春季関東大学リーグ（春季リーグ）８日目となるきょうから上位リーグに臨んだ早大は、神奈川大と対戦した。第１、２セットはジュースに持ち込まれる苦しい展開になるも連取。続く第3セットは流れをつかめず落としてしまうが、セットカウント３－１（２６－２４、２６－２４、２０－２５、２５－２１）で勝利を収め、２部リーグ優勝へ向けて弾みをつける試合となった。
中澤恵（スポ１＝大阪・金蘭会）のブロックポイントで第1セットが始まるが、長いラリーの末失点するなど相手の攻撃に苦戦する。しかし、富澤結花（スポ４＝東京・文京学院大女）の得点を皮切りに7連続得点を決めて点差を広げ、序盤で大量のリードを得た。ところがその後、相手に連続得点を許す場面が続き同点に追いつかれる。相手の勢いを止めたい早大はセッターを植松知里（文構３＝香川・高松第一）に代えて再び流れを取り戻す。山下日和（社１＝千葉・市立船橋）のブロードでジュースに持ち込むと、最後はまたも山下のブロックで得点を奪いこのセットを先取した。第２セットは一進一退の攻防が続くも、二段トスから得点に結びつけた山下をはじめ、富澤や中澤などの攻撃陣が躍動し相手に食らいつく。「植松のリズムをチームの中にそして実際のゲームの中で試せる機会を作らなければならない」という馬場泰光監督（平８人卒＝京都・洛南）の意図もあったこの試合、中盤で再びセッターを代え、植松を投入。ジュースに持ち込まれるも早大は気持ちを切らさず、最後は富澤のスパイクで２連続得点を奪い第2セットを得た。
速攻で得点を重ねた山下
早大の3連続得点で始まった第３セット。ペースをつかんだように見えたが、敵の猛攻に対応できずすぐさま6連続得点を奪われる。その後、連続得点が取れずなかなか点差を縮めることのできない中、梨本未央（社３＝東京・駒場）がサービスエースを決め、ピンチサーバーとして活躍を見せる。河治えみり（社３＝北海道・旭川実業）や井上裕利惠（スポ３＝岡山・就実）を中心に守備から悪い流れを止めようとするも、相手の勢いに負けこのセットを落とした。気持ちを切り替えて臨んだ第４セットでは、いきなり3連続得点を奪いリードする。しかし、神奈川大もサービスエースなどで応戦し逆転を許した早大は再びセッターを植松に代えて、巻き返しを図る。植松の投入で徐々に流れを取り戻すと、中澤・山下の１年生コンビのブロックや齋藤友里（社２＝千葉・敬愛学園）のクイックなどで得点を重ね、再度逆転。最後までそのリードを譲らず、中澤のスパイクでこの試合を決めた。
守備の中心として声を掛ける河治
直近２試合の勝因として、「バレーボール自体を楽しむ、そして自分のいいところを出していくということに学生たちがちゃんと集中してくれた」と語る馬場監督。厳しい局面にあっても消えない積極的な姿勢は「結花さん（富澤）中心に落ち込むことがない」という梨本の言葉からも見えるだろう。前向きな気持ちを忘れず、目標の１部昇格に向け残り２試合に挑んでほしい。
（記事 橋本和奏、写真 友野開登、篠田雄大）
| セットカウント | ||||
|---|---|---|---|---|
| 早大 | ３ |
２６－２４ ２６－２４ ２０－２５ ２５－２１ | １ | 神奈川大 |
| スタメン | ||||
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レフト 富澤結花（スポ４＝東京・文京学院大女） レフト 中澤恵（スポ１＝大阪・金襴会） センター 齋藤友里（社２＝千葉・敬愛学園） センター 山下日和（社１＝千葉・市立船橋） ライト 井上裕利惠（スポ３＝岡山・就実） セッター 橋本美久（社２＝福島・郡山女大附） リベロ 河治えみり（社３＝北海道・旭川実業） |
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コメント
馬場泰光監督（平８人卒＝京都・洛南）
――今日の試合を振り返っていかがですか
決して本調子ではなかったと思うんですけど、学生みんなが気持ちを強く持って戦い抜いてくれたと思っています。
――敬愛大戦での敗戦から今週までの2週間、どのような準備をされてきましたか
一部の強豪チームと練習試合を行いまして、何が足りないのかを見極める課題の洗い出しの時間を過ごしました。格上のチームでしたので、最初から大敗することはわかっていたのですが、そこからどのように気持ちを切りかえてリーグ戦に臨めるのかということを一番大切にして休みの期間を過ごしていました。
――今週の2試合は苦しい展開がありながらもしっかりと勝ちを拾うことができていますが、その要因は何ですか
劣勢になった時に、不安や緊張といった感情に特に敬愛大戦の際は覆いつくされてしまったのですが、今週についてはそれを跳ね返すためにしっかりとバレーボール自体を楽しむ、そして自分のいいところを出していくということに学生たちがちゃんと集中してくれたのでいい結果が得られたのではないかと思います。
――今日の試合ではセッターの植松さんを今までよりも長い時間コートに送られていましたが、その意図とは何ですか
これから上位リーグが始まっていく中でゲーム展開の中でリズムを変えていかなければならない場面も増えてくると思います。そういったことを考えると今日の上位リーグ初戦で植松のリズムをチームの中にそして実際のゲームの中で試せる機会を作らなければならないと感じておりました。そしてそれができるぎりぎりのスケジュールでしたので、そういった中で彼女の良さが出ればという思いで今日は起用しました。
――来週の試合への意気込みをお願いします
本当にこれからは1戦1戦メンタル的にも苦しい場面だったり時間が続くと思います。今日の試合で学生たちはうまくいかないことが多く、不安に覆いつくされてしまったかもしれないですが、そういったことも含めて結果として勝ち切ったということを自信にして臨んでいきたいと思います。
植松知里（文構３＝香川・高松第一）
――きょうの試合を振り返っていただけますか
きょうから上位下位に分かれてリーグが始まりましたが、入れ替え戦とか順位に関わってくるすごい大事な試合なので昨日と一緒で自分たちのいいところをしっかり出していこうという感じで臨みました。最初先に出ても途中相手に追いつかれてっていううまく乗りきれない感じがすごいあったと思いますが勝てて良かったです。
――きょうの試合はいつもより長い時間プレーされていましたが、いつもと違ったことはありましたか
試合前から監督からいつ出てもいいように準備しとけと言われていたので出るかなとは思っていましたが、今までは最後ほんのちょっととかが多かったし昨日とかもそんな感じだったがうまくそこでチームに波を戻せなくて勝てなかったから、きょうは出たらしっかり勝ち切れるようにやろうと思って臨みました。
――きょうはアタッカーとのコンビネーションも良かったように見えましたが、ご自身ではどのように感じていますか
結構いい場面もあったとは思いますが、チャンスとかからここは絶対一本切りたいというときにうまく合わなくて決めきれてなかった部分もたくさんあったのでそこはまだまだ課題だなと思います。
――第3セットなど苦しい展開も多かったですが、どのようなことを意識してプレーをしていましたか
結構周りもしっかり声を掛けてくれていたので自分は焦らずしっかりアタッカーを信じてトスをもっていこうと思っていました。
――来週に向けて一言お願いします
来週の2戦はすごい大事になってくる試合だしきょうよりも相手も強くなると思うので、もう一回自分たちのいいプレーをたくさん出して、しっかり勝ちきってリーグ終われるように入れ替え戦に臨めるように頑張ります。
梨本未央（社３＝東京・駒場）
――きょうの試合を振り返っていかがですか
競り合っているとき、ずっとリードして抜け出ているときがなくて、入るときにどうしても競っているんですけど、ブレイクを取らないといけない、サーブを攻めないといけないという中で、自分でもっと攻めきれたらよかったなと後悔が残る試合になりました。
――きょうは第３セットでサービスエースを決めていましたが、それについてはいかがですか
チームの流れが良くなかったので、少しでもやったろうという感じでやったんですけど、1個目が決まって2本目でサーブミスしてしまって、そこは詰めて常に強いサーブが打てるようにしていかないといけないなと思いました。
――今季は全体としてサーブがよくなってきていると思うのですが、ピンチサーバーとしてみんなから刺激を受けていることはありますか
特に1年生のめぐ（中澤）がすごくサーブがいいじゃないですか。いつも練習中でも高い意識で、たぶん自分のルーティーン的なことがあると思うんですけど、そういうふうにやっているのを見て、自分で常に同じ状況をつくっているのは大事だなとめぐ（中澤）から学びました。あとチームとして、敬愛大に負けてから2週間、サーブをもっと強く打とうというのはあったので、チーム練で自分がＢからＡに打つことが多いんですけど、そういうときも敬愛大とかはサーブが強かったので、サーブが打てるようにというのを練習から意識していました。
――残り2試合ですが、チームの雰囲気はいかがですか
今回のリーグを通して、結花さん（富澤）中心に落ち込むことがないのがすごくいいなと思って、みんな常に気持ちを切り替えて、負けても勝っていても、いい意味で「ここ変えないとね」という向上心があると思うのでそういう雰囲気を出して、あと2部の中では優勝しなければ勝たなければいけないというのをみんな心のどこかで思っていて、「たのしくやろう」と言っているんですけど、心の中で勝たなければというのがあると思うので、その気持ちがいい意味で上に行けるように、重りにならないようにしていきたいのと、自分はもっとチームを盛り上げられるように声を出していきたいと思います。
――来週に向けての意気込みをお願いします
来週は大東文化大と敬愛大の対戦で、絶対勝たないと入れ替え戦に行けないし、勝たないと入れ替え戦でも勝てないと思うので、絶対にチーム一丸となって勝てるよう戦います！