近くて遠かった1勝 前川初戦敗退に終わる

レスリング

 目標に挙げた1勝には届かなかった。初の世界選手権に挑んだグレコローマンスタイル120キロ級の前川勝利(スポ3=茨城・霞ヶ浦)は、1回戦でチュニジア代表のラドホウアン・チェビに警告負け。敗者復活戦に回れなかったために、初戦敗退となった。

 チェビはロンドン五輪にも出場している選手だが、この試合で主導権を握ったのは前川だった。前へ出る力で上回り、相手をマット際へ押し込んでいく。これに対してチェビは反撃することができず、消極的と判断されて警告を与えられた。一方の前川も前へ出ながら技をかけられずに1回目の警告。そのままポイントが入らずに1ピリオド(P)を終えた。2Pに入っても優勢に立っていたのは前川で、開始55秒で再びチェビの消極的な態度への警告を誘って1ポイントを先制。目標の1勝への道筋が見えたかに思われた。しかし、この後も前には出ながら技をかけない前川に対して2度目の警告が与えられて同点。さらに3度目の警告も与えられ、規定により2P2分25秒で警告負けとなってしまった。前川はその後の敗者復活戦に出場できず、初めての世界選手権は1試合で終了することとなった。

 五輪代表選手に押す力で上回り、警告ながら先制点を挙げられたことは初めての大舞台での収穫点と言える。一方でそこからの試合運び、特に立ち技で得点を得られなかったことは課題となってくる。この課題を克服し、今度は世界で1勝をつかむ。そのためには秋以降の国内大会で圧倒的な強さを見せることが求められるだろう。

(記事 三尾和寛)

結果

▽グレコローマンスタイル
120キロ級 前川 1回戦敗退