3月8日~10日にかけて全日本ジュニア選手権大会が開催された。早大からは木村勇喜(スポ1=兵庫・明石南)・知念勇樹(スポ1=大阪・関西第一)・鈴木梨羅(スポ1=千葉・松戸国際)・戸田妃乃子(スポ1=福岡・九州国際大附)・前田早菜(社1=愛媛・新居浜南)の5人が出場。木村と鈴木がそれぞれ男子62㎏級・女子48㎏級で優勝、知念勇樹と戸田が男子69㎏2位・女子69㎏級2位と、シーズン最初の大会ながら良い結果を得ることができた大会となった。
1日目となる3月8日、最初にプラットフォームに登ったのは男子62㎏級に出場した木村。スナッチの1本目となる110㎏は、「サポーターに引っかかってしまった」と思わぬアクシデントに見舞われ失敗となってしまう。反省を活かした2本目では同重量の挙上をしっかりと成功させ、3本目へつなげる。3本目では113㎏を成功させ、2位に6㎏差の113㎏でクリーン&ジャークへ折り返した。最近調子が良いというクリーン&ジャークでは、2本目137㎏の試技まで安定した挙上で成功させる。その勢いで140kgに挑戦するも失敗となり、トータル250㎏の1位で大会を終えた。木村に続いて出場したのは女子48㎏級の鈴木。スナッチ3本目の71㎏は失敗したものの1位でクリーン&ジャークへ。一回目の挙上が成功し優勝が確定した鈴木は3本目で96㎏へ挑戦した。昨年度も狙ったという96㎏の挙上は失敗したが、「昨年よりも軽くなっていた」と成長を実感する大会となった。木村と鈴木の流れに乗り、最後に知念勇樹が男子69㎏級に出場。1本目の116㎏以降失敗が続き、重量を増やせず苦しい状態でクリーン&ジャークへ折り返してしまう。クリーン&ジャークでも2本目の160㎏を失敗。3本目は165㎏で勝負に出るもこれも失敗し、トータル271㎏で2位となった。涙を浮かべた知念勇樹だったが、自己ベストより重い165㎏を途中まで形にするなど、確かな収穫も得た。
鈴木は優秀選手にも選出された
2日目、3日目は女子69㎏級に戸田、女子75㎏級に前田が出場。戸田はスナッチで85㎏を挙げ2位で折り返すと、3本とも成功の高い成功率でクリーン&ジャークを終える。2本目では自己ベストとなる112㎏を挙げ大会新記録を塗り替える。もっとも戸田自身はアナウンスまで気づいていなかった模様だが、違和を感じていたクリーンを丁寧にこなして着実に成功へつなげた。1位の選手の2本目の試技で大会新記録はさらに塗り替えられてしまったが、トータル197㎏で2位の結果。1位の選手との差が10㎏から3㎏とインカレの時より縮まり、戸田はこれからの大会へ高いモチベーションを見せた。前田はこの大会が3か月ぶり。練習では調子が良く、その流れで挑めるかと思われたが、アップで動きにキレの無さを感じたという。その感覚の通り、スナッチ2本目の70㎏を失敗してしまう。3本目は同重量を成功させたが、かなり苦しい重量でクリーン&ジャークへ折り返す。「スナッチの失敗で気持ちが切れていた」と語るようにクリーン&ジャークも2本目の91㎏を失敗し、3本目で取り直す流れになった。トータルは161㎏で8位。これまで全6本の成功率を重視していただけに、今一度見つめなおす結果となった。
自己ベストとなる112㎏を挙げる戸田
優勝が2人、2位が2人と戦績的にはいい結果を残すことができた。その一方で自身のプレイを厳しく振り返る選手もおり、シーズンインへ向けて課題を見つめなおす機会となったこの大会。出場した選手たちの各々が、得た収穫をもとに成長した姿を見せてくれるだろう。
(記事、写真 伊東穂高)
結果
▽男子
62㎏級
木村勇喜 スナッチ113Kg C&J137Kg トータル250Kg 1位
69㎏級
知念勇樹 スナッチ116Kg C&J155Kg トータル271Kg 2位
▽女子
48㎏級
鈴木梨羅 スナッチ68Kg C&J92Kg トータル160g 1位
69㎏級
戸田妃乃子 スナッチ85Kg C&J112Kg トータル197Kg 2位
75㎏級
前田早菜 スナッチ70Kg C&J91Kg トータル161㎏ 8位
コメント
木村勇喜(スポ1=兵庫・明石南)
――今回の試合に向けての、意気込みと目標を教えてください
今回の大会は世界ジュニアの選考になっていたので、基準記録であるトータル250㎏を。去年も世界ジュニアに出たので、今年もまずは出れるように、250㎏を出来るように挑みました。11月ぐらいから怪我をしていて、練習もあまり出来ず自信もなかったのですが、去年も出ているので。今回ダメだったら12月のインカレでも勝てないと思って、やるしかないなと思って臨みました。
――1位を獲られた時の感想を教えてください
順位的にはすごい良かったんですけど、記録が去年と、高校生の時と全く一緒で。1年間の記録を伸ばすことが出来なくて、練習では伸びていた実力を試合で発揮することが出来なくて、試合に強い選手になることが課題として。練習だけじゃなくて、ちゃんと本番で実力を発揮できるような本当に強い選手を目指したいです。
――スナッチの1本目で失敗が見られましたが、その原因は何ですか
膝にサポーターをしているんですけど、引いてくるときに引っかかったのと、あとプラットフォームの方がグラグラしていて(動作に)入ったときに傾いてしまって…(笑)。落としました。
――この試合で、収穫や課題はありましたか
自分はジャークが苦手なんですけど、ちょっと最近良い感じで調子良くて、調子に乗ってて。(クリーン&)ジャークの3本目もいけると思ってやったんですけど心に隙が出来たというか。クリーン&ジャーク2本目の時点で250㎏の達成は決まっていたのでちょっと油断した部分もあったので、最後までちゃんとしっかり気持ちを切らさず。技術だけじゃなくてメンタルもしっかりしていきたいと思いました。
――これからの1年の目標等はありますか
世界ジュニア出場が決まれば入賞を目標にして。来年もこの大会に出れるんですけど、あと1年間で、日本ジュニア新記録(20歳以下の歴代最高記録)をスナッチで獲れるように。それが目標です。
知念勇樹(スポ1=大阪・関西第一)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
ここ1か月で記録も伸びだして、世界ジュニア(派遣)の基準記録も280㎏でベストを取れたらいけたんですけど、スナッチで本数取れずクリーン&ジャークで苦しむことになってしまって、結果リズムもちょっと崩れてスナッチ1本クリーン&ジャーク1本で終わったのがすごく悔しいです。
――今回の自分の順位について、感想はどうですか
順位は、1位の日大の選手と実力差があったので勝ちに行こうとは思っていなかったんですけど、向こうも調子がそんな良くなかったみたいで。自分がちゃんと成功しとけば基準もとれたし1位にもなれたから、やっぱりスナッチで落としたのが1番良くなかったと思います。順位に対してはそんなにネガティブではないです。
――クリーン&ジャーク3本目の試技の165㎏に挑んだ時の思いをお伺いしても良いですか
いけるかどうかわかんなかったんですけど、まあでも取りたいという気持ちがすごくあって、クリーンも肩まで載っかって。立てなかったですけどそれでもベストよりも全然上なので、挑戦してそれなりに形にはなったので良かったです。
――これからの1年の目標等はありますか
力は確実についているんと思うので、あとはそれを試合で出し切れるようにすることと、もうちょっとしたら後輩が入ってくるのでちゃんとお手本になれるような、自分が4年生をすごくしたっていたみたいに、次は後輩のお手本になれるように頑張っていきたいです。
鈴木梨羅(スポ1=千葉・松戸国際)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
昨年は高校最高記録の96㎏をクリーン&ジャークで狙うつもりで失格してしまって、世界ジュニアに行けなかったんですけど、今回は着実に基準記録をとって。まあまだ決定はしていないんですけど基準記録をとることが出来て優勝という結果も残せたので良かったかなと思います。ただ、96㎏がとれなかったのは昨年と同じ失敗なので悔しいなという思いはあります。
――今回、その96㎏の挙上に失敗してしまった原因等は何だと思いますか
技術的な面で、かかと重心…体幹がぶれちゃったというのがあるんですけど。去年と同じような失敗なんですけど、でもクリーンで昨年より軽く立てて力がついているというのが実感できたので、世界ジュニアが決まったらその時には確実に取りたいなって思います。
――この1年の目標を教えてください
まず5月にある全日本選手権で優勝して、世界選手権とかアジア大会とか国際大会に出たいなって思います。
戸田妃乃子(スポ1=福岡・九州国際大附)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
この試合は世界ジュニアがかかってる試合だったんですけど、最近調子も気持ちも落ちてたので。自分なりの試合でウエイトリフティングを楽しめればいいかなと思って挑んで、それが結果に繋がったかなって思います。
――この試合に向けて、どのような取り組みをしてきましたか
ジャークがすごい苦手でいつも肘が曲がったり前にいってしまって終わったりしていたのが、今回はクリーン&ジャークが3本成功して。頑張ってきたことが結果に出たなって思います。
――クリーン&ジャーク3本目、大会新記録へ挑んだ時の思いをお伺いしても良いですか
大会新って知らなくて!(笑)プラットフォームに出たときに、大会新記録への挑戦ですって言われて「へ?」ってなって。「あ~そ~なんや~」って思い…。それよりも112㎏が自己新記録に挑戦でそっちの方が私の中では大きくて、今日なんか得意なクリーンが重かったから、とりあえずクリーンをきれいにやってこようというのしかなかったです。
――これからの1年の目標等はありますか
今日優勝した同じ階級の石井未来選手にインカレでも負けて、今回も勝とうと思ってやってはいないんですけど負けて。けどインカレは10何㎏差あったのが今日は3㎏差で。自分の中では負けたんですけどとても悔しいとかではなくて「次頑張ろう」って思えて。3位の子も東京国際大に行くので、69㎏級が接戦になるから、インカレで2位だったのを今年は1位。個人も1位、団体も1位で終わるのが目標です。
前田早菜(社1=愛媛・新居浜南)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
3・4か月ぶりの試合で。大学で最後に挙げたときはすごい調子が良くて、結構いけるなと思って試合に来ると大変なことになりまして(笑)。目標がトータルで165㎏いくことが目標だったんですけど、スナッチで2本目失敗して、クリーン&ジャークも2本目失敗して、161㎏になってしまいました。今までずっと6本の成功率ばかり重視してきて、高2から今までやってきたのが、ついに4本になってしまったけど、そこから逆に頑張らなきゃいけないなって思う機会になりました。
――スナッチとクリーン&ジャークそれぞれの2本目失敗の理由を教えていただいてもいいですか
スナッチはアップの時から自分の中で、原因は分からないですけど動きにキレがないというか。誰かに勝つなどという目標がない分、あんまり気持ちが入ってないままプラットフォームに上がってたからかなあと。あと、めっちゃ重かったです。クリーン&ジャークはスナッチがそんな感じで気持ちが切れていて、やる気がなかった…?あとちょっと腰が痛いのがありました。腰が痛いし、練習ですごい調子良いと思っていたのがすごい調子が悪くなって、結構気持ちが落ちて集中出来ていなかったです。
――この試合を通して、収穫や課題はありましたか
やっぱり成功率が高ければ高いほど最後は絶対つながるなって思う試合だったので、だからといってスタート(の重量)を上げたら絶対今日みたいに失敗するので、練習での底上げが大事だなと思いました。
――これからの1年の目標等はありますか
スタートを(スナッチ)70㎏の(クリーン&ジャーク)90㎏でスタート出来るようにフォームを改善したいです。