一歩及ばず敗北も、実りのある試合に 現体制最終戦 

女子バレーボール

全日本大学選手権 11月26日 エスフォルタアリーナ八王子

※掲載が遅くなり大変申し訳ありません

 現体制の集大成となる最後の大会を迎えた早大女子バレーボール部。秋季リーグ戦(秋季関東大学リーグ戦)は3位と、春から大きく順位を上げたものの「優勝」という目標に一歩届かず、全員が悔しい思いをした。下級生は引退する4年生のためにも、一試合でも多く一緒にプレーするために勝利を掴みたい。悔しさをバネに勝利を目指す早大だが、序盤は攻撃の速さと幅の効いたトスワークに圧倒されリズムを崩される。3セット目以降対応し、攻めのバレーで好戦するが、ここでもあと一歩追いつかずセットカウント1-4で敗北を喫した。

 第1セット、先に主導権を握ったのは芦屋大。レフトから放たれる強烈なスパイクが上がらず、一気に3点を取られる。早大も流れを切ろうと、スパイカー陣が奮闘するが、差は縮まらず5-10でタイムアウトを挟んだ。その後も、両サイドの攻撃でワンタッチを上手く取られ、8-18と10点差が開いたところで、やむを得ず2回目のタイムアウトを取る。やられてばかりではいられない早大。タイム明け、大松未羽(スポ2=沖縄・首里)がレセプションを返すと西崎梨乃(スポ2=大阪国際滝井)がライトからクロス方向に鋭いスパイクを決め、チームを盛り上げる。1点への期待感が高まるなか、次のサーバーは秋重。ダイナミックなフォームから繰り出される強烈なジャンピングサーブはコート中央に鋭く決まり、ブレイク。その後は徐々に流れを取り戻し、着実に点を決めるものの、序盤の開きが大きく16-25で1セット目を献上した。続く第2セットも5-9と芦屋大がリードするなか、1年生が魅せる。川村彩乃(社1=岡山・就実)がセンターからクロスに打ち込むと、モサクまり(国教1=東京・クリスチャンアカデミーインジャパン)はレフトから叩きつける。二人の活躍で一気に4点を奪取。11-11で同点に追いついた。しかしながら、相手も負けられない。立て続けにブロックアウトを狙われ連続失点を許す。早大も抗戦するが、先にセットポイントを取られ21-25で2セット目も献上。

スパイクを打つ秋重 

 セットごとに調子を取り戻しつつあるが、もう後がない早大。何としてでもこのセットを取ろうと、セット開始直後から主将でエースの秋重が奮い立つ。レフトからクロスに強烈なスパイクを叩きこみ2点をもぎ取ると、ライトのスパイクをブロックでシャットアウト。さらに、レセプションを上げた秋重は、その足でライトまで走りストレートにブロードを決める。会場が沸くなか、サーブの順番は再び秋重に回ってきた。緊張の中でも動じない。今度も中央にジャンピングサーブを決め、チームは歓喜に包まれる。文字通り縦横無尽な攻撃で9-3とし、大エースの活躍が早稲田に流れをもたらした。しかしその後は、早大のスパイクミスで11-9と差を詰められる。シーソーゲームが繰り広げられるなか、先に20点台に乗ったのは早稲田。長いラリーに耐え相手のミスを誘うかたちで、流れを渡さない。3度のタイムアウトを挟み、最後は西崎がAクイックを決め25-20で、第3セットを勝ち取った。

点を取り喜ぶ選手たち

 フルセットに持ち込み逆転劇を起こしたい早稲田だったが、4セット目序盤はお互いにミスが目立つ。こう着状態から先にエンジンを切ったのは芦屋大。強弱をつけた攻撃で4連続得点を許す。早稲田も負けじとアクセルを踏む。モサクのスパイクや大松のサーブなどで点を取り返し、5連続得点。12-10と逆転に成功した。しかし、相手も連続得点をさせない。両者の意地で、ゲームは再びシーソーゲームに。秋重のバックアタックやモサクのサービスエースで点を重ねるが、一歩及ばず22-25で4セット目を逃し、セットカウント1-3で敗北を喫した。

 結果を見れば1回戦敗退だが、内容は「勝利」以上に価値のあるものだったのではないだろうか。徳山奈々美(スポ4=兵庫・加古川西)のサービスエース、南の巧みなトスワーク、そして秋重のコートいっぱいに使ったプレー。4年生全員が個性を発揮しながら、チームを盛り上げ、引っ張った。後輩たちも期待に応えようと懸命なプレーを見せた。4年間を振り返ると、春季リーグ戦での悔しさをバネに秋季リーグ戦では、強豪校相手に白星を連ねる“強いチーム”へと変わった。「みんなギュッとしてちゃんと1つの方向に向かっていて、すごく良いチームを作れた」と南が語るように、この強さの原動力は個々の選手の力だけでなく、何よりもチーム全体の結束力だろう。今節では、今年1年の集大成に相応しい最高のゲームを見せてくれた早大女子バレー部。代が変わっていっても、何よりもチームワークを大切に新たな時代を築き上げてほしい。

(記事 帖佐梨帆、写真 田部井駿平)

 

セットカウント
早大 16-25
21-25
25-20
22-25
芦屋大
スタメン
レフト 秋重若菜(スポ4=大阪・金蘭会)
レフト モサクまり(国教1=東京・クリスチャンアカデミーインジャパン)
センター 西崎梨乃(スポ2=大阪国際滝井)
センター 川村彩乃(社1=岡山・就実)
ライト 大松未羽(スポ2=沖縄・首里)
セッター 南里和(商4=東京・女子学院)
リベロ 山崎葵(社3=岡山・就実)
コメント

秋重若菜主将(スポ4=大阪・金蘭会)

――今日の試合を振り返って

 今日の試合は、ちょっと全体的に緊張しているなっていう雰囲気が漂っていて、すごくみんな調子よかったんやけど、なんでやろうな。悔しいのもあんねんけど、ほんまにもうやり切ったなっていうのがあります。

――チームとして全カレに向けてどういった気持ちで練習に取り組んできましたか

 もう秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)の悔しさを絶対晴らそうと思ってやってきました。課題はもう明確にしっかり出して、チームでそれをしっかり取り組んできたので、良い準備はできたんじゃないかと思います。

――その成果は出ましたか

 後半出ていた気がします。最後の粘り方とか、そういった部分で出ていたと思います。

――現体制の最終戦となりましたが、今季振り返ってどんな1年になりましたか

 もう本当に濃い1年やったなって思います。4年間の中で1番濃かったし、楽しかった1年でした。

――1番印象に残っている試合はありますか

 全部楽しかったです!

――2年間主将としてやってきて成長した部分はありますか

 プレーの面やったら、ミスの後あんまり引きずらんようになったし、そこの気持ちの切り替えが上手くなったと思います。プレー以外の面やったら、視野がちょっと広くなった気がします。前は心も体もホットな感じやったけど、体はホットに頭はクールに。2年間で頭を使えるようになったなって。クレバーさを取り入れることができたと思います。

――早稲田の女子バレー部はどんな存在になりましたか

 自分が早稲田の女子バレー部に来たことが、人生のターニングポイントだったなって。ほんまにそれくらい毎日全力で楽しくバレー部で過ごせたし、本当に選手としても人間としても成長できた場所だったので、自分の1番のターニングポイント

――後輩たちにむけたメッセージを

 後輩は本当に熱い後輩たちばかりで、こんなに後輩のために頑張ろうと思えたのは初めてやったから。何を残せたかはちょっとわからへんけど、これからも元気に頑張ってほしいです

南里和(商4=東京・女子学院)

――今日の試合を振り返って

 最初はみんな固くなっちゃって、あんまり楽しめていなかったんですけど、途中から練習してきた良いプレーがたくさん出ていたと思うので、良かったと思います

――速攻が良く決まっていたように思いますが

 そこはリーグ戦(秋季関東大学リーグ戦)が終わってから、ミドルがいっぱい速攻入ってコンビを組み立てていこうと力を入れてやってきたので。コンビが合ていたのは、やってきた部分が出せたのかなと思っています。

――現体制の最終戦となりましたが、今季振り返ってどんな1年になりましたか

 結果的には悔しい結果になることが多かったですけど、すごいチームとしても成長しているなということを感じながら、長期的に成長できているなとみんな思えるようなチームになりました。自分が4年間やってきたなかで1番良いチームというか、みんなギュッとしてちゃんと1つの方向に向かっていて、すごく良いチームを作れたなと思っています

――4年間ではセッターとしてやってきたと思いますが、技術的な面も精神的な面も含めて成長したところはどこですか

 もちろんプレーは大学入ったときは全然だったので、そこから比べるとすごく成長できたなと思います。あと、私の場合は今まで全然ハイレベルでやってきたわけではなかったので、ものすごくチャレンジングな厳しい環境で4年間やり抜くことができて、最後コートに自分が立ってプレーすることができて、すごく幸せな4年間だったと思います。

――印象に残っている試合はありますか

 やっぱり秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)で負けた試合。2、3年生のときの試合もあると思うんですけど、直近の試合が思い浮かびますね。

――早稲田の女子バレー部はどんな存在になりましたか

 高校生のときは全然自信なかったんですけど、いろんな経歴の人がいるなかで、いろんな人をみんなが受け入れてくれて。本当に今までの経歴とかも含めていろんな人がいるけど、それを温かく受け入れてくれる、そういう場所だし、自分の大学生活の全てって感じです。

――後輩たちに向けたメッセージを

 さっきも言ったみたいに、すごく良いチームを作れたのは、本当に後輩みんなのおかげだと思っているので。1年生は今年1年間だし、2年生3年生はもっと長いけど、最後までついてきてくれて、本当に一生懸命やってくれて「ありがとう」ですね。

徳山奈々美(スポ4=兵庫・加古川西)

――今日の試合を振り返って

 結果的に負けという結果で1、2セット目を取られて、出だしで自分たちのバレーができていなかったなと。3セット目からようやく立て直してきたんですけど、序盤の弱さが出てしまったかなというふうに思います。

――今日は試合の中で一本サービスエースがありましたが

 久しぶりにサービスエース決めて、最近はリリーフサーバーを想定してゲームをやっていたわけではなかったので、監督からこういう起用をされて、結果として返せたってことはすごくよかったのではないかと思います。

――今季1年振り返っていかがですか

 私としては、この1年が4年間のなかで1番きつかったなというふうに思います。4年生の大変さとか、今までの先輩たちはこういう思いをしてきたんやっていうのを、4年生になってようやくわかったなと感じる部分がすごく多くて。そこで改めて先輩たちにも感謝の気持ちを持てたりとか、ちょっときついなと思うことも、今までとは違うしんどさがあったかなと思います。

――4年間振り返って1番印象的な試合はありますか

 まず1番勝って嬉しかったのは今年の秋の敬愛戦と松陰戦。4年間振り返ってみると、2年生のときの春の入れ替え戦ですね。

――個人的に4年間で1番成長を感じる部分は

 技術はもちろんそうなんですけど、学生自主で自分たちが動かないといけないなかで、組織内での立ち振る舞いであったりとか、上級生になってからは下級生に対しての言葉がけであったりとか、リーダーシップの取り方っていうのは、やっぱり学生自主の中で1番学んだかなというふうに思います。

――4年間の早稲田の女子バレー部を振り返ってどういう心境ですか

 まず「早稲田でバレーができている」という当たり前の環境に対しの感謝と、たくさんのOBさんやOGさんが支えて下さって成り立っている部活でもあると思うので、そこの感謝の部分と。あとは、やっぱり人数が少ない中で一緒に戦ってきたチームメイトにも感謝です。

――最後に後輩たちにメッセージを

 やっぱり簡単に勝てる試合って無いと思うし、しんどいこととか辛いことを乗り越える過程をまずは大切にして、一生懸命練習してほしいなと思います。