アウェー会場の中、見事早慶戦9連覇達成!

男子バレーボール

第87回早慶バレーボール定期戦 7月1日 神奈川・慶大日吉記念館

 待ちに待った今年の早慶戦は、2020年に完成した新日吉記念館では初の、人数制限なし完全有観客での開催となり、約3000人の観客に見守られながら白熱した戦いを繰り広げた。開幕初得点を慶應に取られるも、流れを渡さず拮抗(きっこう)した試合展開を見せ第1、2セットを先取する。しかし続く第3セットは、慶大の力強いサーブに苦戦。なんとかデュースに持ち込むもののセットを落とす。変わって第4セットでは、序盤から連続得点で点差を付け、危なげなくこのセットを取りきる。セットカウント3-1(25-23、29-27、29-31、25-14)で、見事早慶戦9連覇を果たした。

 第1セットは、取って取られてと拮抗(きっこう)した展開が続いた。慶大のサービスエースが連続で決まり、流れが慶大に傾く。9-14まで離されピンチを迎えたが、ここでリベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)の安定したレシーブからOH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)の流れを止める強烈な1本が決まる。以降MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)のクイックやOH畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のサービスエースで追い上げを見せる。さらに、相手のスパイクがブロックにあたる直前で手を引くという、セッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)の技ありなプレーで、ついに16-16で同点に追いつく。その後も一進一退の攻防を繰り広げながら、後半はOH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)を中心に得点し25-23で第1セットを先取した。

伊藤のブロックポイントを喜ぶ選手たち

 続く第2セットは、立ち上げから山田のスパイクが連続で決まり、早大優位で試合を進めた。MB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)は207㎝の高身長を活かしたプレーで魅せる。畑のナイスレシーブからクイックを決め、さらにブロックでも点を重ねた。また、リベロの荒尾が、ボールと床の間に手を滑り込ませてつなぐプレーで会場を沸かせた。中盤、慶大に3連続得点を許し18-22で逆転されるも、タイムアウト後、山田・水町の鋭いアタックで取り返す。終盤に向かい一進一退の攻防を繰り広げ、デュースにもつれ込むも、MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)が連続で得点し29-27でなんとかこのセットを奪う。

麻野のブロック後

 第3セットは慶大の強烈なサーブに苦戦し5連続ポイントを取られ、1-7と嫌な立ち上がりとなる。慶大押せ押せムードのなか、中盤は互いに連続得点を許さず、13-20となかなか追いつけない。しかし、山田のブロックアウトから早大は追い上げを見せる。続くプレーでも山田がサービスエースを決めてチームを盛り上げると、23-23で同点に追いついた。デュースに持ち込むも逃げきられ、29-31で惜しくもこのセットを落とす。変わって第4セットでは麻野がブロック、アタックで得点し、攻守で活躍を見せる。前田のツーアタックやOP佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)のバックアタックが決まり、さらに点差を広げる。最後は水町が華麗なバックアタックを打ち込み決勝点とした。

1枚ブロックでほえる前田

 本戦は上半期の締めくくりとなる試合であった。東日本大学選手権(東日本インカレ)、春季関東大学リーグ(春季リーグ戦)の二冠達成に続き、早慶戦9連覇を果たし、最高の形で前半戦を終えることができたと言えるだろう。しかしながら、「慶應さんの勢いを跳ね返すことができず終始受け身での試合展開になった」(水町主将)という言葉のように、相手の勢いに呑まれ1セットを落とすなど、「圧勝」とは言えない結果であった。鍛錬の夏を経てチームとしてさらにパワーアップし、秋季リーグも好調なスタートを期待したい。

(記事 谷美里 写真 五十嵐香音、町田知穂)

セットカウント
早大 25-23
29-27
29-31
25-14
慶大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
リベロ 布台駿(社4=東京・早実)
途中出場
浅野翼(スポ3=宮城・東北)
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
コメント

水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)

――最後の早慶戦、初めての有観客での試合はいかがでしたか。アウェーの早稲田も負けないくらい大きな応援でした

 最初で最後の早慶戦でしたが、多くの方に応援に来ていただき、本当に素晴らしい中で試合を行うことができ楽しかったです。本当に独特の雰囲気で貴重な体験ができました。また、日吉で開催でしたが早稲田の方にも多くきていただき感謝しています。

――試合内容を振り返って

 慶應さんの勢いを跳ね返すことができず終始受け身での試合展開になりました。自分たちがやらなければいけないことができず、早稲田のバレーというものが出せずに終わったと思います。

――今年度前半戦の振り返り

 春から東日本までレセプションアタックを完成させるということ、大胆にプレーすることをチームの目標としてやってきました。良い時は良いですが悪い時は悪くそこの幅が広いため、どんな時でも安定してサイドアウトが取れるようにする必要があらと思います。また、劣勢になっても大胆にプレーできる精神力もつけなければならないと感じました。

――まずはワールドユニバーシティゲームズの遠征ということで、不安なことや留守組にお願いしたいこと、自分が遠征中に頑張りたいことなどを教えてください

 前半戦が終わり夏の基礎の時期にチームを離れることになり申し訳ないという気持ちがあります。それと同時に成長してチームに帰らなければならないという気持ちもあります。チームの方は、同期や成長した下級生がいるため心配はしていません。むしろ、自分の方に不安を感じています。場所は違いますがお互いにレベルアップして秋に向けて合流できれば良いなと思っています。

――秋に向けて意気込みをお願いします

 秋はどのチームも早稲田を倒すという気持ちで向かってくると思います。その勢いに飲まれてしまうことが多いので、それを跳ね返す勢いと安定したサイドアウト、ディグ局面も鍛えながらチームとして強くなっていきたいと思います。

 

前田凌吾(スポ2=大阪・清風)

――試合をチームとして振り返って

 東日本インカレの連戦もあり、チームとして疲れた状態で臨んだ試合になりましたが、早稲田のすべきバレーが上手く噛み合わず、自チームとしてのミスがとても目立った試合になりました。とても多い観客の中でコートの中の声が全く聞こえずテンパってしまいましたが、いい経験にもなりました。慶應さんのホームゲームということで慶應さんは攻めてきて受けに回ってしまうことが多々あったと思います。

――ご自身のセットアップを振り返って

 1セット目から会場の雰囲気にのまれ乱れたトス回しをしてしまいました。試合後半につれて安定して上げることができたと思います。もう少し相手ブロッカーをしっかり見てどういうブロックシステムかを見るべきでした。東日本インカレでもスタートのトスが乱れることが課題点なので後半戦へそこを意識して練習していきたいです。

――第2、3セットなど緊張感のある展開が多かったですが、冷静そうに見えました。内心はいかがでしたか

 トスがいつもと違って合わない感覚はありました。しかし、セッターとして顔に出したらいけないので、自分のプレーが悪くても声を出して考えてプレーしようとしてました。内心はドキドキでしたが、緊張感を持ちながら楽しめたと思います。

――3セット目のブロックが素晴らしかったです。高さがある方では無いと思うのですが、その中でブロックで気をつけていること、考えていたこと

 目の前の1点を取るというプレーした結果だと思います。やはり、自分のところをよく狙われるので位置取りを大切にしています。

――応援もすごかったですがいかがでしたか。応援してくださった方達に一言もお願いします

 生の大会でこれまで多くの観客の前でプレーするのは早慶戦ならではだと思います。とても緊張はしましたが応援もとてもすごく、とても良い雰囲気の中でプレーさせていただきました。友達も見たいと言ってくれて見に来てくれたので、とても嬉しかったです。 今日来てくださった方が少しでもバレーボールに興味を持ってくださったら嬉しいですし、応援してくださる人がいることが自分の活力にもなっているので更にレベルアップした姿を見せられるようにしたいです。

――今年度前半戦を振り返って

 春リーグ、東日本インカレと優勝できたことはよかったです。しかし、春リーグの大事なところで勝ちきれなかったこと、結果は優勝になっているが内容があまり良くないことが多かったことが反省するところです。去年と比べ自信を持ってできていることが多かったのは良かったと思います。とても苦しい試合が多かったですが、ベンチ含め助け合って試合に勝つことがあったのは良かったです。

――秋に向けて強化したいところ、意気込み

 秋に向けて、セッターとしてトスの安定性、そしてスピードをつけて完成度の高いコンビを身につけたいと思います。また、サーブの効果率というところを意識していきたいと思います。リーダーシップというところでは、4年生だけに任せるのではなく自らが考えて行動し、チームにいい影響を与え、更に自信を持ったプレーができればと思います。他のチームは早稲田に対して勝ちに来ると思うのでより完成度の高いものを目指して、攻めるバレーボールをしたいと思います。秋リーグをいい状態で終えて、全カレで4年生と優勝という形で笑って終われるように頑張りたいです。

 

麻野堅斗(スポ1=京都・東山)

――まず、初めての早慶戦はいかがでしたか

 あんなに沢山の方々の前でプレーすることができて楽しかったですし、プレーのパフォーマンスとしても気分が上がり、高い状態でできていたと思います。

――このように代表の試合級の応援はいかがでしたか

 自分が想像していたよりもはるかに大規模な応援でした。早稲田みんなで戦っているというか、応援が自分たちを後押ししてくれて、応援が力になりました。

――試合内容を振り返って

 今回は相手のサーブが走って、なかなかこっちの流れを掴むことが難しく、自分たちがやるべきバレーを慶應大学の方にやられていた気がします。その中でも立て直して、勝てたことはこれからにつながるのではないかと思います。

――リードブロックが光っていましたが、ご自身のプレーを振り返ってみて

 今日は比較的に力を抜いて挑みました。いつもはどこか身体に力が入って、クイックに張りすぎたり、誰かを徹底的にマークしようと自分の中で考えているなと試合後の動画を見て感じて、そこを修正することで今日の試合で上手くいったかと思います。

――上半期を振り返ってみて

 春リーグから始まって、徐々にチームの型にハマっていけてるのではないかと思います。ですが、まだまだ課題もありますし、個人、チームとしても100%のパフォーマンスを作って、全カレに臨みたいという風に思っています。自分は今夏、チームを離れて海外の方での活動になりますので、少しでも成長してチームに戻り、良い還元ができるように頑張りたいと思います。

――秋に向けて意気込み

 春とは違い、どのチームも強く成長してくると思うので、苦しい展開になるとは思うんですけど、気負うことなく自分たちのプレーをしっかりと試合で出すことが勝ちに繋がると思うので、そこを忘れずに全勝優勝目指して頑張りたいです。