3325人の大観衆の下で選手が躍動し、早慶戦70勝目を達成!

男子バレーボール

第89回早慶バレーボール定期戦 6月8日 神奈川・慶應義塾大学日吉記念館

 

 第89回早慶バレーボール定期戦(早慶戦)が今年も開催され、早慶戦史上歴代最多の3325人の観客を迎えての一戦となった。1セット目から好スタートを切るも、2セット目は相手のブロックや攻撃に苦戦しセットを落とす。3セット目から再び流れを取り戻し、4セット目も勢いそのままに取り切りセットカウント3ー1(25ー15、22ー25、25ー16、25ー19)で勝利した。これで早大は早慶戦11連勝、そして通算70勝目を挙げた。

 今回の早慶戦は演出にもこだわりが詰まっている。選手紹介では選手がエスコートキッズと共に登場し、スターティングメンバー発表の際にはプロリーグさながらの演出で会場もどよめく。暗闇の中、モニターに映し出されるプレー映像とともに選手たちが自由にポーズをとって観客を沸かせた。

OP川野琢磨(スポ1=東京・駿台学園)の登場シーン

 選手紹介が終わると、いよいよ試合が始まった。第1セット、ブロックでの得点からスタートし、MB菅原啓(教3=山形南)の連続サービスエースで好発進。セッター瀬川桜輝(スポ1=宮城・東北)のバランスの取れたトス配分で得点を重ねていくと、MB板垣慧(政経4=京都・洛南)が後衛で相手エースのスパイクを上げてつなぎ、帰ってきたボールを瀬川がブロックで仕留めるなど、高い総合力で慶大を寄せ付けない。途中出場の梶村颯汰(スポ4=東京・安田学園)がライン際へノータッチサービスエースを決め、会場が大きく盛り上がる。そのままの勢いで25ー15と大差でセットを取りきった。

 続く第2セット、瀬川があげたワンハンドトスを菅原が打ちきり、またもクイックで得点しブレイクをとる。しかし相手もクイックとブロックで応戦。要所で相手スパイクをブロックで抑え、切り返すプレーが発生し拮抗した展開が続く。リベロ布台聖(スポ3=東京・駿台学園)が連続してディグを上げ、つないだボールを打ち切るなど攻撃に対応するも、終盤にかけて相手の守備が固まったところに、相手エースにボールが集まり奮闘。最後は早大のサーブミスとなり22ー25でセットを落とした。

速攻を打つ板垣慧(政経4=京都・洛南)

 第3セット、早大はスタートのセッターを瀬川から前田凌吾主将(スポ4=大阪・清風)に変更し、試合の流れを変える。OH徳留巧大(スポ2=長野・松本国際)のスパイクによる連続得点で差を広げると、川野が手を伸ばして拾い、前田が体勢を崩しながら上げたトスをOH小野駿太(スポ2=静岡・聖隷クリストファー)が打ち切りチームに勢いを引き寄せる。小野のスパイクやサービスエースで何度もブレイクに成功。ローゼンマーク有廉ジュニア(スポ2=茨城・土浦日大)がダイレクトボールを押し込む得点や、畑虎太郎(スポ4=福井工大福井)のスパイクなど、途中交代で誰が出ても強い早大を体現した。最後は伊東昌輝(商3=山梨・日本航空)のディグから畑が二段トスを打ちきって25ー16で3セット目を奪った。

 第4セット、前田の意表を突いたツーアタックや川野のスパイクなどでいきなり3連続得点。相手のブロックや早大のミスで一時追い上げを許すが、前田の鋭いダイレクトアタックや、布台のディグから小野が切り返して決めるなど相手にリードを許さない。その後も川野のブロックや前田のサービスエースで勢いを加速させた。前田のディグから二段トスを佐藤遥斗(スポ3=東京・駿台学園)が打ち切るという決め方が連続して起こりチームは大きく盛り上がる。さらに佐藤がサービスエースや、ディグでつなぎ畑がバックアタックを決めるなど躍動。最後は相手のサーブミスで25ー19でセットを連取し、見事伝統の一戦を制した。

サーブを打つ佐藤

 来年は早大が当番校となり、伝統を引き継いでいく。学生主体の運営でここまでの規模の大会を実現できるのも早慶戦の醍醐味である。「神は細部に宿る」の言葉のもと運営した慶大バレーボール部の努力も垣間見ることができた。ライバル校とはいえ、切磋琢磨し高め合う両校の絆を感じた一戦として多くの人の記憶に残っただろう。試合に関しても「たくさんの観客の前でこうやって試合ができることに関しては早慶戦が1番」(前田)と語るように、非常に熱量の高い応援とプレーの共演で観るものを魅了する素晴らしい大会だった。次の舞台は東日本インカレ。この一戦で示した総合力の高さを生かし、力を発揮するはずだ。

(記事 井口そら、写真 井口瞳、指出華歩)

 

セットカウント
早大 25-15
22-25
25-16
25-19
慶大
スタメン
アウトサイドヒッター 小野駿太(スポ2=静岡・聖隷クリストファー)
アウトサイドヒッター 徳留巧大(スポ2=長野・松本国際)
ミドルブロッカー 板垣慧(政経4=京都・洛南)
ミドルブロッカー 菅原啓(教3=山形南)
オポジット 川野琢磨(スポ1=東京・駿台学園)
セッター 瀬川桜輝(スポ1=宮城・東北)
リベロ 布台聖(スポ3=東京・駿台学園)
途中出場
前田凌吾(スポ4=大阪・清風)
梶村颯汰(スポ4=東京・安田学園)
板垣慧(政経4=京都・洛南)
畑虎太郎(スポ4=福井工大福井)
伊東昌輝(商3=山梨・日本航空)
佐藤遥斗(スポ3=東京・駿台学園)
大坊心彩人(商2=岩手・不来方)
ローゼンマーク有廉ジュニア(スポ2=茨城・土浦日大)
中上烈(スポ1=京都・洛南)

コメント

前田凌吾主将(スポ4=大阪・清風)

――試合を振り返って

 チームで3年生以下が中心となってやってくれて、1セット目入りが本当に良かったと思うのですが、早慶戦が初めての2人が入っていたり難しい試合になるということはチーム全員が理解していたものの、やはり難しい展開になってしまったというところがあったので、そこはしっかり練習からもっと厳しくやっていく必要があるのかなと思います。自分が3セット目入って、プレーどうこうよりリーダーシップを取ってやろうと決めていたので、プレーは全然できていなかったと思うのですが、そこの動きに関しては良かったかなと思います。

――ラストイヤーの早慶戦でしたが、早慶戦はどのような舞台でしたか

 今日もそうですし4年間しんどい試合が多かったのですが、たくさんの観客の前でこうやって試合ができることに関しては早慶戦が1番だと思っているので、そこの楽しさとか早慶ならではのゲームが4年間できたことは誇りをもっていて、4年間勝つことができたのは本当に良かったなと思います。

――3セット目から出場される際にどのような意識をしていましたか

 スタートから外で見ているというのが初めてだったので新鮮な感じもありつつ、もっと自分ならこうできるなとか考えてはいたので、自分の感覚に頼ってそこができたことは良かったかなと思います。コートの外から見ることで客観的に何ができていて何ができていないかを見ることができたことも良かったかなと思います。

――サービスエースやダイレクトボールの処理といったプレーがありましたが、振り返ってみていかがですか

 ボールを触っていない中で、チームとしてもあまりいい雰囲気ではない中試合に出たので、雰囲気を上げるために観客を味方につけることは大事かなと思うので、そこの盛り上がる1点が取れて良かったかなと思います。

――東日本インカレに向けて

 3年生が今からチームをつくってくれると思うので、そこを信用して頼っていかないといけないのですが、練習中に特に3年生がもっと頑張ってくれればチームの底上げにもなると思います。東日本(インカレ)優勝につながれば、3年生の頑張りが結果として現れたのだなと思うので頑張ってほしいなと思います。

板垣慧(政経4=京都・洛南)

――試合を振り返って

チームとしては、3年生が主導で練習を始めて1週間というところで、凌吾(前田、スポ4=大阪・清風)も教育実習から帰ってきてスタメンではないというというかたちだったので、3年生の聖(布台、スポ3=東京・駿台学園)をはじめとして、チーム内でも声をかけながら、下級生もいっぱい頑張ってくれたと思うので、まだまだ3年生としてもチームとしても成長過程の部分はあると思うのですけども、東日本インカレまでは3年生主体の期間になるので、その期間は3年生にも頑張ってもらって、4年生としてもサポートできるようにやっていきたいと思います。

――ラストイヤーとなる早慶戦でしたが、運営も含めどのような思いで臨みましたか

 今年慶應開催とはいえ物販や開催に向けての打ち合わせなどをしていて、最後山木(柊、慶應文4=神奈川・慶應義塾湘南藤沢)がコートに入ってきた時に、少し涙腺が緩んだというか、去年から一緒に仲良く運営していたし、今年も本当に柊が色々動いてくれて、これだけいいものができていたので、感謝しかないし、作り上げた達成感感じられた最後の大会にもなりました。後輩たちにもこのような感情を今後抱けるように頑張ってほしいなと思います。

――2セット目の後はどのように切り替えましたか

 4年生としてコートに入っていたっていうのもあるので、しっかりと切り替えて、自分の持ち味であるムードメーカーの役割というか、自分が声を出すってことを忘れずにやって、凌吾の立ち振る舞いとかも見て、自分もやらないといけないなと思いました。

――東日本インカレに向けて

 3年生主体期間をそこまで続けるっていう形なので、自分たちが表に立ってという感じではないのですが、しっかりと3年生がこうっていったことは自分たちも従うし、欠けている部分があればしっかりとサポートをして、東日本インカレで優勝できるようにというか、2冠目が取れるように、しっかりと結果を残せるようにその過程を大事にこれからも練習をやっていきたいと思います。

佐藤遥斗(スポ3=東京・駿台学園)

――試合を振り返って

早慶戦で伝統ある試合だったということと、独特の雰囲気があるというのがこれまでの経験でわかっていたのですが、上級生として下級生に伝えていかなければいけないなというところと、春リーグを通してスタメンではあまり出られていなかったので、どういうかたちになったとしても自分がチームに貢献していこうという気持ちで臨みました。

――早慶戦という舞台はいかがでしたか

 観客の方も応援部の方も自分やチームがいいプレーをした時に会場も一緒になって盛り上がっていくいい雰囲気が楽しいという感覚になりました。

――途中出場される際にどのようなことを意識していましたか

 大きい体育館でこれだけ大勢の人の前でバレーができることは誰でもできる経験ではないので、貴重な経験であることを意識しながら、自分が今できることを精一杯全部出し切ろうと思ってプレーしました。

――二段トスを確実に打ちきる姿やサービスエースなどが印象的でしたが、攻める姿勢で挑むことはできましたか

 今日に関しては、春リーグが終わってから1週間しか経っていなかったのですが、1週間練習して、その練習の中で強気に攻めていこうというふうにサーブに関してはやっていたので、それが出せたのかなと思います。自分の魅力としては速さと強く打てるということもあると思うので、そこはしっかり挑めたかなと思います。

――東日本インカレに向けて

 今年初めての大学リーグのトーナメント戦になるので、総力戦でいかなければいいと思います。どのようなかたちになってもチームに貢献できるように臨んでいきたいと思います。

小野駿太(スポ2=静岡・聖隷クリストファー)

――独特の雰囲気の中での試合だったと思いますが、どのような意識で臨まれましたか

 自分が下級生なので、チームを盛り上げるために、楽しんで良い雰囲気でやろうと意識していました。

――試合を振り返って

 (チームとしては)1セット目は、順調なスタートを切れたと思ったのですが、2セットは、点差が開かなかった部分からだと思いますが、チームとしてやるべきことがわかっていなくてセットを取られてしまったので、そういった緩みの部分は無くしていけたらと思います。(個人としては)1周目のサーブのミスや被ブロックなど今日は、ミスが多かったのかなと思います。こういった大きい会場であったり、多くの観客の方が来てくださったりした中で、ミスをもう少し無くしていけたらと思います。

――後半にかけてトスが集まってギアが上がっていたように思いますが、2セット目でブロックにつかれて決め切れない展開からの切り替えで意識したことはありますか

 スパイクの打つコースがクロスに寄ってしまっていて、いつも練習でやっているストレートの部分が出せていなかったので、攻撃のバリエーションを増やすことを意識しました。

――東日本インカレに向けて

春リーグ優勝して、チームの流れも良くなっていると思うので、このまままずは初戦から頑張っていきたいです。