一進一退の攻防を制し幸先の良い後半戦のスタートとなった!

男子バレーボール

5月10日 春季関東大学リーグ戦 千葉・キッコーマンアリーナ

 春季関東大学リーグ戦第7戦は、現在早大に次ぐ2位の順大と対戦した。試合全体を通して順大の力強いプレーに苦しめられ、2、4セット目はデュースに持ち込まれ献上した。しかし、最終セットではエースOH徳留巧大(スポ2=長野・松本国際)が覚醒し大幅なリードを保ったまま獲得。セットカウント3―2(25―22、24―26、25―13、25ー27、15−8)で白星をあげた。

 1セット目は序盤から相手の力強い速攻が早大を苦しめる。徳留のサービスエースやスパイクを中心に得点を重ねるも、両者ブレイクできない状態が続く。しかし、中盤に入り相手のミスに救われるところもありながらOH佐藤遥斗(スポ3=東京・駿台学園)がノーブロックでパイプを決め切るなどし、13−11と少しずつ点差を広げていく。17ー15の場面ではOP川野琢磨(スポ1=東京・駿台学園)の強烈なスパイクが相手リベロを吹き飛ばすなど、点を取られても着実に取り返していく。点差を詰められることなく最後はMB菅原啓(教3=山形南)の速攻が決まり先取する。

スパイクを打つ佐藤

 続く2セット目では大熱戦を繰り広げる。さすが上位2校の試合とも言えようか。両者連続得点を許さず全く点差が開かない。6ー7の場面、セッター前田凌吾主将(スポ4=大阪・清風)のシャットが決まり、守備の面でも揺るがぬ実力を見せる。試合中盤で徳留のストレート、乱れたトスかつ相手の3枚ブロックが立ちはだかる中でも打ち切るスパイクで、ようやくブレイクし13ー11に。終盤まで早大が優位のまま試合が進んだが22ー20の場面、相手の連続得点で逆転を許してしまう。デュースに持ち込んだが相手の速攻を抑えることができず、セットを奪われた。

 踏ん張りどころの3セット目。序盤に徳留のサービスエース2本、MB麻野堅斗(スポ3=京都・東山)の速攻を含む5連続得点で10ー5と好スタートを切る。その後も佐藤の機転の効いたオーバーパスでの得点やサービスエース、川野のシャットとブレイクを重ねる。21ー11の場面では相手の強烈なストレートが決まったが、動じる事なく麻野が相手コートに叩き落とすような強烈な速攻を決め切った。最後は途中出場の中上烈(スポ1=京都・洛南)が相手コートに鋭角に刺さるレフトスパイクを決め、難なくセットを獲得する。

喜ぶ部員たち

 取り切りたい4セット目も一進一退の展開に。序盤から長いラリーの中でも前田の采配で相手を翻弄(ほんろう)する。しかし、一筋縄では行かずブロックの間に打ち込まれるスパイクを拾い切ることができない。13ー14と追いかける場面では徳留がAカットを上げ菅原が速攻を打ち切る、早大の勝ちパターンで貴重な1点を決めた。このプレーを引き金に、乱れてレフト側に流れたボールを前田のバックトスでライト側まで持っていき川野が大切に決め切り、ブレイクを掴む。すると相手も負けじとレシーバー泣かせの強烈なストレートスパイクで応える。終盤22ー24と追いかける場面では菅原を囮(おとり)に徳留がパイプを打ち込み、会場がどよめく。再びデュース戦に突入したが、決め手が無くセットを献上し、試合はフルセットに。

 最終セットは佐藤がブロックの間を縫うレフトスパイクを打ち込み、先制点を挙げる。徳留がコートの隅をつくスパイクを決め、その次はフェイントで得点する緩急のついたプレーで相手を惑わせる。9ー5の場面、徳留が自分でサーブカットしたボールをそのまま打ち切り、その後もサービスエース、そしてサーブで相手を崩し、そのチャンスを麻野が速攻で確実にものにするなどとめどなく攻撃を展開。流れをものにした早大は、川野のライン際に決め切るライトスパイクを決勝点に、最終セットを奪取し順大に勝利した。

スパイクを打つ徳留

 黒鷲旗優勝から4日。疲労も完全には取り切れていない中での戦いではあったが、苦しい中でも勝ち切ることができるという期待が確信に変わった試合になっただろう。徳留の何度も何度も拾われても打ち続ける根気強さ、そしてここぞというところで決めてくれる頼もしさが試合を経るごとに増しているように感じる。他のメンバーも苦戦を強いられる中での我慢強さを毎試合更新している。全員が同じ方向に向かって異常を極め続け、春季リーグ戦を全勝優勝で締めくくる日もそう遠くはない。

(記事 井口瞳、写真 河野紗矢、三浦佑亮)

セットカウント
早大 25-22
24-26
25-13
25-27
15-8
順大
スタメン
アウトサイドヒッター 佐藤遥斗(スポ3=東京・駿台学園)
アウトサイドヒッター 徳留巧大(スポ2=長野・松本国際)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ3=京都・東山)
ミドルブロッカー 菅原啓(教3=山形南)
オポジット 川野琢磨(スポ1=東京・駿台学園)
セッター 前田凌吾(スポ4=大阪・清風)
リベロ 布台聖(スポ3=東京・駿台学園)
リベロ 伊東昌輝(商3=山梨・日本航空)
途中出場
梶村颯汰(スポ4=東京・安田学園)
大谷陸(スポ3=埼玉・川越東)
小野駿太(スポ2=静岡・聖隷クリストファー)
中上烈(スポ1=京都・洛南)

コメント

徳留巧大(スポ2=長野・松本国際)

ーー今日の試合を振り返っていかがですか

 1年前は、黒鷲旗を終えてからチームの調子が下がってしまいました。今年はそこを維持、さらには向上させていくゲーム展開をみんなで意識してやっていけたと思います。5セットという長い戦いでしたが、勝ち切れて良かったです。

ーー黒鷲旗(黒鷲旗全日本選抜大会)直後で疲れなどがある中だったと思いますが、気持ちやコンディションの面はいかがでしたか

 個人的には疲れたっていう感じはしなくて。楽しいという気持ちの方が上回っていました。平常心が一番強いので、それをどう保つかというのを意識していました。黒鷲旗からオフを挟んで難しい中でしたが、個人的にはしっかりできたと思います。

ーーサービスエースが4本出るなど大きく得点に絡んでいました。ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 去年はトスが上がってこない、エースの立場としては屈辱的な負け方をしてしまいました。自分が最後打ち切れないで負けてしまったので、去年とはまた違う一面を持たせたいと思ってプレーしていました。観客の皆さま、チームのみんなに「徳留はエースだ」と言ってもらえるようにやった結果が、サービスエースだったり終盤大事なところで決め切れたりといったプレーに現れたと思います。メンタルも成長できたと思うので、良かったです。

ーーシーソーゲーム的な展開が続きましたが、試合中に考えていたことはありますか

 バレーボールは流れが行ったり来たりする難しい球技です。そんな中でどうメンタルを維持するか、というのはシーソーゲームだからこそ経験できる瞬間だと思っています。そう簡単に体験できるものではないので、今日の経験を大切にして明日も頑張りたいです。

ーー次戦への意気込みをお願いします

 日体大さんは黒鷲旗で勝ったとはいえ、また違うチームで来ると思います。気を抜かずに、早稲田らしく、自分らしくガツガツプレーできたらと思います。