伝統の一戦で力の差を見せつけた。相手はもちろん慶大だ。月末に東日本大学選手権(東日本インカレ)を控えている早慶両校にとって現時点での自身の力を知るにはうってつけの試合だった。これが最後の早慶戦になるだけに気合の入る4年生をはじめ、初めて大舞台に立った1年生も活躍し、セットカウント3-0(25-10、25-16、25-20)としっかりとストレート勝ちを収めた。
会場となった日吉記念館が震えるほどの大音量での応援に包まれ、リーグ戦とは違った独特な雰囲気の中、富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女)のサーブで試合は始まった。開始直後からサーブで相手の態勢を崩し、ペースを握ると7連続得点。序盤から相手を突き放した。今大会で目立ったのは、中川知香(スポ4=神奈川・川崎橘)や浅野泉里(文4=岐阜)の4年生コンビの活躍だ。サイドやセンターからスパイクを何度も決め、さらに慶大との点差を広げる。最後の早慶戦にかける思いが伝わる、勢いのあるプレーだった。結局流れを渡さないまま、早大は25-10の大差で第1セットを先取した。
中川(左)と浅野(右)の4年生コンビ
初めて早慶戦という大舞台に立つ1年生の活躍も目ざましい。普段はレシーブに徹している井上裕利恵(スポ1=岡山・就実)も、この日は積極的にスパイクを打ちこんだ。試合後のインタビューでは「普段あまり打たないのですが、決められてうれしかったです」(井上)と笑顔を見せた。第2セットも危なげなく制した早大だったが、慶大もこのままでは終われないと追いすがる。第3セットでは気のゆるみからかミスが目立ち、22-20と競り合うもそこから連続得点。最後は浅野が相手コートの開いたスペースにボールを沈め、見事ストレート勝ちを果たした。
積極的にスパイクを打つ井上
今回の勝利で女子部は早慶戦の連勝記録を31に伸ばした。勢いに乗る早大の次の目標は、再来週に控えた東日本インカレでベスト4以上に入ることだ。1部リーグのチームとも対戦する東日本インカレで勝ち上がることが出来れば、秋のリーグ戦に向けて大きな収穫となることは間違いない。快勝しても慢心せず、次の舞台を見据える選手たちの活躍に期待がかかる。
(記事 坂巻晃乃介、写真 藤原映乃、吉澤奈生)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 |
25-10 25-16 25-20 | 0 | 慶大 |
スタメン | ||||
レフト 中川知香(スポ4=神奈川・川崎橘) レフト 富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女) センター 浅野泉里(文4=岐阜) センター 森佳央理(スポ3=群馬・高崎女) ライト 井上裕利恵(スポ1=岡山・就実) セッター 芹澤友希(スポ4=茨城・土浦日大) リベロ 飯田友美(商2=長野・諏訪清陵) リベロ 河治えみり(社1=北海道・旭川実) |
コメント
芹澤友希主将(スポ4=茨城・土浦日大)
――優勝おめでとうございます。きょうの試合を振り返っていかがですか
ありがとうございます。自分も4年で最後の早慶戦ということですごく緊張したんですけど、東日本インカレも控えていて、やることは変わらないということをはじめに言ってました。でもやっぱり独特の雰囲気の中でやっていて自分たちの課題も見えたかな、という試合でした。
――その課題とは
自分自身緩いボールを何度か落としてしまったし、そういうボールを落としていたら1部では絶対勝てないなと思ったので、そこが反省点です。
――全体的にサーブで相手を崩せていたようだったがそれについては
いつもよりはサーブで攻められました。相手のセッターが結構うまい選手で、キャッチが入るとコンビが使われてしまうと分かっていたので、みんなサーブで攻められていたので良かったと思います。
――トスをどこに上げようと意識しましたか
やっぱり競ってる場面では富澤(結花、スポ2=東京・文教学院大女)や森(佳央理、スポ3=群馬・高崎女)というエースに上げるというのはもちろんなんですけど、裕利恵(井上、スポ1=岡山・就実)とか、いつも打っていないメンバーや、普段はベンチに入っていない子たちも試合に出ることが出来たのでそこに1本でも上げて、決めてもらおうとトスを回すよう意識しました。
――今お話にもありましたが、きょうは1年生の出場、活躍が目立ちましたね
いつも練習とかでチーム練習をしているときに声出しをしてくれたり、みんな一緒になって練習に取り組んでいるので、頑張っている後輩がそうやって活躍してくれて、自分自身も嬉しいですし、これからまだ大会もあるので、そこでも一緒になって戦えればいいなと思います。
――きょうは後半になるにつれて点を取られる展開が見られたが、その要因などはありますか
やっぱり緩いボールをきっちり上げられなかったり、そういう細かいミスが積み重なってしまったのが要因かと。あと気のゆるみも少しあったと思うのでそこは修正したいと思います。
――東日本インカレに向けて意気込みをお願いします
東日本インカレでは1回戦で1部のチームと対戦するんですけど、やっぱり挑戦する気持ちを忘れずにやりたいです。自分たちの目標は東日本インカレでベスト4以上になることなので、1部のチーム相手でも向かっていって自分たちのバレーをすれば絶対に勝てると思うので、そこは目標達成のために頑張りたいと思います。
井上裕利恵(スポ1=岡山・就実)
――ストレート勝ちとなりました。きょうの試合を振り返っていかがですか
こんなたくさんの人に応援していただける中で試合したので緊張したのですが、周りが盛り上がっていた分私たちもすごく盛り上がってできていたと思います。再来週に東日本(東日本大学選手権)も控えているので、もう一度この試合で出た課題を克服して東日本でしっかり戦い抜けるように頑張っていこうと思います。
――初めての早慶戦だったと思いますが、緊張は大きかったですが
思った以上に応援団やチアガールの応援がすごくて、その応援があったのですごく楽しくプレーできました。
――第1セットは序盤から大きく突き放す展開となりました
第1セットはしっかり序盤から自分たちの持ち味の粘りでみんなでまとまって1点を取りにいっていて、リズム的にも自分たちのバレーができ良かったと思います。
――第2セット、第3セットは序盤はシーソーゲームとなりました
第2セット、第3セットが1本目が雑になっていた部分があるので、どんな状況でもしっかり一人一人が丁寧にすることを意識して、そこを直して東日本では出だしをもっと良くしていこうと思います。
――先ほど挙げられていた課題というのも出だしになりますか
出だしとサーブをもっと攻めるのと、ブロックの強化をしていこうと思います。
――きょうはスパイクも決められていましたが、初めてでしょうか
普段あまり打たないのですが、きょうはトスを結構上げてもらっていたので、決められてうれしかったです。
――ご自身のサーブについてはいかがですか
狙う場所は狙っていたのですが、やはりスピードとかがまだ緩いので、しっかりもう少し相手が取りやすいところを研究して練習でもっと気合い入れて打ってきます。
――2週間後に東日本が迫っています。意気込みをお願いします
チームの目標がベスト4以上なので、しっかり全員でそこを狙って粘りを見せて頑張っていこうと思います。