新体制出陣、苦しみの末に得られた確かな自信

女子バレーボール

 新たな旅路というのはいつも困難が付きまとう。それはスポーツの世界でもまたそうである。2018年4月8日、新体制となった女子バレー部の長く険しい一年が始まった。早大の初戦に立ちはだかったのは、昨年度全日本大学選手権3位の嘉悦大。序盤、森佳央理主将(スポ4=群馬・高崎女)のスパイクで流れをつかむとその勢いのまま第1セットを先取する。しかし、容易に思惑通りいかないのもまたバレーである。続く3セットを連続で取られ、セットカウント1−3(25ー23、22ー25、15ー25、23ー25)で強敵に屈した。

 早大女子バレーボール部、開幕の汽笛を鳴らすのは決まっていた。それは言わずもがな森主将だ。会場にとどろく弾球音。この音に会場は、新生早大の無限の可能性を想起する。森に呼応したのは、今年入部したゴールデンルーキー、斎藤友里(社1=千葉・敬愛学園)だ。センターから高身長を活かした巧みなスパイクで着々と得点を重ねる。そこに早大伝統の粘りが加わり、終始ペースをつかむ。2018年早大の大きな飛躍を予感させる25ー23。まさに伝統と革新が折衷し、機能した理想的なゲーム展開だった。

第1セットを取り、歓喜に湧く選手たち

 選手自身も確かな手応えを感じ、迎えた第2セット。ここがこの試合の大きな山となる。序盤、森、そして早大の起爆剤である富澤結花副将(スポ3=東京・文京学院大女)のダブルエースがその能力をいかんなく発揮する。中盤まで早大ペースで試合は展開されたが、中盤以降、嘉悦大のバリエーション豊かな攻撃に翻弄され、逆転を許し、このセットを落とす。ここから早大の歯車が狂い始める。続く第3セットは、中盤の連続失点が響き、流れをつかむことができないまま意気消沈。そして、第4セット。これまでのセットと同様に森、富澤の両エースの快打もあり、お互い譲らぬ熱戦を繰り広げるも、終盤に相手のブロード攻撃、ブロックに打ち砕かれ、新生早大の1日目は勝利という収穫を得ることはできなかった。

エースとして十分な働きを見せた森主将

 試合後、挨拶を終えベンチへと戻る選手たち。その表情には、もちろん敗戦から生じる悔しさはあるが、どこか明るさをはらむ表情にも見えた。その表情の真相は馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)の自信を持って放った「出来としては80点」という言葉に集約されるだろう。確かな手応えはある。では、残りの20点とは何なのか。もちろん森、富澤の活躍は欠かせない。そこにこの試合で大器の片りんを見せた斎藤、非凡なトスワークが光った植松知里(文構2=香川・高松第一)、はつらつなプレーで存在感を放った村山果菜(教2=東京・国際)らが試合を通して大きな成長を遂げれば、その20点はその数字以上のものとなるだろう。個人のプレーだけで完結しないバレーボールは、各選手の成長が掛け算となり、チーム力は何倍にもなる。まだ、始まったばかり。この旅路が終わった頃に見える選手の明日を見据える表情は、一体どんな物語を語るのだろうか。苦しみを乗り越えた先にある、20点が秘める無限大な可能性は、今後の早大の未来を描く七色の放物線となる。

(記事 遠藤伶、写真 斉藤俊幸)

セットカウント
早大 25-23
22-25
15-25
23-25

嘉悦大
スタメン
レフト 富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)
レフト 井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)
センター 村山果菜(教2=東京・国際)
センター 斎藤友里(社1=千葉・敬愛学園)
ライト 森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)
セッター 植松知里(文構2=香川・高松第一)
リベロ 河治えみり(社2=北海道・旭川実業)
コメント

馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)

――春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)、初試合を終えられた感想をお願いします

出来としては、80点くらいです。リーグ戦の入りをしっかり入ろうということで準備してきましたが、そういう点で1セット目取れたことは良かったかなと思います。一方で2セット目にミスが続いて、僅差で相手にセットを取られたところから、3セット目に離されたという結果で終わってしまったので、25点を3セット取りきるという持続力を身につけるという大きな課題が見つかりました。

――新チームとなって、これまでの練習で重点的に取り組んできたことはどのようなことですか

技術的なところは毎年変わっていませんが、レシーブのつなぎ、最後までボールを受けること、そこは徹底して底上げを図り、指導してきました。一方でまだ、新しいチーム始まったばかりで、ブロックといったようなところにはまだ甘さがありますし、去年よりもアタッカーが少し少ないので、最後の3本目しっかりと打ちきるといったところはこれからの課題としていくところだと思います。

――そのレシーブの粘りが随所に見られた試合だったように思いますが、どう振り返られますか

そこは良かったところだと思います。ただやっぱり、ブロックが機能しなくて、相手に好き放題打たれた時にレシーブで粘りきるフォーメーションが作りきれなかったので、そこが来週に向けての課題になるところだと思います。

――昨年から出場している森主将、富澤副将の活躍が多く見られました

森はキャプテンシーも出てきてはいますが、まだまだ十分だとは思ってないですし、今日もやっぱり3本目打ちきるといったところには甘さがあるように思います。富澤については、新しいセッターと合わせて、3年生らしいプレーができているので、もっともっと高めていってほしいと思います。両選手に合格点をあげるのは、まだ早いと思います。

――昨年出場機会が少なかった村山選手や、1年の斎藤選手もチームに貢献されていました

そこは本当に合格点をあげたいです。まだ十分でないことはいっぱいありますが、初めて関東1部の最高峰のリーグに出場し、その中で今日のような活躍をしてくれたことは本当に頼もしいですし、これから続く残り10戦を楽しみにしています。

――今日の試合を踏まえ、来週の東海大戦に向けて一言お願いします

今日はオープニングの試合ということもあって、選手の気持ちも高ぶっていたこともあります。そういうところからすると2戦目というのは気が抜けやすいところもあると思います。技術的な面はあまり変わらないので、来週も気持ちを切らさない、そして1点から25点まで3セット取りきるという声出し、雰囲気作りを具体的な対策としてこの一週間取り組んでいきたいと思います。

森佳央理主将(スポ4=群馬・高崎女)

――初戦を振り返っていかがですか

試合が始まる前にやっぱり自分たちは他の大学に比べて背も無いし能力も劣っている部分があるので常に100パーセントの力を出さないといけないというのを4年目になってすごく感じていて、常に100パーセントの力をコートで出し続けようっていうことを最初に言って始めたんですけどやっぱりそれは1セット目と2セット目の途中までは出来ていたんですけど2セット目の最後に気が緩んだところから一気にやられてしまったので、そこが反省点だと思いました。

――ご自身のプレーについては

私は学年が変わっても役割は変わらなくて、上がってきたボールを全部決めにいくっていう役割なので、全部決めにいくっていうつもりで打ったんですけど、やっぱり1セット目、2セット目で決まっていたボールが対策されてしまって3セット目になってそのコースが決まらなくなった時に自分にプラスワンの技術をつけないといけないなっていうのは初戦を通して感じました。

――各セット早大の1点目は森選手が決められるなど、試合を通して森選手にボールがよく集まっていましたが、決まり事など作戦だったのでしょうか

打てる人が打つっていう感じで、やっぱり両センターはことしチームに入ったばっかりで、斎藤(友里、社1=千葉・敬愛学園)は新1年生で新しくチームに入ったばっかりで、村山(里菜、教2=東京・国際)も新しく入ったばっかりなのでコートに入って経験している主力のメンバーが引っ張っていかないといけないっていうのはすごくありました。

――4年生が多かったきょねんのチームから大きくメンバーが変わりました。連携面はいかがでしたか

連携面はすごく出来ていると思います。私は全然守備が出来ない分、2年生、3年生の富澤(結花、スポ3=東京・文京学院大女)河治(えみり、社2=北海道・旭川実)井上(裕利恵、スポ2=岡山・就実)を中心にレシーブの体形とか指示も出してくれるのでそこを本当に信頼しています。

――課題はどの辺りにあると思いますか

1セット目は大量得点を一気に取ることはなくって1点ずつ取って最後得点をパッと取って、セットを取ることが出来たんですけど3セット目とかは1つのローテで7点くらい失点してしまって、リーグ戦ではこういうのはつきものなのですが、弱いとされているローテをどのように回すかっていう。そのローテでたくさん点を取る必要はないと思うし、そのローテをいかに早く回すかっていうことを今回すごく課題だなって思ったので、それは来週しっかり対策していこうと思います。

――来週も試合が続きますが、それに向けての意気込みをお願いします

常に自分たちとは格上のチームと当たるので背負うものは逆に何もなくて、だから自分たちが持っている力を全員が100パーセントで出さないといけない、それを3セット通さないといけない。それは本当簡単なことではなく難しいことだと思うんですけど、相手は同じ学生同士だしそれをやり続ければ勝てない相手ではないと思うので、どこか甘さが出る部分、相手に一瞬の緩みが出る部分を我慢して待ってその緩んだ時に一気に攻撃が出来るように自分たちは常に我慢してっていうのをやっていきたいと思います。

富澤結花副将(スポ3=東京・文京学院大女)

――リーグ初戦でしたが、振り返っていかがですか

チーム的にはすごく良い試合ができたと思うのでこのゲームは次に繋がるゲームになったと思うのですが、惜しい場面がいっぱいあったので勝ち切れなかった部分はすごく悔しいなと思います。

――ご自身のプレーは振り返っていかがでしたか

初戦のわりには思い切ってできたと思うんですけど、まだゲームの中で修正しなきゃいけない部分があるのにそのまま流しちゃってるところがありました。自分が中心になっていかなきゃいけない部分があるので、駄目になったときにしっかり修正できるように頑張ります。

――具体的に修正点はどのような部分でしょうか

トスが上がって、助走を先にしちゃうのが癖で、早く入っちゃうところがあるのでそれを待って待って思い切りジャンプして打てるようにします。

――中盤以降は富澤選手の得点も多くみられましたが、チームとして富澤選手に任せる雰囲気があったのでしょうか

そうですね。最初、佳央理さん(森佳央理主将、スポ4=群馬・高崎女)が前衛に回っていて、その時は「佳央理さん佳央理さん!」という感じなので。私が変わって入っているときは私が頑張らなきゃとなっています。

――昨年度の4年生が抜けて、ポジションも大きく変わったと思いますがそこに関してはいかがですか

私はちょっとレシーブを多くしてるくらいなので、そんなに変わってはないです。

――中盤以降はチームとして苦しい場面が続きましたがその場面を振り返っていただけますか

私と佳央理さんが前衛にいないローテというのがあって。その時が1番決定力もないし、相手にもチャンスの場面となってしまうので、そこで一本で切れるというかバックでも攻撃に参加してそのローテをすぐ回すというのが今後の課題かなと思います。

――嘉悦大の高いスパイクやブロックに苦しめられた印象がありますがいかがですか

そうですね。嘉悦大よりも今後のチームの方がもっと高いので、頑張らなきゃいけないですね(笑)。

――最後に、来週に向けて意気込みをお願いします

この雰囲気やノリをそのままに行きたいなと思うのですが、スタッフさんに「100パーセントを常に出さなきゃいけない」とか「集中力をずっと保たなきゃいけない」と言われたので、そこを頑張っていきたいと思います。