全日本大学選手権（全日本インカレ）決勝。１年間足掻いて、もがいて、悩み続け、努力を怠らなかった彼らにとって最高の舞台、センターコートでの試合だった。たくさんの観客が見守る中、対するは国士舘大。前日の準決勝では甲斐（専大４年）率いる専大を倒し、勢いのあるチームとの対戦となった。序盤こそ雰囲気に呑まれ崩されたものの、今までやってきたことをこなしていくことでリズムを掴んだ。最後は４年生がコートに立ち、感動のフィナーレを迎えた。セットカウント３ー０（25ー20、25ー18、25ー20）でストレート勝利を果たし、今大会すべての試合を失セット０で終え、無傷の優勝となった。
１セット目は国士舘大の先制点から始まった。相手の強烈なサーブでレシーブを崩され、序盤には６ー12と大きく点差を離される。しかし、ＭＢローゼンマーク有廉ジュニア（スポ２＝茨城・土浦日大）のシャットを皮切りにブロック得点を重ねて４連続ブレイクを獲得した。国士舘大はたまらずタイムアウトを要求。その後もブロックやＯＨ小野駿太（スポ３＝静岡・聖隷クリストファー）のサービスエースなど相手に攻撃のチャンスを渡さずついに15ー15と同点に持ち込む。守備での粘りが功を奏し確実に自分たちの攻撃に繋げていった結果、終盤にかけてブレイクを重ねた。最後は小野が相手コート隅にパイプを打ち込み25ー20で第１セットを先取した。
レシーブをするリベロ布台聖（スポ３＝東京・駿台学園）
ローゼンのブロック得点から始まった２セット目は徐々に相手のＡクイックに順応し、早大のペースに持ち込んだ。序盤からミドル陣のクイック、サイド陣の個性際立つ攻撃を組み合わせながら得点を重ねる。７ー６の場面では徳留巧大（スポ２＝長野・松本国際）がノータッチサービスエースを決め、勢いを加速させた。相手の攻撃が決まっても取れるボールを確実に拾いきり、冷静さを忘れない。ＯＰ川野琢磨（スポ１＝東京・駿台学園）の強烈なスパイクや、相手コートの空間を目掛けたＭＢ菅原啓（教３＝山形南）のクイックが決まり、リードを保つ。15ー13の場面から菅原のクイックを中心に畳みかけるように４連続得点を獲得した。終盤は小野がサービスエースを含め４得点に貢献し、 25ー18と相手を寄せつけることなくセットを連取した。
スパイクを打つ小野
３セット目はスタートから麻野堅斗（スポ３＝京都・東山）を投入し、ブロックで相手を牽制する。ここで終われない国士舘大は最後の意地を見せ、序盤はお互いにサイドアウトを取り合う展開が続く。セッター前田凌吾主将（スポ４＝大阪・清風）は、２セット目での相手セッター竹松（国士舘大２年）のスパイクに応戦するかのように、ネット際に上がった２本目のボールを打ってブロックアウトを獲得した。麻野のＣクイックを中心に多彩なコンビバレーを展開するが、点差は動かず終盤へ。プレッシャーに耐えかねた相手がアウトを連発し、加勢するように麻野がサービスエースを決める。24ー18の場面で４年生の梶村颯汰（スポ４＝東京・安田学園）、板垣慧（政経４＝京都・洛南）がコートに立つ。後輩たちがベンチから見守る中、最後は板垣が前田と息を合わせクイックを決め切り、悲願の優勝を勝ち取った。
ワンハンドでトスをあげる前田
今年の全日本インカレはある意味波乱の大会だった。シード校が次々に敗戦し、対戦相手の国士舘大は強豪校を次々に倒して這い上がってきたチーム。しかし、国士舘大の大応援団の空気にも負けることなく、「全てを出し切ることを極めて」勝つことができた。ここまで長かった１年間。春季リーグ戦での優勝と黒鷲旗での大学初の優勝から、東日本大学選手権（東日本インカレ）での敗戦と、波のある１年を過ごしてきた。順風満帆ではなかったからこそ、そして昨年の全日本インカレ、今年の東日本インカレでの悔しさがあったからこそ、強い意志を持ってここまで来ることができたのだろう。また、２年生の小野、徳留がレシーブ賞をダブル受賞、川野がブロック賞を受賞するなど、下級生の貢献も大いに見られた。今後の早大バレー部の活躍にも期待がかかる。４年生の出場する大学バレーは今回で見納めだが、天皇杯ファイナルが今週末に迫っている。この代最後のバレーをぜひ見納めたい。
（記事 井口瞳、写真 芦刈れい、井口そら、指出華歩）
笑顔で締めくくった選手たち
抱き合う前田と布台
| セットカウント | ||||
|---|---|---|---|---|
| 早大 | ３ |
２５－２０ |
０ | 国士舘大 |
| スタメン | ||||
| アウトサイドヒッター 佐藤遥斗（スポ３＝東京・駿台学園） アウトサイドヒッター 小野駿太（スポ２＝静岡・聖隷クリストファー） ミドルブロッカー 菅原啓（教３＝山形南） ミドルブロッカー ローゼンマーク有廉ジュニア（スポ２＝茨城・土浦日大） オポジット 川野琢磨（スポ１＝東京・駿台学園） セッター 前田凌吾（スポ４＝大阪・清風） リベロ 布台聖（スポ３＝東京・駿台学園） |
||||
| 途中出場 | ||||
|
梶村颯汰（スポ４＝東京・安田学園） |
||||
| 個人賞 | ||||
|
優勝監督賞 松井泰二監督（平３人卒＝千葉・八千代） |
||||
※コメントは後日まとめて掲載いたします。