3年ぶりの対面開催!慶応を圧倒し57連覇

ウエイトリフティング

 コロナウイルス感染拡大の影響で一昨年と昨年はオンライン開催となっていた早慶ウエイトリフティング定期戦。3年ぶりの対面開催となった第64回大会が慶応義塾大学日吉記念館で行われた。早大は着実に試技を進め、多くの大会新記録を残すとともに早慶戦57連覇を飾った。

 早慶両校の応援部も応援に駆け付け、歓声に沸いた日吉記念館。午前中は55~73キロ級が行われ、早大からは家吉理空(社4=熊本第一)、吉田いぶき(スポ2=香川中央)、宮下一心(社4=石川・金沢学院)、堤茉央(スポ1=滋賀・安曇川)、坂本拓夢(スポ4=愛知・名城大属)、西川和真(スポ3=石川・金沢学院)、佐藤康太朗(スポ4=宮城農業)、奥野伊真(スポ1=北海道・札幌南)の8名が出場した。55キロ級に出場した家吉、61キロ級に出場した宮下はスナッチでそれぞれ74キロ、97キロを持ち上げ、大会新記録を出した。宮下はジャークの1回目でも121キロの大会新記録を出し、2回目で更に131キロに挑戦。これを失敗するものの、3回目で131キロに再挑戦し、成功。会場内からは拍手と歓声が沸き起こった。67キロ級では西川と坂本が次々と試技を成功させ、互いの大会新記録を更新し合う展開となった。佐藤はジャーク2回目で155キロの大会新記録を出したのち重量増加を何度か申し出、3回目では165キロに挑戦。これを成功させ、大きなガッツポーズを見せた。

試技を決める宮下

会場を沸かせた佐藤

 午後は81~96キロ級が行われた。81キロ級では駒坂勇気(スポ3=和歌山・紀北工業)、吉野真太郎(スポ1=埼玉栄)、89キロ級では小山秀斗(スポ2=山梨・白根)、須藤之博(スポ1=埼玉栄)が出場し、それぞれ好記録を出した。96キロ級には田中稜真(スポ2=福井・若狭東)、今瀬竜雅(スポ2=愛知・愛工大名電)が出場し、今瀬はジャークで大会新記録である151キロに挑戦。これを成功させ、雄叫びを上げた。最後の階級となった+96キロ級。「(新記録を出した時の)試技が動き的には一番良かった」と振り返るように柏木良太(スポ4=京都・鳥羽)はスナッチ、ジャーク共に大会新記録を出し、同時に試技6本全てを成功させた。ジャークにおいて柏木の記録を更に上回ったのが菊地力哉(スポ1=茨城・磯原郷英)。ジャーク3回目で177キロを持ち上げ、会場は大いに盛り上がったまま大会の終了を迎えた。

大会新記録を出した菊地

優勝カップを手にする宮下とウエイトリフティング部員

 「今までにない盛り上がりを見せることができた」と宮下。総合結果は156-82で早大の圧勝となった。ウエイトリフティング部は早慶戦において1964年の第8回大会から負けなしで、今回その記録を57連勝に伸ばしている。秋のシーズンが始まり、今後国体やインカレを控える中、今後の活躍を大いに期待できる大会となった。

(記事 池上楓佳、写真 池上楓佳、髙田凜太郎、野中美結)

結果
55キロ級

家吉理空  スナッチ74キロ C&J96キロ トータル170キロ 吉田いぶき スナッチ67キロ C&J91キロ トータル158キロ

61キロ級

宮下一心 スナッチ97キロ C&J131キロ トータル228キロ 堤茉央  スナッチ73キロ C&J95キロ  トータル168キロ

67キロ級

坂本拓夢 スナッチ110キロ C&J135キロ トータル245キロ 西川和真 スナッチ111キロ C&J142キロ トータル253キロ

73キロ級

佐藤康太朗 スナッチ125キロ C&J165キロ トータル290キロ 奥野伊真  スナッチ105キロ C&J127キロ トータル232キロ

81キロ級

駒坂勇気  スナッチ120キロ C&J160キロ トータル280キロ 吉野真太郎 スナッチ110キロ C&J140キロ トータル250キロ

89キロ級

小山秀斗 スナッチ116キロ C&J147キロ トータル263キロ 須藤之博 スナッチ110キロ C&J140キロ トータル250キロ

96キロ級

田中稜真 スナッチ失格   C&J125キロ  トータル失格 今瀬竜雅 スナッチ113キロ C&J151キロ  トータル264キロ

+96キロ級

柏木良太 スナッチ140キロ C&J171キロ トータル311キロ 菊池力哉 スナッチ135キロ C&J177キロ トータル312キロ

コメント

佐藤康太郎(スポ4=宮城農業)

――今日は久しぶりの対面での早慶戦となりましたが目標はありましたか

実は昨日まで合宿をしていて、昨日帰ってきてすごく体が疲弊している状態での早慶戦だったのですが、その中で自分のベストにどれくらい近づけるかを確認するための試合という認識でこの早慶戦に挑んだので、自分の自己新記録を取るとか大会記録を取るとかはそんなに意識していませんでした。しかし結果的に早慶戦の大会記録を更新できたのでそこは自分の中ではすごく良かったと思います。

――昨日までの合宿で取り組んでいたことはありますか

その合宿が大学生研修合宿という大学生の中でも1位の選手が集まる合宿だったので、その中で色んな人とコミュニーケーションをして新しい知識を得て、それを大学に持ってきて後輩たちに伝えることで、大学全体を強くするというのが目標でした。

――今日の早慶戦全体を振り返ってみていかがでしたか

最近合宿もあって、早慶戦に向けた練習ができていたわけでもないのですが、それでも自分の中で狙っていた記録には近づけたので良かったかなと思います。

――大会新記録を達成された試技を振り返ってみていかがでしたか

さっきも言った通りすごく疲労が溜まった状態だったので、その中であの時はいつも通りの試技ができたというか、いつも通りやることができたので、その辺りは自分の中でも地力がついてきたなと思います。

――ここから先の目標をお願いします

僕らの目標はインカレ団体優勝というところで、それに加えて僕は団体優勝の他にも、僕の個人優勝はもちろんオリンピックの選考がインカレまでにあるので、インカレまでにオリンピックの選考で国内のランキングで2番になる記録を取りたいと思います。

柏木良太(スポ4=京都・鳥羽)

――今回の試合を振り返って、全体的にどうだったでしょうか

自分は試技6本全てを成功させることと140kgと170㎏の成功を目標にしていて、それをクリアすることができたので良かったです。そして140kgの方では大会新記録も残すことができたので非常に嬉しく思っています。

――先日の東日本インカレでも優勝をされていたと思います。その試合を踏まえて目標を立てていたのでしょうか

以前の大会でも成功本数を増やすことを目標にしていたのですが、最後の試技で新記録を狙って落としてしまったんです。今回の試技は結構立て続けになってしまったのですが、自分の持てる力を発揮してしっかり6本取ることができたので良かったです。次の、秋の国体に繋がるような試合ができたので良かったです。

――大会新記録を出した際の試技を振り返っていかかでしょうか

120キロの試技からスタートして、130キロ、140キロと増やしていったのですが140キロの時の試技が動き的には一番良かったなと思っています。試技1本を終えるごとに少しずつ動きを修正していったつもりだったので。しっかり140キロが上がって嬉しかったです。

――これからの目標を教えてください

去年のインカレでは優勝することができ、今年は2連覇が懸かっているのでそこはしっかりと抑えて優勝できるように頑張っていきたいです。

菊池力哉(スポ1=茨城・磯原郷英)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 柏木選手と一騎打ちになったのですが、(柏木選手は)目標にしていた選手なので、勝ててうれしいです。

――初めての早慶戦はどうでしたか

 応援部やダンサーもいて、とても良い雰囲気で(試技が)できました。

――大会新記録を出した際の試技を振り返っていかがですか

 大会新記録というのはあまり狙っていなかったのですが、柏木選手とスナッチで5キロ差がついていて、逆転するには柏木選手の(持ち上げたバーベルの)6キロ上の177キロを選択しなければいけないという状況でした。それで(持ち上げたことでポイントを)取れて良かったです。

――これからの目標を教えてください

 まず、1年生で全日本インカレに出場して、大学4年生までに大学新記録を樹立したいと思っています。

宮下一心(社4=石川・金沢学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 対面で3年ぶりの大会ということで、自分自身にとっても久しぶりの大会でしたし、何より今まで対面での早慶戦の経験がなかった後輩たちにその経験を伝えるという意味で成功に終わらせることができて良かったと思っています。

――今回の試合に臨むにあたり、何か目標は立てていたのでしょうか

 もちろん連勝記録を伸ばすということは第一にありましたが、慶応側の選手とも「盛り上がる大会にしよう」ということは話していました。応援部の方々が来てくださったり、他にもいろいろと企画してくださったりしたので、今までにない盛り上がりを見せることができたと思っています。

――今回、大会新記録を出すことができたことについてはいかがでしょうか

 階級は違うのですが、事前に慶応の主将さんと「ライバル心を出してお互い切磋琢磨して戦い合おう」と話していたんです。結果として早稲田の主将として大会新記録を残すことができたので一安心です。

――最後に主将として、また、個人として、今後の目標を教えてください

 今は強い部員がたくさんいるので、そういった中で全員がそれぞれ力を発揮して、それが団体戦の結果に繋がり、一つでも上の順位を目指せればなと思っています。私自身も主将としてしっかりと部員を引っ張っていけるよう、頑張りたいです。