのかと思ってたんですけど、結局テクニカルフォールで負けてしまいましたね。
――その準々決勝を振り返っていかがですか
単純に実力不足だな、と思いましたね。
――きのうの試合を振り返っていかがですか
１回戦はちょっと危なかったんですけど、それ以外は自分のレスリングができたかなと思いますね。手応えもありました。
――準々決勝で手応えがあった部分はありましたか
１ピリオドで１－０だったんですけど自分から取りに行こうとしても多分返されたりして取れなかったと思うので、１－０と言っても内容的には相手は余裕で、自分は必死に取りに行こうとしてるのに全然取れなくて。手応えがあった部分はあんまりですね。
――コーチや先輩からかけられた言葉やアドバイスなどは何かありますか
まあ、練習するのみというか。まだ実力不足なので。
――大学生初のインカレ（全日本学生選手権）でしたが、雰囲気の感想を教えてください
西日本の学生もいて人も多いので、東日本の大会とはまたちょっと違った雰囲気ですね。
――今後への課題は見つかりましたか
強い選手と当たっても自分の技をどれだけ出し切れるかが課題ですね。（今大会での準決勝では）自分の技を全然出せなかったので。
――ご自身の強みとされている部分は何ですか
グラウンドにいってからの持ち上げなんですけど、グラウンドにいくまでの技術もまだまだなので、これからの課題ですね。
――今後はどのような練習をしていきますか
とりあえずスタンドでの技術を身につけなければならないので、一から練習していきたいと思います。
――最後に、秋の全グレ（全日本大学グレコローマン選手権）への意気込みをお願いします
各大学の強い選手が出場するので、この大会のように１回戦２回戦は余裕で勝たなければならないというわけではなく１回戦目から勝負になると思います。最初から自分の力を出し切れるように頑張りたいと思います。