流れをつかむが押し切れず、フルセットの末惜敗

女子バレーボール

 「もう一度ばかになってやろう」。秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)でなかなか勝ちをあげることができないでいる女子バレー部に向けて吉田千絵監督(平10教卒=岡山・就実)が言った言葉だ。いまの彼女たちに必要だったのは思い切りだったのかもしれない。それぞれが新しい気持ちで迎えた日体大戦。絶妙なサーブで相手の体勢を崩すことに成功し、早大は一気に波に乗り1、2セットを先取。しかしあと少しで勝利に手が届くかと思われた第3セット、しだいに相手のブロックが厳しくなっていき、点を決められず苦戦。そのまま第4セットも奪われフルセットに持ち込まれる。第5セットでは要所で富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)が得点し対抗するが、相手の攻撃を受け止めきれずセットカウント2-3(25-23、25-17、23-25、23-25、10-15)で惜しくも勝ちを逃した。

 試合序盤の早大のプレーは神がかっていた、といっても過言ではなかった。メンバーがなかなかそろわない秋季リーグ戦でエースとしての働きを求められていた森佳央理(スポ3=群馬・高崎女)が今試合も大活躍。上げられたトスを確実に決めていく。7-7から6点連続失点をしてしまい勝ち越しを許すが、きょうの早大はここで粘りを見せた。森のセンター攻撃を皮切りに、ピンチサーバーの利根川智緩(スポ1=埼玉・星野)が攻めのサーブで見事流れを引き寄せる。森、芹沢友希(スポ3=茨城・土浦日体)が相手のスパイクをシャットアウトする見せ場も作り、主導権は完全に早大に。そのままいいムードで第1セットを先取した。続く第2セットも早大の勢いは止まらない。4点を連続で先取すると森の3点連続サービスエースというファインプレーもあり、あっと言う間に第2セットも取ってしまう。

絶妙なサーブを披露した利根川

 このまま勝負を決めたかった第3セット、しかしそう上手くはいかなかった。加納茉未副将(社4=北海道・札幌大谷)のスパイクで景気よく先制点を挙げるが、その後は追いつかれ追い越しの繰り返し。すると22-19、相手が長ラリーを制し調子づいたところから、早大は6連続得点を献上してしまう。芹澤は富澤にトスを上げ続けたが、相手の厳重なブロックにスパイクの道筋をふさがれてしまう。そのまま押し切られて第3セットを失った。第4セットでは相手のブロックがより強固に。スパイクを打ち込むも弾かれてしまう歯がゆい失点が続く。その中でもリベロの飯田友美(商1=長野・諏訪清陵)がていねいに拾いあげたボールを佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)がブロード攻撃で打ち抜く場面も見られたが、現状打破とはならなかった。勝負の行方がゆだねられた第5セット。シーソーゲームで粘りを見せたが、終盤の8-9のタイミングで5連続得点を許してしまう。そのまま挽回することはかなわず、試合は終了。フルセットの末、勝利をあと少しのところで逃すことになった。

副将の意地を見せ、得点を重ねた加納

 秋季リーグ戦を8試合経験してきた女子バレー部だが、今回は「サーブで崩す」という早大の強みを発揮できた試合と言える。収穫もあったがしかし一方で「今試合はストレートで勝てた」(加納)と言うように、ここぞのところで押し切る力が足りなかったのも事実だ。秋季リーグ戦はあと1戦しか残されていないが、今試合での悔しさをその1戦にぶつけてほしい。早大に勝つ地力は備わっている。あとは勝ち切るための「粘りと決定力」だけだ。

(記事 鎌田理沙、写真 太田萌枝)

次こそは――秋季リーグ戦を笑って終わりたい

セットカウント
早大 25-23
25-17
23-25
23-25
10-15

日体大
スタメン
レフト 中川知香(スポ3=神奈川・橘)
レフト 富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)
センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)
ライト 加納茉未(社4=北海道・札幌大谷)
セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)
リベロ 飯田友美(商1=長野・諏訪清陵)

加納茉未(社4=北海道・札幌大谷)

――きょうの試合はいかがでしたでしょうか

いままでなかなかセットが取れず、ストレート負けが続いていたのですが、「まずは1セット取ろう」ということでずっとやってきました。ようやくきょうセットが取れて、流れが作れたかなと思いました。あと監督(吉田千絵監督、平10教卒=岡山・就実)とかに言われたのですが、今季で初めて武器であるサーブで相手を崩して流れを作れたので、すごく良かったと思います。

――加納選手には、大事なところでトスが上がっていたと思いますが

先週、きのうと自分の良さを出すことができなくて、自分がポイントを決めなければいけないということはわかっていたのですごく苦しかったです。抜けた二人の分を自分1人でカバーしようとしても無理なので、まずは自分にできることを精一杯やる、あまり考えすぎずに目の前の一点一点をしっかりやろうと、きのうの試合後もセッターの芹澤(友希、スポ3=茨城・土浦日大)とトスの感じを話し合ってきょうに臨みました。

――きょうはあと少しのところで負けてしまいましたが、敗因は

最後までブロックを残すとか、ちょっとしたがまんが、セットを取れただけに先に急いでしまった感じはあったと思います。そこが敗因だと思います。

――きょうのチームの雰囲気はいかがでしたか

みんな「セットを取ろう」と盛り上がっていましたし、集まってから試合に入るまでの雰囲気がとても良かったと思います。

――きのうときょうで変えたことはありますか

「もう一度ばかになってやろう」と監督から言われました。喜び方を変えたなどはしなかったのですが、それで1人1人の気持ちが少しずつ前向きになったのではないかと思います。

――では来週の、リーグ戦最終戦に向けて意気込みをお願いします

このチーム、このメンバーでできる試合も残りわずかとなってきて、自分が4年生として戦える秋季リーグ戦も、後輩と戦える秋季リーグ戦も来週が最後になります。入れ替え戦も決まってますがそこに向けて士気を上げれるように、団結して頑張っていきたいです。

森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)

――試合を振り返っていかがですか

きのう不甲斐ない試合をしてしまってもう一度どうするかというのを個人としても、チームとしても考えました。きょうは全体的にサーブがすごく走って得点が取れ、効果率も上がりました。サーブで崩せたからこそ相手も萎縮して自分たちのバレーを作ることができたと思います。でも、きょうは本当ならストレートで勝てる試合だったので、そこで気が緩んでしまったのは自分たちの修正していかないといけないところだなと思います。

――チーム内での役割を果たされた印象を受けましたが、ご自身ではいかがですか

もう吹っ切ってやるしかないと思っていました。試合前に監督(吉田千絵監督、平10教卒=岡山・就実)から「ばかになれ」と言われたので思い切りやることしか考えていませんでした。

――2セット先取できた要因として思い当たることはありますか

チーム全体が前向きに、攻める気持ちを忘れませんでした。普段ならサーブミスを連発して攻められない中で、相手にAパスが入って一本で決められてということが多いのですが、きょうはしっかりサーブで崩せて自分たちが攻撃の主導権を得ることができたので終わって考えてみるとやっぱりサーブかなと思います。

――試合の入りから勢いがありましたが、きのうからどのように切り替えられましたか

特に全体で話し合ったことはありませんでしたが、きのうの試合を踏まえて全員が良い意味で気持ちを切り替えて試合に取り組めたからこそ、そういった雰囲気が作れたのかなと思います。

――来週の最終戦に向けての意気込みをお願いします

もう入れ替え戦が決まってしまった以上、どれだけ自分たちの良いバレーが作れるかだけだと思うので最終戦に向けて、きょうのように攻める気持ちを忘れないバレーを全員で展開できたらいいなと思います。