今年もやってきた全日本大学対抗選手権(インカレ)。スナッチ、C&J、トータルの各8位(男子)と各5位(女子)までに点数が与えられ、大学ごとに合計得点を競う団体戦だ。一年間の集大成を発揮する大会であり、4年生にとっての最後の舞台でもある。早大は男子が総合5位、女子が総合2位という結果で終えた。
まずは男子。55キロ級で先陣を切った吉田旭主将(社4¬=岐阜・中津)。主将としてチームの流れを作る役割に、「緊張はした」と語る吉田。それでも応援や四年間の経験を胸に、自信を持って臨んだ。スナッチは3本成功で91キロを記録し、いい流れで折り返す。C&Jでは2本成功して迎えた3本目、クリーンは成功するものの、ジャークで失敗し、トータル205キロを記録した。「そこまで悔いはなく、自分のやれることは最大限できた」と振り返る吉田。吉田の試技が早大に流れを呼び寄せた。67キロ級に出場した木村勇喜(スポ3=兵庫・明石南)。「試合結果を見たらあまり良くなかった」と振り返ったように、スナッチ1本目を成功させるが、残り2本でまさかの失敗。ただ、スナッチ1位で8点獲得した。C&Jでは3本全てを成功させ、トータル1位を守り、23点をもたらした。73キロ級には知念勇樹(スポ3=大阪・関大第一)と生頼啓暉(スポ2¬=兵庫・明石南)の二人が出場。知念はC&Jで166キロを記録し1位に、生頼は6本成功でトータル3位に輝く。二人で36点を獲得し、早大に勢いを与えた。89キロ級に田中裕也主務(スポ4=宮崎・小林秀峰)が出場。団体戦で点数を獲得するために、普段出場している81キロ級から階級を上げて臨んだ。スナッチは117キロを記録するが、C&Jで2本続けて失敗し、あとがなくなった3本目。「悔いが残らないように」と思って臨み、見事成功させた田中。流れを上手くつなげることができた。重量級に出場した選手たちも点数を獲得し、目標としていた総合4位に一歩及ばなかったが、前年度より順位を上げて総合5位で終えた。
最後の試技をする吉田主将
女子は、45キロ級に新川百音女子主将(スポ4=山梨・塩山)と鈴木莉乃(スポ1=岩手・盛岡工)が出場した。新川は減量があったにも関わらず、スナッチは3本成功で折り返す。2本成功し、迎えたC&J3本目は失敗に終わる。6本全て成功させて終わりたかった新川も「一番やっぱり悔しい」と振り返る結果に。ただ、トータル2位で12点を獲得する好結果となった。その新川を上回った結果を出したのが鈴木莉乃だ。スナッチ62キロで1位、C&J80キロで1位を記録し、トータルも1位となり完全優勝を果たした。49キロ級に出場した鈴木梨羅(スポ3=千葉・松戸国際)はスナッチ1本目を失敗し、上手く重量を積むことができず2位で折り返す。C&Jでは巻き返して95キロを記録し、トータルで1位となった。71キロ級には戸田妃乃子(スポ3=福岡・九州国際大附)が出場。スナッチで自己ベストを更新する88キロを記録し、トータル3位に。他の出場選手もトータルで全員3位以上になったが、総合1位の大学とわずか2点差の2位に終わった。
成功させる新川
男女と共に目標順位にわずかに及ばない結果となった。しかし、前年度と比べると、男子は順位を1つ上げ、女子は優勝校との点差がかなり縮まった。吉田主将は「まだまだこのチームは成長している段階にある」と語ってくれたように、3年生以下はまだまだ大きなポテンシャルを持っている。このポテンシャルに磨きをかけ、来年のインカレでは優勝を達成してもらいたい。
(記事、写真 西杉山亮)
結果
▽55kg級
吉田旭 スナッチ91kg C&J114kg トータル205kg 7位
▽61kg級
宮下一心 スナッチ100kg C&J131kg トータル231kg 8位
▽67kg級
木村勇喜 スナッチ125kg C&J153kg トータル278kg 1位
▽73kg級
知念勇樹 スナッチ122kg C&J166kg トータル288kg 2位
生頼啓暉 スナッチ126kg C&J159kg トータル285kg 3位
▽81kg級
佐藤康太郎 スナッチ139kg C&J177kg トータル316kg 3位
▽89kg級
田中裕也 スナッチ117kg C&J150kg トータル267kg 12位
▽102kg級
岡村幸尚 スナッチ126kg C&J163kg トータル289kg 9位
柏木良太 スナッチ131kg C&J162kg トータル293kg 7位
▽+109kg級
西堅也 スナッチ128kg C&J153kg トータル281kg 8位
▽女子
45kg級
新川百音 スナッチ61kg C&J75kg トータル136kg 2位
鈴木莉乃 スナッチ62kg C&J80kg トータル142kg 1位
49kg級
鈴木梨羅 スナッチ72kg C&J95kg トータル167kg 1位
55kg級
原沙織 スナッチ72kg C&J100kg トータル172kg 1位
71kg級
戸田妃乃子 スナッチ88kg C&J111kg トータル199kg 3位
76kg級
西村深聡 スナッチ81kg C&J109kg トータル190kg 3位
87kg級
吉武温子 スナッチ86kg C&J101kg トータル187kg 2位
87kg級
佐熊汐梨 スナッチ75kg C&J103kg トータル178kg 2位
吉田旭主将(社4=岐阜・中津)
今大会のご自身の成績についてどうお考えですか
まず自分自身の成績については、最軽量の55キロ級で出場して、3か月で10キロ減量して出場することとなったんですけど、それでキャプテンとしてプレッシャーもあって不安な時期もありました。ただ、インカレが近づくにつれてすごく応援の言葉などもたくさんいただけるようになって、これだけ自分のことを応援してくださっているというのを再確認できて、逆にこれだけやってきたらできて当然だなと確信に変わってきたので、試合の時も緊張感も取れて、自分の早大ウエイトリフティング部での経験をすべて出し切れたかなと感じています。
団体戦の先陣を切る階だったと思いますが、プレッシャーや意気込みなどはありましたか
やはり最初の階級で、僕がキャプテンだということもあるので、僕の成績次第でチームの流れも変わると思ったので、緊張はしたんですけど、それも応援してくださる方々の思いもしっかりと受け止めて、できるぞと自分を信じて臨むことで、成功させることができました。
最後は失敗に終わってしまいましたが、そのときのご自身のお気持ちはいかがでしたか
今まで5本とも成功していて、最後の一本も決めたいと思っていて、最終的にC&Jで立つことができなくて失敗してしまったんですけど、自分的には出し切れたと思っていたので、そこまで悔いはなく、自分のやれることは最大限できたという気持ちでした。
試技を終えた際にお辞儀をされる場面がありましたが、それも最後だからという思いからとった行動だったのでしょうか
そうですね。最後だからというのもありますし、やっぱりみんなから今まで支えてくれた感謝の気持ちというがここまで戦ってきた上ですごく大きかったので、その思いが現れたかなと思います。
ここまでやられてみて、達成感はありましたか
はいあります。最後のミーティングでも言ったんですけど、よくキャプテンとかが、最後に頼りない自分に今までついてきてくれてありがとう!みたいなセリフを言うと思うんですけど、僕に関してはそんなこととても言えなくて、みんながこれだけ最高の気持ちを持ったチームのキャプテンに僕をしてくれたので、自信をもってキャプテンをやり切れたなと思います。
チーム全体の結果に関してはどうお考えですか
今まで一年間掲げてきた目標には男女ともに1つずつ順位を下げてしまったんですけど、去年のインカレと比べたら男子は団体順位が1つ上がって、女子は優勝校との差が点差的にすごく縮まったので、確実に成長していると思います。
改めて、ご自身の大学四年間を振り返ってください
キャプテンになるまではすごく自由奔放で自分勝手な性格で、あまり悩んだりすることもなかったんですけど、最後の一年間はキャプテンというポジションを経験させてもらえて、すごく悩むことも多かったんですけど、それがあったからこそ人間として大きく成長できる四年間だったと思っています。
最後に後輩に向けてメッセージをお願いします。
まだまだこのチームは成長している段階にあると思っているので、これからどんどん上の方に上り詰めていくことを期待しています!
新川百音女子主将(スポ4=山梨・塩山)
――まず、昨日の試合の記録についてどう感じましたか。
記録に関しては、減量もあって、それ相応の記録だとは思います。最後のジャークの3本目はやっぱり最後はしっかり6本成功して終わらせようと思っていたので、取れなかったのは一番やっぱり悔しいなって思います。
――今回が最後のインカレということで、気合が入っていたように感じましたが、どのような意気込みで試合に臨んでいたのでしょうか。
結構試合前緊張するんですけど、今回のインカレは自分でも驚くほど結構冷静になって落ち着いてやっていたというのもありますし、心の中で結構闘志は燃えていたので、それが試合にいい結果になったのかなと思います。
――最後失敗されてしまったが、試技が終わった時の気持ちを教えてください。
悔しいの一言しかなかったですね。
――四年間通して、達成感というのはありますか。
結構怪我が多かった分、この1年間はインカレで成績を残すっていうことに懸けていたんで、それが実現できたのはよかったなって思うんですけど、個人的には最後優勝して終わりたいっていうのはあったので、ちょっとそこが心残りだったんですけど、自分の今の力は全部出し切ったなって感じます。
――今回女子チームとして2位でしたが、チーム全体の結果についてどのように感じていますか。
みんな一人一人がしっかり実力を出し切った分の2位なので、全然そこは悔いなく終われたと思うんですけど、あと2点差っていうところでは、チームとしてちょっと悔しいなってところはありました。でも、みんなが納得いく2位だとは思っています。
――大学四年間を振り返って、一番成長したと感じるところはどこですか。
気持ちの面で結構成長したと思っています。
――最後に、後輩たちにメッセージをお願いします。
新体制では、また1年生の、強い子たちも入ってくるので、来年また1位、団体優勝目指せると思うので、そこに向けてまた頑張ってほしいと思います
田中裕也主務(スポ4=宮崎・小林秀峰)
――今大会のご自身の成績についてどうお考えですか
今回の試合は、普段は81キロ級に出ているんですけど、団体戦ということで89キロ級に出場して、1点でも多くを取るということを目標にしていたんですけど、上の選手たちのレベルは高くて、最後まで食らいつこうとしたんですけど、力及ばず、点数が取れなくて悔やまれるところではありました。
――C&J2本失敗が続いて迎えた3本目、どんな気持ちで挑んだか
失格するっていうことが頭によぎったんですけど、悔いが残らないようにという形で、大学での現役も最後の試技ってことで、全力でやるというのを心がけて臨んだんですけど、全力でやったおかげで無事に試技が成功することができて、安心感と言いますか、失格せずに無事に取れたっていうことで、団体としてもいい雰囲気と言いますか、悪い流れにならずに、そのままの流れを引き継げたと思います。
――最後試技を終えた時の気持ちは
自分の四年間を振り返るっていうことがまずあって、自分が入った当時怪我をしていて、一年間それで練習ができないっていう期間もあって、そういった怪我に悩まされたウエイトリフティング人生だったんですけど。その中でもここまで記録を伸ばして、当時の自分では考えられなかった重量を挙げることができたことがうれしいと言いますか、後悔より自分の成長に喜びを感じています
――試技が始まる前のガッツポーズは仲間へ向けているのか
そうですね、自分のいつものルーティンであるんですけど、みんなの応援をしっかり見て、みんなの応援を力にすると言いますか、そこで気合を入れて、試技に臨むっていうことを毎回心がけていました。
――チーム全体の結果についてどう感じていますか
下級生が点数のメインになってくるんですけど、みんなの点数をどれだけたくさん取らせてあげるかっていうことが僕ら4年生の役割で、練習以外でもサポートを合宿などで取り組みをやってきたんですけど、そこでまだポテンシャルを引き出せなかったのが後悔と言いますか、まだまだ下級生たちは、男女ともに優勝を狙えるような力は持っていると思うので、次回に向けてもっと頑張ってもらいたいと思います。
――最後に、後輩たちにメッセージをお願いします。
来年も新入生がたくさん入ってくるので、大所帯で4年生としてはチームの運営が大変になると思うんですけど、全日本インカレに向けて男女ともにアベック優勝を狙ってほしいなと思っています。それだけの力を持っているチームなので、また実力をさらにつけてもらって次のインカレで優勝してもらいたいなと思います。
木村勇喜(スポ3=兵庫・明石南)
――この試合の調子はどうでしたか
調子は結構良かったんですけど、試合結果を見たらあんまり良くなかったですね。
――スナッチ2本連続で失敗してしまった原因は何か
地面からバーベル浮かす瞬間に、体を前に取られて、不安定な状態から試技が始まってしまって、最後までそれを修正できずに失敗しました。
――23点獲得したことについてどう感じているか
元々、大学の方で出していた予想点数があったんですけどそれも23点だったので、ノルマは達成できたと思います。個人的にはすごい最近調子良かったので、スナッチでとりあえず10キロ以上差をつけて、楽にジャーク入って優勝して24点取ろうと思っていたんですけど、スナッチで失敗してしまってトータルの優勝が危うくなったので、確実にジャーク行くことになりました。やっぱりジャークの優勝争いに絡めなかったんで、もっと練習しないといけないと思います。
――三年間過ごしてきた4年生にはどんな思い入れがありますか
今年入って今の四年生が一番上の立場にたって、これまでになかった部の新しいルールや取り組みが今年の代は多くて、残りの二年間と比べて新しい取り組みを取り入れてくれて、チームの雰囲気を上げようと、チームのこと色々考えてくれているなと感じています。これまでの4年生の代に比べて、全部が全部為になったかと言われたらわかんないですけど、これまでで一番チームのことを考えてくれた代で、自分たちもこの大会が終わったら一番上になるので、見習ってチームのためにできることを考えて、普段から行動していかないといけないと感じています。
――来年は最上級生ですが、どんな一年間にしたいか
最後の1年間はとりあえず学生の大会は個人としては全部優勝して、自分が一番上なので、しっかり練習している姿を見せて、後輩にもいい刺激にしてもらって、来年のインカレでは団体優勝できるようにしたいですね。