競り合いの強さ 終盤で力を発揮し大東大を振り切る

女子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)もいよいよ後半戦。ここまで女子2部リーグ唯一の負けなしと勢いに乗る早大は、昨年の秋リーグ入替戦で戦火を交え、フルセットの末に劇的勝利を収めた大東大と対戦した。試合は大東大のサーブに苦しめられるなど、これまで安定してきた守備で流れを作ることができない。第1セットを落とし、早大は苦戦を強いられる。しかし、第2セットをフルセットの末に奪うとそこからは息を吹き返し、3セットを連取に成功。セットカウント3ー1(17ー25、29ー27、25ー20、25ー22)で大東大を制す。6連勝と勢いを加速させ、次戦の江戸川大との首位攻防戦に向け弾みをつけた。

第1セット、スタートでつまずく。早大がこれまで苦しめられているフェイントで空いているスペースを効果的に突かれ、失点を重ねる。反撃に転じたい早大だったが、安定していたレセプションが崩れ、なかなかリズムを作ることができない。斎藤友里(社1=千葉・敬愛学園)のスパイクなどで得点は重ねていくものの、コート中央に落ちるボールに対し、修正がしきれないまま終盤を迎え、第1セットを落とす。第2セットでも苦戦は続く。アウトだと判断したボールがライン上に落ちたと判断されるなど、早大に重たい雰囲気が流れた。しかし、主将の森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)が沈みかかっているチームを盛り立てる。森が大東大のスパイクを1枚で止めると、それに呼応しじわじわと他の選手のギアも上がる。植松知里(文構2=香川・高松第一)が本来のスパイクを放ち得点を奪うなど、シーソーゲームで試合は終盤へ。早大は斎藤の時間差攻撃などで連続得点を奪い、先にリードするも大東大に粘られ試合はジュースに突入する。この試合でも重圧がかかる場面で力を見せたのは森だった。大東大のスタンドからも「1番1番」と声が上がり、誰もが森が打つとわかっている中、スパイクを決めきる。「決められなかったら自分の責任なので」と語る森が、プレーでチームを牽引(けんいん)。最後は植松がストレートに打ち込み、意地と意地とがぶつかり合ったこのセットを早大が奪った。

終盤の森の活躍には惚れ惚れする

 流れに乗った早大は、その後のセットで盤石の試合運びを見せる。第3セットでは、富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)と斎藤が躍動。井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)のサーブで相手を崩すと、この二人が競うかのように交互にスパイクを打ち込み、6連続得点。守備でも河治えみり(社2=北海道・旭川実業)を中心に立ち直り、粘りが生まれる。着実に大東大を引き離し、第3セットも奪取。第4セットでもこの日好調な斎藤を筆頭に、井上、植松ら下級生の活躍で序盤リードを広げる。ディグに乱れから5連続失点を喫し、20−20で終盤を迎えるも森、富澤が前衛にくるローテーションで両エースが役割を存分に発揮し、勝負あり。春に課題だった20点目以降の戦い方で成長を見せ、大東大に見事勝利した。

第3セットではチーム1の得点を奪った富澤

 目標に掲げた全勝優勝に向け、首位をひた走る早大。その要因は間違いなく攻撃力の底上げにあるだろう。この試合でも攻撃面において森、富澤に匹敵する活躍を見せた斎藤をはじめ、井上も打数が増えるなど成長を止まない。「一点に対して人任せにならないっていうのは良くなってきているから、それが試合の中でプレーに出ている」。そう森は後輩のメンタル面での成長がプレーにつながっていることを述べる。心技体の充実こそが勝利を呼び込む源となっているのだ。秋季リーグ戦、さらには入替戦を含めると11試合。その全試合で勝利の凱歌を響かせるために選手たちは成長を続ける。

(記事 遠藤伶、写真 友野開登)

セットカウント
早大 17-25
29-27
25-20
25-22

大東大
スタメン
レフト 富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)
レフト 植松知里(文構2=香川・高松第一)
センター 森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)
センター 斎藤友里(スポ1=千葉・敬愛学園)
ライト 井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)
セッター 橋本美久(社1=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社2=北海道・旭川実業)
コメント

森佳央理主将(スポ4=群馬・高崎女)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

きょうは上位のチームとの対戦で、自分たちは大東文化大と相性が悪かったので、個人的には嫌な感覚がありました。序盤やられたことに対して第1セットの中で修正できなかったのは課題なんですけど、その後立て直せたのでその辺りは良かったかなと思います。

――苦しい場面が続く試合でした。どうチームをまとめましたか

最初第1セットで上手くいかないとチームに悪い雰囲気が流れて、個々のプレーになってしまうこともあるんですけど、自分たちの良さは一点をみんなで粘って取ることだから、私は焦らずに常にみんなが平常心でいられるように声をかけたり、とにかく笑ってることを意識しました。

――勝負どころでの活躍が目立っています

結局、その展開になる前に決めないといけないんですけど、上がってくるんだろなと自分でも思っているし、そこで決められなかったら自分の責任なので。特に決めてやるっていう強く思いすぎると肩に力が入ってしまうので、いつも通りにやろうと心がけてみんながレシーブを上げてくれるのを信じて待っています。

――攻撃では森さんに頼らない場面も見られるなどチームとして攻撃力が上がっているように見えますが

本当に今年の春に比べて、スパイクを打てる選手が増えて、特に井上(裕利恵、スポ2=岡山・就実)や斎藤(友里、社1=千葉・敬愛学園)は打数も増えたし、自分が決めなきゃいけないっていう責任感も自分の中にあって、競った展開の中でもちゃんとボールもを呼ぶし、一点に対して人任せにならないっていうのは良くなってきているから、それが試合の中でプレーに出ているんじゃないかと思います。

――来週に向けての抱負をお願いします

一戦必勝で、先のことは何も考えないで、来週対戦する江戸川大に向けてしっかり勝てるように全員で課題を修正しながら頑張りたいです。

河治えみり(社2=北海道・旭川実業)

きょうの試合を振り返っていただけますか

1セット目は、相手の攻撃に対して、相手も私たちのチョロが苦手とか真ん中のボールが落ちるとかの情報を持っていてそれを狙ってきて、それに対応できないまま1セット目流れて落としてしまったけれど、2セット目から自分たちのペースというか、ブロックとレシーブの関係とか改善できたのが良かったのですが、それを1セット丸々改善できないままだったので、今後強いチームと当たっていくにつれて、そういう余裕がなくなってくるので、今後はそこを改善していけたらなと思う試合でした。

序盤から苦しい展開が続きましたが、チームとしてどのような対処をされましたか

中めに打ってきていたというか、いつもディグの隊形を奥めに守っていて中をブロックするという形だったんですけど、相手が中寄りに来ていたので、ブロックとレシーブの関係が良くなくて、そこを改善して立て直しました。

きのう、きょうとディグにおいて河治さんの活躍が目立ちましたが、ご自身の活躍はいかがですか

前のブロックが良くて後ろが機能していく形なので、私というよりはチームのおかげだなと思います。

チームとして守備が試合を経るごとに良くなっていると思いますが、守備の中心としてどのように感じていますか

良くなってきてはいるけれど、1セット丸々相手に対応しきれないのは、やっぱりコートの中での選手同士の話し合いとかが足りてないので、私がもう少し前後関係を意識して声掛けできればと思います。

次の試合は2位の江戸川大学ですが、意気込みをお願いします

今ストレート勝ちをしていないので、しっかり1セット目から自分たちのペースで試合運びできるようにして、ストレートで勝ちたいと思います。