全員バレー健在!『信頼感』が勝利を呼ぶ

女子バレーボール

 仲間を信じ、全員で戦う。今季を象徴するような試合だった。春季関東大学リーグ戦(春リーグ)の開幕戦を白星で飾った早大は、2戦目で神奈川大と対戦。第2セットで競る展開はあったが、最後まで一度もリードは許さず。セットカウント3-0(25-17、25-19、25-17)で2試合連続のストレート勝ちを収めた。

 第1セットで気を吐いたのは浅野泉里(文4=岐阜)。サイドから、センターから強烈なスパイクを放ち、チームに勢いをもたらした。昨季の早慶定期戦で鮮烈なデビューを果たした浅野。しかし、主力の離脱が相次いだ秋リーグ、レフトの代役を期待されるも定位置はつかめず。今季は心機一転、大学入学後初めてのセンターとしてスタメンに名を連ねている。「とにかく慣れないけど頑張るしかない」(浅野)。まだブロックに課題は残るが、自慢の『威勢とやる気』を武器に持ち味を発揮した。同じくセンターの森佳央理(スポ3=群馬・高崎女)も様々な攻撃パターンで得点を挙げ、序盤で相手を引き離す。一瞬たりとも流れを渡さず、まずはセット先取に成功した。

浅野のアタックは好調だ

 第2セットは点の取り合いに。早大はこのセットからスパイクが冴え始めた中川知香副将(スポ4=神奈川・川崎橘)や、スパイクだけでなくブロックでも貢献した富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女)の活躍で得点を重ねる。一方、反撃に出た神奈川大のアタッカー陣を止めきれず、なかなか主導権を握ることができない。ブロックを抜かれる場面やレシーブがフェイントに対応できない場面が目立ち、また細かなミスによる失点も散見された。嫌な流れを断ち切ったのはまたしても浅野だった。21-18から奪った最後の4点はいずれも浅野のスパイクによるもの。チームとしての課題は露呈したが、なんとか逃げ切った。第3セットでは森が大暴れ。移動攻撃も決まり、一人で10点以上をたたき出す。再び完全に試合を支配すると、最後は相手にミスが続き勝利を決めた。

広範囲からの攻撃が武器の森

 今季の早大が持つ最大の武器は『信頼感』だ。チームの司令塔である芹澤友希主将(スポ4=茨城・土浦日大)は、3年前からセッターを務めておりアタッカーそれぞれのことをよく知っている。本職はリベロのサイドアタッカーが2人、浅野もセンターは今季からと苦しい配置転換ではあるが、主将のトスを信じ各アタッカーが伸び伸びとスパイクを打つ姿が印象的だ。そこに、レシーブで奮闘する井上裕利恵(スポ1=岡山・就実)らルーキーもうまく溶け込んでおり、他校にはない一体感が生まれた。全てがそろっているチームではない。むしろ足りないものも多い。だからこそ、全員バレーが輝く。

(記事 川浪康太郎、写真 坂巻晃乃介、佐々木一款)

セットカウント
早大 25-17
25-19
25-17

神奈川大
スタメン
レフト 中川知香(スポ4=神奈川・川崎橘)
レフト 富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女)
センター 浅野泉里(文4=岐阜)
センター 森佳央理(スポ3=群馬・高崎女)
ライト 井上裕利恵(スポ1=岡山・就実)
セッター 芹澤友希(スポ4=茨城・土浦日大)
リベロ 飯田友美(商2=長野・諏訪清陵)
コメント

浅野泉里(文4=岐阜)

――スパイクの調子がよさそうですね

本当にただ相手のブロックをぶっ壊そうと何も考えずひたすら打っていただけなのですが、きょうは調子がよかったです。あしたが心配です(笑)。

――第1セットからよく決まっていましたが、出だしはいかがでしたか

いつも試合の時は緊張してなにかしらミスをしてしまうので、第1セットではとにかくミスをしないようにと思っていたら、だんだん体だけでなく心も温まってきて、いいかたちになりました。

――競る展開となった第2セットでは、終盤の連続得点が目立ちました

私が前にいるのに点を取られて競るのだけは嫌だったので、とにかく一発で決めようと思ってプレーしていました。

――今季からポジションが変更されましたが、手応えは

大学に入って初めてセンターというブロック中心の選手になったので、最初は大丈夫かなと思って、やる気も全然違ってきていました。あまりやったことがないし、高校の時も全国大会とか出ていなかったので、とにかく慣れないけど頑張るしかないと思ってやって、なんとか少しずつかたちになりつつあります。このリーグを通してまたセンターとして成長できたらいいなと思います。

――そのブロックに関しては

ブロックは本当に苦手で、相手がどっちにくるのかを判断するのが遅くて、他のチームの人に比べても全然遅いし低いです。そこを見つけられて抜かれたら終わりだと思うので、それだけはないように威勢とやる気で頑張っていきたいです。

――メンバーが大きく入れ替わった中、芹澤友希主将(スポ4=茨城・土浦日大)が3年間変わらずにセッターを務めていることはアタッカーにとっては大きいですか

そうですね。個人的な話になるのですが、友希は私と隣の家に住んでいて、一緒に帰ったりして部活のあとにバレーの話もしています。セッターが変わっていないということはアドバンテージだと思っていて、信頼感も(他チームと比べて)絶対違うと思うし、ずっと安定したトスを上げてくれるので、とても心強いです。

――最上級生になって意識している部分はありますか

去年までは先輩に言われたことややってほしいことをくみ取って動くのが主流だったのですが、そうではなくて先頭をいかなくてはいけないと思います。それが私にとっては初めてで、年下も強い子ばかりだし、どうすれば最上級生らしいところを見せれるのか悩んだりもするのですが、やっぱり元気しかないのかなと思っています。

――2試合連続のストレート勝ちとなりましたが、チームの雰囲気はいかがですか

本当にとてもよくて、試合の雰囲気も練習の雰囲気も活気があって、練習の前の喋る空間でもみんなたくさん喋っています。その元気さを引き出せてはいると思うので、そういう雰囲気でやっていけたら、苦しい状況になっても絶対に強いと思います。

――最後に、あしたの試合に向けた意気込みをお願いします

きょうの試合を見て、弱いところであったり打ったコースを知られていると思うので、それにハマった動きをしないように、あしたはもう少し工夫することを心掛けて落ち着いていきたいと思います。

森佳央理(スポ3=群馬・高崎女)

――きょうの雰囲気はいかがでしたか

1セット目は楽に勝てたんですけど、相手のペースに合わせてしまって、相手コンビにやられる場面もあったので、3セットしっかりいい雰囲気を持続できるようにしたいです。

――移動攻撃が良い印象でした

最初のほうがよく決まってたので、もうちょっと合わせていきたいです。

――きょうのブロックの調子はいかがでしたか

んーブロック悪かったです(笑)。相手がブロックを使って取ってくるチームで、相手のコンビに追いつけない場面があったので、ブロックを課題にして練習していきたいです。

――第2セットで苦しんだ要因はどこにありましたか

プレーが途切れてしまって長いラリーが続けられなかったのと、私が決めきれなかったところだと思います。

――第3セットはアタックが決まっていましたね

2セットが終わって、気持ちを切り替えなきゃと思って入りました。試合は入りが大事なので、最初から切り替えていきました。

――セッターの芹澤さんとのコンビネーションはいかがでしたか

高い攻撃はずっとやってきて合ってきているので、自分たちが劣勢で余裕がない時にも、しっかりとコンビネーションが発揮できるように練習していきたいです。

――明日の桜美林大戦への意気込みをお願いします

きょうは全体的に悪かったですけど、気持ちを切り替えてあしたも3セットで終わらせられるようにしたいです。

井上裕利恵(スポ1=岡山・就実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

第1セット目とかは出だし自分たちのリズムで出来ていたんですけど、中盤くらいから相手のリズムに合わせて試合が進んでたんで、第2セット目に響いてきて自分たちのリズムでいけなかったと思います。あと、サーブを徹底するのが今週の目標だったんですけど、サーブでは全体的に攻められてなかったのであしたはもっと頑張っていきたいと思います。

――1年生として試合に出る中で気を付けていることなどはありますか

私が出来るのはレシーブしかないんですけど、レシーブでしっかりチームに貢献して、先輩たちを支えられるように、1点決まったら思いっきり喜ぶようにしてます。

――監督やコーチに言われていることはありますか

とりあえず元気に、思いっきりやれと言われてます。

――きょう浮かんだ課題などはありますか

サーブを攻めて相手を崩して、相手の攻撃のパターンを少なくしていくことです。

――あしたの桜美林大戦に向けて抱負をお願いします

頑張って勝ちます(笑)