ことしも両校の意地がぶつかり合った。記念すべき80回目を迎えた早慶定期戦。これまでにないほどの盛り上がりを見せた会場で、春季関東大学1部リーグでの戦いを経て一回り大きくなった早大女子バレーボール部が危なげなく勝利を手にした。セットカウント3-0(25-17、25-11、25-22)でのストレート勝ち。この勝利で早慶定期戦の連勝記録を30に更新した。
第1セット序盤は一進一退の攻防を繰り広げた。このセットでは1年生の富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)が躍動。チーム全員でつないだボールを次々と力強く相手コートに打ち込んでいく。しかし本人は「いつもよりはよかったがもう少しコースの打ち分けや、位置を意識して打てるようにしていきたい」と振り返り、さらに高いレベルを見据えた。ネット際の難しいボールも上手く敵陣に押し込むなど、粘り強いプレーを見せた早大がこのセットを先取、勢いに乗る。
初の早慶戦ながら堂々とプレーした富澤
続く第2セット。相手のミスやブロックポイントで順調に点を重ねていく。15点目獲得後、早大の怒涛(どとう)の攻撃が始まった。浅野泉里(文3=岐阜)に代わってコートに入った及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)のサーブから、森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)らのスパイクで慶大につけ入る隙を与えず、10連続でポイントを重ねる。セットポイント25-11で勝利に王手をかけた。ストレート勝ちがかかった3セット目。セット開始直後に3連続ポイントを許し、ペースを崩されかける。しかし芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)が重点的にトスを上げたという、初出場浅野の活躍もあり、競り合いながらも主導権は握らせない。最後は平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)が鋭いスパイクで25点目を獲得。梅雨の湿った空気を乾かすように、選手たちのすがすがしい笑顔が咲いた。
今試合スタメンで活躍を見せた浅野
伝統の一戦ならではの独特の緊張感に包まれた体育館。絶対に負けられないプライドをかけた戦いで、エンジに身を包んだ早大は1987年以来の連勝記録を更新した。しかし選手はその結果に満足することなく、それぞれにスパイクの精度やブロックに課題を見つけ、次を見つめる。またきょうの試合では普段メンバー入りしていない選手にも、多くの出場機会が与えられた。不協和音を響かせることなくすんなりとチームに溶け込めたのは、日ごろから意思疎通ができている証拠なのだろう。「東日本選手権はメンバーがそろわなかったりするが、誰が入ってもワセダのバレーができるようにしたい」と平山主将も述べたように、全員で同じ方角を向いて上へ。どこまでも突き抜けていく。
伝統の一戦を、チーム全体で盛り上げた
(記事 太田萌枝、写真 西村紗希、吉澤奈生)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 |
17-25 11-25 22-25 | 0 | 慶大 |
スタメン | ||||
レフト 浅野泉里(文3=岐阜) レフト 富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女) センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘) センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女) ライト 平山璃菜(スポ4=東京・文京学院大女) セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大) リベロ 中川知香(スポ3=神奈川・橘) |
コメント
平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)
――きょうの早慶戦へ向けて、チームとして目標はありましたか
春季関東大学リーグ戦を終えて、自分たちの課題がいろいろ見つかった中で、1部に残留できたことに満足してはいけないと思います。全日本インカレ(全日本大学選手権)でセンターコートに立つためにも、早慶戦や東日本インカレ(東日本大学選手権)が大事だよねという話はよくしていたので、秋季関東大学リーグ戦でリベンジするためにも、そういった試合につながる1戦にしようとしました。
――ストレートで勝利したことについては
やはり慶應さんは3部であり、自分たちは1部で戦ってきたので、相手に合わせてはいけないと思っていました。自分たちのバレーをやってしっかり勝ち切ろうとしました。3セットで勝てたのは良かったですが、内容はあまり良くなかったと思います。
――課題はありましたか
相手の左利きプレーヤーへの対応ができないまま終わってしまったり、結果の点数を見たら勝っていますが、こちらのアタッカーがレシーバーがいるところへ打ってしまったなど、そういった対応力の無さや、工夫がまだまだだなと思います。
――きょうの早慶戦は普段の試合で出ていない選手がたくさん登場しましたが、やりづらさなどはありましたか
やりづらさはないですね。メンバーチェンジで入ってきた子だったり、普段控えで今日スタメンだった3年の浅野(泉里、文3=岐阜)らがとても緊張していたので、そういう子をフォローするのは、最初からコートに入っている人の役目だと思いますし、誰が入ってもワセダのバレーができるようにしたいです。
――平山選手としては、最後の早慶戦になりました
4年間やってきて、今回は80回という記念すべき回でした。4年間こうやって早慶戦の場に出させていただいたことに感謝です。終わって少し寂しい気もしますが。
――では、直後に控えている東日本インカレへ向けて、意気込みを
東日本インカレもメンバーが揃わなかったりするのですが、先ほども言いましたように、誰が入ってもワセダのバレーができるようにしたいです。1部のチームと当たることもあると思うので、上を目指して頑張っていきたいと思います。
芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)
――ストレート勝ちとなりました
早慶戦という独特な雰囲気の中でとても緊張したのですが、(慶大は)東日本(東日本大学選手権)でも戦う相手なので思い切り自分たちのバレーをやろうと声をかけてやりました。
――収穫はありましたか
まだまだ収穫というより課題のほうがすごい見つかりました。慶大のほうがレシーブの粘りなどもあり、早大もそういうところを詰めてやっていきたいなと思います。
――ツーアタックをたくさん決められていましたね
普段あまりやらないのですが、自分の中でツーアタックを挑戦の1つとしてやってみました。
――スパイカーにはそれぞれクセがあると思いますが、大変なことはありますか
それぞれ大きいトスだったり、速いトスだったり、バラバラなんですけど、そこを上手くやって、スパイカーの選択肢を増やせるようなトスを心がけています。ただ、そこも自分の中では課題なので、もっとスパイカーを生かせるトスを上げていけたらと思います。
――きょうは誰に重点的にトスを上げましたか
9番の浅野(泉里、文3=岐阜)です。チームの事情で、きょう初めてコートに入って緊張したと思うんですけど、東日本もこのメンバーで戦っていくので、緊張をほぐすとか、ゲームに慣れさせるために浅野にはトスを上げました。
――東日本に向けて
メンバーが揃わないのですが、しっかり東日本で勝って全カレ(全日本大学選手権)につなげていければいいなと思います。
浅野泉里(文3=岐阜)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
初めて試合に出たので、すごく緊張していて、本当はスパイクをいっぱい打たなきゃいけないって意気込んでいたのですが、全然打てなくて、すぐ過ぎちゃったという感じがしました。
――きょうのスタメンに入った経緯は
もともとレギュラーで入っていた先輩が、教育実習でチームを空けていたので、その間自分が入っていました。
――きょうのご自身の調子は
レシーブとか、最低限やりたいことはできてたかなと思うのですが、やっぱりスパイカーっていう仕事なので、打たないといけないのに打てなかったので、最悪だなと思っていました(笑)。
――スタメンで出るにあたって心掛けたことは
まず、あんまり緊張しないようにと思ってたんですけど、やっぱりいざ立つと震えちゃって、とりあえず平常心、平常心とずっと思っていました。
――サーブの調子が良いように見えましたが
サーブはあまり怖がらず打てたので、良かったかもしれないです。ありがとうございます。
――東日本インカレ(東日本大学選手権)に向けての意気込みをひとことお願いします
攻撃力でみんなに劣っているので、もうちょっと練習して、コース分けなどの練習をちゃんと組み立てていきたいと思います。
富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)
――初めての早慶戦を振り返っていかがですか
応援してくださる方がたくさんいて、すごく緊張しました。
――いつも以上に熱い応援や演出がありましたが、雰囲気はどのように感じましたか
お祭りみたいで楽しかったので、普段の試合もこういう風に盛り上げてできるといいなと思います。
――きょうのスパイクの出来はいかがでしたか
いつもよりはよかったと思うのですが、もう少しコースの打ち分けをできるようになったり、早い位置から打てるように練習していきたいです。
――ブロックポイントもありましたが、ブロックについては
全然、まだまだです。もっと練習します。
――これで早慶戦は30連勝となりました
勝つべき相手だと思うので、来年も再来年もずっと勝っていきたいです。
――最後に、東日本大学選手権に向けた意気込みを聞かせてください
きょうの試合をして反省点がたくさんあったので、2週間くらいしか練習できないのですが、しっかり修正して頑張っていきたいと思います。