開幕戦は黒星に終わった早大女子バレー部。2戦目の相手は、昨年の秋季関東大学リーグ覇者である筑波大だった。序盤は固い動きで第1、2セットを落としてしまう。ここでチームの息が合い始め、第3セットを奪取。セットカウント1-3(15-25、17-25、25-20、16-25)で敗北はしてしまったが、収穫を得た試合でもあった。
滑り出しは、なかなか動きがかみ合わなかった。相手の5連続得点を許してしまうと、完全に流れを筑波大に持っていかれ、そのまま第1セットを落とす。いきなりピンチを迎えてしまったが、最上級生の及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)が中心に声をかけ、チームを活気づける。「いくら点数が離れていてもここからスタート」(及川)。続く第2セットは途中出場した富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)の活躍もありサービスレシーブが安定し始める。しかしサーブミスや反則での失点を重ね、なかなか勝ち越すことが出来ず、2セット目も取ることはできなかった。
レシーブで踏ん張り、チームを支える及川
第3セット、後がない早大は序盤から積極的にスパイクを打ち込む。及川をはじめとするアタッカーのすさまじい打数に呼応するように、守備陣も決死の粘りをみせ、1点をとるごとにコートにいる選手、ベンチから大きな歓声が沸いた。まさにチームが一丸となって得点を取りに行く姿がそこにはあったのだ。相手も譲らないシーソーゲームの展開となり、点の取り合いで試合は白熱する。そして最後の気力を振り絞り、早大が第3セットを奪取した。そのままの流れで勝ち越したいところであったが、第4セットは相手の集中攻撃に耐えきることができずに、そこで試合は終了。1-3で早大はリーグ戦2連敗となった。
ルーキーの富澤も積極的にスパイクを打った
試合自体は負けてしまったが、強豪・筑波大相手に1セットを取ったというのは選手にとって大きな自信になったに違いない。今季初1セット獲得、そしてチームスローガンである『粘りと決定力』の達成へ近づいたという確かな手ごたえ。しかし早大の良さが発揮された一方で、課題が浮き彫りになったのもまた事実である。「(相手のスパイクを)上げどころで上げられず、まだ精度を求められると思う。」(中川知香、スポ3=神奈川・橘)、「ここで1点ほしいというところで取れない」(及川)。きょうの試合を糧にして、次は今回以上のパフォーマンスを見せてくれることだろう。早大女子バレー部の戦いはこれからだ。
(記事 鎌田理沙、写真 渡辺新平、川浪康太郎)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 1 |
15-25 17-25 25-20 16-25 | 3 | 筑波大 |
スタメン | ||||
レフト 及川香菜(スポ4=宮城・古川学園) レフト 加納茉未(社4=北海道・札幌大谷) センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘) センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女) ライト 平山璃菜(スポ4=東京・文京学院大女) セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大) リベロ 中川知香(スポ3=神奈川・橘) |
コメント
及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)
――本日の試合の手ごたえは
やはりサーブミスだとか細かいミスが目立ってしまいました。私たちはブロックとサーブを強化しているので、もう少しサーブを攻められたなと感じます。筑波大相手にこうやって1セット取れるというのは自分たちにとっても自信になりましたし、あすの宇都宮大戦につなげられたと思います。
――序盤から相手ブロックにマークされる場面が多かったですが
自分自身のプレイとしてはまだまだだなと思うところがたくさんありました。特に3セット目は私を軸にサーブレシーブをしていて、私がサーブレシーブで崩れてしまうと攻撃が成り立たないと自分自身も感じたので、私以外の人を生かすというのを意識しました。序盤は自分にマークがつくと覚悟して取り組んだので、その点に関して決めきれたのは良かったとは思います。
――第2セットのタイムアウトからだんだん雰囲気が変わっていったと感じました。タイムアウトの時はどんなことを話されましたか
前向きな言葉しかかけていなくて、「ここから行くぞ」と。いくら点数が離れていてもここからスタートと。チームを活気づけるではないですが、下級生もいるので、私が勢いづけることでみんな勢いよく行けるので、そのような言葉をかけました。
――下級生と言えば、今大会で本格的に試合デビューをした富沢結花(スポ1=東京・文教学院大女)選手がいらっしゃいますが
富澤は本当に頑張ってくれたなと思います。対角で1年ということもあって、とにかく思いっきりやってほしいという思いがあって、ひたすら声をかけて頑張ってもらいました。1年生の頑張りもチームの勢いにつながったので、よくやってくれたなと思います。
――第3セットは及川選手自身の打数がかなり多かったと思いますが、相手も譲らないシーソーゲームの展開で何を意識されましたか
とにかく狙って相手を崩して、こっちがチャンスをもらって、自分たちのプレイや攻撃をするという展開をみんな統一してやろうとなっていて、その点に関しては、1人1人の意識ががらっと変わったなと思います。
――今期のスローガンである『粘りと決定力』の達成度についてはいかがですか
きょうはそれに関しては良かったなと思うのですが、決めるところで決められないだとか、ここで1点ほしいというところで取れないというのは、まだまだこれからの課題であると思います。それにこれからも連戦が続きますが、そういうところを自分たちで成長できたらなと思います。
――最後に、あすの宇都宮大戦への意気込みを
あしたは何が何でも勝たなければいけない宇都宮大戦なので、きょうの3セット目のようにチーム一丸となって、最後まで粘って相手のバレーをさせないバレーができたらなと思います。
中川知香(スポ3=神奈川・橘)
――春季関東大学リーグ戦に向けてどのような準備をされてきましたか
きょねん1部という舞台で勝てなくて、すごい悔しい思いをしました。まず、全体としては1部で戦えるチームをつくろうと頑張ってきました。個人的にはきょねん1部で全然通用しなかった部分があって、それを一つでも多くことしできるようにしようとやってきました。
――昨年通用しなかったと感じたのは、具体的にはどのようなことでしょうか
きょねんは拾いどころで拾えなかったりだとか、自分のレシーブ自体で流れをつくれなかった部分がありました。まだできていないのですが、ことしは自分のレシーブでチームを盛り上げていけるように頑張っていきたいと思います。
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
チーム全体的に出だしに(得点を)取られるケースが多かったです。中盤は結構競るゲームができたのですが、出だしの意識が低かったです。個人的には(相手のスパイクを)上げどころで上げられず、まだ精度を求められると思います。
――きょうは序盤にレセプションが乱れる場面が見られましたが、原因は何だとお考えでしょうか
相手のチームがコートの奥に強いサーブを狙ってきました。そうやって奥を狙ってきているのにレセプションの位置を変えずにそのままやってしまった部分がありました。相手によって前を狙われたら(レシーバーの)ラインを上げるとか、全体的に自分がまだ見られていない部分がありました。そういう面で自分が指示を出せれたらいいと思いました。
――きょう対戦した筑波大は昨年の秋季関東大学リーグ戦を優勝した強豪ですが、どのような対策をしてきましたか
自分たちのサーブとレセプションを軸にやるというのが一番にありました。さらにブロックとレシーブの関係をうまくして、ブロックで止めるところは止めて、レシーブで拾うところは拾うと明確にやっていこうという話になっていました。序盤はそれができていませんでしたが、後半にはできてきてラリーもつながっていました。明日からもそれができればいいと思います。
――第3セットを取れたのは、そのブロックとレシーブの関係が機能したからでしょうか
そうですね。後ろと前の関係も良かったし、1点取ったらどんな取り方でもみんなで喜んでいました。そういった点で3セット目が取れたんだと思います。
――ことしは守備での粘りをテーマに掲げていますが、その中でリベロであるご自身の役割をどのようにお考えでしょうか
ここを決めさせちゃいけないというところで落としているので、そこを詰めていくことが粘りにつながると思います。自分が(スパイクを)1本上げて、(セッターが)トス上げてアタッカーに打ってもらいたいです。チームがピンチのときに助けられる存在になりたいと思います。
――学年が上がり3年生となりましたが、上級生としてどのように後輩をまとめていきたいですか
きょねんはまだ下級生ということもあり、自分のことしか見れませんでした。自分はリベロで後ろからコートが見れますが、まだ周りを見てちゃんとプレーできていないです。きょうは富澤(結花、スポ1=東京・文京学院大女)が(コートに)入ってきましたが、もっと自分が声を掛けられる部分があったと思います。自分が拾ってアタッカーにどこ(のコース)が空いているとかの指示もできていなかったと思うので、そこをしっかりとやっていきたいと思います。
――あすの試合に向けて意気込みをお聞かせください
あすは宇都宮大戦で、一つの負けられない試合でもあります。でも、気持ちを入れすぎることなく、まずは自分のやるべきことをやって、とりあえずあしたの一戦を勝てるように頑張っていきたいと思います。
森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)
――開幕から一週間、どのような調整をしてきましたか
開幕戦は緊張して自分の思うようなプレーができなかったのですが、そこで落ち込んでも残り9戦続くので切り替えなければと思い二段トスの練習とサーブを狙ったコースに打つ練習を一週間続けてきました。
――きょうは敗れはしたものの、第3セットを取れたことは大きいのではないですか
チーム全体が一つにまとまっていてブロックとスパイクレシーブの兼ね合いがうまくいってくれたから取れたのだと思います。
――センター攻撃は前回に比べいかがでしたか
前回に比べたら自分の中でも余裕を持ってプレーできたのでそこはよかったのですが、まだ両サイドに頼ってしまっていているので上がってきたトスを決め切れるようになりたいです。
――きょうは要所でブロックも決まっていました
ブロックは試合前のミーティングで相手の選手がどのコースが得意でどのコースが不得意なのかを分かった上でしたので、コースを読むことはできたと思います。
――ルーキーの富澤結花選手(スポ1=東京・文京学院大女)の活躍はどのように映りましたか
後輩としてすごくたくましいと思うし、自分も負けずにもっと頑張らなければという気持ちになります。
――あしたは一部に昇格したばかりの宇都宮大が相手ですが、意気込みを聞かせてください
あしたは絶対に負けられない戦いであるということは分かっているので、それで気負いすぎずいつも通りできたらいいなと思います。
富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
すごい万全の状態でできたわけではないですが、監督さん(吉田千絵監督、平10教卒=岡山・就実)に「レシーブだけがんばれ」と言われて、とにかくレシーブ中心にがんばっていければいいかなというかんじでした。
――先輩にも声をかけられましたか
「とにかく思い切りやれ」というのと「1回1回ミスしてもすぐ切り替えろ」という言葉があったので、すごいやりやすかったです。
――出場されたときは緊張しましたか
そうですね、ちょっと緊張しました。
――レセプションなどでの貢献が目立ちましたが、ご自身のきょうの調子はいかがでしたか
レシーブに関して言えば、すごいよかったと思います。
――ご自身の考える強みだと思うところはありますか
プレーでは劣っている部分があるのと思うのですが、1年生としてチームに元気を与えられるようになりたいです。
――そもそも早大を選んだ理由はありますか
バレー部もそうなんですけど、学校がいいなと思いました。スポーツ科学部に入りたかったんです。
――チームの雰囲気には慣れましたか
はい。
――まだまだ試合が続きますが、今後の意気込みをお願いします
まずは一勝できるようにあしたの試合をがんばるのと、これからもっと試合が続いていくので、チームに元気を与えられるように笑顔でがんばりたいと思います。