全日本大学選手権/準決勝 11月30日 船橋アリーナ
全日本大学選手権(全カレ)の準決勝、早大は日体大と対戦した。第1セットは順調に先取するも、それ以降は強気のサーブに押され、理想的な攻撃が展開できず。対する日体大は、リバウンドやブロックアウトで早大ブロックを利用しつつ確実に点を重ね、主導権を握った。フルセットにまでもつれ込んだが、中盤から早大が追う展開に。粘り強い守備と速い攻撃の前に、セットカウント2-3(25-21、18-25、23-25、25-21、12-15)で惜敗した。
OH徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)のスパイクで幕を開けた第1セット。序盤からMB菅原啓(教2=山形南)の足の長いクイックや、OH佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)のストレートスパイクが決まり、良いスタートをきる。先に20点台へ乗せると、序盤に見せたクイックを囮にパイプ攻撃もさく裂。MB麻野堅斗(スポ2=京都・東山)のクイックでセットポイントを握り、最後はブロックでこのセットを取った。第2セットは、初めから早大がブロックポイントで突き放し、4―0とする。この間、日体大はメンバー交代をし、立て直しを図っていた。それでも、早大はクイックを効果的に使いながらリードを守る。OP畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)のサービスエースに一度は沸いたが、サーブ順を誤っていたためノーカウント。日体大に1点がわたり、8-7となる。中盤はだんだんと長いラリーが増え始め、相手は速い攻撃とプッシュで翻弄(ほんろう)するが、佐藤やセッター前田凌吾(スポ3=大阪・清風)のつなぎで粘り、相手のミスを誘った。畑の鋭いクロススパイクで16―13。ここから日体大の怒涛の反撃が始まった。山元快太(日体大)のサーブによりレセプションが乱れ、大量得点を許す。緩いボールは拾われ、強気で打ちきろうとしたボールはアウトになるなど、苦しい状況が続いた。タイムアウトや、板垣慧(政経3=京都・洛南)を入れる選手交代なども流れを引き寄せることができず、16―22。最終的に18―25で第2セットを落とす。
クイックを打つ麻野
続くセットは気持ちを切り替え、一進一退の攻防で持ちこたえる。先ほど大量得点を許した山元のサーブを、リベロ布台聖(スポ2=東京・駿台学園)がナイスジャッジで避け、1回で切った。中盤、一時は点差が開いたが、佐藤のパイプ攻撃やブロック間を抜けるスパイク、麻野のクイックなどで流れを引き戻し、20―20。しかし、終盤に一度許したブレイクが決め手となり、2点差でこのセットも献上した。後がない第4セットもどちらが取ってもおかしくはない緊迫した展開となったが、早大が底力を見せた。再びクイックやサイド陣のバックアタックなど多彩な攻撃が決まり始める。中央の攻撃に対して佐藤・麻野・前田が待望のブロックポイントを決めるなど、守備の圧力も増した。麻野のエンドライン際へのサービスエースで先に20点へ乗せると、続くプレーで菅原と前田のブロックポイントがあり、勢いづく。最後も相手が押し込もうとしたボールをブロックが阻み、25-21で望みをつないだ。運命を分かつ第5セット。攻撃は佐藤を中心に組み立てて着実に得点していたが、ついにブロックに捕まり5-7。続く長いラリーを粘り強くつなぎ、畑がものにして、飲まれかける雰囲気を引き戻す。ミドル陣のクイックなどで確実にサイドアウトを得てはいたが、ブロックアウトで上手く得点され、あと一歩が遠かった。最後は相手のレフトスパイクに3枚そろえていたものの、はじいたボールはアウト。フルセットの末の敗戦となった。
ブロックに捕まりながらもボールを打ち続けた佐藤
全カレが始まってから今まで、苦しい試合が続いた。だからこそ今日も、油断も慢心もなかっただろう。しかしサーブで攻め、早大の攻撃を粘り強く拾い、のびのびと攻撃する相手が上回ったといえよう。早大としては、どうしても受けることが先に来てしまい、「らしさ」が出せたとはいいがたい、悔しい内容だった。とはいえ一昨年を思い出してみれば、悔しい敗戦は必ず勝利の糧となることを彼らは知っている。これから彼らは、もっと強くなることを予感させてくれる。そしてベスト4のここまで来たからこそ、後1試合の挑戦権を得た。まずは明日、学生相手では現体制最後となる試合で、集大成としてすべて出し切り、笑顔で全カレを締めくくりたい。
(記事 五十嵐香音、写真 芦刈れい、町田知穂)
セットカウント | ||||
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早大 | 2 | 25-21 18-25 23-25 25-21 12-15 |
3 | 日体大 |
スタメン | ||||
アウトサイドヒッター 佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園) アウトサイドヒッター 徳留巧大(スポ1=長野・松本国際) ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ2=京都・東山) ミドルブロッカー 菅原啓(教2=山形南) オポジット 畑虎太郎(スポ3=福井工大福井) セッター 前田凌吾(スポ3=大阪・清風) リベロ 布台聖(スポ2=東京・駿台学園) |
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途中出場 | ||||
板垣慧(政経3=京都・洛南) 伊東昌輝(商2=山梨・日本航空) |
コメント
浅野翼副将(スポ4=宮城・東北)
――今日の試合を振り返って
自分たちがやってきたことを出せていなかったというのが一番です。
――試合を外から見ていた感想は
下級生が中心のチームなので、もっと思い切ってやってほしかったです。
――最終セット前に何かお声がけはしましたか
やってきたことを出すだけだし、相手ではなく自分たちがやるべきことができていないだけだから、そこを思い切ってやろうと話しました。
――明日の試合に向けて必要なことは
自分たちがやってきたことを徹底するのみかなと思います。今日も相手にではなく、自分たちが自分たちに負けただけなので、とにかく開き直って。来年も今のチームでやっていくので、そこを自分たちが後押しできたらいいなと思います。
ーー明日への意気込み
もうやり切るだけだと思うので、とにかくいい準備をして、自分たちがやってきたことを出す準備を徹底して、後輩たちにはひとつの経験だと思って前向きにやってもらえるように、自分たちも精一杯サポートしてやっていきたいです。
菅原啓(教2=山形南)
――今日の試合を振り返っていかがですか
準決勝ということで、日体大との対戦だったのですが、日体大にやられたというよりかは自分たちのバレーができなかったなというのが大きいかなと全体として思います。
――ブロックを振り返って
弱いフェイントとかリバウンドをとってくるチームということは分かっていたので、そこは動くところは動けていたと思いますが、リバウンドはいいとして、その後の緩いボールとかが上ではたけなかったり、自分でもらえなかったりすることが1、2セット目では多かったなと思います。
――クイックに関しては
相手の選手が1枚コミットして来ることが多くて、多方向に意識して打つということをやって来たのですが、クロスに打つとブロックにかけられてしまったり、リベロの選手が触ってしまっていて、自分中でしっかり多方面に打つということができていなかったなと思います。
――個人として、今日の試合で良かった点は
クイックは結構サイドアウトから1枚(ブロックが)来ても決められるところが多かったので、そこを明日も出してブロック面でも貢献していきたいと思います。
――反対に課題は
今日もタッチアウトとってくるチームに対してどうしても手が前に出ず、上に出てしまって後ろのエンドラインに大きく飛ばされる場面があったので、完成を早くして、白帯の前に出すというのを明日は意識していきたいと思います。
――3位決定戦の明日に向けて
いち早く切り替えて、学生としての試合、天皇杯を除いて4年生とできる最後の試合なので、最後しっかり勝って笑って終わられるように、今日は厳しい試合となりましたが、明日最高のパフォーマンスができるよう頑張りたいです。