江戸川大に食らいつくも敗戦 現体制最初で最後のリーグ戦は笑顔・涙とともに閉幕

女子バレーボール

 10月11日に開幕した代替大会は、今日ついに閉幕を迎えた。最終戦の相手は速い攻撃とレシーブの粘り強さを武器とする江戸川大。これまでのリーグ戦で培ってきた『繋ぎ』のバレーで応戦した。例え一球目が乱れても最後まで諦めずカバーに走る姿勢や、一つの得点に全員が喜ぶ姿。早大らしさを存分に発揮した一戦だったが、各セット一歩及ばずセットカウント0-3(18-25、20-25、15-25)でストレート負けを喫した。これで今大会は全ての試合を終えて4勝3敗。優勝や一部昇格という記録にこそ残らないが、確かに記憶に残る一ヶ月を走り切った。

 

 力強いスパイクで先制された第1セットは、一進一退の攻防となる。梨本未央主務(社4=東京・駒場)らのレシーブから両翼にボールを集め、粘りに粘って一点を取りにいった。9-10と渡り合うが、ミスが絡み10-14に。するとこの早い段階でセンターを吉内文(スポ4=山口)に替える。吉内の起用に応えるスパイクで13-17と踏ん張るも、レフトへのマークが厳しく点差を詰められなかった。18-23から持ち味を発揮して長いラリーを展開するが、相手のフェイントが決まりセットポイントとされると、そのまま18-25でセットを落とした。続く第2セットだったが悪い雰囲気を引きずらず、二度の3連続得点で8-9と互角のすべり出し。吉内がライトから決めて同点とすると、大きなガッツポーズをつくった。そこからは相手が多彩な攻撃を見せ、対応しきれないまま9-14。5点のリードを奪われたが、このまま相手に飲まれないのが早大の成長だった。12-16で投入された池田華(社4=韓国・ヨンサンインターナショナル)がサービスエースを決めると、2年生の中澤恵(スポ2=大阪・金蘭会)・山下日和(社2=千葉・市船橋)が呼応し18-20と迫る。しかし相手が意地を見せ、20-25でこのセットも失った。 

 

4年生がチームを盛り立てた。写真中央は池田

 

 第3セットもなんとか食らいつく。エンジンのかかった相手攻撃陣が猛然と襲い掛かるが、リベロの梨本や井上裕利惠主将(スポ4=岡山・就実)を中心に最後までボールを追いかけた。序盤に中澤のサーブが冴え5-6とするものの、そこから簡単に点を取らせてはもらえず7-14と引き離される。だがまたも池田がサービスエースを決めると、4年生の熱い思いがチームに伝播した。このセットも途中出場の山下が二度のブロックを決め、井上がブロックを打ち抜くと15-19。リーグ戦の最後に底力を見せたが、反撃及ばず15-25で敗れた。負けはしたものの選手の表情には悔しさだけでなく様々な感情が滲んでいた。涙もあった。試合後に井上主将は4年生にこう声をかけたという。「自分たちの4年間は今日だけじゃないよ」(池田)。

 

早大バレーを支えてきた学生トレーナーの一人、谷内尾諒(スポ4=兵庫・国際)

 

 先の見通せない中で開幕した代替大会。目標としてきた一部昇格は叶わなくなり、戦う理由を見失いかけたこともあったかもしれない。しかし4年生らが自らを奮い立たせ、早大はこの一ヶ月戦うごとにチームになっていった。今日の試合の一つの繋ぎが、一つの笑顔がその証明と言えるだろう。明日の早慶戦(無観客で実施)が現体制で臨む最後の試合。「楽しみたいという気持ちもありますが、しっかり勝ち切りたい」(池田)。今日以上の笑顔で有終の美を飾る。

(記事、写真 平林幹太)

 

セットカウント
早大 18-25
20-25
15-25
江戸川大
スタメン
レフト 中澤恵(スポ2=大阪・金蘭会)
レフト 井上裕利惠(スポ4=岡山・就実)
センター 橋本彩里(教2=東京・早実)
ライト 村山果菜(教4=東京・国際)
ライト 植松知里(文構4=香川・高松第一)
セッター 橋本美久(社3=福島・郡山女大附)
リベロ 梨本未央(社4=東京・駒場)
最終結果

4勝3敗

個人賞

優秀選手 井上裕利惠主将(スポ4=岡山・就実)

集合写真。笑顔が弾けた

コメント

池田華(社4=韓国・ヨンサンインターナショナル)

――試合を終えて率直な感想をお聞かせください

一度(江戸川大と)練習試合をやったときは、5セットやって5セットとも負けました。そのときは全く歯が立たず、自分たちが何もできなかったという印象でした。今日も確かに決められましたがそんなに簡単に決められたわけではなくて、しっかり触って繋ぐバレーができたという風に思いました。結果は負けですが、自分たちの成長が顕著に見られた試合だったのかなと思います。

――リーグ戦の初めの方に同じ相手と当たっていたら、もっと違う展開になっていたでしょうか

全然違ったと思います。あんなに最初はボールが繋がらなくて、都留文科大にはあっさり負けてしまい桜美林大相手には何もできませんでした。今日の負けは、自分たちが何かを成したけど結果がついてこなかったというものかなと思います

――サービスエースなどで存在感を示しました。ご自身のプレーは

サービスエースは嬉しかったですが、自分としては気持ちよく手に当たっていませんでした。でも同期たちが、私が決めたときすごく嬉しかったと言ってくれたので、練習してきてよかったなと思いました。

――大学バレー最後のリーグ戦を終えられましたが、実感などはありますか

実感はないと言えばないです。自分は1年生のときは戦力外で、3年生から少しずつ試合に出られるようになり、4年生になってコンスタントに出場させてもらっています。その点自分自身すごく成長できた4年間だったと思います。また、多くの同期がコートに入って戦えたリーグというのはすごく嬉しかったです。今日負けて試合後に暗くなってしまったのですが、裕利惠(井上主将)が「自分たちの4年間は今日だけじゃないよ」と言ってくれて、この人たちと戦えてよかったなと思いました。

――明日の早慶戦に向けて意気込みをお願いします

楽しみたいという気持ちもありますが、しっかり勝ち切りたいと思っています。1年生から4年生全員の力で勝ち切ります。

山下日和(社2=千葉・市船橋)

――今日の試合を振り返っていただけますか

終わり方としてはあまりよくなかったので悔しい気持ちが強いです。ですが今までやってきた練習が生かせた場面が多くあったので、そこは4年生の思いの強さが見られてよかったかなと思います。

――今日は今大会で最も長い出場となりましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

怪我から完全に復帰することが今年はできず、限られたチャンスで出場するという経験が初めてでした。すごく悩むこともあったのですが、少ない機会のなかで自分の役割を果たせたのかなと少し満足しています。

――今日でリーグ戦は終わりますが、大会を通じて4年生の存在はどのようなものでしたか

コロナの影響ですごくイレギュラーな年で、自分たちだったら気持ちが折れてしましそうだなと思うときでもずっと笑顔で色々なことを考えてくださいました。そこに4年生の優しさや心の広さを感じました。大会を通じても、最後まで諦めないという姿勢を見せてくれました。

――明日に向けて意気込みをお願いします

明日は全員が出場するという話もあるので、チーム一丸となって全員バレーで頑張ります。