主将の洞口、1年の伊藤駿がともに2位を飾る

レスリング

 現体制で迎える最後の大会、内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)が幕を開けた。初日は序盤からチームに暗雲が立ち込める。軽量級の伊藤奨(スポ2=長崎・島原)、米澤圭(スポ1=秋田商)がともに1回戦敗退を喫し、厳しい結果からスタート。しかしこの嫌な流れを変えたのは洞口幸雄主将(スポ4=岐阜・岐南工)と伊藤駿(スポ1=京都・網野)。ともに2位を飾った2人の活躍により、ワセダは18点を獲得し、総合4位で初日を終えた。

 自身の階級より上の74キロ級に出場した伊藤駿。初戦はテクニカルフォール勝ち、準々決勝では組合いが続く中で粘り勝ちを収める。準決勝ではビッグポイントを獲得するダイナミックな試合を展開し、喜びの表情を見せて決勝へ駒を進めた。決勝前半でも勢いそのままに果敢に攻めていき、バックポイントで先制点を取得。その後もお互いに得点の取り合いが続くなか、フェイントから攻撃を仕掛け得点を重ねる。だが勝負の明暗を分けたのは残り5秒に迫った瞬間だった。相手に背後を取られ、一気に逆転負けを喫する。惜しい結果ではあったものの、「練習しているなかで確実に力はついている」と成長ぶりを評した太田拓弥コーチ。飛躍を誓う銀メダルとなった。

伊藤駿は確かな実力を存分に発揮

 洞口は97キロ級に登場。主将としての最後の大会に臨んだ。1回戦から準決勝に至るまではテクニカルフォール勝ちを2度も挙げるなど順当に勝利を収めていくが、決勝では相手に連続してビックポイントを決められると無念のテクニカルフォール負け。優勝には一歩届かなかったものの、銀メダルを獲得しチームに貢献した。ことしはケガの影響であまり試合に出れず、結果も残せていなかった洞口だが、「最後にこのような結果が残せて良かったな、と思います」と振り返る。最後の大役を果たし、あす出場するチームメイトを勢いづけた。

集大成のプレーを見せた主将の洞口

 1年間チームを支え続けた洞口、練習の成果が現れ始めた伊藤駿の活躍が光った初日。あすもさらに4階級が実施される。今年度最後の団体戦を締めくくるため、一人でも多く表彰台にのぼりたいところだ。勝ちにこだわり続け、笑顔で有終の美を飾りたい。

(記事 杉野利恵、写真 寺脇知佳)

結果

▽57キロ級 伊藤奨              敗者復活戦1回戦敗退

▽65キロ級 米澤               1回戦敗退

▽74キロ級 伊藤駿              2位

▽97キロ級 洞口               2位

大学対抗得点(初日)             4位  18点

コメント

太田拓弥コーチ

――初日を振り返ってみていかがですか

4人ともよく頑張ったとは思います。米澤にしても伊藤奨にしてもあそこまで良い試合をしてくれたので、もうちょっと勝ち切れたかなというのはあります。良い攻撃を見せていましたがちょっと無駄がありましたかね。

――米澤選手については1回戦を振り返って

場外際で焦ったところをポイント取られたり、同点で勝ってるときに消極的になったりして、勝てない内容でもなかったですね。まず相手の選手が藤波勇飛(山梨学院大)に勝ちそうになっていたんで、実力的に追いついてきているな、というのは手応えとしてありましたね。

――具体的な課題は

左を差されてタックルを取られたので、そういう脇の甘さであったり、ちょっと離れて消極的になって隙をつかれたところを場外に出されたので、やっぱりそういうところを守りきったりなどを身につけていけば、手堅く勝ちにいけたと思いますね。

――洞口主将の試合を振り返って

組み合わせの運が良かった部分もありますけども、1年間よくチームを支えてくれましたし、出れなかった試合が続いたり、腰のケガがある中で、よく頑張ってくれたかなと思いますね。ただ決勝戦に関してはもうちょっとやれたんじゃないかなと思います。

――伊藤駿選手の試合を振り返って

タックルを変則気味に入れるんですけど、彼は広背筋と腕力が強いので、相手にがぶられた状態のときも肘をコントロールして絶対に取られないんですよね。だから安心して見ていられるんですよ。だから強引にいっても彼の場合はゼロ点に防げる力を持っているんで、あのかたちをさらに伸ばしていけば、と思います。今回、本来70キロ級の選手なのですが74キロ級でも十分戦える試合をやってくれたなと思いますし、やっぱり多胡島(伸佳、スポ3=秋田・明桜)といつも練習しているなかで確実に力はついているなというのは感じましたね。

――ではあすの4階級に向けて

らいねんにつなげるという意味でも最低限、表彰台にはあがって、まあちょっと優勝は厳しいかもしれないですけど、今年度の最後を締めくくるためにも、良い試合をして終わりにしたいと思いますね。

洞口幸雄主将(スポ4=岐阜・岐南工)

――きょうの試合を振り返って

(組み合わせの)運の良さもありますが、ワセダのキャプテンとして出る最後の試合でしたし、あまり結果も出せていないなかで、2位になることができて良かったです。

――2位になった感想は

良かったと思います。

――ケガの状態などはいかがですか

もう大丈夫です。

――きょねんの7位から大きく順位を上げましたが、勝因はなんだと思いますか

勝ちにこだわったことだと思いますね。

――決勝では思うように試合ができていない印象でしたが、それについては

相手も強かったので、そこはさすがだなと思いました。

――ワセダのキャプテンとしての1年間を振り返っていかがですか

ケガをしていてこの1年間あまり試合にも出れず、良い結果も残しておらず、リーダーシップがあるわけでもなかったので、ふがいないキャプテンだったなと思います。でも最後にこのような結果が残せて良かったなと思います。