前節の敬愛大戦で初黒星を喫し連勝が5で止まった早大は、春季関東大学リーグ(春季リーグ)7日目に大東大と対戦した。大会屈指の強豪相手に立ち上がりでつまずいたが、徐々に落ち着きを取り戻し2セットを連取。第3セットは落としたものの、競り合う展開のなかで『笑顔』を忘れなかった早大は、セットカウント3-1(25-17、25-18、22-25、25-22)で勝利した。
「自分たちのいいところを出していこう」(富澤)と意気込み試合に臨んだ早大であったが、苦手の立ち上がりで良さを出せず、いきなり4点差をつけられる。しかし、富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)の得点を皮切りに8連続得点を奪いすぐさま逆転すると、その後も井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)のサービスエースや中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)のバックアタックなどで連続得点を重ねていく。最後は山下日和(社1=千葉・市立船橋)が難しいトスにうまく合わせて得点を奪い、第1セットを先取した。続く第2セットも、早大ペースで試合は進む。セッターに返らないボールも河治えみり(社3=北海道・旭川実業)の絶妙なバックトスで得点に結びつけ、決して主導権は渡さない。持ち前の粘りある守備でラリーも制し、第2セットも奪う。
正確なトスを供給する橋本
迎えた第3セット。序盤は、セッター橋本美久(社2=福島・郡山女大附)とセンター齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)、山下の息の合った速攻で攻撃のリズムを作り、5点の差をつけた。しかし中盤、相手に連続得点を重ねられ逆転を許す。セッターを植松知里(文構3=香川・高松第一)に代えて一時は同点に追いつくも、正念場で3連続得点を奪われこのセットを落とした。勝負を決めたい第4セット。両チームとも点差を広げることができず、11-11と一進一退の試合展開が続く。そのなかで『笑顔』絶やさず好機を待った早大は、中澤のサービスエースで均衡を破るとそのまま5連続得点を奪い一気に点差を広げた。その後は再び競り合う展開になったものの敵の追随を許さなかった早大は、チームを鼓舞し続けた富澤の連続得点で最後は試合を決めた。
攻撃参加する山下(左)とスパイカーにトスを上げる植松
実力のある相手に次々と当たるリーグ後半戦は、苦しい展開が増えてきている。その中で、馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)や富澤は、「笑顔でバレーボールを楽しんでいこう」(橋本)と声を掛けている。たしかに、苦しい場面であるほど『笑顔』でプレーすることは難しいかもしれない。しかし、『笑顔』でいることが苦しい場面で本来の力を出し続ける唯一の方法である。これから、さらに多くの苦しい展開が待ち受けているだろう。それでも、早大には選手思いの監督と自ら『笑顔』でプレーする主将がいる。そんな二人に導かれた早大バレーボール部女子部はきっとそんな困難も乗り越えてくれることだろう。
(記事 友野開登、写真 篠田雄大)
セットカウント | ||||
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早大 | 3 |
25-17 25-18 22-25 25-22 | 1 | 大東大 |
スタメン | ||||
レフト 富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女) レフト 中澤恵(スポ1=大阪・金襴会) センター 齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園) センター 山下日和(社1=千葉・市立船橋) ライト 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実) セッター 橋本美久(社2=福島・郡山女大附) リベロ 河治えみり(社3=北海道・旭川実業) |
コメント
富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院女子)
――今日の試合を振り返っていかがですか
先々週(敬愛大戦で)敗北してゴールデンウィーク期間中自分たちの課題というものを洗い出して、ゴールデンウィークにも練習試合があったりしてうまくいかない部分がたくさんあったりしたのですが、とにかく自分たちのいいところを出していこうということで、1セットは取られたけれど厳しい中でもしっかり楽しくできたのでいい結果だったかなと思います。
――課題があるとおっしゃっていましたが、それに対してこの試合間まで具体的にどういう準備をされましたか
今日もたくさんミスがあったと思います。ブロックだったり、ブレイクだったり雰囲気が悪くなった時にどうするかということもミーティングで話し合ってやってきたと思うので、まだまだ改善点はありますが、とりあえず今日は良かったかなと思います。
――今日は立ち上がりがあまり良くないように見受けられたのですが後半に向けてどのように立て直していきましたか
立て直ってなかったですよね(笑)。でもとにかく1点ずつ取りに行こうということをチーム内で意識統一できたので、それが良かったのかなと思います。
――第3,4セットで苦しい局面があったと思いますが、その際に主将として意識されていたことは何ですか
苦しい時も笑顔で楽しくやるということです!
――第4セットの終盤にご自身の連続得点で試合を決着づけられたように思いますが、あのプレーを振り返ってください
思い切っていかないとと思って思い切っていったらラッキーっていう感じです(笑)。自分が一番楽しくやったり思い切ってやったりすればみんなもついてきてくれると思うので、プレー面でも、精神面でもそういうものを出していければなと思っています。
――明日の試合の意気込みをお願いします
今日のような苦しい展開でも自分たちらしさを出していけるように頑張りたいと思います!
橋本美久(社2=福島・郡山女大附)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
敬愛大に負けて、ゴールデンウィークに1週間空いて、勝ち続けてきたから出てきた余裕みたいなものを追っ払ってもう一回一から思いっ切りぶち当たっていこうみたいな感じでやってきて、それでのきょうの試合だったんですけど、まず結花さん(富澤)とか馬場監督とかから「笑顔でバレーボールを楽しんでいこう」っていうのを言われてみんなでやって、きつい場面もあったけどそういうときこそ結花さん(富澤)が「笑顔だよ、笑顔だよ」と声を掛けてくれたので、すごい楽しく最後までバレーができました。
――試合序盤コンビネーションで合ってない部分もあったように感じましたが、ご自身の立ち上がりはいかがでしたか
序盤で合わないなと思うときはありましたが、そういうときこそ使って合わせていかないとずっと合わないままなので、特に友里(齋藤)となんですけど、そこは何回も上げて合わせていこうと思っていました。最初はあんまり合わなくてやばかったですけど、途中コンビが合ったなっていう感じのときがあったのでよかったと思います。
――敬愛大に負けてから2週間、チームとして個人としてどのような練習をされましたか
チームとしては、ゴールデンウィーク中に強い1部のチームと練習試合をしたんですけど、やっぱり思いっ切りやらないと勝てないし今までやってきたよりも全員が1つずつ頑張らないと勝てないというのがあったので、またもうちょっと一人一人がチームのためにできることを1個ずつ頑張ろうというのをチーム的にはやってきて、試合に臨むときにはさっき言ったように笑顔で思いっ切りやるというのをやっていました。個人的には、前よりサーブレシーブのときとかに声を掛けようと意識してやりました。
――セッターとして植松さんもいらっしゃいますが、意識されたりしていますか
試合中もアドバイスしてくださるし、チームにセッターが二人しかいないので、悩んでいたときとかに話を聞いてくださるので、すごい素敵な先輩です(笑)。
――明日に向けて一言お願いします
明日まだどこと当たるか分からないですけど、自分たちのバレーボールをしっかりできるようにすることと相手に合わせずに思いっ切りやることを意識して、これから1部で戦いたいとも思うのでそこで勝ち続けられるような試合をしたいと思います。